あなたは、若々しく健康で生きるためにどんな「食材」を食べると良いと思いますか?
- 「腸活」に良い食べ物とは?
- 「脂質」は健康にいいの?
- 「糖質」は避けた方がいい?
わたしは、ファスティング(断食)や食事指導をしている栄養士です。本記事では、「死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事」という本を要約して紹介していきます。
毎日の食事であなたの体は作られます。肌、骨、筋肉、すべてです。
体に良い食材を取り入れて、未来のあなたが健康でいれるように投資していきませんか?
興味深く重要な内容が多いので、数記事にわたってまとめていきます。ぜひ最後までお付き合いいただき、若々しく健康に生きる方法をマスターしていきましょう。
まずは①からご覧いただくと理解が深まります。
《参考》【本の要約①】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:老化と腸内細菌
プロバイオティクス
「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」という言葉は、混乱が生じやすいので整理しておきます。
「プロバイオティクス」 | 「プレバイオティクス」 |
生きた善玉菌そのもの。 | 腸内の善玉菌を増やすもの。 |
プロバイオティクスは、生きた善玉菌のことで、プレバイオティクスは、善玉菌を増やす食物繊維や長鎖の糖鎖のことを指します。
《プレバイオティクスを多く含む食材》
ヤマノイモ属の塊茎、クズイモ属のヒカマ、タイガーナッツ、ルタバガ、パースニップ、サツマイモ、キノコ、タロイモ(類似のキャッサバなども)、ユッカ、根セロリ、エルサレムアーティチョーク、チコリ、ラディッキオ、アーティチョーク、ベルギーエンダイブなど |
とくに最後に上げた4つ「チコリ、ラディッキオ、アーティチョーク、ベルギーエンダイブ」には、アッカーマンシア菌の好物である「イヌリン」が豊富に含まれています。
「アッカーマンシア菌」は、腸壁を覆う粘液を食べて、粘液の生成を助けます。この菌が多いほど、年を重ねても若々しくいられます。
《参考》アッカーマンシア菌について
「亜麻仁」
亜麻仁は紀元前3000年頃から存在していたと言われますが、腸に住む細菌たちも長い時間をかけてそれに応じてきました。
腸に住む細菌たちは、慣れ親しんだ食品を好むもので、亜麻仁もその範疇に入ります。
事実、700年代に神聖ローマ帝国のカール大帝が亜麻仁の健康効果に感銘を受け、臣下たちにも食べるように命じたことがあります。1300年以上も前のことですが、彼はその効果に気づいていたのかもしれません。
成分について
亜麻仁には、プレバイオティクスの食物繊維だけでなく、ポリフェノールの一種である「リグナン」も多く含まれています。
また、亜麻仁にはビタミンB群が豊富に含まれており、植物性のオメガ3脂肪酸の最も重要な供給源のひとつです。
とくに、抗炎症作用のあるα-リノレン酸(ALA)が多く含まれていて、腸内環境を整えます。
《参考》【オメガ3脂肪酸とは】多く含む食品・その効果・オメガ6との比較
DHAとは別物
ヴィーガンの人の多くは、オメガ3を摂取するために亜麻仁で補おうとしますが、人間は「ALA」を「DHA」に変換できません。
つまり、亜麻仁は腸内環境を整えるのに適していますが、脳にはやはり魚油か海藻由来DHAオイルが必要なのです。
《参考》【ヴィーガンとは不健康?】環境問題・飢餓・動物保護など社会問題
摂取方法
亜麻仁はそのままの形で食べても有効成分が吸収できません。そのため、粉末タイプか亜麻仁ミール、亜麻仁油という形で摂るのが良いでしょう。
本書には風味は気にならないのでスムージーやココナッツヨーグルトに混ぜて食べる良いと書かれていますが、わたしは亜麻仁油の風味が生臭くてすごく苦手です。これはかなり個人の感覚によるのだと思います。
注意点としては、亜麻仁は粉末状にすると味や栄養価が低下します。なので、そのままの形で購入してコーヒーミルで挽くか、要冷蔵の粉末タイプを購入するのが良いでしょう。
《参考》アマニパウダー
亜麻仁油も同様で、一度開封すると、冷蔵庫にいれておかないと成分が損なわれてしまいます。
《参考》オーガニック亜麻仁油
肌にもいい
肌の細菌たちも亜麻仁が大好きなので、引いた亜麻仁で自分だけのスクラブオイルを作ったり、亜麻仁油を肌や髪に塗って潤いを与えてもいいでしょう。
肌に住む細菌たちを殺すような製品を避けた方が良いです。
代わりに、さまざまなエッセンシャルオイルと亜麻仁油を組み合わせて保湿剤として使い、肌の細菌たちに栄養を与えましょう。
「アーティチョーク」
アーティーチョークには、プレバイオティクスの食物繊維が1本あたり、10g以上含まれています。
それだけではなく、ビタミンA、B、C、E、に加えて、カルシウムやカリウム、マグネシウム、その他のミネラル類も含まれます。
また、アーティーチョークには抗酸化物質やポリフェノールが多く含まれており、肝臓の働きを助けます。
さらに、おいしくて楽しく食べられます。丸ごと調理してもいいし、冷凍アーティーチョークを買えば下ごしらえの手間がなくなるのでおすすめです。
と書かれていますが、あなたはアーティーチョークを食べたことがありますか?わたしは食べたことがないので調べてみました。
アーティチョークは地中海地方原産の多年草で、つぼみの部分を食べるそうです。日本のスーパーマーケットではあまり見かけませんね。
《参考》料理用 アーティチョーク
「セイヨウネギ(リーキ)」
このタマネギの仲間には、ポリフェノールやアリシンという化合物が含まれています。
アリシンは、血管の柔軟性を高め、スタチン系薬剤を同じメカニズムでコレステロールを低下させる作用があります。しかも、薬と違って副作用がありません。
おいしくて調理も簡単です。層になった部分に見えない泥がついていることがあるため、使う前に半分に切って、よく洗うか水に浸しておきましょう。
その後、そのままサラダやスープに使うか、焼いてからサラダに混ぜても絶品です。
続いて、皆さんは「リーキ」と言われてパッと食材が浮かびましたか。セイヨウネギ(リーキ)は、地中海沿岸が原産のねぎの仲間です。ポロねぎとも呼ばれます。
リーキの葉は、平らにつぶれて厚みがあり、V字型に生えています。長ネギよりも長さが短く、太さもねぎの2倍ほどあり重いのが特徴です。
《参考》北海道十勝産 リーキ
「オクラ」
続いては、皆さんにもお馴染みの食材「オクラ」です。
オクラはプレバイオティクスの食物繊維や、ビタミンC、A、鉄、リン、亜鉛などを豊富に含んでいます。実は、オクラに含まれる炭水化物の半分は、プレバイオティクスの食物繊維なのです。
強火で炒めたり、カリカリになるまでオーブンで焼いて食べるととてもおいしくいただけます。生のオクラが手に入らなくても冷凍のオクラであれば、たいていのスーパーに売られています。
調理する前に解凍して水気を切っておくと、ネバネバ感が軽減されます。
《参考》高知県産 オクラ
「ヒカマ」
《参考》ヒカマ
ヒカマとは、メキシコ原産のマメ科の多年生草本で、先住民族の伝統的な野菜です。若い株の塊茎状の根が食べられます。
和名ではクズイモと呼ばれるそうですが、ほとんど流通していませんね。
ほのかに甘く、シャキシャキとした食感のこの野菜は、リンゴとジャガイモを掛け合わせたような味がします。
また、プレバイオティクスの食物繊維でもある「イヌリン」が驚くほどたっぷり含まれています。
《参考》水にも溶けるイヌリンパウダー
ビタミンCをもっと摂りたければ、ヒカマを100g食べれば1日に必要な量の40%を摂取できます。オレンジジュースはやめて、スティック状にしたヒカマを食べましょう。
ヒカマの調理は簡単で、強火で炒めるかソテーにするとシャキッとした食感が楽しめます。また、生で食べるのもおいしく、千切りにしてコールスローサラダにしたり、コリアンダーやタマネギと一緒に刻んでサルサにしてもおいしいです。
著者のお気に入りは、フライドポテトのように棒状に切り、ワカモレをつける食べ方だそうです。
「朝だけ断食で9割の不調が消える!」という本には、野菜を生で食べることで酵素が摂取できて良いと言う風に書かれていました。
《参考》【本の要約②】朝だけ断食で9割の不調が消える!やり方・酵素の働き
「アブラナ科の野菜」
ブロッコリーやカリフラワー、芽キャベツなどのアブラナ科の野菜には、腸内環境を整える効果があります。
芽キャベツには食物繊維やビタミンB1、B2、B6、C、K、などが豊富に含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用もあります。とくに、腸にやさしい野菜のひとつです。
一方、ブロッコリーの食物繊維は芽キャベツよりやや劣りますが、調理した1カップ分のブロッコリーでオレンジ1個分のビタミンCを摂取できます。また、βカロチンも豊富に含まれています。
さらに、ブロッコリーにはビタミンB1、B2、B3、B6が含まれています。ビタミンB群がこれほど含まれている野菜はそうありません。
また、鉄分やカリウム、亜鉛、マグネシウムも豊富に含まれています。
ブロッコリー
ブロッコリーは「リーキーガット」の治療に役立ちます。
「リーキーガット」とは、腸の粘膜が損傷し、有害物質などが体内に「漏れる」状態のことを指します。下痢や便秘などの腸の症状だけでなく、アレルギーや花粉症など様々な不調の原因になります。
ある研究で、ヒトのリーキーガットや大腸炎に似た症状を持つマウスに、ブロッコリーをたっぷり含んだ食事をさせたところ、症状が軽減されました。
同じ症状のマウスにブロッコリーを食べさせなかった結果、症状は変わりませんでした。
ブロッコリーや芽キャベツなどアブラナ科の野菜に含まれる化合物が腸の受容体と結合し、体が毒素に反応するのを助ける役割を果たします。つまり、腸のバリアと免疫システムが強化されるのです。
皮肉なことに、以前はリーキーガットの患者の多くが、医師からブロッコリーや芽キャベツなどの食物繊維を避けるように言われていました。
しかし、実はこうした野菜は患者の腸を治すのに役立ちます。
リーキーガットやIBSの症状が出ている場合は、下痢や痙攣を起こさないよう、初めて食べるときはドロドロになるまで煮込むと良いでしょう。
《参考》【リーキーガット症候群とは】症状と原因、悪化させる食品、治療方法
「チコリ」とその近縁種
フランスやイタリアで出されるサラダには、たいていチコリが入っています。
長寿を誇るイタリア人はベルギー人やベルギーエンダイブやラディッキオ、ルッコラで作るトリコロールサラダをよく食べます。
ベルギーエンダイブやラディッキオはチコリの仲間で、ルッコラはアブラナ科の野菜です。
チコリに含まれる「イヌリン」はアッカーマンシア菌のエサとなるため、腸内環境を整えます。エンダイブ、カーリーエンダイブ、ラディッキオ、ベルギーエンダイブなど、さまざまな近縁種もあります。
「ナッツ類」
特定のナッツが、腸の良い細菌に栄養を与え、酪酸を生成して腸の粘膜やミトコンドリアの働きを助けます。
しかし、ナッツ類についは注意が必要です。ナッツと呼ばれるものの中に、ただの種に過ぎないものがあります。たとえば、「カシューナッツ」は種子でレクチンを多く含んでいます。
続いて、ピーナッツは「ナッツ」と名前が付きますが実は豆類です。豆類はレクチンの爆弾です。アレルギーでなくてもピーナッツは避けた方が良いです。
本物のナッツは、微生物叢に良い影響を与えてくれます。その結果、心臓の健康支え、胆石の発生を抑え、糖尿病を予防し、血圧を改善し、炎症を防ぐことができます。
腸に良い細菌が好むナッツはクルミやマカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオです。皮をむいたアーモンドや薄皮を取り除いたアーモンド粉でも良いです。
毎日、ひとにぎりのナッツを食べるのがおすすめです。
「キノコ類」
キノコ類の健康効果は古くから知られています。キノコ類には「エルゴチオネイン」と「グルタチオン」という重要な抗加齢に効く物質が、豊富に含まれていることが明らかになっています。
キノコ類はこの2つの「抗酸化物質」を最も多く含む食品であり、フリーラジカルから体を守り、若さを保つのに役立ちます。キノコ類が免疫力を高めてくれます。
「フリーラジカル」とは、人の体を酸化させ、錆びさせるものです。
「ポリフェノール」
すべてのキノコを調べた結果、圧倒的にポリフェノール含有量が高かったのは「ポルチーニ」です。第2位は「ホワイトマッシュルーム」です。
キノコ類にたっぷりふくまれる多糖類は、微生物叢を養い、免疫系に落ち着くように指示を出してくれます。
また、熱を加えてもキノコに含まれるポリフェノールには影響がありません。だから、炒め物やソテーにして食べると良いでしょう。
「ポリアミン」
さらにキノコ類には「ポリアミン」が豊富に含まれています。ポリアミンは、長寿を促進する化合物で、百寿者はこれをよく摂っています。
人間には、20種以上のポリアミンが含まれるといわれるが、なかでもスペルミジンは寿命を延ばし、心臓を保護す働きがあります。キノコ類はスペルミジンの優れた摂取源です。
低糖質の食べ物
果物の多くは、旬の時期にだけ適度に食べるのが望ましいですが、もともと低糖質で季節を問わずにたくさん食べてよい果物もあります。
残念ながら、こうしたアンチエイジング効果の高い果物は、果物だと認識されていないことが多いのです。早速紹介していきます。
「アボカド」
実は、アボカドは果物です。アボカドの果肉には、アーティーチョークよりも多くのプレバイオティクスの食物繊維が含まれています。
アーティーチョークと同様に、アボカドにもビタミンC、E、カリウム、葉酸が豊富に含まれています。
また、アボカドにはオリーブオイルに含まれる一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸がたっぷり含まれています。オレイン酸は脳の働きをサポートするため、年齢に関係なく摂取することが大切です。
アボカドは、肌の細菌にも良い影響を与えます。熟したアボカドをつぶしてフェイスパックや髪のディープコンディショナーとして使ってみましょう。
アボカドに含まれる脂肪酸は、肌バリアを強く保ち、日差しのダメージによる老化からあなたを守ります。
《参考》完熟 アボカド スライス
「グリーンバナナ」
バナナには「カリウム」が豊富に含まれていますが、微生物叢が嫌う糖質も豊富に含まれています。中くらいのバナナ1本には14gの糖が含まれており、これは小さじ3杯半に相当します。
ところが、未熟なバナナには果糖の含有量が少なく「レジスタントスターチ」で構成されているため、微生物叢が好んで食べます。
なので、まだ熟していない青いバナナを見つけたらぜひ買いましょう。
アボカドと同じくグリーンバナナも、髪や肌に栄養を与えます。
アボカド1/2個とグリーンバナナ1/2をつぶして混ぜて、ヘアマスクやフェイスパックとして使ってみましょう。良い香りがして、肌の細菌たちも喜びます。
「ベリー類」
ラズベリー、ブラックベリー、マルベリーは、酸味があり、1カップあたりの糖分が約5しかなく、プレバイオティクスの食物繊維の宝庫です。
「エラグ酸」を含むポリフェノール類もたっぷり含まれています。
また、ビタミンA、C、K、も豊富に含まれています。甘い物が好きな人はラズベリーを冷凍しておけば、悪玉菌を増やすことなく小腹を満たせるでしょう。
「イチジク」と「ココナッツ」
実は、イチジクもココナッツもどちらも果物ではありません。イチジクは花で、ココナッツは木の実です。
イチジク
イチジクはザクロと並んで最も古い果物と言われていて、紀元前5000年頃にも食べられていた記録が残っています。
イチジクは花が咲いているときに最も熟したおいしい状態になります。イチジクを半分に切った断面に見える細かいものが花です。
熟したイチジクは8月~10月にとくにおいしくなります。熟したイチジクは高齢であり、新しい生命を生み出す準備ができています。
イチジクに含まれる糖のほとんどは、プレバイオティクスの食物繊維に由来します。
《参考》有機JAS オーガニックいちじく
ココナッツ
ココナッツはおいしいだけでなく、1カップあたり約7gのプレバイオティクスの食物繊維が含まれています。
果肉を食べるだけでなく、ココナッツ粉でお菓子を作ったり、グリルした野菜の上に細切りのココナッツを散らしたりしても良いです。
大半のドライフルーツには砂糖がたっぷり使われているため、無糖のイチジクやココナッツを使うようにしましょう。
また、ココナッツウォーターは、砂糖水なのでやめましょう。
健康的な脂質
どんな脂質を食べるのかは健康に大きく影響を与えます。
炎症に関して中立な脂質はほとんどなく、体の炎症を促進するものと抑制するものに分かれます。
「オメガ3系脂肪酸」
魚油に含まれる「オメガ3系脂肪酸」は抗炎症作用があるとされます。
魚油に含まれるDHAとRPAから作られる本物の抗炎症化合物はレゾルビンと呼ばれており、これらが神経や目の炎症を防ぐスーパーヒーローであることが分かりました。
注意点があり、この効果を得るためには、アスピリンに含まれる有効成分(サリチル酸)が少し必要です。
そこで、著者は週に数回、アスピリンを腸溶性コーティングしたものを服用することをすすめています。こうすると、魚油カプセルの効果が発揮できるからです。
脳の脂肪の半分はオメガ3脂肪酸の「DHA」で、残りの半分は「アラキドン酸」であり、脳とその記憶の中枢である海馬の炎症を防いでいます。
《参考》【オメガ3脂肪酸とは】多く含む食品・その効果・オメガ6との比較
研究結果
2018年3月に発表された日本人男性を対象とした大規模な研究では、アラキドン酸(AA)ともうひとつのオメガ6系脂肪酸であるリノール酸(LA)を最も多く摂取していた男性が、全死因による死亡リスクと心血管疾患による死亡リスクが最も低いことが分かりました。
ベイラー大学で行われた運動能力試験では、アラキドン酸(AA)を補給した選手は運動の能力が向上しただけでなく、炎症マーカーである値が大幅に減少しました。
今まで炎症の原因とされていた、オメガ6系脂肪酸のアラキドン酸(AA)が役立つ存在だと判明したのです。
さまざまな効果
オメガ3系のEPAとDHAは、炎症を鎮めるだけではなく、脳と記憶領域である海馬のサイズが大きくなるという結果が出ています。
また、ヴィーガンの患者さんは海藻由来のDHAを摂取している人以外はオメガ3系の数値が恐ろしく低いことが多くあります。
短鎖オメガ3脂肪酸を含む亜麻仁油がEPAやDHAに変換されないことを知らなかったからです。
オックスフォード大学で行われた研究では、海藻由来のDHAを摂取した学生は学習能力と行動が改善され、ADHDに悩む学生の症状も改善されました。
オメガ3系のサプリメントは、健康な子どもの破壊的な行動を抑制することも示されています。
筆者は、「魚油や海藻由来のDHA、アラキドン酸には喝采を送りたい」と絶賛しています。
長鎖オメガ3系とオメガ6系の両方を摂取できる食材は、貝類がベストです。卵黄にはアラキドン酸だけがたっぷり含まれています。
「シソの実オイル」
シソの実オイルは、ミントやバジルと同じ仲間であるシソ科の植物から抽出されます。
ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、中国では何世紀にもわたって風邪や咳の緩和、インフルエンザの予防にシソの実のオイルが使われてきました。韓国では最も人気のあるオイルです。
また、関節や心臓の健康を助けるため、年齢を重ねても健康的な体を維持するのにぴったりの油です。
植物性のオメガ3脂肪酸を多く含んでいるため、オメガ3脂肪酸の摂取量を増やしたいベジタリアンにもおすすめです。
《参考》【ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビの違い】食事方法や思想・種類
亜麻仁と同様、オメガ3系のα-リノレン酸(ALA)がとくに豊富で、循環器系に良い影響を与えます。また、抗菌、抗ウイルス、抗酸化、抗炎症作用のあるロスマリン酸も含まれています。
シソの実オイルは、炒め物や卵料理などに使えますし、サラダのドレッシングにしても良いです。
ペーストを作るときに使えば、ぐっと風味が豊かになります。オリーブオイルと共にいろいろな料理に使っていきましょう。
シソの実オイルとはシソ油とも呼ばれており、「エゴマ油」と同じもののようです。
《参考》有機JASオーガニック エゴマ油
「MCTオイル」
MCTとは「中鎖脂肪酸トリグリセリド」のことで、MCTオイルを摂取すると肝臓でケトン体が作られます。
ケトン体とは通常、糖が不足し始めたとき、蓄えた脂肪から酵素によって作られます。
そのため、食事をしていない夜には、脳や全身の細胞がケトン体のエネルギーを利用してミトコンドリアを動かします。
ココナッツオイルが低温だと固形化するのに対して、MCTオイルは低温でも液体のままなので、液体ココナッツオイルと呼ばれることもあります。
ほとんどの場合、MCTは脂肪に変換されずに燃料源として燃焼されます。
「オリーブオイル」
オリーブオイルは、ポリフェノールを多く含んでおり、長寿の特効薬といえます。
著者も、長寿の人たちと同じように、週に1リットルは摂取するように心がけているそうです。
さらに、オリーブオイルはアポリポタンパクA-IVは、食後や心筋梗塞が起こりやすい早朝に血小板が凝縮するのを防ぐのに重要な役割を果たします。
《参考》有機JAS オーガニック エキストラバージン オリーブオイル
良い脂質
MCTオイルやオリーブオイルなど紹介してきたもの以外にも良い脂質があるので、一覧で紹介していきます。
- マカダミアナッツオイル
- クルミ油
- アボカドオイル
- 藻オイル
- タラ肝油
- ココナッツオイル
ココナッツオイルは、APOE4遺伝子型をもっている人は注意してください。それ以外の人は、気にしなくて大丈夫です。
食事の3割がココナッツオイルだというキタバ島民は、心臓病や脳卒中を患うことが少ないです。
《参考》オーガニック クルミ油
乳製品の代替品
従来の製法で作られた乳製品のほとんどは、炎症を誘発する乳タンパク質の一種であるβ-カゼインA1を含みます。
日本人は脂質の多めな肉類や乳製品の消化は不得意で、リーキーガットを引き起こす原因にもなりえます。
《参考》【リーキーガット症候群とは】症状と原因、悪化させる食品、治療方法
幸いにも腸内環境の改善に役立ち、満足感も得られる選択肢がたくさんありますので、紹介していきます。
「ヤギのチーズ」
はっきりと断言します。健康のために人間以外の動物のミルクを飲む必要はありません。あなたは、牛やヤギ、ヒツジなどの子どもではないのです。
これらのミルクは、それぞれの動物の赤ちゃんが早く成長できるように作られています。どの乳にも多量のインスリン様成長因子1(IGF-1)が含まれています。
また、乳糖(ラクトース)も含まれており、これは結局は糖質です。
ところが、ヤギやヒツジの乳から作られたチーズには、IGF-1や糖が含まれていません。発酵過程で捨てられたり、使われたりするためです。
動物性タンパク質を摂取するなら、こういったチーズを選ぶと良いです。
《参考》無添加 ヤギチーズ
「ココナッツミルク・ヨーグルト」
ココナッツミルクは、ココナッツの果肉をかき混ぜて濾した(こした)ものです。乳製品ではなく、ココナッツを割ったときに出てくる水でもなく、単なる糖質です。
ココナッツミルクは自然な甘さとクリーミーなコクがあります。市販のココナッツヨーグルトもおいしいので、試してみる価値があります。
ただし、ココナッツミルクやヨーグルトは無糖のものを選びましょう。
無糖のココナッツヨーグルトの成分表示に「糖」と書かれていても、心配はいりません。
ココナッツの果肉にはほとんど糖質が含まれていませんが、糖質がまったくないとココナッツヨーグルトを発酵させて作れないのです。
発酵の際に、細菌が添加された糖を食べるため、あなたが完成品を手にする頃には糖質はなくなっています。
「ギー」
ギーとは、バターを溶かしてタンパク質と脂質を分離させた澄ましたバターのことです。
つくり方は、まずバターを熱した後、表面の不純物を取り除きます。次に、液体になった脂質を残し、底に溜まったカゼインと少量の乳清タンパク質からなる固形物を捨てます。
ギーは、冷蔵せずに保存できて腐らないため、南アジアやインドの料理には欠かせません。
《参考》オーガニック ギー
その他の食材と飲料
今まで解説してきた食材にプラスして、一部の食材と飲み物についてもご紹介します。
食材と違って、飲み物は毎日の生活に取り入れやすいと思うので、ぜひ参考にしてください。
「キビ」
穀物の多くはレクチンを多く含み、炎症や老化の原因となりますが、キビは例外です。キビは、鳥に与える粒餌(つぶえ)の主原料だが、鳥だけが食べるものではありません。
キビはイネ科の植物で、世界各国で栽培されています。キビはレクチンを含まず、最近ではセリアック病の患者がグルテンフリーの食材を求めてキビを使うようになったことから注目されるようになりました。
《参考》【グルテンフリーは意味ない?】その効果とデメリット・リスク
また、マグネシウムやカリウムが豊富で、食物繊維も多く含まれています。
しかし、キビの最も優れた点は、腸内環境を改善することです。腸の細菌たちが、食べたものを上手く消化して栄養を保つのに、食物繊維が役立ちます。
「コーヒーの実」
コーヒーを飲めば、元気が出るだけでなく、死亡リスクが減ります。コーヒーが苦手な方も問題ありません。コーヒーの実から同様の効果を得られます。
サクランボを摘むように、コーヒーの実はコーヒー木から摘み取ります。コーヒーの実は、花を咲かせる緑色の植物に茂ります。摘み取るときには豊かなワインレッドにの色をしています。
コーヒーの木の果実は、ぴんと張った皮を破ると甘くておいしい弾力のある果実が入っていて、どことなくハーブや花のような香りとメロンのような味がします。軽い口当たりでおいしく、若さを保つのに重要な役割を果たしてくれます。
コーヒーの実には、抗酸化物質やポリフェノールが豊富に含まれており、免疫力を高めたり、フリーラジカルによる損傷から体を守ったり、炎症を抑えたりします。
また、強力な抗酸化・抗炎症作用のあるフラボノイドと呼ばれる植物性化合物も多く含まれています。フラボノイドは一酸化窒素の生成を促進します。
とくに、一酸化窒素は血管を弛緩(拡張)させ、血液の流れを良くします。普通は、加齢や炎症の影響で、血液はどんどん収縮していくものです。
つまり、コーヒーの実に含まれるフラボノイドと硝酸は、血管の柔軟性と若さを保つのに役立ちます。
また、コーヒーの実は、脳由来神経栄養因子(BDNF)を増やすことで、認知機能の向上を助けます。BDNFは脳に新しい神経細胞の生成を促します。
残念ながら、コーヒー農園に住んでいない限り、生のコーヒーの実を手に入れるのは難しいです。けれど、乾燥させたものならサプリメントとして簡単に手に入ります。
「エクストラ ダークチョコレート」
エクストラダークチョコレートを毎日28gずつ食べれば、腸の細菌たちが喜びます。満足感があって贅沢な気分になれるだけでなく、健康にも良い影響を与えられます。
ちなみに、各社の板チョコは約50g〜60gです。なので、28gというのは、板チョコ約半分くらいのイメージです。
チョコレートには抗酸化物質やフラボノイドが含まれており、これらには強力な抗炎症作用があります。
本当の効果は、市販されているほとんどのチョコレートの主成分である植物由来のカカオです。カカオに含まれるフラボノールには、脳の健康を促す効果があり、フラボノールが豊富なチョコレートを長期的に摂取することで脳を保護できます。
研究結果
ある研究では、少量のダークチョコレートを3か月食べ続けた人は、対象群に比べて記憶力、処理速度、注意力が向上しました。
他の研究では、フラボノールを摂取した高齢者の記憶保持力と新しい学習能力が顕著に向上したことが示されました。
これは、加齢によって最も影響をうける脳の構造である、大脳皮質への血流が増加したことと関係があると考えられています。
チョコレートを食べると加齢によって最も劣化する脳の部分の血流が増え、老化を防げるということです。
カカオ72%以上
少なくともカカオ含有量72%以上のものを選びましょう。できるだけダークな方が良いです。ミルクチョコレートの主成分は砂糖です。
チョコレートの摂取量は、先ほども紹介した通り、1日28g程度に留めましょう。
また、「アルカリ処理」されたチョコレート製品は避けましょう。アルカリ処理は、健康を促すチョコレートのポリフェノールを破壊してしまいます。
「緑茶」
緑茶は、自己免疫疾患の症状を改善し、病状を軽減します。これは、自己免疫T細胞と、その炎症性サイトカインの増殖を抑制するためです。
著者は、温かい緑茶とミントティーを1日5杯ほど飲んでいるそうです。自己免疫疾患のある人もない人も、炎症を抑えるために同じように飲むことをすすめます。
《参考》有機JAS オーガニック緑茶
「プーアール茶」
さらに長寿を目指すなら、オーガニックのプーアール茶がおすすめです。この発酵茶は、脂質の酸化を抑えることが分かっています。
プーアール茶に含まれるポリフェノールには鉄分濃度を低下させる働きもあります。しかし、「鉄欠乏症貧血」にはなりません。
先述の通り、鉄は老化を促す代表的な化合物のひとつです。鉄分濃度が高いと、文字通り錆びてしまいます。
そして、プーアール茶はアッカーマンシア菌の成長を促します。
アッカーマンシア金は、レクチンや他の細菌から体を守るための粘液を増やしてくれます。
《参考》【本の要約②】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:腸で病気予防
【まとめ】老けない食材
最後に、本記事で紹介された老けない食材を一覧にしてご紹介します。
積極的に摂っていきたいものから、乳製品の代替品としておすすめなものまであります。
プロバイオティクス | 亜麻仁、アーティチョーク、セイヨウネギ(リーキ)、オクラ、ヒカマ、アブラナ科の野菜(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツなど)、チコリとその近縁種(エンダイブ、ラディッキオなど)、ナッツ類(クルミ、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオなど)、キノコ類(ポルチーニ、ホワイトマッシュルームなど) |
低糖質の食べ物 | アボカド、グリーンバナナ、ベリー類、イチジク、ココナッツ |
健康的な脂質 | オメガ3系脂肪酸(魚油など)、シソの実オイル(エゴマ油)、MCTオイル、オリーブオイル、マカダミアナッツオイル、クルミ油、アボカドオイル、藻オイル、タラ肝油、ココナッツオイル |
乳製品の代替品 | ヤギのチーズ、ココナッツミルク・ヨーグルト、ギー |
その他の食材と飲料 | キビ、コーヒーの実、エクストラ ダークチョコレート、緑茶、プーアール茶 |
これらの食材が、どんな風に体に良い影響を及ぼしてくれるのかを思い出せない方は、各章にさかのぼってご確認くださいね。
今日食べたもので未来の自分が作られます。できそうなものから毎日の食事に取り入れてみませんか。
ただ、無理をする必要はないので、ストレスを感じない程度にしておきましょう。ストレスは最大の敵です。