【本の要約】食品の裏側(食品添加物の神様、ミートボール事件の内容)

あなたは加工食品を買うとき「原材料名」を確認していますか?

  • 「食品添加物」とは?どんな食品に使用されているの?
  • 食品添加物の効果や安全基準が知りたい。
  • どのように食品添加物と付き合っていくべきか。

わたしは、オーガニック食品や無添加なナチュラルなものが好きな栄養士です。本記事では「食品の裏側」という本を要約しながら「食品添加物」についてご紹介します。

著者は、ミートボールを我が子が食べているのをみて突然に目が覚め、翌日には食品添加物の会社を退社したと有名になった方です。

【食品添加物】の実態

本_食品の裏側_安部司

著者の安部さんは、食品添加物の専門商社に勤めていて、「食品添加物の神様」「歩く添加物辞典」と呼ばれるほどのスーパー営業だったそうです。

そんな安部さんだからこそ語れる、食品添加物に関するお話です。

暗い土色のタラコを添加物の液に一晩漬けるだけで、赤ちゃんのようなプリプリのタラコになります。ベージュ色のしわしわの干し大根も、添加物に漬けるとキレイな黄色のたくわんになり、ポリポリと歯ざわりもよくなるのです。

安部さんは入社当時、「添加物はすごい!魔法の粉だ!もっと勉強して日本一の添加物屋になろう」と意欲に燃えていたそうです。

彼が添加物を提案してきた実話をいくつかご紹介します。

「添加物」は職人いらず

様々な食品の製造工場に出向き、お困りごとを添加物を提案することで解決してきたそうです。業界では食品添加物のことを「クスリ」と呼ぶそうです。それだけの効果があるということですね。

  • 日持ちしない麺
  • 機械にくっついてしまう餃子の皮
  • 職人不要でしこしこ食感のうどん大量生産
  • 原価を抑え添加物で作ったうどんスープ
  • 冷凍すり身を使った安価なかまぼこ
  • 色が悪くて売れないレンコン

職人さんの技術によって、しこしこでおいしいうどんが作られますが、添加物を使えなば、それなりにしこしこでおいしいうどんを再現できます。

そうすることで、たくさんの職人がさんがいなくても、大量のうどんが作れます。ここが儲かりポイントになります。

その日の魚の脂の乗り方や状態をみて塩加減など絶妙な調整をして職人さんがかまばこを作っています。あまり味のない安価な冷凍すり身を使って、添加物でおいしく調理することによって、それなりのかまぼこが大量につくれてしまいます。

他にも、漬物、スナック菓子、ハンバーグ、ジュース、インスタントラーメンなど様々な商品を開発したそうです。

添加物があれば、職人さんのような熟練の技術がなくても一定例レベルのものが作れます。

職人にとって魂を売るのと同じとも言えます。添加物で一定のクオリティのもの大量生産でき合理化したことと引き換えに、大事なものを失っています。

ターニングポイント「ミートボール事件」

食品添加物はまさに「魔法の粉」です。食品を長持ちさせたり、色や形を美しく仕上げる、品質を向上させる、味を良くする、コストを下げる、このようなことが面倒な工程や技術が不要で一定の品質のものができます。

しかし、光があれば影もあります。すばらしい恩恵の一方で人体への影響や毒性、危険性があることも事実です。

安部さんの娘さんが3歳の誕生日の際に「ミートボール事件」はおきました。

食卓に並ぶご馳走のなかに、安部さんが開発したミートボールの皿がありました。かわいいミッキーマウスの楊枝が刺さったミートボールを子どもたちが食べていました。

しかも普段から、添加物たっぷりのミートボールを食べていることを知り、安部さんは凍り付いてしまったそうです。

理由は、そのミートボールの製造工程やどれほどの食品添加物を使用されているか知っているからです。

ミートボールの製造方法

安部さんが手がけた、そのミートボールは、メーカーが安く大量に仕入れた端肉を使用してコストカットして作ったものです。

端肉というのは、牛の骨から削り取る肉とも言えない部分で、現在ではペットフードに利用されているものだそうです。このままではミンチにもならないし、形はドロドロ、水っぽくて味もない、とても食べられる状態ではない牛の端肉です。

その端肉に、卵を産まなくなった安い廃鶏のミンチ肉を加え、さらに増量し、ソフト感を出すために「組織状大豆たんぱく」を加えます。

これは「人造肉」とも言って、安いハンバーグには今でも必ず使われています。

そして味付けに「ビーフエキス」「化学調味料」などを大量に使用して、歯ざわりを滑らかにするために「ラード」や「加工でんぷん」も投入します。

さらに機械で大量生産するので作業効率をよくするため「結着剤」「乳化剤」も入れ、色よくするための「着色料」、保存性を上げるための「保存料」「pH調整剤」、色あせを防ぐための「酸化防止剤」も使用してミートボール本体の完成です。

ソースは、コストを抑えるために添加物を駆使して「それらしいもの」を作ります。化学調味料や着色料、酸味料、増粘多糖類などで作り上げます。

このソースにミートボールを絡めて真空パックに詰め、加熱殺菌をすれば商品の完成です。

添加物は20~30種類を使用しており「添加物のかたまり」と言っていいような商品です。ミートボールは、本来なら産業廃棄物となるべきクズ肉に、添加物を大量に投入して食品に仕立て上げたものだったのです。

「ミートボール」大ヒット

このミートボールは1パックたった100円弱で販売され、大ヒット商品となりました。これだけ安い値段設定ができるのは、原価が20~30円だからです。

ミートボールは笑いが止まらないほどの売り上げで、そのメーカーはミートボールだけでビルが建ったと言われたほどです。

ヒットの理由は、子どもと主婦に受けたことで、開発当初からの狙い通りでした。添加物を駆使して子どもに大好きな味、食べやすい食感を作り出しました。

自分も家族も「消費者」のひとり

本来なら廃棄されるようなものが食品として生きるので、安部さんは誇りに思っていたそうです。しかも、1円でも安いものを求める主婦にとっても救いの神になり、食品産業の発展にも役立っているという自負もあったそうです。

それは「つくる側」「売る側」としての目線で、自分も家族も「買う側」であることにハッと気づいたとき、添加物を売ること、営業成績が上がることをゲームのように楽しんでいた自分、職人の魂を売らせることに得意になっていた自分に疑問を持ったそうです。

立場や目線が変わるとこうも考えが違ってきてしまうのです。どんなことに対しても相手の目線を考えて生きていきたいものですね。

自社製品を食べない製造者たち

今まで聞き流していた様々な人の言葉が頭を駆け巡ることになります。

  • 工場長Aさん「俺のところの特売用ハムはだめ。とても食べられたものじゃない」
  • 漬物工場の経営者Bさん「価格破壊の商品とは言え、うちの漬物は買うなよ」
  • レンコン会社の社長Cさん「あのレンコンは自分では食べない」

漬物工場の経営者Bさんは、輸入品の黒ずんだ野菜を漂白した挙句、合成着色料で色付けてごまかしている漬物だと知っているからです。

レンコン会社の社長Cさんは、真っ黒な廃材みたいな色のレンコンが一瞬のうちに真っ白になる過程を見れば、まともな神経を持つ人間ならとても口にできないからでしょう。

他にも、餃子屋さん、豆腐屋さんなども「自分のことろでつくっている食品は食べない」と言い切っている人がたくさんいたそうです。

自社の製品を食べないどころか、食べない方がいいとアドバイスする生産者さんの話は、なんとも切ないです。自分の家族や友人、大切な人に食べさせたいものを作ってほしいと思いますが、生産者さんとしても安くないと売れないし商売にならないという事情もあるのでしょう。

「添加物」の会社を退社

自分の良心に背けなくなった安部さんは、ミートボール事件の翌日に会社を辞めました。

その後は、無添加の明太子づくりに関わったり、食品添加物に関する講演の依頼が殺到していったそうです。

現場に立ってきたので、なぜその添加物を入れなければならないのか、添加物を抜くには何を代わりにしなければいけないのか、そこまで指摘をできる人はいませんでした。



「食品添加物」が大量に使われる加工食品

「食品添加物」が大量に使われている加工食品は、明太子、漬物、練り物、ハム、ソーセージなどがあります。

これらが代表例ということであって、加工食品はほぼすべて食品添加物が使用されています。あくまで一例として、いくつか具体例をご紹介していきます。

添加物の「複合摂取」

添加物は厚生労働省がテストを行い、一定の基準を満たしたものが認可されています。普通に食生活を送っている限り、添加物を摂取しても問題ないという考え方です。

しかし、それは単品使用の場合で、複数の添加物をいっぺんに摂取したらどうなるかという実験は十分にされていないのです。

そもそも、添加物の毒性や発がん性はのテストはネズミなどの動物を使って繰り返し行われます。添加物として使用していいかどうかの基準や使用量が、動物実験の結果にもとづいて決められています。

ネズミと人間の分解能力・吸収能力が同じとは言えませんし、人間特有のストレスとの事情なども考慮されていません。人体実験ができない以上、動物実験を「目安」にして基準を決めるしかないのです。

国が設定した基準といっても完全に信頼できるものではありません。複数の添加物を同時に摂取した場合の危険性は、その有無も含めて、それを食べるわたしたち自身が引き受けるしかないのです。

食品添加物についても新しいガイドラインや「無添加」と表示するルールについての詳細は別記事でご紹介しています。

《参照》【無添加の表示禁止・基準】食品添加物の不使用表示ガイドライン要約

「無着色の明太子」は安全?

スーパーで明太子を購入する際、「無着色」と表示されている商品を見かけます。

しかし、それは「合成着色料」は使われていないものの、亜硝酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、酸化防止剤、化学調味料などその他の添加物は使われている可能性が高いです。

20種類のうち「合成着色料」を2~3種類だけ不使用にして、他の添加物はそのままという商品が、目立つように「無着色の明太子」と表示して、さも健康的かのように売られているものがあります。

メーカーの誇張標示に惑わされないためには、商品の裏に書かれている表示をきちんと確認して正しい情報をもとに判断してください。

「特売ハム」は水で増量

特売で安く販売されているハムは、100キロの豚肉の塊から120~130キロのハムを作ります。「つなぎ」で増量させているのです。

安く増量するのに便利なのは「水」ですが、そのまま入れたのでは肉がぐちゃぐちゃになってしまうので、加熱すると固まるゼリーを使用します。

豚肉に、専用の肉用ゼリーを100本くらいの注射器で打ち込みます。次に注入したゼリー液が肉の組織に均等に行き渡るように揉みこみます。肉の量に対して20~30%のゼリーを打ち込むので、この段階ではブヨブヨです。それを何とか成型して加熱するとゼリー液が固まってハムらしい形になります。

このゼリー液の原料は、主に大豆や卵白ですが、乳たんぱくや海藻抽出物なども使われます。要するに固まればなんでもOKな世界です。増量した分だけ、色や弾力を持たせるために添加物も余計に入れることなります。

この添加物たっぷりの増量した特売ハムを「プリンハム」「雑巾ハム」「水増しハム」などと呼ばれることもあるそうです。業界で雑巾ハムや水増しハムと呼ばれる理由は、絞れば水が出て着るくらいの水分を含んでいるからだそうです。

裏面を見て原材料表示の欄に「大豆たんぱく」「卵白」「乳たんぱく」と書いてあれば、このような作り方をした特売ハムです。

「減塩梅干」は健康?

塩分の摂りすぎが問題となった頃に「減塩梅干」が生まれました。

通常の梅干は梅の量の10~15%の塩を使います。塩は味付けのためだけでなく、保存(防カビ)や、色落ち防止、食感を保つという役割があります。

減塩するには、塩の役割を他で補う必要があります。つまり添加物の登場です。

味付けは「化学調味料」、保存は「pH調整剤」「アルコール」、色落ち防止に「酸化防止剤」、酸味は「酸味料」で補うのです。ここまでの添加物では、従来品のしょっぱさと同じになってしまうので、ステビアやサッカリンなどの「甘味料」を加えて、塩分が半減したと錯覚させるのです。

この技術は漬物にも応用されていて、低塩漬物シリーズは大ヒット商品です。

一度、スーパーで低塩漬物の原材料名を見てみてください。アルコール、調味料(アミノ酸)、pH調整剤、ステビア、サッカリン、酸化防止剤、ソルビン酸、着色料、酸味料、リン酸塩、増粘多糖類、天草など驚くほどの量の添加物が使用されていることが分かります。

なお、低塩漬物はしょっぱさを感じさせないように作られているので、1切れや2切れでは満足できず、食べ過ぎて塩分の摂りすぎに発展する恐れがあります。

「調味料」も食品添加物だらけ

しょうゆ、みりん、お酒、塩、砂糖、酢などの調味料も添加物で作られたニセモノにすり替わってきています。

普段から自炊をしている方は添加物と無縁と思いがちですが、添加物たっぷりの調味料で調理しているかもしれません。

「しょうゆ風調味料」

昔ながらのしょうゆの原料は、大豆と小麦、塩、こうじです。こうじから作られた酵素が大豆や小麦のたんぱく質をアミノ酸に、でんぷんを糖分に変えます。これがしょうゆの旨味のもとです。

甘みや酸味、香ばしさまど複雑な旨味です。作るの手間もかかりますし、1年以上という年月も必要です。低コスト、短時間で作ることができる「しょうゆ風調味料」が開発されました。

「グルタミン酸ナトリウム(化学調味料)」で旨味を出し、「甘味料」で甘み、「酸味料」で酸味を出して、「増粘多糖類」を数種入れてコク・とろみを出します。色は「カラメル色素」で着色し、香りづけに本物のしょうゆを少々足して、日持ちをよくするために「保存料」も加えます。

昔ながらの本物のしょうゆを「丸大豆しょうゆ」と呼ぶのに対して、こうしたしょうゆ風調味料は「新式醸造しょうゆ」などと称して販売されています。

梅干しや特売ハムと同様に、ラベルをみれば一目瞭然ですので、スーパーでぜひチェックしてみてください。値段も1リットル当たり1000円と198円くらいの差があるのですぐに見分けがつきます。

※p83

「みりん風調味料」

みりんは本来、焼酎ともち米、米こうじで作ります。もち米と米こうじを焼酎の中で半年から1年ほど熟成させて作ります。

こうじの働きで、もち米のでんぷんがブドウ糖やオリゴ糖などに糖化され、様々な甘みが醸し出されます。アミノ酸や酸味や香りも作られ、みりん独特の風味が生まれます。

この昔ながらのみりんは「純米みりん」と呼ばれ、そのまま飲んでもおいしいです。スーパーで安く売られているみりんは「みりんタイプ調味料」にすぎません。

「みりんタイプ調味料」は2種類あります。「発酵調味料」と「みりん風調味料」です。

「発酵調味料」

米やとうもろこしなどを原料にアルコール発酵させ、ブドウ糖やグルタミン酸ナトリウム(化学調味料)、酸味料、で味を調えてつくります。

甘みを強くしたものが「みりんタイプ」、日本酒のように調整したものが「料理酒」です。

「発酵調味料」は15%程度のアルコールを含みますが、製造の工程で塩を加えるので分類上は酒類になりません。すると、酒税がかからず安いということで人気を集めています。

「みりん風調味料」

シロップを原料に、グルタミン酸ナトリウム(化学調味料)、酸味料などで味をつけ、カラメル色素で色を付けてたものです。

要するにシロップを添加物でみりん風に仕立て上げた「色付きシロップ」です。

「みりん風調味料」でサバの煮付けを作ったとすると、夜には色が飛んで生臭くなってしまいます。一方、純米みりんで作れば、2~3日経ってもぴかぴか光っておいしそうです。生臭さもなく、煮崩れもしません。

「お酒」「塩」「酢」「砂糖」

日本酒にも「純米酒」と日本酒もどきがあります。本来の日本酒は、米に米こうじを仕込み、さらに酵母を使って発酵させて作りますが、増量させて添加物で味を調えたお酒も存在します。

裏面に「醸造用アルコール」と記載があるお酒は、昔ながらの本物の日本酒ではありません。「本醸造酒」「普通酒」「合成酒」の順で、より添加物が多く含まれるお酒です。

「塩」

塩にも種類があります。海の複雑なミネラルがそのまま凝縮された「自然海塩」は、微量栄養素が豊富です。

「再生加工塩」「精製塩」はミネラルがほとんど入っていません。

塩は、製造・販売・輸入が自由化されたのが最近なので製造メーカーによって表示がまちまちのため、見分けるのが難しい状態です。

「砂糖」

酢や砂糖も添加物を使って安くニセモノが作られています。

三温糖は体にいいと言われ始めてから、上白砂糖をカラメル色素で染めて三温糖として売り出している商品もあります。すべては、裏面の成分表示を見れば明らかです。



隠れた「食品添加物」

使われている食品添加物を表示しなくていい場合や、省略して「一括表示」できる場合があります。

小さい商品には表示義務がなかったり、同じジャンルの添加物は一括表示されるため、どのくらいの量の添加物が使われているか分からないし、使用されている種類数も分からないということが起きます。

他にも「表示免除」という例外扱いの添加物もあります。

「コーヒーフレッシュ」

コーヒーに添えられている「コーヒーフレッシュ」はミルクでも生クリームでもありません。植物油に水を混ぜ、添加物で白く濁らせ、ミルク風に仕立てたものです。

食品衛生法で、容器や包装が30㎤以下の小さいものは、表示しなくていいと決められているので、カフェやファミレスで1つ出された場合に確認できないのです。

しかし、裏を見れば植物性油脂、乳化剤、増粘多糖類、pH調整剤、着色料、香料と書いてあることでしょう。実際には7~8種類の添加物が使われています。

コンビニやドリンクバーで使い放題で置いてある「コーヒーフレッシュ」はそれだけ原価を抑えて作られているということです。

ファミレスの「コーヒーフレッシュ」

コーヒーフレッシュ

とあるファミレスに行った際、ドリンクバーにフリーで使えるコーヒーフレッシュが大量に置いてありました。

あの小さいパッケージに、わざわざ「トランス脂肪酸ゼロ」と記載していました。コーヒーフレッシュの身体に悪いイメージを少しでも払拭しようということなんでしょうか。

身体に悪影響と名高いトランス脂肪酸はゼロでも、添加物はたっぷりです。この表示だけを見て、コーヒーフレッシュは健康的だと思う人もいるかと思うと、なんとも言えない気持ちになります。

《参照》【マーガリンとは】バターとの違い、トランス脂肪酸が体に悪い?その理由

食品添加物の「一括表示」

同じ目的のために使われるのであれば一括表示していいというルールがあります。

たとえば、「pH調整剤」と表示されていた場合、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムといった添加物の集合体になっていることがあります。通常、pHの調整効果を出すために4~5種類は使われているのが普通です。

「香料」や「イーストフード」「調味料(アミノ酸等)」という表示を見た場合も、一括表示されていると思ってほぼ間違いありません。

弾力性を出す添加物として「炭酸カルシウム」というものがありますが、「カルシウム入り」とあたかも栄養強化食品だと宣伝されている商品もあります。物は言いようの世界です。

食品メーカーは、たくさん使っている食品添加物をなんとか表示数を少なくするために一括表示のルールをフル活用しています。もはや、一括表示にするために、わざわざ追加で余計な添加物を増やしている場合もあるそうです。

《一括表示の例》

表示される一括名 使用目的 添加物の例
イーストフード パンに使用し、イースト菌の働きを強める。 塩化アンモニウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、臭素酸カリウムなど
かんすい 中華麺に歯ごたえと色・風味をつくる。 炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなど
香料 食品に色々な香りをつける。 イソ吉草酸エチル、ギ酸イソアミルなど(天然系約600品目、合成96品目)
調味料 旨味をつける。 グルタミン酸ナトリウム、5′-リボヌクレオチドナトリウム、コハク酸二ソーダなど
乳化剤 水と油を均一に乳化させる。 グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム、レシチンなど
pH調整剤 食品のpHを調整し、変色・変質を抑える。 クエン酸、リンゴ酸、酢酸ナトリウムなど
膨張剤 饅頭やクッキーをふくらませる。 重曹、塩化アンモニウム、酒石酸水素カリウムなど
酵素 チーズや水あめの製造や品質の向上に使う。 アミラーゼ、ペプシン、プロテアーゼなど
ガムベース チューインガムの素材。 酢酸ビニル、エステルガムなど
軟化剤 チューインガムの柔らかさを保つ。 グリセリン、プロピレングリコールなど
凝固剤 豆乳を固めて豆腐にする。 塩化カルシウム、GDL、塩化マグネシウムなど
酸味料 食品に酸味を与える。 クエン酸、乳酸、酢酸、アジピン酸など
光沢剤 菓子などのコーティング。 シェラック、モクロウ、ミツロウなど
苦味料 食品に苦味を与える。 カフェイン、ホップなど

「表示免除」

加工食品は、添加物を含むすべての原材料を表示しなければいけないと食品衛生法で決められていますが、一部で「表示免除」という例外が認められています。

  1. 「キャリーオーバー」
  2. 「加工助剤」
  3. 「バラ売りおよび店内で製造・販売するもの」
  4. 「パッケージが小さいもの」
  5. 「栄養補助剤」

この表示免除制度こそが、加工食品が添加物の温床となる原因でもあります。

⑤「栄養補助剤」以外の①~④について少し詳しく解説していきます。

①「キャリーオーバー」

キャリーオーバーとは、原材料からそのまま持ち越される添加物のことです。添加物を含む商品を使って加工食品をつくった際に表示しなくてよくなる場合があります。

たとえば、焼肉のたれの原材料にはしょうゆが使われますが、そのしょうゆに含まれる添加物は表示しなくていいのです。

他にも、お酒の酸味料や化学調味料、マーガリンの乳化剤や酸化防止剤など、キャリーオーバーは想像以上に多数あります。

消費者が見抜けない添加物が大量に含まれているのです。もし法律が変わってキャリーオーバーも表示することになったら、大変なことになるでしょう。

②「加工助剤」

加工食品をつくる際に使われた添加物のうち、食品の完成前に除去されたり、中和されたりするものは「加工助剤」とみなされ表示義務がありません。「最終的に残っていなければいい」といいう考え方です。

たとえば、カット野菜は、「殺菌剤(次亜塩素酸ソーダ)」で消毒していますが、加工工程で使われただけで製品に残っていないので表示は免除されます。

カット野菜は濃度を変えた「殺菌剤」プールに数回入れられて、メーカーによっては、さらに「pH調整剤」のプールに入れてシャキシャキ感を出します。カット野菜が長持ちして、切り口もキレイなままを保てるのはそのためです。

③「バラ売りおよび店内で製造・販売するもの」

包装していないバラ売りの加工食品は、添加物の表示が不要です。

パックに詰めないで枚数売りされている魚や、詰め放題として売られているお菓子などがそうです。ベーカリーショップのパンもトレイにのせてバラ売りにされている場合は表示不要です。

また、店内で製造・販売されている、お弁当やお惣菜、レストランのメニューも添加物の表示が不要です。

④「パッケージが小さいもの」

飴や一口サイズのお菓子などパッケージが小さい場合(30㎤以下)は、原材料を記載しなくてよいことになっています。

添加物をすべて書いていたら小さいラベルでは足りません。お弁当やサンドイッチ、お菓子などに入っている添加物をすべて書いたらラベルが本体を覆ってしまって中身が見えなくなるものもあるはずです。

なので、主要なものだけ記載して省いているのです。

1日に摂取している「食品添加物」の量

わたしたちは、1日にどのくらいの添加物を食べていると思いますか?恐らく、あなたが想像した以上だと思います。

一般的に日本人が摂取する添加物の量は「1日平均7g」で、「年間4kg」と言われています。

日本人の食塩の摂取量が1日平均11~12gとされるので、ほとんど変わらない量の添加物を摂取していることになります。

この摂取量はあくまで平均で、その人の食生活によっても大きく変わってきます。コンビニ好きのサラリーマンと自炊している主婦の2つの例をご紹介します。

例① コンビニ好きサラリーマン

朝食に、コンビニで買ったハムサンドイッチを食べました。裏面には13種類の添加物が記載されていました。しかし、これは「一括表示」されて13種類であって、実際は20種類以上の添加物を摂取していることになります。

昼食は、スーパーの豚キムチ弁当と、インスタントコーヒー(クリームパウダー付き)でした。

弁当は一見手作りで添加物が少なそうにも思いますが、一括表示のトリックも考慮すると20種類くらいの添加物を摂っていることになります。

インスタントコーヒーについているクリームパウダーは、例のごとくミルクが原料ではないものなので、6~8種類の添加物が入っています。

夕食は、カップ麺、昆布のおにぎり、パックサラダで済ませました。摂取した添加物は、カップ麺で20種類以上、おにぎりで10種類以上、サラダで10種類ほどの添加物を摂取したことになります。

朝20種以上、昼28種以上、夜40種以上の添加物を摂取したことになります。重複する添加物を除いても軽く60種類はこえた添加物を1日に摂取しているのです。

例② 自炊する主婦

朝ごはんは、ごはん、味噌汁、たくあん、焼き魚、明太子、かまぼこです。和食でいかにも健康的な食事ですが、驚くほどの添加物を含んでいます。

味噌汁に使用した出汁入り味噌にも添加物が含まれていますし、たくあん、明太子、かまぼこは、既にお話した通り添加物が多い食品の代表格です。少なく見積もっても朝食だけで30種類の添加物を摂取しています。

昼食は、デパ地下で購入した太巻き寿司です。これも「一括表示」のトリックを考慮して見積もると30種類以上の添加物が入っています。

具沢山とは、添加物もたくさんということです。

夕食は、カレーライスとサラダです。市販のルーには10種類程度の添加物が使用されています。どうせ手作りするならカレー粉から作ればかなり添加物が削減できました。加工段階が進んだものほど添加物が入っています。

サラダに使ったドレッシングも市販のものだったので10種類ほどの添加物が使用されています。

1日の合計で、少なく見積もっても60~70種類ほどの添加物を摂取していました。コンビニ生活の方よりも多い添加物を摂取している可能性があります。加工食品やタレ、ドレッシング、カレールーなど便利な調味料などを使うほどの添加物も摂取しているのです。



「食品添加物」で舌が壊れていく

加工食品には「塩」「化学調味料」「たんぱく加水分解物」の3点セットが多くの商品に使われています。

子どもへの影響についてもご紹介していきます。

「インスタントラーメン」

インスタントラーメンのスープは、最初に作ったスープを濃縮加工して粉末にしていると思っていませんか?違います。そのように作るのでは低価格で売れません。

基本的には、添加物を調合してラーメンスープを作り出すのです。

旨味のベースは同じで、とんこつエキスや粉末しょうゆ、味噌粉末で使い分けて完成です。同じ要領で、その旨味ベースににんにくエキスを混ぜればスナック菓子の味になります。

旨味のベースは「塩」「化学調味料」「たんぱく加水分解物」の3つです。

塩はご存知の通りですが、「化学調味料」「たんぱく加水分解物」について少し詳しく見ていきましょう。

「化学調味料」

「調味料(アミノ酸等)」という表示名で使われることが多いです。

加工食品で化学調味料を使わない商品の方が珍しいくらいです。日本人の舌は完全に化学調味料に侵されています。

「天然だし」と書いた商品にも化学調味料が入っているものがあります。一部が天然なのであって、裏面を見れば「調味料(アミノ酸等)」と書いてあることがあります。

「たんぱく加水分解物」

「たんぱく加水分解物」とは、肉や大豆などのたんぱく質を分解して作られたアミノ酸のことです。旨味のもとで、日本人の最も好む味です。

化学調味料は単純な味で飽きられてしまうので、使われ始めたのがたんぱく加水分解物でした。

「たんぱく加水分解物」は正確には添加物ではありませんが、限りなく添加物に近い存在で、安全性の問題も指摘されています。

たんぱく加水分解物を作方法は「酵素を使う方法」と「塩酸を使う方法」がありますが、塩酸を使う方法に問題があります。塩酸は劇薬で、使用することによって「塩素化合物」ができてしまう恐れがあります。これは発がん性が疑われる物質です。

子どもの舌が壊れる

安全性以外にも、「たんぱく加水分解物」によって起こされる「味覚の崩壊」が問題です。

「化学調味料」もそうですが特に「たんぱく加水分解物」は非常に濃厚で強い味なので、これをおいしいと思ってしまうと、本来の野菜や天然だしをたんぱくな味と感じてしまい、美味しいと思えなくなります。

天然の味が分からなくなってしまうのです。

「ブドウ糖果糖液糖」

「ブドウ糖果糖液糖」とは、安いでんぷんから作られます。液体なのでジュースと相性がよく、広く使用されています。

ブドウ糖果糖液糖は、血糖値を急激に上げてしまいます。砂糖よりも早く点滴のように効果を発揮します。これは糖尿病の引き金になりますので注意が必要です。

また、甘味料として使用される「サッカリン」は発がん性が疑われていますし、「アスパルテーム」もフェニルケトン尿症などの問題があると言われています。

ジュースや甘い炭酸飲料、甘い缶コーヒー、ラムネ、アイスクリーム、あめ、グミ、お菓子などには大量のブドウ糖果糖液糖が使用されており、体をむしばんでいきます。

以下の記事の5章「砂糖」の中毒化に、ブドウ糖果糖液糖に関して詳細が記載されています。

《参照》【要約】トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ:中編

【まとめ】食品添加物との関り方

表示 目的 物質名
調味料(アミノ酸等) 食品にうまみをつける。 L-グルタミン酸ナトリウム
保存料 食品のカビなどを防ぎ、日持ちさせる。 ソルビン酸カリウム
酸化防止剤 食品の変色や油の参加を防ぐ。 アスコルビン酸ナトリウム
pH調整剤 食品のpHを安定させ保存性を高める。 クエン酸+クエン酸ナトリウム
乳化剤 水と油を混合させる。 グリセリン脂肪酸エステル
酸味料 食品に酸味をつける。 乳酸

代表的な添加物の表示名と、目的、物質名を表にしました。

最後にお伝えしたいのは、「添加物は食べるな!」ということが言いたいのではないということです。

豆腐だってにがり(塩化マグネシウム)で固めて作りますし、昔から添加物との付き合いがありました。添加物の便利さや安さなどのメリットがあるのも事実です。

なお、完全に避けることが難しいのが現実でもあります。製造メーカーも、販売するスーパーも、消費者も、恩恵を受けています。

製造メーカーは利益を上げられ、職人技が不要で安く均一な商品を作れ、スーパーも安価な食品を大量に仕入れることで目玉商品として特売が打て、売り上げが伸びるのです。

わたしたち消費者は、見た目がよくて、おいしくて、日待ちする便利な食品が安く買えます。

すべての添加物の種類と危険性を把握して避けようということではなく、裏面を見て、なんとなく把握したり、理解を深めて選択していくことが大切だと思います。

裏面の原材料名を見たときに知らないカタカナの物質名があれば添加物の可能性が高く、「調味料」「乳化剤」のように手短にまとめられているものは一括表示の可能性が高いということです。

子どもは自分の食べるものを選べません。親の出したものを疑いなく食べています。

子どもが食品添加物の強い味に慣れてしまうと、天然の味ではおいしく感じなくなってしまう、手作りの味がおいしく感じなくなってしまうということも懸念されますが、加工食品を食べることが当たり前になってしまうと、子どもたちは「いつでも簡単に料理が出てくる」と思ってしまう点も心配です。

食材のありがたみを感じること、料理をするのには手間も時間もかかること、食材そのもののおいしさを味わうこと、食事から色々なことを学んでほしいものです。

上手な付き合い方

食品を購入するときはなるべく「加工度が低い」ものを選びましょう。

おにぎりや冷凍ピラフよりは、パックご飯、それよりも生のお米から自分で炊く、というように加工度が高いものほど添加物が多く含まれていますので、まずは1ランク加工度が低い食品を選ぶのがおすすめです。

毎日細かく裏面の原材料名をじろじろと見ていたら疲れてしまいますので、たまにはレトルトやお惣菜などの恩恵にも預かりつつ、一週間というスパンでバランスを見て調整するのが良いでしょう。

自炊する際の注意としては、出汁入り味噌ではなく、味噌にするだとか、市販のドレッシングではなく、手作りするだとかも大きなポイントになってきます。

やはり、「値段」も目安になります。安いのは安いなりの理由、高いのには高いなりの理由があります。安いもの、便利なものは、添加物が多く含まれている可能性が高いです。

最後に

わたしも、食品添加物の恩恵にあやかっていますが、せめて自炊の基礎となる調味料は添加物が含まれないものを選択したりと気を付けています。便利さや、お財布との相談になってきますね。

オーガニックや無添加の商品をまとめていますので、もし良ければ参考にご覧ください。また「疑わしきは使用せず」の精神で限りなく添加物を使用せずに冷凍食品を作っているブランドもあり、そのブランドがだしているおせち料理を紹介した記事がありますので、よければご覧ください。

《オーガニック情報館》オーガニックや無添加な商品カテゴリ

《参照》【おせち】化学的合成添加物・保存料を不使用(SL Creations)

さらに詳しく知りたくなった方は、実際に「食品の裏側 みんな大好きな食品添加物」の本を読んでみてもいいかもしれません。

《著書》食品の裏側 みんな大好きな食品添加物

なお、こちらの本は第二段「食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物」も発売されています。そちらを要約した記事もありますので、良ければご覧ください。かなり具体例に踏み込んでいます。

《参考》【本の要約①】食品の裏側2 実態編:ハンバーグ弁当に使われる食品添加物

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