【SDGsとは何か】17の目標一覧とその意味・課題を簡単に解説

最近、テレビやSNSなどでも話題の「SDGs」ですが、17の目標について皆様ご存知でしょうか。

  • SDGsとは?簡単に知りたい。
  • 17の目標とはどんなもの?
  • なぜこのような目標が掲げられたの?

もともとオーガニック製品の愛用者で、フェアトレード・エシカルなどにも興味をもってきたわたしがご紹介していきます。

「SDGs」とは何か

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。エス・ディー・ジーズと読みます。貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけています。

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。

持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人として取り残さない」ことを誓っています。

SDGsは2030年までに達成することを目指している目標ですが、一部は急いで対策しなければいけないもの含まれます。特に環境問題、地球温暖化、異常気象は早急に対策したい課題です。なお、人命も左右する問題なので、食糧不足も早急に取り組まなければいけない問題といわれています。

SDGsの取り組みが掲げられた背景

実はSDGsの前に「MDGs」という取り組みがありました。MDGsは発展途上国向けの目標で「Millennium Development Goals(ミレニアム開発目標)」の略です。

2000年に採択されたMDGsは、2015年までに達成すべき目標として8つの課題を掲げていましたが、すべて達成とはなりませんでした。

MDGsは発展途上国の課題とされていますが、実際は国際社会全体が力を合わせて発展途上国の目標達成を支援してきました。日本の外務省もODA(政府開発援助)としてMDGsに取り組んでいましたが、なかなか民間企業も巻き込むことができませんでした。

政府だけ取り組むには、技術力や使用できる資金も限られたものになり、目標達成するのは難しい状況でした。なので今取り組んでいる「SDGs」では、資金面や技術面で民間企業を取り込もうと、達成目標を先進国の課題にまで広げたのです。

たとえば、環境問題やジェンダー平等などは、先進国や発展途上国に関わらず取り組むべき課題です。先進国も「自分ごと」として世界の課題を考え、取り組む企業が増えているという傾向があります。

《参考記事》【SDGsとは何か】ロゴ・バッジの使用、企業の取り組みを紹介

SDGs「17の目標」

17の目標について、テーマの紹介をしていきます。なぜ達成すべきなのか課題になっているのか、現状にフォーカスしていきたいと思います。

わたしは、少額ですがユニセフの毎月定額の寄付をしています。ほんの少しでも救われる子どもたちが増えることを祈ります。定期的に冊子が届き現状や活動内容を知ることができますので、身近なことに感じられ、とても勉強になります。

《参考》unicef(ユニセフ)

1)貧困をなくそう

SDGs_1_貧困をなくそう

「地球上のあらゆる形の貧困をなくそう」ということがテーマです。

世界の貧困

極度の貧困状態で暮らしている人は7億960万人もいます。そのうち約半数が子どもで、3億5600万人にのぼります。つまり、世界では6人に1人(3億5600万人)の子どもたちが、極度に貧困な暮らしをしています。
極度に貧困な暮らしとは、国際基準で1日あたり1.9米ドル以下の生活としています。そのうち17歳以下の子ども人数と割合は次の通りです。
  • 15.1%:0~4歳(1億700万人)
  • 15.9%:5~9歳(1億1320万人)
  • 13.2%:10~14歳(9380万人)
  • 5.9%:15~17歳(4160万人)

極度に貧困(1日あたり1.9米ドル以下)の暮らし

本日(2021年11月)時点の1ドル=114円で換算すると、1.9米ドル=216.6円です。1日216円で生活するのは、とても可能なことだと思えませんね。
1日1.90米ドル未満で生活する子どもの3分の2を、社会的セーフティネットが限られているサハラ以南のアフリカの子どもが占めています。南アジアは、こうした子どもたちの5分の1近くを占めています。
日本とは、物価が違うとはいえ、住む場所や洋服どころか今日食べるものも困っているような状態でしょう。そんな子供たちが多くいると思うと悲しいです。
子どもは世界人口の約3分の1を占めていますが、極度の貧困下にある人々の約半数は子どもです。

2)飢餓をゼロに

SDGs_2_飢餓をゼロに

「飢餓をなくし、誰もが栄養のある食糧を十分に手に入れられるよう、地球の環境を守ながら農業を促進しよう」ということがテーマです。

栄養不良の問題

世界の10人に1人が、その日食べるものがない、または明日以降も食べ物があるか分からない状態です。信じられますか。
2019年には世界で1億4400万人もの子どもたちが、慢性的な栄養不良です。子どものころの慢性的な栄養不良は、脳や身体の発達にも影響すると言われています。
わたしたち日本人は食べ物がないどころか、冷蔵庫の中で賞味期限を切らせ、捨ててしまったり、コンビニやスーパーなどでは売れ残った食料を廃棄していたりします。
飢餓で苦しんでいる人もいる中、日本を含め世界では肥満な人もいます。肥満は、カロリー過多で、栄養不足な場合が多いのである意味では栄養不良と言えますが、これは別の話なので今回は控えます。
栄養不良とは、単に食べ物の量が不足していることではありません。人間に必須の栄養素が不足していたり、栄養のバランスが悪かったりすることを意味します。
栄養不良は、健康や成長に悪影響を与えます。なので、わたしはひとつの食品を取り続けるダイエットはおすすめできません。今後の健康も考え、持続可能なサステナブルな方法を推奨します。

飢餓の問題

十分な食料が手に入らず栄養不良になっている飢餓人口は、長く減少を続けていましたが、最近は再び増加しています。
飢餓人口は2005年の8億2560万人から、2014年には6億2890万人まで減少しましたが、その後はゆっくりと増加する傾向にあり、2019年の時点では、6億8780万人となりました。
現在の増加傾向がこのまま続くと、2030年の飢餓人口は8億4140万人になると予想されています。さらに、新型コロナウイルスの世界的な影響により、飢餓人口が8300万人~1億3200万人も追加されると予測されています。

発育阻害

日常的に栄養を十分にとれずに慢性的な栄養不良になり、その年齢にふさわしい身長にまで成長できていない状態のことを「発育阻害」といいます。
世界には1億4,400万人も発育阻害の人がいます。そのうち5歳未満児の割合は、21.3%です。発育阻害の子どもの61.2%は南アジアで暮らしています。
発育阻害の子どもの数は世界的に減ってきていますが、アフリカでだけ増えています。

消耗性疾患

急性あるいは重度の栄養不足が原因で「消耗性疾患」は起こります。十分なカロリーがとれておらず、差しせまった死の危険に直面している状態です。
4,700万人も消耗性疾患の人がいます。そのうち5歳未満児の割合は、6.9%です。

肥満症

食べているカロリーに対して、使われるカロリーが少なすぎると「肥満症」が起こります。その状態が続くと、その後の人生で心臓病や糖尿病など「非感染性の病気」にかかる危険が増します。
3,830万人も肥満症の人がいます。そのうち5歳未満児の割合は、5.6%です。過体重の子どもたちの数は、世界全体で増える傾向にあります。

3)すべての人に健康と福祉を

SDGs_3_すべての人に健康と福祉を

「すべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」ということがテーマです。

5歳未満児の死亡率

たとえば、サハラ以南のアフリカ地域で、子どもが命を失う割合がとても高くなっています。2019年のデータによると、100人の赤ちゃんが出生して、5歳を迎えることなく10人以上がなくなるという国もあります。
つまり、5歳未満児の死亡率が10%をこえる国があるのです。なんと悲しい事実でしょう。
多くの子どもたちが、風邪をこじらせた肺炎や、下痢による脱水症状など、予防や治療で対応できる原因で、命を失っています。救えた命と思うと悔しいですね。
また、5歳未満で亡くなる子どもの半数近くが、生まれて28日のうちに亡くなっています。妊娠・出産するお母さんへのケアが不十分だったり、赤ちゃんを産む環境が整っていなかったりすることが主な原因です。
ちなみに、医師ひとりが担当してる人数の割合は次のようになっています。
  • 日本:414人に対して、医師が1人の割合
  • とある世界の国:数万人に対して、医師が1人の割合

治療を受けれらない子どもたち

世界では、病気になっても治療が受けられない子どもたちがたくさんいます。治療が受けられていない子ども割合をご紹介します。
  • 53%:肺炎の治療が受けられない子ども
  • 62%:下痢の治療が受けられない子ども
  • 70%:マラリアの治療が受けられない子ども
日本ではあまり馴染みがない「マラリア」とは、結核、エイズと並ぶ世界の3大感染症のひとつです。
マラリア(Malaria)は、亜熱帯・熱帯地域を中心に感染者数が多く、熱帯熱マラリアでは、早期に適切な対応をしないと短期間で重症化し死に至ることがあります。

4)質の高い教育をみんなに

SDGs_4_質の高い教育をみんなに

「すべての人々に公平な質の高い教育を提供し、一生に渡って学習できる機会を促進する」ということがテーマです。

学校に通えない子どもたち

たとえば、小学校に通えない6〜11歳の子どもは世界に5900万人います。そのうち、3200万人の子どもが、サハラ以南のアフリカ地域、西アジア地域、南アジア地域の子どもです。これは5人に1人にあたります。
中学校や高等学校に進学できるチャンスも限られています。世界全体でみると、16%(25人中4人)が中学校に通えず、35%(20人中7人)は高校に通えません。

幼稚園に通えない子どもたち

なお、世界の約半分の幼児たちは、幼児教育を受けることができずにいます。その数は最低でも世界で1億7500万人いると言われています。
最低でこの人数の子どもたちが幼稚園に通えていないということが発覚していますが、この数字にすら集計しきれていない子どもたちもいるかもしれません。
3〜5歳の小学校にあがる前の子どもたちが、幼稚園などに通って幼児教育を受けていると、その後、小学校にあがってからも、しっかり学校生活を送ることができることが分かっています。学習についていけなくなったり、途中で学校をやめてしまったりする割合も低くなるそうです。
十分な教育が受けられる子と、そうではない子が、環境によって二分化しているのでしょう。

5)ジェンダー平等を実現しよう

SDGs_5_ジェンダー平等を実現しよう

「男女平等を実現し、すべての女性と女の子の能力を伸ばし可能性を広げよう」がテーマです。
たとえば、6歳から11歳の子どものうち、一生学校に通うことができない女の子は男の子の約2倍です。幼い女の子たちは可能を制限されている子が多くいます。望んでいないのに、そのようになっているのは大きな問題です。

児童婚の実情

世界中の女性のうち18歳になる前に結婚した人は、6億5000万人もいます。世界中で、毎年1200万人が幼少期のうちに結婚しているといわれています。
南アジアは児童婚がもっとも広く行われている地域で、世界の児童婚の44%(2億8500万人)を占めています。南アジアに次いで多い地域はサハラ以南のアフリカで、世界の児童婚の18%(1億1500万人)を占めます。
児童婚の慣習は、世界中で減ってきています。この20年間で子どもの頃に結婚した女性の割合は15%下がり、4人に1人(25%)だった割合が、5人に1人(21%)になりました。これは、2500万人の児童婚を防ぐことができたという計算になります。
児童婚の減少の理由としては、次のようなことがあげられます。
  • 教育を受ける女の子の割合が増えた。
  • 各国政府が10代の女の子たちに対する様々な投資を積極的に行うようになってきた。
  • 児童婚が違法であり、女の子たちの身に起こる様々な負の影響が認知されてきた。

児童婚は先進国でも起こる

児童婚は先進国でも起こりうるのです。アメリカでは50ある州の多くに、例外的に18歳未満の子どもの結婚を認める法律が存在します。

欧州連合(EU)に加盟している国のなかで、いかなる場合でも18歳未満の結婚を禁止している国は2017年時点で4カ国しかないのが現状です。

児童婚による女の子への影響

幼いうちに結婚することは、女の子の人生に多くの影響を及ぼします。

たとえば、エチオピアでは、子どものうちに結婚した若い女性の大半が、20歳になる前に子どもを産んでおり、子どもの花嫁は妊娠・出産に関してきちんとしたケアを受けていないことが多いです。

さらに同じくエチオピアの結婚している10代の女の子たちは、結婚していない10代の女の子たちと比べて学校に通えない割合が3倍も高いです。

世界:国会議員の男女比率

2020年1月時点で、各国の女性の国会議員の割合をご紹介します。女性比率が高い国1位がルワンダで、61.3%が女性です。10人中、女性6名・男性4名という比率ですね。
続いて、2位キューバ(53.2%)、3位ボリビア(53.1%)と女性の国会議員が、男性の国会議員数を上回っています。また、4位アラブ首長国連邦(50.0%)がちょうど男女比率の半々で、女性の国会議員がが半分以上の国は4カ国しかありません。
ちなみに日本で女性の国会議員は、なんと9.9%しかいません。順位にすると196か国中、165位です。
わたしとしては、もっと女性の国会議員増えて欲しいです。社会で働いていても「女性だから」「若いから」など、先入観を持って業務を依頼されたり、差別的な発言を受けて何度も悔しい思いをしました。このような思いをする女性が減る世の中になってほしいです。


6)安全な水とトイレを世界中に

SDGs_6_安全な水とトイレを世界中に

「すべての人々が安全な水とトイレを利用できるようにし、自分たちで管理していけるようにしよう」ということがテーマです。
2019年6月18日に、ユニセフ(国連児童基金)世界保健機関(WHO)は、次のように発表しました。
世界の約22億人が、安全に管理された飲み水の供給を受けられず42億人が安全に管理された衛生施設(トイレ)を使うことができず、30億人が基本的な手洗い施設のない暮らしをしています。
水と衛生施設があるだけでは十分ではありません。水が汚れていて、飲用するのに安全でなく、あるいは遠く離れた場所にあったり、トイレへのアクセスが安全でなかったり、制限されているとしたならば、世界の子どもたちに十分なサービスを提供しているとは言えません。

飲料水の供給

2000年以降、18億人が基本的飲み水の提供を受けられるようになったとしていますが、10人に1人にあたる7億8,500万人が基本的なサービスを受けられません。
その中には処理されていない地表水を飲む1億4,400万人が含まれます。

トイレ

2000年以降、あらたに21億人が基本的衛生施設(トイレ)を使用できるようになったものの、依然として20億人が基本的な衛生施設(トイレ)を利用できず、その10人に7人が村落部に暮らし、3分の1が後発開発途上国(LDC)に住んでいます。
なお、屋外排泄をする人の割合は21%から9%と半分になり、23カ国は屋外排泄をする人の割合が1%を下回る状態になりました。
しかし、今でも6億7,300万人が屋外排泄をしています。サハラ以南のアフリカを中心とした39カ国では、屋外排泄をする人の数は増加しているというのが現状です。

手洗い所

2017年、家に水と石けんを備えた基本的手洗い所がない人が30億人いるというデータを示しています。これは、後発開発途上国の人々の4分の3近くが、家に手洗い所がないことを示しています。
毎年29万7,000人の5歳未満児が、不適切な水と衛生に関連する下痢症で命を落としています。不適切な衛生状況と汚染された水は、コレラ、赤痢、A型肝炎、腸チフスなどの病気の感染と関連しています。
わたしたちの暮らす日本では「手洗いうがいをしましょう」と当たり前のように言われていますが、そのような環境があることにも感謝したいですね。

7)エネルギーをみんなに そしてクリーンに

SDGs_7_エネルギーをみんなに そしてクリーンに

「すべての人々が、安価かつ信頼できる近代的エネルギーへ、ずっとアクセスできるようにしよう」ということがテーマです。
たとえば、世界で電力を使えない人は7億8900万人もいます。
2030年までに、エネルギーをつくる方法のうち「再生可能エネルギー」を使う方法の割合を大きく増やすことが目標とされています。「再生可能エネルギー」とは、太陽光、風力、地熱など、使っても減らず、二酸化炭素を排出しないエネルギー源のことです。
2019年、世界で使われているエネルギーのうち、再生可能エネルギーを使って作られたものは、全体の17.5%です。まだまだ普及していないことが分かります。

8)働きがいも経済成長も

SDGs_8_働きがいも経済成長も

「すべての人々の生活を良くする安定した経済成長を進め、誰もが人間らしく生産的な仕事ができる社会を作ろう」というのがテーマです。
たとえば、世界の貧しい国々では、5歳から17歳までの子どもの4人に1人が、労働を強いられています。

若者の就業

2018年のデータによると、世界では15〜24歳の若者の5人に1人が教育も受けておらず、仕事にもつけず、職業訓練を受けることもできない状況にあります。4人に1人の若者がこの状況にあるとされる中央・南アジアや、北アフリカ・西アジア地域は世界でも最も深刻な状況にあります。
2017年に、若者の失業率(仕事につけない割合)がもっとも高かったのは29.5%の北アフリカと、24.9%のアラブ諸国でした。
若者の失業率の高さは、社会を不安定にする原因にもなり、これからを担う若者たちが、より多くのチャンスを得られるようにすることが大切だと、国連も国際社会に協力を呼び掛けています。

9)産業と技術革新の基盤をつくろう

SDGs_9_産業と技術革新の基盤をつくろう

「災害に強いインフラを整え、新しい技術を開発し、みんなに役立つ安定した産業化を推進しよう」というのがテーマです。
たとえば、世界では約37億人の人々がインターネットにアクセスできません。特に開発が遅れている国々の農村部では、17%の人が携帯電話の電波が届かないところに暮らしています。

スラムの拡大

2050年までに、世界の人口の3分の2以上が都市で暮らすようになると言われています。
都市は、農村と比べると経済的にも発展していて、様々な施設も整っています。都市の人口が増えると、より質の高い教育や医療を受けられる人が増える、とも言えます。
しかし一方では、都市のなかで貧しい人びとが暮らすいわゆる「スラム」といわれる地域が広がってしまうことも懸念されています。1996年に、世界で7億5000万人だったスラムの人口は、8億8000万人まで増えています。そのうち3億人は子どもです。
皆さんもイメージがあるかもしれませんが、スラムは多くの人が密集して住んでいることが多いです。
スラムは、国が認めた居住区ではないため、行政の手もなかなか届きません。水やトイレ、ごみの処理などの生活に必要な設備が不十分で衛生状態も悪く、感染症がまん延しています。
保健や教育などの公共サービスから置き去りにされた子どもたちの5歳未満死亡率は、時に農村よりも悪く、さらに小学校を修了できる割合も低いことがあります。

10)人や国の不平等をなくそう

SDGs_10_人や国の不平等をなくそう

「世界中から不平等を減らそう」というのがテーマです。

世界で広がる格差

富と所得の格差が、多くの国で拡大しています。2017年には世界人口のもっとも豊かな1%の人が持つ資産が世界全体の資産の約33%に相当しました。もっとも貧しい25%の人が持つ資産の割合は10%にすぎませんでした。
たとえば、世界の人口が100人で、世界の全財産が100万円だったとしましょう。そうすると均等であればひとり1万円の資産がある状態ということです。実際の割合に当てはめてみると下記のようになります。
  • 世界のお金持ち(1%)は、ひとり33万円を持っている。
  • 世界の貧しい人(25%)で、ひとり4万円しかない。
  • 中間層の人(74%)は、ひとり7.7万円を持っている。
数字はあくまで差を分かりやすくするためですが、こんなに差があるとは驚きですね。
豊かな人々にはさらに富が集まり、豊かな状況が固定化する傾向がある一方で、貧しい人たちは教育の機会を失い、希望する仕事について収入を得ることも難しくなり、貧しい生活から抜け出すのが難しい現状があります。
なお、貧しい家庭の子どもの世代にも苦しい生活が受け継がれてしまうことになります。

社会保障

病気やけが、障がい、失業、老齢など、自力で生活をするのが難しくなってしまった際に、必要なお金を支給したりして、最低限の生活を営むことができるようにするのが「社会保障」の役割です。
社会保障は、人々の基本的人権を守ります。日本では国の一般会計歳出の約3分の1を占める支出項目となっています。しかし、世界では社会保障制度がない国もあります。
社会保障給付を受けられる子どもの割合は、35%です。つまり世界の子どもは、3人に2人の割合で、どんなに生活に困っても政府が助けてくれる制度がない国に暮らしています。

障害のある子が学ぶチャンス

特に開発途上国において「障がいのある子ども」と「障害のない子ども」では、学ぶチャンスに大きな差があります。
中学校に通う年齢の子(13~15歳)で学校に通っていない子どもの割合を一部ご紹介します。
エチオピアの農村部では、障がいのない子どもの47%が中学校に通えません。一方、障がいのある子どもで見てみると、約98%が通えません。そのほか、パプアニューギニアやタンザニア、インドネシア、バングラデッシュ、ベトナムなども障がいのある子どもは約2倍くらい学校に通えていない現状があります。
障がいのある子どもたちも含めて、平等に学ぶ機会を与えてあげられる世界を目指したいですね。

11)住み続けられるまちづくりを

SDGs_11_住み続けられるまちづくりを

「すべての人々がずっと安全に暮らせて、災害にも強いまちを実現する」ということがテーマです。
2030年までに、すべての人が、住むのに十分で安全な家に、安い値段で住むことができ、都市の貧しい人びとが住む地域(スラム)の状況をよくすることを目指しています。
また、基本的なサービスが使えるようにし、公共の交通手段を広げるなども目標のひとつです。
過去40年に渡り、人びとが避難や移住をしなければならなくなるような自然災害の発生件数が大きく増えています。頻発する干ばつ、砂漠化、スーパー台風、豪雨など、増加している災害は、やむなく移動を強いられる人、食糧危機にさらされる人が増える原因にもなっています。

12)つくる責任 つかう責任

SDGs_12_つくる責任 つかう責任

「生産者も消費者も、地球の環境と人々の健康を守れるようにしていこう」ということがテーマです。
たとえば、世界で生産されている食品の約3分の1(13億トン)が捨てられています。日本の学校給食でも、児童や生徒1人あたり、1年間に約7.1kgの食べ残しがあります。

フードロスの問題

世界で生産されている食料のうち3分の1が、生産から消費にいたる途中で廃棄されています。食材別のフードロス(捨てられてしまう食べ物の量)割合をご紹介します。
  • 肉類(20%):世界で2億6300万トンのお肉のうち約20%が捨てられています。これは7500万頭の牛に相当します。
  • いも類(45%):北アメリカとオセアニアだけで、581万4000トンのいも類が、実際に買ったり食べたりする段階だけで捨てられています。
  • 野菜・果物(45%):果物や野菜は捨てられている割合が高い食料です。
  • 乳製品(20%):ヨーロッパだけでおよそ20%、2900万トンの乳製品が毎年捨てられています。これは5740億個の卵に相当します。
  • 穀物(30%):先進工業国では、2億8600万トンの穀物が捨てられています。これは全体のおよそ30%に相当します。
  • 魚介類(35%):漁業で網にかかった魚のうち8%は、市場へ出ることなく海へ返されます。その多くは死んでしまったり、死にかけていたり、ひどく傷ついたりした魚です。

アース・オーバーシュート・デー

「アース・オーバーシュート・デー」とは、世界全体で1年間に使えるだけの資源の量を使い切ってしまう日のことをといいます。
人類は、1年間に地球が再生産できる自然資源の量を上回って資源を使っています。
2020年、この日は8月22日と発表されました。世界中に広まった新型コロナウイルスの影響で、昨年よりも1カ月近く遅くなりました。理由は、外出自粛やロックダウンにより、人びとの活動が減り、工場や商店の休止など経済活動が止まったことで、CO2の排出削減や資源利用の減少につながりました。
人類は、生態系が再生する早さよりも1.6倍速く自然資源を消費しています。資源を使いすぎる生活は、温暖化や気候変動、さまざまな環境問題につながっています。

環境問題への理解度

持続的な生産や消費を進めていくためには、環境の問題についても知っていることが大切です。学校でも環境教育が行われるようになり、平均で先進国で暮らす15歳の62%が7つの環境問題のうち少なくとも5つについて知っていると答えました。
  1. 大気中の温室効果ガスの増加
  2. 遺伝子組み換え生物の利用
  3. 核廃棄物
  4. 土地開発のための森林伐採の影響
  5. 大気汚染
  6. 動植物の絶滅
  7. 水不足
若い人が一番良く知っていたのは大気汚染と動植物の絶滅についてで、知られていない問題は、遺伝子組み換え生物と核廃棄物でした。日本では平均の62%を下回る、44%しか知られていませんでした。

13)気候変動に具体的な対策を

SDGs_13_気候変動に具体的な対策を

「気候変動から地球を守るために、緊急対策を講じよう」ということがテーマです。
たとえば、世界中で気候変動が起こっています。過去30年間の日本の熱帯夜の平均日数は、1910年からの30年間の平均の約2.6倍です。

地球の気温上昇

国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)によって1988年につくられた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、各国政府から推薦された専門家たちが、世界中で発表される様々な研究データを分析したり、気候変動を抑える対策を考えています。
2013年に公表された、IPCCの第5次評価報告書によると、これからの100年間にCO2をはじめ、温室効果ガスの増加の影響でどれくらい地球の平均気温が上昇するか、4つの異なるパターンのシナリオを描いています。
もっとも気温の上がる割合が低いシナリオでも、2100年には2℃ほど気温が上がるといわれています。一方で、もっとも早いスピードで気温が上がると予想されるシナリオでは、4℃ほどの上昇が予測されています。

気候に関連した災害

国連が1995年~2015年の20年間に起きた気候に関連した災害について調査した報告書によると、災害が発生する回数は増え続けています。特に増えているのは「洪水」と「台風」や「ハリケーン」「サイクロン」です。
洪水は、1995年~2015年に起きた気候に関連した災害の47%を占め、23億人が影響を受けました。そのうち95%はアジアに住む人々です。
一方、洪水よりも発生する回数は少ないものの、気候に関連した災害の中で一番命の危険が高いのは台風やハリケーン、サイクロンなどの「嵐」です。実際に、こうした災害で亡くなる人のうち、40%は嵐によるものです。
特に低所得国の人びとにとって嵐は、命にかかわる大きな影響をもたらすもので、命を失う人の89%が低所得国に暮らす人です。


14)海の豊かさを守ろう

SDGs_14_海の豊かさを守ろう

「海の資源を守り、大切に使おう」ということがテーマです。
たとえば、ペットボトルやビニール袋などのプラスチックゴミが年間800万トンも、海に流れ出ています。

海洋の酸性化

海洋酸性度は、産業革命より以前との比較で26%上昇しています。2100年までに、さらに100~150%急上昇する見込みです。
海から得られる食料は世界最大のタンパク質源であり、30億人以上が体に必要なタンパク質を海の恵みに頼っています。30億人以上の人々が海洋および沿岸の生物多様性を頼りにして生計を立てています。
海は、地球の表面の4分の3を占めます。海水の量は、地球上の水の実に97%にあたります。この海洋が、人間が生産する二酸化炭素の約30%を吸収し、大気中の二酸化炭素濃度を調整し、熱の吸収などを行うことで地球温暖化の影響を緩和しています。
魚介類などの食べものを得られるだけでなく、わたしたちの暮らしになくてはならない存在です。
しかし、人間の活動によって大気中に出される二酸化炭素が増加し、海が多くの二酸化炭素を水中に取り込むことで、海水の成分が酸性化する「海洋酸性化」が進んでいます。
海洋酸性化によって、多くの海洋生物が命の危険にさらされます。酸性化はすでに海の生態系に大きな影響を及ぼしており、この海洋酸性化は、大気へ排出される二酸化炭素の量が増えれば、それに応じてこれからも進むと言われています。

15)陸の豊かさも守ろう

SDGs_15_陸の豊かさも守ろう

「陸の豊かさを守り、砂漠化を防いで、多様な生物が生きられるように大切に使おう」ということがテーマです。

生き物の状況

たとえば、絶滅の危機にさらされていると推定される生き物がたくさんいます。
  • 鳥類:14%
  • 針葉樹:34%
  • 哺乳類:25%
  • 両生類:41%

森林の状況

2015年の時点で、世界の森林面積は約39.9億ヘクタールで、全陸地面積の30.6%を占めています。2010年から2015年までの平均の純変化で、世界の森林は減少を続けており、毎年330万ヘクタールが減少しています。
特に、南アメリカ、アフリカなどの熱帯の森林を中心に減少面積が大きくなっています。一方、アジア、ヨーロッパを中心として森林面積が増加している国も見られます。森林面積の増加と減少には、地域的な偏りが見られます。

土壌の状況

たとえば、次のような理由で土壌が劣化しています。
  • 異常気象による森林火災
  • 農地などの開発のために森林が失われる
  • 農業のために過度な灌がいが行われる
  • 過度な放牧がおこなわれる
  • 化学物質で汚染される
※「灌漑」とは、河川や地下水、湖などから水を引き、農業物を育てるために田や畑へ人工的に給水をしたり排水をしたりすることです。
土壌が劣化すると、生態系が保てなくなったり、農業などができなくなったりします。

16)平和と公正をすべての人に

SDGs_16_平和と公正をすべての人に

「平和で誰もが受け入れられ、すべての人が法や制度で守られる社会をつくろう」ということがテーマです。

たとえば、世界のどこかで、5分に1人、子どもが暴力によって亡くなっています。

子どもへの家庭内暴力

世界の2~4歳の子どもの75%は、日常的に保護者からの暴力的なしつけを受けています。世界196カ国のうち、家庭における子どもへの体罰や暴力を法律上、全面的に禁止している国は60カ国です。

そのような守られた国に住んでいる5歳未満の子どもは、わずか9%です。それ以外の国で暮らす世界の6億人以上の5歳未満の子どもたちは、家庭内での暴力から、法律で守られずにいます。

法的に存在していない子ども

ひとりひとりの存在を法的に証明するものが、子どもが生まれたときに国に提出する「出生届(出生登録)」です。しかし、さまざまな理由で出生届が出されず、公的な存在証明を持たない人や子どもたちがたくさんいます。

出生登録がないと、たとえば次のような問題が起こります。

  • 予防接種が受けられない
  • 学校に入学できない
  • 犯罪に巻き込まれても裁判ができない
  • 人身売買の被害にあって国外に連れ出された子どもが生まれた国に戻れなくなる

ユニセフが174カ国のデータを分析した2019年の報告書によると、世界の出生登録の状況は良くなってきていますが、いまだに4人にひとり(1億6,600万人)の5歳未満の子どもたちが出生登録されておらず、法的に「存在していない」状況に置かれています。

この1億6,600万人の子どものうち半数は、インド・ナイジェリア・エチオピア・パキスタン・コンゴ民主共和国の5カ国に暮らしています。

17)パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs_17_パートナーシップで目標を達成しよう

「世界のすべての人が協力しあい、これらの目標を達成しよう」ということです。

資金の減少

国際協力がますます必要とされている一方、2018年に政府開発援助(ODA)に使われたお金は前年に比べて、およそ40億ドルで2.7%減少しました。

政府開発援助(ODA)とは、政府や政府関係機関が、開発途上国の経済や社会の発展、福祉の向上のために、開発途上国や国際機関に資金・技術提供を行うことです。

ODAは特に開発が遅れている後発開発途上国にとって、最大の資金源となっており、それに頼っている国が多いです。開発途上国でSDGsを達成するための資金は、年間2.5〜3兆ドル不足すると推定されています。

SDGsの達成が評価できない

ユニセフが発表した報告書によると2018年時点で、9億4500万人の子どもたちが、子どもに関連したSDG指標の少なくとも3分の2に関して、データがまったくない国、あるいは状況の改善を評価するために十分なデータが足りない国に暮らしています。つまり、この子どもたちは、どんな状況にいて何が必要か「調べられていない」状況です。

たとえば、2019年にユニセフが発表した報告書『静かに窒息するアフリカ』によると、アフリカで大気汚染を正確に測定できている地域に暮らす子どもはわずか6%にすぎず、5億人の子どもたちは、どんな大気のもとで生活しているのか分かっていません。

データや統計なしに対策や活動を計画することはできません。すでにあるデータをSDGsと突き合わせ、新たにどんな調査が必要か見きわめてデータを取ることが必要です。そのために資金を集め、技術協力を進めることが、状況を変えるために欠かせません。

【まとめ】SDGs17の目標

SDGs_カラーホイール

ここまで、「17の目標」とされた理由となる現状についてご紹介してきました。

学校に通えない子どもや、子どものうちに結婚させられたりする子がいて、トイレや洗面所すらない生活をしている人々がいて、そのような暮らしをしている人が世界にいるということが事実です。

特にアフリカが、貧困問題、飢餓の問題、子どもの死亡率の高さ、児童婚、学校に通えない、トイレの問題など、多くの課題で該当しています。どれかひとつを解決すれば良いということではなく、全課題に対して取り組む必要があります。

SDGsに取り組む企業がさらに増えていくのではないでしょうか。実際にどんな取り組みを行っているかは下記記事をご参照ください。

《参考記事》【SDGsとは何か】ロゴ・バッジの使用、企業の取り組みを紹介

このような問題を自分のことのように考えるのは難しいかもしれませんが、少しでも世界の人々・環境のために、何かできないかと考えるきっかけになればうれしいです。まずは、知ることがスタートです。

わたしたちに、できること

わたしは、毎月ユニセフの定額募金をしています。少額ですが、少しでも救われる子どもたちがいれば良いなと願っています。

他には「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」をするエシカル消費に取り組んでみるのも良いかもしれません。エシカルとは「倫理的な」という意味です。

《参考記事》【簡単にエシカルの意味とは】消費・ファッション・スタバの取り組み

また「グリーン購入」に取り組むのも良いかもしれません。環境を考慮して、必要性をよく考え、環境への負荷ができるだけ少ない製品やサービスを選び、環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入することです。

《参考記事》【グリーン購入法】グリーン購入とは?環境のため?何なのか簡単に解説

さらに「エコマーク」のついた商品を積極的に手に取ることは、はじめやすいかもしれません。

エコマークは、様々な製品およびサービスといった商品の中で、「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルです。

《参考記事》【エコマークとは何か?】商品一覧と認定基準について簡単に解説

「ちょっとしたこと」だとしても、多くの人が取り組むことで、大きな力になると思います。自分へのメリットにプラスして、地球環境や、世界の人々のためになるように、ほんの少し考慮してみませんか。

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