【グルテンフリーとは】意味ない?その効果とメリット・含む食べ物

健康志向の人が取り組んでいるイメージな「グルテンフリー」ですが、あなたはご存知でしょうか?

  • グルテンフリーとは?
  • 健康にいいの?なにか効果はあるの?
  • グルテンが含まれる食べ物とは?

わたしは、オーガニックな食品やコスメが好きな栄養士です。本記事では「グルテンフリー」の意味や含まれる食べ物、実践方法についてご説明していきます。

【グルテンフリー】とは

「グルテンフリー」とは、グルテン(gluten)を含む食品を避けるライフスタイルという意味で使われています。

「グルテン」は、主に全粒粉や小麦粉に含まれるもので、粘り気があり、もちもちとした食感やコシのもとになっています。代表的な食品は、パンやパスタ、ピザ、お菓子などです。

多くの国では食品1kgあたり20mg未満ならグルテンフリーと表示して良いことになっています。これは、多くのセリアック病の患者さんは、1日に摂取するグルテンの量を50mg以下にする必要があることから、決められたものです。

この表示ルールは基本的に国ごとに定められていますが、特に基準が設定されていない国もあります。

ノングルテン米粉の白製造工程管理

日本は特に「グルテンフリー」基準が設定されてませんでしたが、2021年(令和3年)4月に、JAS法の一部が新しくなっています。

米の消費量が減少している中、パンやケーキ、麺類など、新たな用途への利用が期待される米粉の需要拡大は、米消費拡大の取組の一環として重要です。

海外では、グルテンフリー食品の需要は大幅に増加している中で、 ノングルテン(グルテン含有量が1 ppm(=1 µg/g)以下)な米粉は、海外でも高い評価を受けており、海外への輸出促進が求められている状況です。

そこで、2020年10月にノングルテン米粉の製造を行う事業者の製造工程における管理方法の基準等を規格化しました。次の効果が期待されています。

  1. 事業者は、ノングルテン米粉を製造できる管理能力の高さをアピール可能
  2. 既存の民間のノングルテン米粉の製品認証制度との二本柱で米粉の輸出拡大に寄与

規格の内容

  • グルテン含有量が1 ppm以下となるよう製造工程を管理
  • 各製造工程での管理方法
  • グルテンの混入リスクを管理できる施設、設備など
  • グルテン混入に関する責任者等の選任、対応策の実施

《参考》【JASマーク】意味・種類・新たに制定されたJAS法を簡単に紹介

《参考》農林水産省:JAS制度について

セリアック病(シリアック病)

グルテンフリーは、セリアック病患者の食事として生まれた食事療法と言われています。

「セリアック病」は、「シリアック病」ともよばれ、ムギ(小麦・大麦・ライ麦など)に含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患です。

遺伝性疾患であり、グルテン関連障害のひとつです。多くの人は、遺伝により生まれつき抱えています。

グルテンを摂取すると小腸に炎症が起こって、吸収不良を起こしてしまいます。たくさん食べても、十分な栄養が身体には吸収されないため栄養失調になったり、下痢や体重減少などの症状が現れます。

セリアック病は日本人の発症者は少なく、南北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、北欧系の人ではよく見られる病気です。おおよそ100人に1人(1%)くらいの割合で患者さんがいます。

根本的な治療法がないため、セリアック病の人はグルテンを避けた食生活をしていくことになります。最近では、米粉パスタなどの米粉麺や、米粉パンなども販売されており、食のバラエティーが豊かになっています。

小麦アレルギー

グルテンフリーに取り組む人の中には「小麦アレルギー」の方もいます。小麦アレルギーは、たまごや牛乳と並んで乳幼児の3大アレルゲンのひとつです。小麦を原料に含む食物を摂取することで消化器や皮膚に症状が現れます。

ひどい場合は、アナフィラキシー症状を起こし、死に至ることもあるので甘く考えてはいけません。

※「アナフィラキシー(anaphylaxis)」とは、原因物質(抗原)が再び生体に接触することで、引き起こされる免疫学的機序による全身的なアレルギー反応です。一方、過去に原因物質(抗原)に接触したことがない人にも同じような症状が生じることがあり、このような非免疫学的機序によるものはアナフィラキシー様反応といいます。

食物アレルギーは大人になるにつれて改善することもあります。反対に、大人になってから小麦アレルギーを発症する人もいます。

その人の体質や食生活などが様々なように、アレルギー発症・改善のタイミングもそれぞれ違います。

グルテン耐性は人それぞれ

大人から子どもまで、みんながグルテンフリーをした方いいということではありません。それぞれの体質によってグルテン耐性が違います。アルコールやカフェインも、人それぞれ耐性が違うのと同じですね。

子どもは様々な食材に慣れるために、グルテンを含む食物を多少は食べていくべきです。もちろん、小麦アレルギーなどで避けることが必須な子どもは別です。

大人であれば、ご自身の判断でグルテンフリーを取り入れることは、マイナスにはならないでしょう。

グルテンを摂取すると

「セリアック病」や「小麦アレルギー」でなくても、グルテンの分解酵素を持っていない人は、グルテンを摂取することで消化不良や便秘、下痢、免疫反応などを引き起こす可能性があります。

たとえば、お酒も人によって1度に処理しきれる量が違いますよね。それと似ています。

健康に悪影響の可能性

グルテンを摂取しないグルテンフリー食によって腸内環境が改善し、身体全体の不調が改善したという報告があります。

裏を返せば、グルテンを摂取することで、腸内環境が悪くなり、身体全体の不調を引き起こしているとも考えられます。

また、アレルギーや病気というほどでなく、倦怠感や頭痛、慢性的な不調が、グルテンフリー生活で改善したり、肌がきれいになったという人が多く出てきたので、注目を集めました。

肌がきれいになったのは、腸内環境が良くなった結果といえます。腸内と肌や顔・頭皮は、肛門通じて繋がっています。腸内環境の様子が、肌に出やすいのはそのためです。

品種改良でグルテン多く含まれる小麦が誕生

小麦の品種改良によって、北海道の「ゆめちから」、九州の「ミナミノカオリ」などの強力系の品種が続々と誕生しました。高い品質が評価されているそうです。

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「国産」が安心で好きだという人も多いですし、グルテンが多く含まれてもちもち食感が好まれます。需要も急増し、生産が拡大しています。



【グルテン】とは

グルテンは、全粒粉や小麦粉に含まれるもので、粘り気があり、もちもちとした食感やコシのもとになっています。代表的な食品は、パンやパスタ、ピザ、お菓子などです。

グルテンの量は品種によって変わります。その他に、開花期・収穫期の天候も関係があります。この時期に、雨が多いと小麦はグルテンを形成しにくくなります。

小麦粉の成分の7~8割をデンプンが占め、タンパク質も約1割含んでいます。主なタンパク質は、グリアジンとグルテニンで、これらは水を吸収して網目状につながり、粘りのあるグルテンとなります。

また、このグルテンのみを取り出したものが、お麩(ふ)です。お麩はグルテンを主な原料とした加工食品です。

【小麦粉】主な種類

小麦粉は、タンパク質の中に含まれるグルテンの量の多い順に強力粉、中力粉、薄力粉と呼ばれます。一般的に次のような料理の材料になります。

強力粉(きょうりきこ) タンパク質の割合が12%以上のもの
中力粉(ちゅうりきこ) タンパク質の割合が9%前後のもの
薄力粉(はくりきこ) タンパク質の割合が8.5%以下のもの
全粒粉(ぜんりゅうふん) 小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて粉にしたもの
セモリナ粉(セモリナこ) 通常品より粒子の粗い(210µmの布ふるいに残留する)粉のこと

全粒粉は、精製品に比べて食物繊維、ミネラル、ビタミンが豊富です。なので血糖値が上がりにくく、健康志向の方に支持されています。

セモリナ粉は、クスクスなどを作るために使用されるデュラムコムギから精製されており、タンパク質の量が強力粉よりも多く、グルテンが少ないのが特徴です。

【小麦粉】種類別の使われ方

強力粉 パン、ラーメン、中華麺、ソフト麺、ピザ、ナン、ベーグル、ドーナツ、春巻きなど
中力粉 うどん、お好み焼き、たこ焼き、素麺、冷や麦、ワンタンなど
薄力粉 スコーン、パンケーキ、ホットケーキ、クレープ、蒸しパン、フォカッチャ、フランスパン、てんぷら、カステラ、マドレーヌなど
全粒粉 パン、ビスケット、シリアルなど
セモリナ粉 パスタ、シリアル、プリンなど

すべて小麦粉なので、どのような食感にしたいのか、好みよって使い分けます。スコーンやパンケーキを強力粉で作れないということではありません。あくまで、一般的な使い分け方です。

強力粉は、粘りを活かしてパンやピザなどもっちりとした食感が必要なお料理に使われます。逆に、薄力粉はお菓子やお好み焼きなど、あっさりと仕上げたいときに使われます。

中力粉はその中間で、強力粉の料理、薄力粉の料理にも使用できるので、万能ともいえます。強力粉と薄力粉の2種を組み合わせ使用する料理も多く、それぞれの良さがあるといえます。

たとえば、餃子は強力粉と薄力粉の2種で作るレシピや中力粉で作るレシピと両方とも見かけます。そのように、料理の好みで使い方は自由です。

ちなみに、春巻きが強力粉、ワンタンが中力粉、肉まんは強力粉+薄力粉で作るのが一般的なようです。

グルテンフリーのメリット・デメリット

グルテンフリーのメリットとデメリットをまとめていきます。

メリット

  1. 腸内環境の改善が期待できる
  2. 肌質の改善が見込める
  3. 慢性的な倦怠感や頭痛の解消の可能性

健康・美容のために、一度グルテンフリーを試してみてもいいかもしれません。それで体調の変化を感じられる人は「グルテンの影響を受ける人」ということになります。

様々な人の実体験から健康状態がよくなった報告がたくさん出ています。ご自身にあった健康的な食生活を見つけてください。

最近では「ゆるグルテンフリー」と言って、完全ではないが基本的には避けて食事をとるようなスタイルの方も多くいます。

デメリット

  1. グルテンフリーを実践するのは難しい
  2. 食費が上がる可能性がある
  3. パン、ピザ、パスタなど小麦粉製品が食べられない

世の中は小麦粉製品で溢れているので、グルテン完全に避けるのはかなり気をつかわないと難しいです。外食をする際など、確認がしにくい場合もあります。

無理に小麦粉が原材料の食品を避けようとすると食費がアップする可能性があります。小麦粉の多くは安価でボリュームが多いといえます。

なお、グルテンを含む小麦粉を使った食べ物はおいしいものが多いので、食べられないのはさみしいですね。最近は、グルテンフリーの米粉パスタなども販売されており、活用してみるものもおすすめです。

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グルテンフリーの実践方法

グルテンフリーに取り組む方法をご紹介していきます。

グルテンを多く含む食材は、小麦です。小麦から作られた、パンやラーメン、ピザ、お好み焼き、タコ焼きなどの食べ物にグルテンが多く含まれます。そのような食品を避けることがグルテンフリー生活です。

たとえば、から揚げや天ぷらの衣や、ホワイトソースなどは、一般的に小麦が使用されていることが多いので注意が必要です。どこまで厳密に取り組むのかは、あなた次第です。

和食がおすすめ

パンやうどん、ラーメンではなく、主食を白米や玄米などにすることでまず大幅なグルテンカットに成功します。

そうすることで、主食のご飯にあわせて、味噌汁、野菜や海藻、豆類など炭水化物以外を多く摂取できる和食は、グルテンフリーへの近道です。

ちなみに「マクロビ」は、玄米をメインの主食とし、主に豆類、野菜、海草類、塩から組み立てられた食事法です。マクロビ食を参考にしても良いかもしれません。

《参考》【マクロビオティックとは】マクロビ飲食店・マクロビ派クッキー紹介

【まとめ】グルテンフリー

わたしも、健康に変化があるが、グルテンフリーにチャレンジしてみたいと思います。外食がなく、自炊で過ごせるタイミングに挑戦したいと思っています。

ファスティングしたときも、こんなに身体がスッキリして頭が冴えるのかと、恐ろしいほどの衝撃を受けたことを覚えています。グルテンフリーでも新しい発見があるかもしれないと期待してしまいます。

《参考》【ファスティングとは】断食との違い・ダイエット&デトックス効果

また、グルテンフリーの米粉パスタや麺類をまとめたページもあるので、良ければ参考にご覧ください。また、玄米から作ったパスタ(フェットチーネ)を使ったレシピも公開しています。

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《参考》【発芽大豆ミートのレシピ】フレッシュトマトのミートソース玄米パスタ

健康は、1日では手に入りません。毎日のちょっとした選択が、明日の健康を作っていきます。

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