【サーチュイン遺伝子とは】空腹(断食)やNMN、睡眠で活性化

あなたは、「サーチュイン遺伝子」をご存知ですか?

  • サーチュイン遺伝子とは?
  • どうすれば活性化されるの?

わたしは、ファスティング(断食)指導や、食指アドバイスをしている栄養士です。わたし自身もファスティングが趣味で、最長10日間のファスティングに挑戦したことがあります。

《参考》【10日ファスティング体験談】-4.7kg!スケジュール・やり方

本記事では、「サーチュイン遺伝子」の重要性、活性化させる方法をご紹介します。

「サーチュイン遺伝子」とは

サーチュイン遺伝子(Sirtuin)は、アメリカ・マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ博士らが1999年に発見しました。長寿遺伝子とも呼ばれ、アンチエイジングに欠かせません。

《主な4つの働き》

  1. 活性酸素の除去
  2. 代謝のコントロール
  3. 遺伝子の修復
  4. テロメアの安定化

サーチュインは、細胞の老化の原因である活性酸素を抑制し、免疫細胞を正常化します。

これまでの研究でサーチュイン遺伝子は、記憶力アップや、アルツハイマーの改善と関係しており、心血管系や糖尿病とも関連していることが徐々に分かってきています。

人間には細胞が60兆個あると言われています。その細胞の中にあるDNAを修復するのが、サーチュイン遺伝子です。

人間を構成する細胞単位で遺伝子を修復することが期待できます。がんなど様々な病気が「遺伝子の異常」から起きるといわれています。

生物の遺伝情報がつまっている染色体DNAの両端は「テロメア」と呼ばれ、染色体を保護する役割があります。

細胞が分裂するたびにテロメアDNAは少しずつ短くなります。これに伴って細胞分裂の回数が減り、やがて分裂しなくなります。これが細胞の老化ということです。

サーチュイン遺伝子は、そのテロメアを安定させる働きがあります。

SIRT1(サーティワン)

現在では哺乳類にはSIRT1からSIRT7まで7種類のサーチュインがあり、それぞれ異なる特性があることが分かっています。

このうち、特に重要だとされているのがSIRT1(サーティワン)です。

SIRT1(サーティワン)は血糖値を下げるインスリンの分泌を促し、糖や脂肪の代謝をよくしたり、神経細胞を守り記憶や行動を制御するなど、老化や寿命のコントロールに深く関与していると見られています。

マウスの研究結果

マウスの実験で、脳の司令塔である視床下部でSIRT1(サーティワン)の機能を高めたところ、老化によって増える症状や病気の発症時期が遅くなり、メスでは16.4%、オスでは9.1%健康寿命が延びました

面白いことに、人間の60代に相当する17~18カ月齢のマウスの脳の視床下部でSIRT1(サーティワン)を高めると、3~4カ月齢(人間の20代相当)の若いマウス並みに元気に動き回るようになり、体温が上がり代謝も高まったのです。

線虫の研究結果

細長い糸状の見た目の「線虫」にカロリー制限をすると寿命が2倍にも延びたため、その理由を調べると、寿命を延ばす遺伝子が極めて活性化していました。

博士は、その遺伝子を「サーチュイン遺伝子」と名付けて、論文を科学誌「セル」オンライン版に発表したのでした。

このサーチュイン遺伝子は、線虫のみならず、あらゆる生物や動物にも存在することが分かってきました。

こちらの情報は「朝だけ断食で9割の不調が消える!」という本に載っていました。本を要約した記事もあります。

《参考》【本の要約④】朝だけ断食で9割の不調が消える!健康効果と腸内環境

ファスティング(断食)で活性化

カロリー制限をするとサーチュイン遺伝子が活性化すると言われていますが、それよりも、12~16時間以上の断食を行うと、さらに活性化することも判明しています。

活性化されるタイミングは諸説あります。これは、どのような食べ物をどのくらいの食事量、どのような人が食べたのかによっても変わってくるためだと思われます。

たくさん食べる時期と、あまり食べない時期を繰り返すことで、サーチュイン遺伝子が活性化されます。

サーチュイン遺伝子の中でもSIRT1(サーティワン)が活性化すると、視床下部がコントロールセンターとなり、様々な臓器や骨格筋、脂肪組織の機能が回復し、身体活動量や代謝が上がります

準備食を食べて約12時間後のファスティング1日目から、60兆個の細胞レベルで修復していきます。よって、ファスティングで「若返る」と言われているのです。

食事をとらない時間を長くすることで、生き延びるために重要な遺伝子を活性化することができ、それが健康寿命を延ばすことにつながります。

《参考》【ファスティングとは】断食との違い・ダイエット&デトックス効果

「ミトコンドリア」を活性化

オートファジーとサーチュイン遺伝子は、ファスティングによって活性化することが分かっています。

ダメージを受けた「ミトコンドリア」をオートファジーが分解し、さらにサーチュイン遺伝子が再び新しい「ミトコンドリア」に作り変えます。

《参考》【オートファジーとは】ダイエット効果・16時間断食・ルビコンとは

新陳代謝の高い状態を維持していれば、傷ついたり古くなった「ミトコンドリア」を修復できます。細胞をリサイクルするような仕組みです。

若々しく健康な身体を保つには、「ミトコンドリア」を元気にしていくことが非常に重要です。

肌の調子を整える

「ミトコンドリア」が傷つくと、細胞にダメージを与える活性酸素を産生します。活性酸素が過剰に産生されると、老化やがん、生活習慣病など様々な原因になってしまいます。

年齢を重ねると新陳代謝が落ちるため、傷ついた「ミトコンドリア」が代謝されずに老廃物として蓄積されます。その結果、身体の不調や見た目の老化が起こるのです。

皮膚の細胞のミトコンドリアを維持できないマウスは、シワまみれになってしまうことが分かっています。ヒトの皮膚でも同じように、シワまみれになってしまうことが考えられます。

過度な紫外線を浴び続けると、皮膚細胞のDNAが傷つきます。うっかり日焼け止めを忘れて、紫外線を浴びてしまった場合でも、サーチュイン遺伝子を活性化させれば、DNAは修復されます。



その他の活性方法

ファスティング(断食)でサーチュイン遺伝子が活性化することをご紹介してきましたが、それ以外にも活性化する方法があります。

たとえば、睡眠中にもサーチュイン遺伝子が活性化されます。なぜなら、睡眠中は食事をしないからです。

「睡眠」で活性化

マサチューセッツ工科大学の研究者たちが、若いマウスのサーチュイン遺伝子の活動を阻害したところ、循環リズムのコントロールが損なわれ、老化が促進されました。

食事をすると自動的にサーチュイン遺伝子が停止し、それによってタンパク質が不足すると睡眠に支障をきたします。

しかし、睡眠ホルモンであるメラトニンのサプリメントを動物に与えたところ、サーチュイン遺伝子のタンパク質生成が促進されました。メラトニンは体内で細菌によって作られます。

こちらの情報は「死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事」に記載されていました。

「良い睡眠をとりましょう」ということが言われますが、これはサーチュイン遺伝子を活性化することでも当てはまります。

実はファスティングすることは睡眠の質の向上にも繋がるので一石二鳥です。

わたしの生徒さんで、初めてのファスティングで睡眠の質が上がったこと・むくみが改善したと喜びの声をいただいていますので、良ければその記事もご覧ください。

《参考》【初心者:3日間ファスティング事例】スケジュール・やり方・効果

NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)

NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)を摂取すると、NAD(ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド)に変換され、サーチュインを活性化させる役割を担うとされています。

NADは、細胞内のミトコンドリアにおけるエネルギーの産出に欠かせない補酵素です。

NADは体の中で自然につくられる物質ですが、食べ物からはほとんど摂取できず、加齢と共に減少します。NADを増やすことができれば、サーチュインを活性化させ老化を遅らせる効果が期待できます。

NADを増やす方法として、運動やカロリー制限などの有効性が知られています。

近年ではNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド、ビタミンB3からつくられる物質)の摂取なども注目を集めています。

マウスの研究

マウスに12か月間NMNを投与した研究では、老化抑制がみられたという結果が示されています。

NMNの心不全や糖尿病、アルツハイマー病抑制に対する有効性もその他の研究により示唆されています。NMNをヒトへ投与した臨床試験も行われており、今後の実用的な活用が期待されています。

マウスの実験から言えることは、人間でいう20~30代に相当する若い健康体にNMNを飲ませても特に大きな変化はなく、40~50代に相当する中高年になってから非投与群との差が出始めたということです。

人間70代くらいに相当するマウスにNMNを飲ませても身体活動が高まるなどの効果が見られていますので、高齢者が飲んでも老化制御効果が期待できるのではないかと考えられています。

サプリメント

NMNはビタミンB3(ナイアシン)からつくられているそうです。

何か病気があってエネルギー産生に不可欠なNADが減っていると考えられる場合には、ナイアシンだけでも効果がある可能性があります。そのような臨床研究の結果も既に発表されています。

ただし、ナイアシンの大量摂取は、肝臓障害を起こしたり、膵臓から分泌されるインスリンの効きが悪くなったりする副作用が出るので要注意です。

《参考》高純度 100% NMNサプリ

《参考》日経Goody30+

カカオで活性化

2022年の最新情報です。カカオの種子に含まれる成分が、生命維持に重要な酵素であるサーチュインを特異的に活性化することが報告されました。

山梨学院短期大学、東京工科大学、株式会社明治の研究グループの研究によるもので、研究の成果が「Scientific Reports」に論文掲載されました。

研究対象はショウジョウバエということです。人間でも有効なのでしょうか。これからさらに研究が進むのが楽しみですね。

《参考》scientific reports

「活性酸素」との関係

人間は、「活性酸素」が出ると不調を起こします。「活性酸素」とは体を酸化・老化させ、病気を起こす元凶となります。

オートファジーやサーチュイン遺伝子が活性化されると、全身の代謝酵素がフル動員され、体の活性酸素を退治してくれるのです。

《参考》【オートファジーとは】ダイエット効果・16時間断食・ルビコンとは

活性酸素を退治する力を増やすには、生野菜のサラダやすりおろし、フルーツなど抗酸化作用のある食物をしっかり毎日食べることです。

生の食べ物には「酵素」が豊富です。加熱すると酵素は死んでしまいます。詳しくは以下の記事でご覧いただけます。

《参考》【本の要約③】朝だけ断食で9割の不調が消える!酵素の節約・補い方

そして並行してファスティング(断食)も行うと良いでしょう。ファスティングによって味覚や腸内環境がリセットされるので、その後の効果も期待できます。

ファスティング3日目には、身体に貯蓄しているエネルギーを使い切って、脂肪燃焼モードに入るので、3日以上のファスティングがおすすめです。

少しハードルが高いと思う方は、「朝だけ断食」や、あまりルールを決めずに「気まぐれ断食」を取り入れてみるのもおすすめです。

《参考》【本の要約:前編】心と身体のリセットに効く「気まぐれ断食」

【まとめ】サーチュイン遺伝子

普段は意識することも少ない「サーチュイン遺伝子」は、健康で若々しい身体を維持するために必須の要素です。

アンチエイジングを意識している方、ぷるぷるのお肌でいたい方、若々しく見られたい方には、ぜひサーチュイン遺伝子の活性化に取り組んでいただければと思います。

見た目や体調に良い変化が生まれることは、心の健康にもつながりますね。

ファスティング指導をしているわたしとしては、効果を実感しているだけに3日間の断食でサーチュイン遺伝子を活性化して、驚くべき心身の変化を感じてほしいところですが、まずは1食や1日の断食からスタートするもアリです。

《参考》【本の要約①】朝だけ断食で9割の不調が消える!メリット・効果

40代の男性が、半信半疑で初めてのファスティングに挑戦した記事もあります。彼は、ファスティングの健康効果を実感し、数か月後すぐに2回目のファスティングに取り組んでいました。

「なぜかピザやコーラを欲さなくなった!」と驚かれていましたよ。

《参考》【事例】-5.4kgダイエット!3日ファスティングの効果(男性41歳)

断食(ファスティング)や食生活などに関する疑問があれば、お問い合わせください。健康や生活習慣に関するお悩み、解決方法は人それぞれなので、個別相談がベストです。

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