【リーキーガット症候群とは】症状と原因、悪化させる食品、治療方法

あなたは「リーキーガット症候群」をご存知ですか?

  • リーキーガット症候群とは?
  • どんなリスクがあるの?
  • いい食品と悪い食品はどんなもの?

わたしは健康志向な栄養士で、ファスティング指導や食事指導を行っています。最近は腸活もしています。

そんなわたしが「リーキーガット症候群」について解説していきます。

「リーキーガット症候群」とは

リーキーガット症候群(LGS)

リーキーガット(Leaky Gut)を直訳すると「漏れやすい腸」という意味になります。腸の粘膜が損傷し、有害物質などが体内に「漏れる」状態を意味します。

リーキーガット症候群は、リーキーガットシンドローム(LGS)などとも呼ばれます。

「死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事」という本にはリーキーガット(腸管透過性亢進)と書かれていました。

《参考》【本の要約】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:まとめ(目次)

本来であれば、正しく消化され細かくなった栄養素だけが腸の膜を通過するはずなのに、傷つき破れた腸の膜は、消化しきれなかった余分なタンパク質や脂肪、さらには有害物質までも体内に取り込んでしまいます。

腸でブロックできなかった有害物質が体内に入ると、体は防御のために抗体をたくさん作らなければいけなくなります。

この状態がずっと続くと免疫機能は過剰に反応し、本来なら毒ではないものまで敏感に感応し、攻撃していまいます。

胃酸の分泌が少ないことも原因で、胃でのタンパク質の消化が不完全になり、腸でのアレルギー反応も高まることになります。

日本人は体質的に胃酸の分泌が少ないので栄養素の吸収阻害を起こしやすいのです。

また、子どもの不健康の原因はの8割は腸の問題とも言われています。

「リーキーガット」が引き起こすこと

異物が入ってきた腸壁では炎症反応が起こり、免疫が過分に反応するようになります。

さらに、腸だけでなく全身に影響し様々な症状を引き起こすために、ある病的状態の場合に同時に起こる一連の症候(症候群)として扱われます。

腸から漏れ出した異物が全身を駆け巡り様々な反応を起こすため、下痢や便秘などの腸の症状だけでなく様々な症状との関係があると言われています。

うつ病、アレルギー、喘息(ぜんそく)、花粉症、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹(じんましん)、自己免疫疾患、片頭痛、不安障害、慢性疲労、貧血、化学物質過敏症、双極性障害、関節痛、関節炎、橋本甲状腺炎、認知機能障害、皮膚発疹、更年期障害、倦怠感、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性関節炎、慢性筋肉痛、強直性脊髄炎、肌荒れ、糖尿病、肝障害、通風、腎障害、血管障害、高血圧、高脂血症、心臓病、統合失調症、自閉症、パニック障害、不眠症、慢性皮膚疾患、骨粗しょう症、肥満、夜尿症、ドライアイ、良性腫瘍、悪性腫瘍などです。

他にも、エストロゲンの分泌を促進するレクチンという物質も吸収され、子宮筋腫や卵巣嚢腫の原因とも疑われます。

「死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事」という本には、加齢に伴う一般的な病気のほとんどがリーキーガットに起因すると書かれています。

老化は、リーキーガットと、腸内細菌のバランスの乱れから起きます。

《参考》【本の要約】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:まとめ(目次)

マウスの研究結果

2018年、イェール大学医学部の研究者たちは、ループス様症状などの自己免疫疾患を持つマウスの腸と、他の臓器に住んでいた最近の相互関係を比較しました。

その結果、腸のバリアが破られており、同じ臓器に細菌が侵入していたことが分かりました。

注目すべきは、健康な対照群ではなく、自己免疫疾患の患者の肝臓の組織の一部を採取する検査で同じ悪玉菌が見つかったことです。

つまり、細菌が腸管上皮細胞のバリアを越えて体内へ侵入するリーキーガットは、マウスにもヒトにも自己免疫疾患を引き起こすということです。

「リーキーガット症候群」原因と対策

続いては、リーキーガット症候群を予防・対策する方法をご紹介していきます。

  1. 「フラクトオリゴ糖」を摂る
  2. 「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」を摂る
  3. 「グルテンフリー」
  4. 「砂糖」「加工食品」を避ける
  5. 「乳製品(ヨーグルト、牛乳、チーズ)」を避ける
  6. 「その他の対策」

それぞれ詳しくご紹介していきます。

①「フラクトオリゴ糖」を摂る

「東大の微生物博士が教える 花粉症は1日で治る!」という本では、フラクトオリゴ糖をたくさん食べて、大腸で酪酸菌が増えると、アレルギーと自己免疫疾患が治ると書かれています。

《参考》【本の要約④】東大の微生物博士が教える 花粉症は1日で治る!フラクトオリゴ糖

多くの人が関節リウマチなどの自己免疫疾患になっている原因は、リーキーガットです。

その対策には、腸内フローラの「アッカーマンシア菌」や「酪酸菌」がカギを握っています。これらの菌を増やすために「フラクトオリゴ糖」を摂ることをおすすめします。

花粉症をはじめとした、骨粗しょう症、うつ、認知症などの予防にもつながります。

《参考》天然チコリ由来 フラクトオリゴ糖

②「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」を摂る

腸内の健康維持にとても重要な役割を果たす「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」の2種類をご紹介していきます。

普段の良く生活で、これら摂取することがリーキーガット症候群への予防となります。具体的には「和食」がおすすめです。

「プロバイオティクス」

プロバイオティクスのプロ(Pro)は「共に」という意味です。

腸内細菌のバランスを改善し、体内に有益な微生物(善玉菌)や、それを含んだ食品のことを指します。

ヨーグルト、乳酸菌飲料、ビフィズス菌、チーズ、納豆、ぬか漬け、味噌、甘酒、キムチなどはここに含まれます。

プロバイオティクスは以下の働きがあり、中でも善玉菌の一つであるビフィズス菌は乳酸菌よりも大きな効果をもたらすと言われています。

  • 下痢や便秘を抑える
  • 腸内環境を改善する
  • 免疫力を回復させる
  • 腸内の感染を予防する

ただ、ヨーグルトなどの乳製品はおすすめできません。その理由は後ほど詳しく出てきます。

「プレバイオティクス」

プレバイオティクスのプレ(Pre)は「より前の」という意味です。

腸内に生息する善玉菌のえさとなり、増殖させる食品成分のことを指します。「プロバイオティクス」の働きを助ける役割をします。

オリゴ糖(大豆、玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなど)、水溶性食物繊維(昆布、わかめ、こんにゃく、果物など)、不溶性食物繊維(穀物、野菜、豆腐、きのこ類など)が含まれます。

これら摂取できる食事とは

「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」が含まれる食品を踏まえると「和食」がおすすめできます。プロバイオティクスとプレバイオティクスをどちらも豊富に組み合わせた料理が多くあるからです。

細かい栄養計算までしなくても「マゴハヤサシイワ」を意識した食事にするとバランスもかなりよくなります。

《参考》【マゴハヤサシイワとは】その意味と、献立の立て方・栄養

もっと簡単な方法では、食事の彩りを意識することです。

カラフルな食事は、見栄えがいいだけでなく、栄養のバランスも保ちやすいです。つまりは、似ている色の野菜は、似たような栄養素が含まれている可能性が高いのです。

「ブロッコリー」の研究

ブロッコリーがリーキーガットの治療に役立ちます。この情報は「死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事」という本に載っていました。

ある研究で、ヒトのリーキーガットや大腸炎に似た症状を持つマウスに、ブロッコリーをたっぷり含んだ食事をさせたところ、症状が軽減されました。

同じ症状のマウスにブロッコリーを食べさせなかった結果、症状は変わりませんでした。

ブロッコリーや芽キャベツなどアブラナ科の野菜に含まれる化合物が腸の受容体と結合し、体が毒素に反応するのを助ける役割を果たします。つまり、腸のバリアと免疫システムが強化されるのです。

ぜひ、毎日の食事にブロッコリーを加えていきましょう。

《参考》【本の要約】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:食材の例

③「グルテンフリー」

グルテンの成分であるグリアジンが、腸の細胞に働きかけることで「ゾヌリン」が分泌されてしまいます。「ゾヌリン」とは、腸粘膜細胞の間を物がすり抜けられるようにしてしまうタンパク質です。

つまり、グルテンの摂取を避けることがリーキーガット症候群の予防につながるということです。

グルテンは、全粒粉や小麦粉に含まれるもので、粘り気があり、もちもちとした食感やコシのもとになっています。

代表的な食品は次のようなものがあります。

強力粉 パン、ラーメン、中華麺、ソフト麺、ピザ、ナン、ベーグル、ドーナツ、春巻きなど
中力粉 うどん、お好み焼き、たこ焼き、素麺、冷や麦、ワンタンなど
薄力粉 スコーン、パンケーキ、ホットケーキ、クレープ、蒸しパン、フォカッチャ、フランスパン、てんぷら、カステラ、マドレーヌなど
全粒粉 パン、ビスケット、シリアルなど
セモリナ粉 パスタ、シリアル、プリンなど

グルテンフリーについては、こちらの記事で詳細をご覧ください。

《参考》【グルテンフリーとは】意味ない?その効果とメリット・含む食べ物

④「砂糖」「加工食品」を避ける

砂糖や加工食品は、消化の負担になります。最近ではカロリーゼロやカロリーオフの加工食品がたくさん販売されていますが、腸にいいものだとは言えません。

それに人工甘味料が入っている加工食品は、カロリーが低くても血糖値を上げますので、ダイエットに効果があるとも言い切れません。

とある研究で人工甘味料を摂取している人は、がんになりやすいという結果が出ています。直接的に誘発しているという所まで明らかになってませんが、気を付けた方が良いことは間違いないです。

《参考》【人工甘味料】摂取量が多い人は、がんと診断されるリスクが13%高い

《参考》【本の要約】食品の裏側(食品添加物の神様、ミートボール事件の内容)

⑤「乳製品(ヨーグルト、牛乳、チーズ)」を避ける

乳製品、特にヨーグルトは腸活に良いイメージがあるかもしれませんが、そうとも言えません。

特に、日本人は脂質の多めな肉類や乳製品の消化は不得意です。

日本人が乳製品を摂るようになったのは戦後で、戦争が終わり海外から色々な食材が入ってくるようになってからです。日本人の食歴に、脂質の多めな肉類や乳製品は登場してこなかったことが関係しています。

大人になると、日本人の7~9割は乳製品に含まれる乳糖を分解する酵素を持たなくなる乳耐不耐症になります。たとえば、牛乳を飲んで下痢をする方がそうです。



⑥「その他の原因」

主な原因・対策としては上記が挙げられますが、他にもいくつかご紹介します。

悪玉菌が増えている

次のような方は悪玉菌が増えている可能性があります。

  • 抗生物質をよく飲む人
  • 女性ホルモン剤(ピル)
  • 甘い物を良く食べる
  • アルコールを良く飲む
  • キシリトール製品の摂取

歯周病など他の部位の炎症

他の部位が炎症していると、そこからやってきた物質が腸の炎症を透過させます。

腸以外に体内の炎症があればそちらを治すことも必要です。たとえば、歯周病は炎症性物質を全身にむかって放出しています。

過剰な飲酒

過剰なアルコール摂取は、腸壁を直接傷つけ、腸の透過性を増加させる可能性があります。

お酒はほどほどにして、休肝日をつくるようにしましょう。腸に加え肝臓など様々な臓器の負担になっています。

カンジタ菌腸内悪性細菌の増殖

甘いものの食べ過ぎや、有害ミネラルの摂取によってカンジタ菌が増殖します。

睡眠不足

睡眠が不足すると、健康な腸内細菌の分布不良を引き起こし、腸の透過性を増加させる可能性があります。

人によってもベストな睡眠時間は違いますが、毎日、最低6時間以上の睡眠をとりたいですね。

腸内悪性細菌

腸内微生物叢と腸機能の密接な関係を示す多くの研究結果があります。

やはり、腸の健康と食事は切っても切れない関係があるといえます。人工甘味料が腸内細菌叢を壊すという情報もありますので良ければ参考にご覧ください。

《参考》【人工甘味料】摂取量が多い人は、がんと診断されるリスクが13%高い

《参考》【本の要約Q&A】腸がすべて:アダムスキー式の腸活法レシピ具体例

ストレス

脳腸相関が強く関連するため、慢性的なストレスは有益な腸内細菌を傷つけます。

瞑想やヨガが取り入れるのが良いでしょう。また、朝に散歩をして幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌を促すのもおすすめです。

食生活の改善に取り組み、腸内環境を整えることでもセロトニンの分泌を促すことができます。

また、ファスティングにより腸内環境や自律神経を整えるのも対策のひとつです。

《参考》【ファスティングとは】断食との違い・ダイエット&デトックス効果

喫煙

たばこの煙は腸疾患の危険因子です。消化管の炎症を増加させる可能性がありますので禁煙をおすすめします。

【まとめ】リーキーガット症候群

最後に、リーキーガット症候群になってしまう主な原因と対策をまとめておきます。

①グルテン グルテンは小麦に多く含まれますので「グルテンフリー」が有効です。
②カゼイン カゼインは乳製品に多く含まれますので、ヨーグルト、牛乳、チーズなどは控えることが推奨されます。ヨーグルトはいかにも腸に良さそうなのに以外に思われるかもしれません。
③カンジタ菌の増殖 甘いものの食べ過ぎや、有害ミネラルの摂取によってカンジタ菌が増殖します。
④腸内細菌叢 善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが乱れている可能性があります。ストレス、食品添加物、冷たい飲み物、抗生剤などに気を付けましょう。

摂取したい食品と避けたい食品

積極的に摂取したい食品と、避けたい食品をまとめます。

摂取したい食品 避けたい食品
・わかめ、のりなどの海藻類
・ほとんどの野菜(糖質の少ないもの)
・こんにゃく
・精製度の低い麦以外の穀物(玄米、キヌアなど)
・ハーブやスパイス
・納豆、おくら、めかぶなどネバネバ食品
・キムチや漬物、味噌などの発酵食
・えごま油、亜麻仁油など
・加工食品・食品添加物(インスタント食品、カップ麺など)
・甘味料(砂糖など)
・小麦製品(パン、うどん、ラーメンなど)
・乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)
・精製された糖質(小麦粉・白米など)
・保存料の多い食品(コンビニ弁当・お惣菜など)
・アルコール

ちなみに、えごま油、亜麻仁油などはオメガ3脂肪酸が豊富で、腸以外にも健康効果が高いです。

野菜やネバネバ食品は、みなさんも体にいいことは、なんとなく認識されている方が多いと思いますが、油は悪いと思っている方も多くいます。実は、悪い油とのバランスを取るためにもオメガ3は必要なんですよ。

《参考》【オメガ3脂肪酸とは】多く含む食品・その効果・オメガ6との比較

腸内環境が悪い状態に、たくさんの腸に良い食品を摂取しても逆に負担になるだけです。

何を食べるかも大切ですが、食べないことも大切です。プラスの健康とマイナスの健康、どちらも無視できません。

原因となっている可能性がある食品を一時的に除去することが腸内環境を整える近道かもしれません。

ファスティングを行ったり、アダムスキー式の腸活法を行ったりして、腸内環境を整えていくことをおすすめします。

《参考》【事例】-5.4kgダイエット!3日ファスティングの効果(男性41歳)

《参考》【本の要約Q&A】腸がすべて:アダムスキー式の腸活法レシピ具体例

おすすめな栄養素

栄養を摂取するには、食べ物から摂ることが基本となり、場合によってはサプリメントをから摂取することもあるでしょう。

ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、ケルセチン、亜鉛、マグネシウム、グルタミン、乳酸菌、食物繊維、消化酵素などが必要です。

マグネシウム

マグネシウムは代謝をするのに最も使用されるミネラルです。リーキーガット症候群の対策だけでなく重要な役割を果たしています。

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他にも、硫酸マグネシウムをお風呂に入れるエプソムソルト入浴で、肌から吸収するのもおすすめです。

《参考》【エプソムソルトとは】効果・効能、おすすめ商品「Sea Crystals」

「消化酵素」

あなたの身体の臓器、特に消化器官たちは、毎日毎日、食べ物を消化するすることにエネルギーを使っています。

やっと朝食の処理が終わったと思っても昼食がやってきます。さらには夕食を食べて本人は眠ったとしても、体の臓器たちは夜中も食べ物を処理しています。

「消化酵素」は、全体で100%使える酵素エネルギーを「代謝酵素」とバランスを取って使っています。

つまり、食べ物の消化にばかり消化酵素を使ってしまうと、代謝酵素が使えるエネルギーが足りなくなります

すると、体の細胞の修復などが追いつかなくなり、メンテナンスが必要になります。つまり、病気になったり、老けてきやすいということです。

定期的なファスティング(断食)を行い腸や消化器官を休息させ、細胞を修復し、身体をメンテナンスしてあげることが大切です。

《参考》【ファスティングとは】断食との違い・ダイエット&デトックス効果

「フラクトオリゴ糖」で腸活

あれを食べて、これは食べないでと、毎日気を使うのは大変です。

まずは、フラクトオリゴ糖のパウダーをコーヒーやスープに入れて飲んでみるのはいかがでしょうか。リーキーガットの予防にもなりますし、花粉症の対策、うつ、認知症など様々な病気の対策になります。

《参考》天然チコリ由来 フラクトオリゴ糖

色々な腸活法がありますが、簡単で取り組みやすいので、おすすめです。

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