【グルテンフリーは意味ない?】その効果とデメリット・リスク

あなたは「グルテンフリー」を取り入れていますか?

  • グルテンフリーとはどんな意味があるの?
  • 健康やダイエットになるの?
  • グルテンフリーのデメリットは?

わたしは、ファスティング指導や食事アドバイスをしている栄養士です。

ダイエットや健康のイメージがある「グルテンフリー」の効果やデメリットについてご紹介します。

わたし個人としては意味があると思っていて、米粉麺もよくいただいています。ただ、健康な人がグルテンフリーをしても意味がない、むしろデメリットがあるという説もでていますので、解説していきます。

「グルテンフリー」とは

「グルテンフリー」とは、グルテン(gluten)を含む食品を避けるライフスタイルという意味で使われています。

「グルテン」は、主に全粒粉や小麦粉に含まれるもので、粘り気があり、もちもちとした食感やコシのもとになっています。代表的な食品は、パンやパスタ、ピザ、お菓子などです。

多くの国では、食品1kgあたり20mg未満ならグルテンフリーと表示して良いことになっています。これは、多くのセリアック病の患者さんは、1日に摂取するグルテンの量を50mg以下にする必要があることから、決められたものです。

この表示ルールは基本的に国ごとに定められていますが、特に基準が設定されていない国もあります。

「グルテン」や、小麦粉別のグルテン含有量など詳しくはこちらの記事でご覧いただけます。

《参考》【グルテンフリーとは】意味ない?その効果とメリット・含む食べ物

流行ったきっかけ

モデルのミランダ・カーがダイエットに成功したということで話題になりました。

また、プロテニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチがグルテンフリーで体調が改善したと語ったことが大きな反響となり、米国のグルテンフリー市場は今や数十億ドルにものぼると言われます。

特に日本ではジョコビッチの著書「ジョコビッチの生まれ変わる食事」の大ヒットで「グルテンフリー」を知った方が多いのではないでしょうか。

試合を棄権するほどの絶不調だったのが、グルテンフリーにより「神経はさらに研ぎ澄まされ、かつてないほど活力がみなぎるように」なり、「4大グランドスラムを制覇し世界ランキング1位になった」という輝かしいストーリーは、世間に大きなインパクトを与えました。

この驚くべき変化は、ジョコビッチ本人が「小麦」と「乳製品」にアレルギーを持っていたから起きたのです。

ジョコビッチは著書の中で、血液検査を行ったところ「小麦」「乳製品」のアレルギー反応が陽性であったと書いています。

「小麦」には、グルテンを生成するたんぱく質が含まれているので、グルテンフリーの食生活によって体の調子が良くなるのは理にかなっています。

「グルテンフリー」意味ある説

グルテンフリーは、セリアック病(シリアック病)や小麦アレルギーの方には、効果があります。効果があるというか、むしろ取り組まないと体に影響が及びます。

まずは、セリアック病について簡単に説明していきます。

セリアック病(シリアック病)

グルテンフリーは、セリアック病(シリアック病)患者の食事療法として生まれたと言われています。

「セリアック病」は、「シリアック病」ともよばれ、ムギ(小麦・大麦・ライ麦など)に含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患です。

遺伝性疾患であり、グルテン関連障害のひとつです。多くの人は、遺伝により生まれつき抱えています。

グルテンを摂取すると小腸に炎症が起こって、吸収不良を起こしてしまいます。たくさん食べても、十分な栄養が身体には吸収されないため栄養失調になったり、下痢や体重減少などの症状が現れます。

セリアック病は日本人の発症者は少なく、南北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、北欧系の人ではよく見られる病気です。おおよそ100人に1人(1%)くらいの割合で患者さんがいます。

根本的な治療法がないため、セリアック病の人はグルテンを避けた食生活をしていくことになります。

小麦アレルギー

小麦アレルギーは、たまごや牛乳と並んで乳幼児の3大アレルゲンのひとつです。小麦を原料に含む食物を摂取することで消化器や皮膚に症状が現れます。

ひどい場合は、アナフィラキシー症状を起こし、死に至ることもあるので甘く考えてはいけません。

※「アナフィラキシー(anaphylaxis)」とは、原因物質(抗原)が再び生体に接触することで、引き起こされる免疫学的機序による全身的なアレルギー反応です。一方、過去に原因物質(抗原)に接触したことがない人にも同じような症状が生じることがあり、このような非免疫学的機序によるものはアナフィラキシー様反応といいます。

食物アレルギーは大人になるにつれて改善することもあります。反対に、大人になってから小麦アレルギーを発症する人もいます。

その人の体質や食生活などが様々なように、アレルギー発症・改善のタイミングもそれぞれ違います。

リーキーガット症候群(LGS)

グルテンフリーにすることで、「リーキーガット症候群」の予防につながるとも言われています。

リーキーガット(Leaky Gut)を直訳すると「漏れやすい腸」ということです。リーキーガット症候群は、リーキーガットシンドローム(LGS)などとも呼ばれます。

腸の粘膜が損傷し、有害物質などが体内に「漏れる」状態を意味します。

本来、腸では正しく消化されて細かくなった栄養素だけが腸の膜を通過します。

しかし、傷つき破れた腸の膜は、消化しきれなかった余分なタンパク質や脂肪、さらには有害物質までも体内に取り込んでしまいます。

《参考》【リーキーガット症候群とは】症状と原因、悪化させる食品、治療方法

誰でも意味があるのか

グルテンの分解酵素を持っていない人は、グルテンを摂取することで消化不良や便秘、下痢、免疫反応などを引き起こす可能性があります。

アレルギーや病気というほどでなく、倦怠感や頭痛、慢性的な不調が、グルテンフリー生活で改善したり、肌がきれいになったという人が多く出ています。他にもダイエットに成功したという人もいます。

ただし、あくまで個人的なもので、健康な人がグルテンフリーをすることで痩せたり健康になるということは、医学的にはまだ明らかになっているという情報はまだあまりでていないようです。

体の中で起こること

ただし、様々な人の実体験からグルテンフリーによって、健康状態がよくなった報告がたくさん出ています。

グルテンを摂取しないグルテンフリー食によって腸内環境が改善し、身体全体の不調が改善したようです。

裏を返せば、グルテンを摂取することで、腸内環境が悪くなり、身体全体の不調を引き起こしているとも考えられます。

腸内と肌や顔・頭皮は、肛門通じて繋がっています。腸内環境の様子が、肌の調子に出やすいのはそのためです。

《参考》【グルテンフリーとは】意味ない?その効果とメリット・含む食べ物



「グルテンフリー」意味ない説

グルテンに関するアレルギーのない方でも、腸活などのことも考えると、グルテンフリーは効果があると思っています。

一方で、グルテンフリーなんて無意味だ!という論調の主張も多く見かけます。2名医師が、そのような考えについて述べている記事がありましたので、要約して紹介します。

グルテンフリーの悪影響

医師の福田氏によるグルテンフリーに関する考えを要約してご紹介します。

健康な人、グルテンフリーの必要でない人までがグルテンフリーを実践することは、かえって健康によくない恐れもあります。

今、医療界ではグルテンフリーに対して危機感を持っているそうです。

この「グルテンフリーブーム」に警鐘を鳴らす研究もあります。

冠動脈疾患のリスクは減らない

2017年5月、イギリスの権威ある学術誌に、「セリアック病でない人にはグルテンフリーは推奨されない」というリサーチニュースが出ました。

まず前提として、前述の「セリアック病」にはグルテンフリーは効果があり、その効果の一つとして「冠動脈疾患(心筋梗塞など)のリスクを減らす」という研究報告もあります。

セリアック病でない人においては、グルテンを摂る量を減らしても、冠動脈疾患のリスクは減らない、とある論文では結論付けています。

この研究でも統計学的な補正を行い分析した結果、「グルテン摂取量が最も多い群は、グルテン摂取量が最も低い群に比べ、冠動脈疾患発症のリスクを15%下げる」ことが分かったそうです。

腸内細菌バランスを崩す?

「セリアック病でない人にとってグルテンフリーは悪影響である」可能性を示す研究があります。

セリアック病ではない、健康的な平均年齢約30歳の男女10人にグルテンフリーを1ヶ月間実践させ、前後の腸内環境について分析しました。

すると、「グルテンフリー実践後はビフィズス菌や乳酸菌などの有用な腸内細菌が減り、免疫機能が下がり、大腸菌などの有害な腸内細菌の異常増殖が起こっていること」がわかりました。

この研究では実際に何らかの病気の発生率をみるまでには至っていませんので、今後の研究の発展が待たれます。

しかし、盲目的に「グルテンフリー」を行うことへの警鐘として、頭の片隅に置いておいても良いでしょう。

《参考》Yahooニュース

栄養素が不足する可能性

医師の山田氏によるグルテンフリーの見解を要約してご紹介します。

あくまで相関関係ですが、「グルテンが含まれた食材を摂取した人たちの方が、健康リスクが低い」という研究が複数あります。

「セリアック病」の方々にとっては、グルテンフリーはとても重要です。

しかし、日本ではセリアック病の方は非常に少ないです。山田氏は、日本で10年以上医師として勤務したが、セリアック病の方にお会いしたことは、全くないそうです。

食品というのは、そもそも因果関係の証明が難しいです。

「グルテンを摂取したから肥満になる」ということを証明するのは難しいのですが、実際には「グルテンフリーダイエットをする人ほど肥満が多い傾向がある」という関連性は知られています。

グルテンフリーを選ばれる方というのは、葉酸や鉄分などの栄養素が不足しがちで、それらを補充することが必要な場合もあります。

ちなみに、鉄分はほとんどの日本人が不足している栄養素といっても過言ではありません。健康診断の基準が低いので発覚しないことがほとんどです。

《参考》【鉄不足になる理由】症状・おすすめのサプリメント(キレート鉄)

足りない栄養素を補充せずに厳格なグルテンフリーの食生活をしてしまうと、栄養素欠乏といったデメリットにもなり得ます。

また、イメージとは異なり、糖質や脂質などはむしろ多くなる傾向にあるので、注意が必要です。

《参考》ミモレラジオ局

【まとめ】グルテンフリー

グルテンフリーは、小麦アレルギーやセリアック病の方にはとても重要な食事法です。

一方で、アレルギーなどの関係がない人は、むやみなグルテンフリーを行うことで、腸内細菌のバランスを崩したり、栄養不足なったる可能性が、医師によって指摘されています。

盲目的にグルテンフリーを行うことが、健康・美容のために良いとは言えないようです。

グルテンフリーの効果が気になる方は、一度グルテンフリーを試してみて、自分の体調の変化を確かめて判断するのも良いでしょう。

何らかの効果が感じられる人は「グルテンの影響を受ける人」ということになります。

最近では「ゆるグルテンフリー」と言って、完全ではないが基本的にはグルテンを避けて食事をとるようなスタイルの方も多くいます。

「米粉」の活用

グルテンフリーの話は抜きにして、小麦粉の値段も高騰していますし、米粉を活用するというのはひとつの選択肢になります。小麦粉の代わりとしてお料理に使用できます。

《参考》米粉(米特別栽培米さがびより・元気つくし・夢つくし100%使用)

また、米粉パン、米粉ラーメン、米粉クッキー、米粉パンケーキなども販売されています。

様々なグルテンフリー商品が販売されているので、パンやラーメン、うどん、クッキー、パンケーキなどの小麦粉メニューを一切我慢しないとグルテンフリーができないという状況ではありません。

《参考》米粉パン お得セット(保存料不使用)

《参考》米粉ラーメン 小林生麺

ただ、外食が多い方は、グルテンフリーを実行するのは難易度が高いかもしれません。

なにより、米粉のパスタはもちもちですごくおいしいです。最初は、グルテンフリーに興味を持って米粉パスタを色々試していたのですが、今ではおいしくて何回もリピート購入しています。

わたしが良く食べている、玄米の生パスタをご紹介します。特にフェットチーネが食べ応えがあっておすすめです。

《参考》玄米パスタ(フェットチーネ)小林生麺

これだけ食べれば健康になるだとか、これさえ食べなければ痩せるだとか、そのような極端な健康法はありません

全てがバランスですので、無理せず自分の体調と向き合っていきましょう。

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