【ジャパンSDGsアワードとは】2021年(第5回)の表彰結果

あなたは「SDGsアワード」をご存知でしょうか。
  • SDGsアワードとは何のこと?
  • どんな賞があるの?
  • どんな企業が表彰されたの?
わたしはオーガニック食品が好きな栄養士です。SDGsやエシカル、フェアトレードなどにも興味をもってきたわたしが、2021年12月「第5回ジャパンSDGsアワード」の表彰結果について紹介していきます。

2021年【第5回ジャパンSDGsアワード】

2021年(令和3年)12月24日に発表された第5回「ジャパンSDGsアワード」の結果をご紹介していきます。併せて、そもそもジャパンSDGsアワードとは何なのかも簡単に説明します。

SDGsについて詳しく書いた記事もあるので、よければご参照ください。

《参考記事》【SDGsとは何か】ロゴ・バッジの使用、企業の取り組みを紹介

《参考記事》【SDGsとは何か】17の目標一覧とその意味・課題を簡単に解説

【ジャパンSDGsアワード】とは

ジャパンSDGsアワードは、2017年6月の第3回SDGs推進本部において創設が決定されました。SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている企業・団体等を、SDGs推進本部として表彰するものです。
NGO・NPO、有識者、民間セクター、国際機関等の広範な関係者が集まるSDGs推進円卓会議構成員から成る選考委員会の意見を踏まえて決定されます。

【SDGs推進本部】とは

SDGs推進本部において、ジャパンSDGsアワードが創設されましたが、その「SDGs推進本部」についてご紹介していきます。
2015年にSDGsが採択され、政府は実施するにあたり、国内の基盤整備をおこないました。2016年5月に国内実施と国際協力の両面で率先して取り組む体制として「SDGs推進本部」が発足しました。
構成員は、総理大臣を本部長、官房長官、外務大臣を副本部長とした、全閣僚です。

表彰の種類・表彰の対象

  1. 「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」極めて顕著な功績があったと認められる企業・団体等
  2. 「SDGs推進副本部長(内閣官房長官及び外務大臣)賞」特に顕著な功績があったと認められる企業
  3. 「特別賞」特筆すべき功績があったと認められる企業・団体等

第5回表彰ジャパンSDGsアワード結果

SDGs推進本部長賞(内閣総理大臣賞) 株式会社ユーグレナ
SDGs推進副本部長賞(内閣官房長官) NPO法人eboard
社会福祉法人恩賜財団済生会
SDGs推進副本部長賞(外務大臣) 株式会社HAKKI AFRICA
OUI Inc.
特定非営利活動法人ジャパンハート
特別賞 株式会社シュークルキューブジャポン
株式会社荏原製作所
ゆめ伴プロジェクトin門真実行委員会
愛知県立南陽高等学校Nanyo Company部
株式会社エルコム
大槌ジビエソーシャルプロジェクト
一般社団法人男女共同参画地域みらいねっと

各企業の取り組み内容をご紹介していきます。

【SDGs推進本部長賞】(内閣総理大臣賞)

SDGs推進本部長賞(内閣総理大臣)を受賞した1社をご紹介していきます。

株式会社ユーグレナ

《取り組み内容》
  • バングラデシュの貧困農家に高品質な緑豆の栽培ノウハウを伝授。
  • 収穫した緑豆を市場価格より高い価格で農家から購入することで雇用創出と所得増に貢献
  • 購入した緑豆の半分は日本に輸出し、残り半分は現地の貧困層に原価で販売。収益をベースにした継続的かつ自立的な支援体制を確立。
  • 国連世界食糧計画(WFP)と連携し、本事業で得たノウハウを活用してミャンマー・ラカイン州からの避難民(いわゆる「ロヒンギャ」難民)への食糧供給、現地貧困農家への栽培指導、作物の購入を実施し、難民キャンプ近隣の小規模農家2,000人を雇用。
  • 2年間で3万人の難民に1年半分に相当する食料(緑豆)を供給。地産地消による新鮮な作物の提供と運送費の大幅削減を実現。

「世界食糧計画」World Food Programme(WFP)とは、次の通りです。

世界食糧計画は、世界の飢餓と闘い、緊急時に食糧援助を行い、また世界の国々が栄養状態を改善し、危機を乗り越える力を築けるようにする主要な人道機関である。毎年およそ80カ国の国々においておよそ8000万の人々を援助している。WFPの事業の3分の2は紛争地域で行われる。

《参照》国際連合広報センター

評価されたポイントは、現地貧困農家の所得増や「ロヒンギャ」難民への食料供給を通して「誰一人取り残さない」理念を体現していることや、「ロヒンギャ」難民支援を官民連携で実践した初の案件として、新たな国際支援のロールモデルとなり得る点があげられます。

「ロヒンギャ」の問題

「ロヒンギャ」とは、ミャンマー西部のラカイン州に暮らす約100万人のイスラム系少数民族のことです。ミャンマー連邦共和国により国籍が剥奪され、1990年代から数十年にもわたって差別と激しい迫害に苦しめられてきました。

2017年8月25日、ラカイン州北部で新たに激しい衝突が起こり、ロヒンギャの人々が一気に隣国バングラデシュへ避難を始めました。避難してきた人々からは、激しい暴力や性的暴行、家族を殺されたり家屋を焼かれるなど残虐な行為を受けたことが証言されています。

多くの人々は険しい山の中を徒歩で避難しましたが、混乱状態の中で家族と離ればなれになったり、命を落とした人もいます。また、粗末な漁船に乗って海から避難しようとする人もいました。しかし、モンスーンの影響による荒い海で、子どもを含む犠牲者が多く出ています。

2017年8月に新たな衝突が発生後、バングラデシュへ避難した人は爆発的に増えて70万人を超えましたが、その多くは女性と子どもです。その後も一日平均で数千人が避難し、難民キャンプでの受け入れは限界を超えて支援が追い付かない事態となっています。

2018年5月、追い打ちをかけるようにモンスーンの影響を受けての大雨がありました。避難したばかりの場所が洪水となりさらに移動を強いられたり、衛生環境が悪化するなど、極めて厳しい状況に追い詰められていきました。

バングラデシュは新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大にも直面しており、2021年6月末の時点で国内の感染者数は91万人を超え、そのうち1万人は避難民が多く生活するコックスバザール地区での感染です。難民キャンプでも1,700件を超える感染が確認されており、過密する難民キャンプでは更なる感染拡大、医療サービスのひっ迫が懸念されています。

ユニセフでは、そんなロヒンギャへの支援をしています。よければユニセフの活動を紹介した記事もご覧ください。

《参考記事》【ユニセフ】2020年の活動内容(コロナ・フィリピン台風など)



【SDGs推進副本部長賞】(内閣官房長官)

SDGs推進副本部長賞(内閣官房長官)を受賞した2社をご紹介していきます。

NPO法人eboard

《取り組み内容》

  • 聴覚や発達の障害を持った子、外国につながる子など計7万人以上を主な対象に、義務教育をカバーする1,900本の映像授業に字幕を追加。
  • 国内で唯一、字幕により機会保障がなされた映像教材が誕生。
  • 現在は、字幕を必要とする子どもたちを含む、毎月20万人以上がICT教材サイトeboardを利用。映像教材はインターネット上で誰でも無料で利用可能。
  • 子どもたちの言葉の発達度合いを考慮し、学習が容易になるような「やさしい字幕」を制作。字幕制作には、16の企業・団体、個人の在宅ボランティア1,000名以上が参加。
  • コロナ禍で急変した学習方法に取り残されがちな子どもに学習機会を保障する「誰一人取り残さない」教育を実践。

評価されたポイントは、計7万人のすべての子どもに学習環境を届けようとする取り組みや、ろう児の日本語能力向上や外国につながる子の教育環境改善は、彼らの社会・経済活動の参加にも貢献していることがあげられます。

eboardの現状

「塾に通えない、授業についていけない、学校に行けない」など日本にも、様々な理由から「学びをあきらめてしまっている」子ども達がいます。NPO法人eboardは、「学びをあきらめない社会」というミッションの実現に向けて活動しています。

  • eboardで学んだ人の数:463万人
  • 映像授業 視聴時間:300万時間
  • 問題回答数:2,837万回
  • eboardを利用する教育現場:1,012ヶ所

社会福祉法人恩賜財団済生会

《取り組み内容》

  • 明治44年の済生勅語「施薬救療の精神」を体現すべく、①生活困窮者への援助の積極的促進、②地域医療への貢献、③総合的な医療・福祉サービスの提供を果たすべき使命の3本柱として、医療・福祉が届きにくい人々への支援を、1世紀以上にわたり展開
  • 生活困窮者支援「なでしこプラン」では、ホームレスの健診、子どもの貧困、刑務所出所者の地域生活への対応や障害者の就労促進等、11年間にわたり問題を抱える生活困窮者等累計約156万人に対する支援を実施
  • 計1,641項目におよぶ「済生会ソーシャルインクルージョン推進計画」をとりまとめ、閉じこもる高齢者、健康無関心層、買い物難民、がん患者の就労支援等、既存の医療・福祉の枠を超え、差別や分断の無い社会の実現を目指す。

評価されたポイントは、多様で複雑な問題を抱える生活困窮者を含むすべての人と、差別や分断無く共に生きていく社会の実現を目指し事業を推進していること、医療・介護・福祉事業に加え、まちづくりに寄与する事業を拡大しており、新たな社会福祉法人の形として見本になり得る点があげられます。

「済生会ソーシャルインクルージョン推進計画」とは

済生会では、社会的に弱い立場にある人など、すべての人々を地域の一員として受け入れ、共に支え合って生きていくという「ソーシャルインクルージョン」に取り組んでいます。

一般的には広く知られていないソーシャルインクルージョンを多くの人に知ってもらい、具体的な事業として実践していくため、済生会は、病院や福祉施設などが取り組むことを宣言した事業をとりまとめた、「ソーシャルインクルージョン推進計画」を策定しました。同計画を掲載した冊子「 まちをつむぐ」を2020年7月に発行しました。

この計画は、認知症患者やその家族の交流の場、障害者の就労支援、外国人学校に通う児童の健康診断など、既に取り組んでいるものも含め、済生会全体で1,541項目になります。

そして、支援を必要とする人に手を差し伸べるだけでなく、そのような人たちと、行政や企業・NPOが一緒になって活動し、地域社会づくりを進めるのが、「ソーシャルインクルージョン推進計画」です。

【SDGs推進副本部長賞】(外務大臣)

SDGs推進副本部長賞(外務大臣)を受賞した3社をご紹介していきます。

株式会社HAKKI AFRICA

《取り組み内容》

  • 信用不足で現状の暮らしを改善する機会損失に悩まされる人々が多くいるアフリカで金融包摂の実現を目指し、モバイルマネーの利用履歴を自動解析する信用スコアリングシステムを開発。
  • ケニアのタクシードライバーが自らの車を持ち独立できるよう、中古車購入に特化したマイクロファイナンスサービスを展開。
  • テクノロジーを駆使し、日本の未利用資産を活用しながら、信用不足で高金利サービスにしかアクセスできなかった人々の信用を担保するシステムによって、低金利金融へのアクセスを容易にし、「誠実な努力が報われる」世界の実現を目指す。
  • 電子通貨を利用したビジネスのファイナンスアクセスを効果的に実現。

評価されたポイントは、信用不足で取り残されてきた人々や融資サービスで不利だった女性ドライバーに低金利金融サービスを提供したこと、アフリカの金融包摂の実現により現地の社会・経済課題解決に寄与したことなどがあげられます。

SBIとの連携

2022年1月にSBIホールディングスより、SBI Africa株式会社と、株式会社HAKKI AFRICAが、ファイナンス機能の強化により、ケニアを始めとしたアフリカ地域における車両販売の更なる拡大を目指し、業務提携したことを発表しています。

新興国に特化した独自の信用スコアリングを持つHAKKI AFRICAと、輸出した中古車の自社在庫を保有するSBI Africaが提携して、マイクロファイナンスを行うことで、これまで自己資金で自動車を購入できなかったケニアの方も、質の高い中古車を分割払いで購入することが可能になります。

本業務提携により、アフリカ地域での中古車販売のさらなる拡大を目指すとともに、現地の生活水準向上と就業機会の提供に努めていくそうです。これからの活動がたのしみですね。

OUI Inc.

《取り組み内容》

  • 「2025年までに世界の失明を半分」にすることを目的に、失明や視覚障害を救う活動を実施し、ユニバーサル・
    ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に貢献。
  • スマホに接続して眼科診断をどこでも安価に誰でも簡便に使用できるスマホアタッチメント型医療機器Smart Eye
    Camera(SEC)と眼科診断AIを開発し、医療機器不足や医師不足を解決
  • 十分な眼科診察を行い得ないような途上国を中心とする20か国において100台以上のSECが展開されており、年間
    15,000件以上の診断を実施。
  • IT技術の眼科医療への応用により、僻地や難民キャンプ等での診察を可能にし、UHC達成に貢献。

評価されたポイントは、IT技術を駆使して「失明」を克服しようとする取り組みは、他の医療問題でもロールモデルとなり得る点や、失明や視覚障害の予防により、それらが招くであろう生活の質低下や医学的・経済的損失を防止していることがあげられます。

特定非営利活動法人ジャパンハート

《取り組み内容》

  • 患者一人当たりの治療コストが高く、国際医療支援の中でも後回しにされがちで注目されにくい小児がんを中心に、日本国内及び東南アジア各国で、年間3万件を超える医療活動を実施。「治療すれば救えるはずの命」を治療し、救うことを積み重ねてきた。
  • カンボジア国内で唯一、無償で小児固形がんの治療を行う「ジャパンハードこども医療センター」は、多くの人にとって「命の最後の砦」となっている。
  • 将来的には、周辺国からの患者を受け入れるとともに周産期医療にも力を入れ、現地医療機関との協力体制や日本の大学・医療機関等との連携により、南南協力・三角協力も視野に入れた医療支援モデルの構築を目指している。
  • 途上国の最前線で、将来的なビジョンを設けながら、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に貢献。

評価されたポイントは、現地政府や自治体、住民と共に医療機関の運営を実現しており、医療拠点の運営モデルとして、他国・他地域にも応用可能な点や、途上国で医療サービスを受けることができない社会的な問題と経済的な問題の両者の解決に寄与していることがあげられます。

2008年より活動を開始

カンボジアの医療発展のため、ジャパンハートは2008年より活動を開始しました。

当初は、農村地域にあるジャパンハートの提携病院の一画を特定の期間だけ間借りして診療を行っていました。1年に数回の活動から始まり、2015年度には毎月2回の定期的な手術活動を行うに至りました。

2016年5月に首都プノンペンから北へ35km離れたカンダール州に活動拠点となる病院を建設し、開院しました。

子どもから大人までの一般外来診療だけでなく、産科の診療も開始しました。拠点病院を持ったことで夜間の救急患者にも対応できるようになりました。

2018年6月に、小児がん治療のための病棟を含む小児科病棟を増築し、小児がん・小児外科疾患を含む小児全般の病気の診療が可能となりました。

他にも様々な活動・苦労があります。遠く、設備も人員もないカンボジアにゼロから病院をつくっていくことは、どんなに大変だっただろうと思います。

《参照》Japan Heart



【特別賞】

特別賞を受賞した7社をご紹介していきます。

株式会社シュークルキューブジャポン

《取り組み内容》

  • 未電化地域の住民が約6億人存在し、高速通信網も未発達であることによって、デジタル社会から孤立し、教育・医療・農業・社会保障などでデジタルトランスフォーメーション(DX)化が行き渡らず都市部との格差が広がっているアフリカにおいて、太陽光発電とインターネット通信を同時に実現できるサービスを「Made with Japan」で実現。
  • 未電化・未電波地域の村落へ電気と通信の提供を実現する「TUMIQUI Smart Kit」の導入により、医療環境が改善され、1,000件以上の出産や診療が明るい光の下で安全に行われたほか、8万人もの市民にインパクトを与えた。
  • 持続可能な事業構築を築くため、現地政府や自治体と連携し、現地工場での生産と現地スタッフによる保守修理の体制を実現。

評価されたポイントは、現地にノウハウを移転することで持続可能性を高め、デジタルインフラでアフリカの総合的な発展に寄与した点があげられます。

「TUMIQUI Smart Kit」とは、再生可能エネルギーと通信を組み合わせたポータブル機器です。2020年3月31日時点で、セネガル保健省と共に未電化村落9カ所の診療所に設置したTUMIQUI SMART KIT(ツミキ スマートキット)も現在も順調に稼働しているということです。

株式会社荏原製作所

《取り組み内容》

  • 「6億人に水を届ける」ことを目標に、ドイツのスタートアップ企業と提携し、貧困層や経済・社会システムの脆弱な地域で「持続可能性に富む給水のビジネスモデル」を創出
  • 太陽光発電を用いて浄水装置を運転し、飲料水をつくり、販売する施設「WaterKiosk®」を、ケニア・マチャコスの障害を持つ子どもたちの学校の敷地内に開設。
  • つくられた飲料水は、学校には無償で提供し、余剰水を地域コミュニティに有償で販売することで、運営費及び将来のメンテナンス費用を賄い、自立したビジネスとして運営できる持続性の高い仕組みを実現。更に飲料用以外の水は学校の敷地内で魚の養殖や野菜栽培に利用し、育った魚や野菜は学校給食として提供。

評価されたポイントは、日本の水資源工学の優位性を途上国の現場に効果的に提供した点があげられます。

「WaterKiosk」(飲料水販売所)とは、公共の場所に設置された飲料水の販売所のことを言います。上水道からRO膜と呼ばれる浄化槽においても利用される高度な水処理が可能なろ過膜を利用して、不純物等を取り除くことで安全な飲料水を提供します。

ゆめ伴プロジェクトin門真実行委員会

《取り組み内容》

  • 認知症の人の「まだまだ働きたい」という声をきっかけに、認知症の人や家族、市民団体や介護事業者、社会福祉協議会、行政など多様な団体で実行委員会を結成し、認知症の人が主役となり活躍する「ゆめ伴プロジェクト」を展開。
  • 街のカフェとコラボした「ゆめ伴カフェ」や、認知症の人と市民が共同で綿花や野菜を栽培する「ゆめ伴ファーム」、コロナ禍でも折り鶴でつながろうと15万羽を集め展示したプロジェクトや高校生との文通等を実施。
  • 認知症の人が主役となる活動を多様な人や団体がつながって創出し、地域の人と共に楽しむ場をデザインすることで、「認知症になっても輝けるまち」を目指している。

評価されたポイントは、社会から孤立し希望を失いやすい認知症の人が生きがいを感じることのできる包摂的な社会の実現に寄与した点があげられます。

愛知県立南陽高等学校Nanyo Company部

《取り組み内容》

  • 経済活動を通した地域貢献と持続可能な課題解決を目的として、フェアトレードやカーボン・オフセット、COOLCHOICEを活用した商品開発・販売を展開。
  • 企業からの依頼で共同開発した規格外品のりんごを使った商品は、コロナ下で賞味期限が切れそうになった際に、商品を原料に変える発想でアイスに作りかえることで、食品ロス削減にも貢献。
  • 一連の商品開発・販売は、生産者や消費者、企業など地域社会を巻き込んだ取組となっており、フェアトレードの認知度や環境に対する意識向上につながっている。

評価されたポイントは、生徒が自らが主体性を持ち、地域社会を巻き込んだ取り組みは「持続可能な社会の創り手」育成にも寄与した点があげられます。

「フェアトレード」とは、公平・公正な貿易という意味です。発展途上国の生産物を、その生産者の生活を支援するため、利潤を抑えた適正な価格で生産者から直接購入することです。詳しくは、下記の記事でご確認ください。

《参考記事》【WFTOとは】世界フェアトレード連盟の認証ラベル・マーク・基準

《参考記事》【国際フェアトレード認証ラベルとは】マーク・対象商品・SDGsとの関係

「COOL CHOICE」は、CO₂などの温室効果ガスの排出量削減のために、脱炭素社会づくりに貢献する「製品への買換え」「サービスの利用」「ライフスタイルの選択」など、日々の生活の中で「賢い選択」をしていこうという取り組みです。

「カーボン・オフセット」とは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、できるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。

株式会社エルコム

《取り組み内容》

  • 有効活用できていない漂着プラスチックや複合材プラスチックを特殊ボイラの燃料に活用し、クリーンエネルギー
    を供給することで、プラスチック処理及び化石燃料問題へ同時にアプローチする独自の循環型モデルを構築。
  • 漂着プラスチックに悩む自治体や、使用済プラスチックの処理・リサイクルを外部委託している企業が、当該ボイ
    ラの導入により自ら廃棄プラスチックを有効活用することができる地産地消の取り組み。
  • 有識者や漁業関係者等、多様なステークホルダーと連携し当該モデルを展開。観光需要の発掘等、この取り組みと関連した地域内の新規事業の創出にも繋げる

評価されたポイントは、プラスチックごみの削減及び海洋流出防止に加え、温室効果ガス排出減少にも寄与した点があげられます。

大槌ジビエソーシャルプロジェクト

《取り組み内容》

  • これまで助成金を使用し「害獣」として駆除・処分されてきたニホンジカを「まちの財産」(山林資源)として有
    効活用することで、社会的・経済的価値を生み出し、ジビエを軸とした各種新規事業を創出。
  • 市民・企業・行政が協働の上、捕獲から加工、流通、ツーリズム、次世代育成において一貫した「大槌ジビエサイ
    クル」を構築し、持続可能なまちづくりを推進
  • 同様の課題を抱える小規模自治体へノウハウを共有することで新たなパートナーシップを創出し、交流人口を拡大。

評価されたポイントは、汎用性のある地域課題を官民連携による多様な関係者の下で多角的に取り組み、地方創生に寄与した点があげられます。

鳥獣被害という全国各地で起こっている課題を地域の財産へと変えていくための挑戦が「大槌ジビエサイクル」です。シカを狩猟するハンターから⾷⾁加⼯事業者へ、革や⾓はクラフト作家へ提供、これらの商品・作品を⼤槌のストーリーとともに特設の通販サイトで消費者へお伝えします。

さらに興味を持った人たちが現地へ足を運べるジビエツアーを開催し、参加者がそれぞれの地域に持ち帰り、その地域における新たな取り組みや、ハンターの育成へとバトンをつなげられるような、好循環を⽣み出していくことを⽬指します。

一般社団法人男女共同参画地域みらいねっと

《取り組み内容》

  • 中学生を対象に「ジェンダー視点を取り入れた防災教育」を展開することで、次世代の災害時における実践的な力
    量を形成するとともに、男女共同参画の意識向上を推進。
  • 災害時のみならず、平時におけるジェンダー平等や多様性配慮への気づき、防災意識の向上、「持続可能な社会の
    創り手」の育成に貢献。
  • 学内の取り組みに留めず、地域住民、自治体、教育委員会、女性消防団、防災士等を巻き込み、臨場感に富んだ模擬体験を行うことで、広範な関係者へも防災知識を普及

評価されたポイントは、ジェンダー平等と防災教育の両面での取り組み推進した点があげられます。

【まとめ】第5回ジャパンSDGsアワード

2021年12月24日に発表された、第5回ジャパンSDGsアワードの表彰結果をご紹介してきました。SDGs推進本部長賞は、内閣総理大臣賞とも呼ばれ、政府からの認定をもらえることになる賞です。

SDGsに関する取り組みは、17のジャンルごとに目標が立てられ、開発途上国(発展途上国)と先進国、世界で取り組んでいる目標です。貧困や飢餓、教育やジェンダー、環境問題など多岐に渡ります。

そんなSDGsの目標達成に繋がるビジネスを展開するということは素敵なことですね。

《参考記事》【SDGsとは何か】17の目標一覧とその意味・課題を簡単に解説

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。現在2022年なので、残された期間はあと8年です。SDGs達成の折り返し地点まできているのでしょうか。

まずは、わたしたちの日々できることから取り組んでいきたいですね。たとえば、エシカル消費を心がけてみるものいいかもしれません。

《参考記事》【簡単にエシカルの意味とは】消費・ファッション・スタバの取り組み

他にもSDGsに取り組む企業がたくさんあるので、その一部をご覧いただけます。

《参考記事》【SDGsとは何か】ロゴ・バッジの使用、企業の取り組みを紹介

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