あなたは、お買い物の際「〇〇無添加」「〇〇不使用」などの表記を参考にしますか?
- 食品添加物の表記基準が変わるって本当?
- これからどうなるの?
- 新しいガイドラインを簡単に知りたい。
わたしは、オーガニックや無添な食品が好きな栄養士です。本日は、食品添加物の不使用表示ガイドラインを要約したものをご紹介します。
【食品添加物】表示の新しいガイドライン
2021年(令和3年)3月に食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会を新たに設置し、消費者及び事業者へのヒアリングを行い、食品添加物の不使用表示の実態を把握し、実際の表示を基に検討を行いました。
食品添加物の不使用表示に関して、消費者に誤認等を与えないよう留意が必要な具体的事項をまとめたものであり、食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではありません。
食品関連事業者等が、食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項に当たるか否か自己点検を行う際に用いることができるものです。
本記事では要点のみをまとめた情報となりますので、詳しくは消費者庁サイトでご確認ください。
《参照》消費者庁:食品添加物の不使用表示に関するガイドライン
「食品添加物」表示の10パターン
食品添加物の不使用表示を10のパターンに分けられました。
- 単なる「無添加」の表示
- 食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
- 食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
- 同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
- 同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
- 健康、安全と関連付ける表示
- 健康、安全以外と関連付ける表示
- 食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
- 加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示
- 過度に強調された表示
2024年(令和6年)3月末までの2年程度の間に適宜、表示の見直しを行うそうです。この期間に製造・販売等された加工食品が見直し前の表示で流通することは、やむを得ないが、2年に満たない間においても可能な限り速やかに見直しを行うことが望ましいとしています。
では、これら10項目について詳細を説明していきます。
① 単なる「無添加」の表示
無添加となる対象が不明確な、単に「無添加」とだけ記載した表示できません。
単に「無添加」とだけ記載した表示のうち、無添加となる対象が消費者にとって不明確な表示はできません。添加されていない成分について消費者自身が推察することになり、誤認の可能性があると考えられるからです。
この件に関して、わたしは賛成です。なにが無添加なのかよくわからない「いいものアピール」のような商品が多く存在してややこしいと思います。
② 食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
「人工甘味料不使用」「無添加」「不使用」「人工」「合成」「化学」「天然」などの食品表示基準において規定されていない用語を用いる表示はできません。
食品衛生法において、食品添加物には化学的合成品も天然物も含まれており、いずれも使用が認められています。食品表示基準においても、食品添加物の表示は化学的合成品と天然物に差を設けず原則として全て表示することとしています。
2015年(平成27年)3月30日消食表第 139 号消費者庁次長通知の「食品表示基準について」でも、食品添加物の表示において「天然」又はこれに類する表現の使用を認めていません。
なお、食品表示基準で「人工」及び「合成」の用語は、2020年(令和2年)7月に削除されています。化学調味料の用語は、かつてJAS規格において使用されていたが、1989年(平成元年)には削除されており、食品表示基準において使用されたことはありません。
食品添加物を摂取するにしても、化学的合成品ではなく天然物の方がいいと考える消費者もいると思うので、この表記ができなくなることは残念に思います。
③ 食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
法令上、その食品添加物の使用が認められていない食品への「無添加」あるいは「不使用」の表示はできません。
たとえば、清涼飲料水に「ソルビン酸不使用」と表示は禁止されます。清涼飲料水へのソルビン酸の使用は使用基準違反だからです。
これに関しては賛成です。もともと使用が禁止されているのに不使用でいいものだという風にアピールするのは混乱を招くと思います。
④ 同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
「〇〇無添加」「〇〇不使用」と表示しながら、〇〇と同一機能、類似機能を有する他の食品添加物を使用している食品への表示はできません。
消費者が、食品添加物が含まれている食品を回避したいと考えている場合に、「〇〇不使用」と記載した商品が優れている商品であると読み取る可能性があるためです。
例)日持ちさせるために「保存料」以外の食品添加物を使用した食品に「保存料不使用」と表示することなどです。
同一機能や類似機能の食品添加物を使用していたとしても、そちらの方が安全性が高いという場合は、そちらを購入したいと比較することもあるでしょうし、このような表記ができなくなることをわたしは歓迎できません。
⑤ 同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
「〇〇無添加」「〇〇不使用」と表示しながら、〇〇と同一機能、類似機能を有する原材料を使用している食品への表示はできません。
消費者が、食品添加物が含まれている食品を回避したいと考えているのに、代替された食品添加物を使用されていると認知しないという可能性があります。その場合に、その商品は食品添加物を使用した商品よりも優良であると誤認させる恐れがあるからです。
たとえば以下のような例が上げられます。
例1)原材料として、アミノ酸を含有する抽出物を使用した食品に、添加物としての調味料を使用していない旨を表示をすること。
例2)乳化作用を持つ原材料を高度に加工して使用した食品に、乳化剤を使用していない旨を表示すること。
⑥ 健康、安全と関連付ける表示
「無添加」あるいは「不使用」を健康や安全の用語と関連付けている表示はできません。
食品添加物が不使用の商品の方が優良であると誤認させる可能性があるからです。食品添加物は、安全性の評価を行い健康を損なう恐れのないものを国が使用を認めています。
また、以下のような理由で無添加あるいは不使用を表示し、誤認させる恐れがあります。
例)体に良いことの理由として。安全であることの理由として。
健康を損なう恐れがないと国が判断したからといって、食品添加物を避けたい人もいるので、「無添加」や「不使用」の文言が表記できなくなることは、消費者の選択肢を狭めることにならないかと思ってしまいます。
⑦ 健康、安全以外と関連付ける表示
「無添加」あるいは「不使用」を健康や、安全以外の用語と関連付けている表示はできません。安全以外の用語とは、おいしさ、賞味期限・消費期限、食品添加物の用途などを指します。
おいしい理由と食品添加物が不使用であることの因果関係を説明できない場合には、実際のものより優良であると誤認させる恐れがあります。
例1)おいしい理由として「無添加」あるいは「不使用」を表示。
例2)「開封後」に言及せずに「保存料不使用なのでお早めにお召し上がりください」と表示。
例3)商品が変色する可能性の理由として着色料不使用を表示。
「〇〇無添加」「〇〇不使用」がむやみに使用されないために、このルールはあっても良いと感じます。食品添加物が使用されたことにより味がまずくなり、不使用であればおいしいとは一概に言えませんね。
⑧ 食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
消費者が通常、食品添加物が使用されていると思っていない食品への「無添加」あるいは「不使用」の表示はできません。
例1)同種の製品で一般的に着色料が使用されておらず、かつ、食品元来の色を呈している食品に、「着色料不使用」と表示。
例2)同種の製品が一般的に食品添加物を使用していないことから、消費者がその食品添加物の使用を予期していない商品に対して、食品添加物の不使用を表示。
例2をさらに具体的にすると、たとえば、ミネラルウォーターに保存料の使用、ミネラルウォーターに着色料の使用などの記載をすることを指します。
これについては、消費者によって知識の差もあるでしょうし、判断が難しいところだなと感じます。
⑨ 加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(または使用されていないことが確認できない)食品への表示
加工助剤、キャリーオーバーとして食品添加物が使用されている(または使用されていないことが確認できない)食品への無添加あるいは不使用の表示はできません。
食品添加物の表示については、当該食品の原材料の製造又は加工の過程まで確認を行うことが必要であり、一括表示外であっても、確認結果に基づいた表示を行わない場合、内容物を誤認させるおそれがあります。
例1)原材料の一部に保存料を使用しながら、最終製品に「保存料不使用」と表示。
例2)原材料の製造工程において食品添加物が使用されていないことが確認できないため、自社の製造工程に限定する旨の記載と共に無添加あるいは不使用を表示。
※「加工助剤」とは、食品の加工の際に使用されるが、(1)完成前に除去されるもの、(2)その食品に通常含まれる成分に変えられ、その量を明らかに増加されるものではないもの、(3)食品に含まれる量が少なく、その成分による影響を食品に及ぼさないもの。
※「キャリーオーバー」とは、原材料の加工の際に使用されるが、次にその原材料を用いて製造される食品には使用されず、その食品中には原材料から持ち越された添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの。
《参照》厚生労働省:食品添加物の表示
⑩ 過度に強調された表示
「無添加」あるいは「不使用」の文字などが過度に強調されている表示はできません。
容器包装のあらゆる場所に過度に強調して不使用表示を行うことや、一括表示欄における表示と比較して過度に強調されたフォント、大きさ、色、用語などを用いることが、消費者が一括表示を見る妨げとなり、表示上の特定の食品添加物だけでなく、その他の食品添加物を全く使用していないという印象を与え、内容物を誤認させる可能性があるからです。
他の項目と組み合わさった際に、他の項目による誤認を助長させる恐れがあります。
例1)商品の多くの箇所に、過剰に目立つ色で〇〇を使用していない旨を記載する。
例2)保存料、着色料以外の食品添加物を使用している食品に、大きく「無添加」と表示し、その側に小さく「保存料、着色料」と表示。
その背景・歴史
1947年(昭和22年):「食品添加物」は、食品安全委員会で安全性が評価され、厚生労働省での審議を経て食品衛生法(法律第233号)に基づき成分規格や使用基準が設定されました。
2015年(平成27年):2013年(平成25年)設定された「食品表示法」に基づく食品表示基準(内閣府令第10号)によりその表示方法が規定されています。
食品表示基準上、「食品添加物の不使用表示」といった食品添加物が不使用である旨の表示に関する特段の規定はありませんでした。
現状では、任意で「無添加」「不使用」等の表示を行っています。
2020年(令和2年)3月公表の「食品添加物表示制度に関する検討会報告書」においては、以下のように表示されるケースがあります。
- 食品表示基準第9条では表示すべき事項の内容と矛盾する用語や内容物を誤認させるような文字等を禁止してはいるものの、その解釈を示す食品表示基準Q&Aが網羅的ではない
- 「無添加」等の表示方法を示す食品表示基準Q&Aが曖昧である
- 「無添加」等の表示は商品の主要面に義務表示事項よりも目立つように表示されるケースがあり、本来見るべき一括表示欄が活用されていない
これらの現状を踏まえ、新たにガイドラインを策定することが提案されました。
消費者の意識
これまでの消費者意向調査等において、以下のような消費者が存在することが分かりました。
- 食品添加物は安全性が評価されていること等について十分に理解していない。
- 商品選択の際に食品添加物の不使用表示がある食品を購入している。
- 食品添加物の不使用表示がある食品を購入する際に一括表示欄を確認しない。
わたしは、これは当然のことだと思います。安全の範囲内とはいえ、わざわざ摂取したくないので食品添加物をできるだけ避ける消費者が一定数いることでしょう。
本来は添加する必要がないものまで、わざわざ「無添加」と表示して過剰にアピールする商品が存在することも問題だと思います。
ただ、成分表示の長々とした表記をよく見て細かく判断して購入するのは、それなりの知識が必要ですし、お買い物の時間も取られてしまうので、迷ったときは「無添加」と記載されている商品を購入するという風に参考にしている方がいるもの仕方ないように思います。
意見交換会
食品表示ネットワーク(事務局=日本消費者連盟)は5月30日、衆議院第1議員会館で、国会議員を招き、食品添加物の無添加・不使用表示について意見交換を行ないました。
消費者庁が今年の3月公表した「食品添加物の無添加・不使用表示に関するガイドライン」によって、無添加・不使用の表示が制限され、本当の食品無添加物の削減を追求する事業者(生産者)の意欲を削ぎ、消費者の選択の幅を小さくすることを危惧する声が聞かれました。オンラインを含め生協や市民団体の関係者400人余りが参加しました。
以下のような指摘もあったそうです。
- 食品添加物は対象品目が多く、使用添加物が分からない食品が多い。
- 食品の完成前に除去される表示免除の加工助剤やキャリーオーバー(原材料には含まれる使用した食品には現れない)、栄養強化剤など要件が不明確で、線引きがあいまい。
また、本来の食品添加物の削減を追求している事業者が、ガイドラインによって無添加・不使用表示を自粛することを危惧する意見もあったそうです。
意見交換会では、次のようなことを確認したそうです。
- 食品添加物を減らし、それを表示する事業者を応援しよう
- 食品添加物の不使用・削減を追求している事業者はガイドラインに臆することなく、「不使用」表示を続けよう
- 本来の無添加・不使用表示を制限しないよう、問題の多いガイドラインの見直しを求める
特に、②については、わたしも消費者としてそうしていただけるように願うばかりです。ぜひ、食品添加物の不使用・削減を追求している事業者はガイドラインに臆することなく、「不使用」という表示を続けていただきたいです。
《参照》農業協同組合新聞
【食品添加物】の現状
日本認められている添加物の数は世界一多いと言われており、約1500種類にもなります。2位はアメリカで約140種類ほどです。
各食品添加物が、どれほどの量の使用が認められているのかなど国によって基準も違うため正しく比較することはできませんが、数だけみると圧倒的です。
指定添加物 | 466品目 | 安全性を評価した上で、厚生労働大臣が指定したもの(ソルビン酸、キシリトールなど) |
既存添加物 | 357品目 | 平成7年の法改正の際に、我が国において既に使用され、長い食経験があるものについて、例外的に指定を受けることなく使用・販売などが認められたもの(クチナシ色素、タンニンなど) |
天然香料 | 約600品目 | 動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されるもの(バニラ香料、カニ香料など) |
一般飲食物添加物 | 約100品目 | 一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるもの(イチゴジュース、寒天など |
《参照》厚生労働省:食品添加物
なぜ「食品添加物」が使用されるのか
野菜やお肉、お魚など、自分で調理したり、そのまま食べるような加工されていない食品の賞味期限は短いです。
ビジネスとして大量に生産して、大量に販売することを考えると、低コストで作れて、賞味期限の長い、良い状態を保った商品を作る必要があります。すると、食品添加物は加工食品の最高のパートナーとなるのです。
もともと添加物が使われていない商品に、むやみに「〇〇無添加」「〇〇不使用」という表記をされると混乱を招きますが、企業努力やこだわった製品だからこそ、無添加や不使用を主張してほしいと思う商品も実在します。
そのような商品を販売しているメーカーさんがこれから、そのような表記ができなくなるのかと思うと非常に残念です。わたしたちも、じっくり原材料など裏面の一覧表などをみて吟味しないと判断がつかなくなります。
危険はないのか?
国が許可した食品添加物なら危険はないのでしょうか。わたしは「はい、そうですか」とすぐに受け入れられずにいます。
1500種もある食品添加物をすべて、人体実験してまで調べた訳ではありませんし、いくつかの食品添加物の組み合わせにより影響が及ぶこともあるかもしれません。
安全性を確かめる実験の多くはラット実験を行っています。人体実験をしてほしいと言いたいのではなく、まだまだ食品添加物の危険性は計り知れないと思っています。どこまで詳しく研究した上で安全ということになっているのでしょうか。
現段階では、加熱調理した際に成分が変化して何か影響が及ぶ可能性がないかなどの検討はされていないようなので、気になるところです。
なお、同じ食品添加物を摂り続ければ、大量摂取になっていきます。それに、違う商品から偶然にも同じ食品添加物を摂取している可能性もあります。
また、同じ量の食品添加物を摂取しても、子どもと大人では体の大きさが違うので影響も違ってくるでしょう。それに成長期に摂取することで悪影響がある食品添加物もあるかもしれません。
また、性別や年齢、もともと抱えている疾患との関係性など人によっても様々なパターンが考えられるので、本当に自分は問題ないのかと不安になります。
これらはあくまで可能性であって、健康に影響のない食品添加物もあるかもしれません。今後、色々と明らかになっていくことでしょうが、まだまだ不明な点が多いのが現状です。
【まとめ】食品添加物の無添加・不使用の表記
「この商品は身体にいいものだ」「健康的な商品だ」と過剰にアピールして、混乱を招く商品は、これからなくなるでしょう。
しかし、本来は食品添加物を使用された商品が多いのに「無添加」「不使用」を実現した商品もそのような主張ができなくなってしまうことは非常に残念です。
食品添加物が気になる方は、これからは自分自身で、原材料や食品添加物の名前を覚えたり調べて確認することになります。
わたしは、オーガニックや無添加の食品・コスメなどをまとめているので、もしよければショッピングの参考にご覧ください。
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