【簡単にエシカルの意味とは】消費・ファッション・スタバの取り組み

最近よく耳にするエシカルについて、どんな意味かご存知でしょうか。

  • エシカルってどういう意味?簡単に教えて!
  • 「エシカル消費」や「エシカルファッション」ってどういうこと?
  • スタバでエシカルって見かけたけど何だったんだろう。

もともとオーガニック製品の愛用者であるわたしが、エシカルについて解説していきます。

「エシカル」とは?

エシカルの語源、ethicalとは「倫理的な」という意味です。法律で定められているわけではないが、根底には「人間が本来持つ良心から発生した社会的規範」という一般的な定義があります。

特に「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」といったニュアンスで捉えられることが多い概念です。それを実践できる身近な行動の1つが「エシカル消費」や「エシカルファッション」です。

SDGsへの理解や取り組みが進むにあたって「エシカル」という言葉も認知度が高まってきたように感じます。

《参考記事》【SDGsとは何か】17の目標一覧とその意味・課題を簡単に解説

「エシカル消費」とは?

エシカル消費とは、直訳すると「倫理的な消費」ということです。「エシカル消費」は1989年にイギリスで専門誌「エシカルコンシューマー」(エシカル消費を行う消費者のこと)が創刊されたことがきっかけで広まりました。

「安くていいもの」など自分にとってメリットがあるかどうかだけでなく、「人と社会、地球環境、地域のことを考慮して作られたもの」かどうかを視野に入れて購入・消費することです。

たとえば、フェアトレードで生産されたオーガニックコットン製品を消費者が選ぶことがエシカル消費になります。消費を通じてこうした仕組みを支援することになるからです。

※フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」です。つまり、開発途上国で作られた原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。

より詳しく勉強したい方はエシカル・コンシェルジュ講座を受けてみるのも良いかもしれません。詳しくは下記からご覧いただけます。

《公式サイト》一般社団法人エシカル協会

エシカル消費の分類

エシカル消費は、大きく3つに分類しています。

  1. 環境に配慮された消費(グリーン購入や自然エネルギー利用など)
  2. 人・社会に配慮された消費(フェアトレードなど)
  3. 地域に配慮された消費(応援消費や、地産消費など)

3分類について、代表的な消費について具体例をご紹介します。

① 環境に配慮された消費

  • グリーン購入:環境負荷ができるだけ小さい製品を、環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入すること。
  • 自然エネルギー利用:太陽光や熱、風力、潮力、地熱など自然現象から得られるエネルギーを消費すること。石油や石炭などと違い、枯渇の恐れがなく再生可能なエネルギーであることが特徴。
  • エコマーク製品:地球の環境保全に役立つと認定された製品。
  • オーガニック製品:化学的に合成された肥料および農薬を使用せずに作られたもの。
  • レンタルカーやカーシェアリング:車を借りたり、共有して使用すること。
  • エコマークのホテル:省エネ・エコな備品を使用している/分別・リサイクルしている/エネルギーや水の削減に取り組んでいるなど、環境を配慮した取り組みをしているホテル。

② 人・社会に配慮された消費

  • フェアトレード製品:公平・公正な貿易のことで、開発途上国で作られた原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易のしくみ。
  • 障がい者の作った製品:障がいのある方が作った製品。
  • 寄付付き製品:売上の一部が、環境保護や社会貢献活動などの寄付に当てられ製品。
  • 社会的責任投資(SRI):投資をする際に、経済面など従来の投資基準に加え、環境や社会への取組み(責任や貢献)も評価に取り入れるという投資。別の言い方として、社会的投資、サステナブル投資、倫理的投資ともよばれる。
  • エシカル金融:人、地球環境、社会のことを配慮して自分のお金を融通すること。

③ 地域に配慮された消費

  • 地産地消:地元で生産されたものを地元で消費すること。
  • 地元商店での買い物:地域密着型の個人商店など消費すること。
  • 応援消費:被災地支援のための消費や、ふるさと納税などの消費。最近では、クラウドファンディング、推しているアイドルへの消費など自分以外の誰かのためにお金を使う行動全般も応援消費といえるでしょう。
  • 伝統工芸:その地域から産出される素材を元に、伝統的な技法と匠の技をもって作られてきたものへの消費。

具体例を知ると、エシカル消費の3分類の中にも多くの取り組み方があることが分かります。人によっては、既になにかエシカル消費に関わっているという場合もあるかもしれませんね。

エシカル消費に取り組むメリット

日本のGDP(国内総生産)のうち、個人消費は約5割を占めます。(令和元年版消費者白書)

個人消費が社会や経済に与える影響は、とても大きいです。「自分が購入するものすべてをエシカルに!」というとハードルが高いですが、多くの人が少しエシカルを取り入れるだけでも大きな力になるのではないでしょうか。

お金を支払い何かを購入することで、わたしたち消費者と生産者が繋がっています。消費者がものを選択する基準が変われば、自ずと企業が生産するもののあり方も変化していくでしょう。

SDGsでは、貧困に終止符を打ち地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけています。そういった持続可能な世の中にしていくことに「エシカル消費」をすることで、参加者になることができます。

※SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標のこと。

《参考記事》【SDGsとは何か】17の目標一覧とその意味・課題を簡単に解説



「エシカルファッション」とは?

エシカルファッションとは、人と地球に配慮したファッションのことです。

エルメス、フェンディ、ヴィヴィアン・ウエストウッドなどのラグジュアリーブランドからナイキ、アディダスなど皆さんもご存知の有名ブランド、そして、ユニクロやH&Mのようなファストファッションブランドまで、既にエシカルを実践している様々なブランドがあります。

エシカルファッション10の基準

  1. ファストファッション(安い使い捨て型のファッション)消費に反する:Countering fast, cheap fashion and damaging patterns of fashion consumption
  2. 生産する労働者の賃金・権利・労働環境を守っている:Defending fair wages, working conditions and workers’ rights
  3. 動植物の持続可能性(サステナブル)を支える:Supporting sustainable livelihoods
  4. 有毒農薬や化学薬品の使用問題に取り組んでいる:Addressing toxic pesticide and chemical use
  5. 環境に優しい素材を開発または使用している:Using and / or developing eco- friendly fabrics and components
  6. 水の使用量を最小限にしている:Minimising water use
  7. リサイクルやエネルギー問題、ゴミ問題に取り組んでいる:Recycling and addressing energy efficiency and waste
  8. ファッションの持続可能性(サステナブル)を開発・促進している:Developing or promoting sustainability standards for fashion
  9. 新たな取り組みを人々に知らせ、解決策を広めようとしている:Resources, training and/ or awareness raising initiatives
  10. 動物の権利を保護している:Animal rights

エシカルファッションが生まれた背景

競争が激しいファッション業界では、様々な歴史的背景があります。2013年4月24日の朝7時頃に、バングラデシュの首都ダッカ近郊の8階建の商業ビル「ラナ・プラザ」が崩落し、死者1,138人、負傷者2,500人以上という凄惨な結末を生みました。ビルには縫製工場が入居していて、多くの従業員が犠牲になりました。

この「ラナ・プラザの悲劇」の事故前日にはビルに亀裂がみつかり、地元警察からは退去命令が出ていたものの、ビルのオーナーは警告に従わず、営業を続けました。倒壊事故が起きたのはその翌日でした。これらの事実により、不慮の事故ではなく人災だったと認定されました。

上層階にあった4基の大型発電機の振動と、ミシンの振動が連動したことがビル崩壊の直接的な原因でした。この発電機が置かれていた上層階は違法に増築された場所であったため、耐久性に深刻な問題がありました。

事故後の調査で分かったことですが、マネージャーは前日の段階で訴えのあった従業員の避難を許さず、解雇をちらつかせて脅していたそうです。

より貧しい国ほど人件費は安くなりますので、アジア最貧国と言われるバングラデシュに多くの裁縫工場が建設されました。事故当時のバングラデシュの裁縫業界の平均月収は3,900円程度でした。それも早朝から夜中まで作業をしてこの程度の賃金しか支払われていないのです。

また、劣悪な労働環境も大きな問題でした。縫製工場で働く従業員のほとんどは女性であり、マネージャーからのパワハラやセクハラが常態化していました。

事件発生から約1か月後、世界のアパレル企業が「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全性に関する協定(The Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh)」に署名しました。日本企業であるユニクロも参加しています。このような事件発生してから、アパレル企業は生産現場に責任を持つべきという原則が広まりました。

他にも、製造過程で使用する化学薬品による環境破壊などが、世界的な問題となっています。

こうした問題に対し「環境・社会問題を引き起こさない、むしろ解決策となる倫理的なファッションを」という意識が1990年代からファッション業界関係者、消費者の中で高まり、エシカルファッションという言葉が広まりました。

2004年からはパリコレに平行してエシカルファッションがテーマの催しが行われたり、ロンドンやニューヨークで展示会が開催されたりするなど、世界の最先端ファッションの現場でも関心が高まっています。

ファッションの素材について

まず最初に繊維の種類について簡単にご説明していきます。分類については下記の通りです。

天然繊維

  • 植物繊維:綿、麻など
  • 動物繊維:シルク(絹)、ウール(羊毛)、他にはカシミヤ(山羊)、ラクダ、モヘア、 アルパカ 、アンゴラなど
  • 指定外:テンセル、レンチングリヨセルなど

化学繊維

  • 再生繊維:レーヨン、キュプラ、ポリノジックなど
  • 半合成繊維:アセテート、トリアセテート、プロミックスなど
  • 合成繊維:アクリル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタンなど

エシカルファッションの素材

次にエシカルファッションに素材についてご説明します。上記のカテゴリーに該当するものになりますので参照いただければと思います。

オーガニックコットン(綿花)

有機栽培の基準を守り生産された綿花を使用した素材です。認証機関に認められた農地で栽培に使われる農薬・肥料の基準が設定されています。

オーガニックコットンの農法は、農薬を使用しないことで、農地の環境や生態系、そこで働く人たちの健康や労働環境を守る、理想的な栽培方法といれるかもしれません。

《参考ページ》オーガニックコットンとは?生地の特徴・お手入れ法・認定方法を解説

たとえば、厳しい認証機関(NOC/日本オーガニックコットン流通機構)の基準をクリアしたオーガニックコットンを使用したベビー用品をお使うお店もあります。

《公式サイト》出産祝い人気NO.1【オーガニカリー】のオーガニックコットン★ベビーバスローブ

麻(リネン・ヘンプ)

環境負荷が少ない、代表的な天然繊維です。

栽培するにあたって、農薬や化学肥料が不要で育ち、収穫量も多いです。また、多量の水源も不要で汚水が少ないので、環境にやさしいです。

テンセル(木材パルプ)

主にユーカリなどが素材によって原料となります。木材パルプを特殊な溶剤で溶かして糸にしてできています。木材パルプを溶かすのに使用する溶剤は再利用ができるため、環境に優しいです。

さらに、テンセルは化学繊維と違って、微生物によって土にかえることも可能なエコ素材です。

生物由来のバイオベース繊維

生物由来のバイオマス原料から化学合成した繊維です。トウモロコシやサトウキビ、イモなどに含まれるデンプンやショ糖を原料にして作られる「ポリ乳酸繊維」もそのうちの一つです。

一般的な化学繊維と違い生物由来なので、土に埋めても2〜3年で分解され、微生物の栄養源となるので地球に優しい繊維と言えます。

ペットボトルのリサイクル(ポリエステル繊維)

ご存知の方も多いかもしれませんが、回収されたペットボトルから再生した原料を使ってポリエステル繊維を作ることができます。

各社でリサイクル技術を開発・活用しています。ごみの分別でペットボトルのラベルとフタを分けてゴミに出すのが、既に当たり前になっている方もいらっしゃると思います。



【エシカル】企業の取り組み

地球環境を守る重要性が広く認知されるようになり、SDGsへの取り組みを進める企業が増える中で、企業理念にエシカルを掲げる企業が増えてきています。

《参考記事》【SDGsとは何か】17の目標一覧とその意味・課題を簡単に解説

例えば、プラダやグッチなど多数の有名ブランドが、ファッションにリアルファー(毛皮)を使用しない「ファーフリー」宣言をしています。日本でも、ユニクロ 、しまむらなど多数のブランドが同調しています。

さらに動物の素材(毛皮、皮、羽毛)を使用しない「アニマルフリー」を宣言するブランドも増えています。

スタバのエシカルな取り組み

スタバ_フラペチーノ_ハロウィン

スターバックスは、2015年4月に提供するほぼすべてのコーヒーをエシカルに調達することを達成しています。

1998年に地球環境に対する関心が世界中で始まったころからの取り組みで、おいしいコーヒーを提供し続けるには、コーヒー豆をエシカルに調達することが大切だと気づき、環境に配慮した栽培の方法を進めてきました。

スターバックスは、世界で最も多くの国際フェアトレード認証のコーヒー豆を購買している会社でもあります。

スタバ独自の調達ガイドライン

スターバックスでは独自の調達ガイドラインを定めています。

購買する際の必須条件

  • コーヒー豆の品質がスターバックスの基準を満たしていること。
  • 適正な価格が生産者に支払われていると証明できること。

第三者機関による評価

  • 生産者の労働環境を守り、生活向上に貢献すること。
  • 生産地の環境への影響を抑えること。

エシカルなコーヒーの日

2016年9月より、毎月20日は「Ethically Connecting Day(エシカルなコーヒーの日)」と設定しています。世界中のコーヒー生産者とのつながりを感じながらコーヒーを楽しむプログラムを、店舗ごとに実施しています。

具体的には、下記のコーヒーを楽しむことができます。

  • C.A.F.E.プラクティス認証のコーヒー:ドリップコーヒ
  • 国際フェアトレード認証のコーヒー:アイスコーヒー

スターバックスでは、2010年から「フェアトレード コーヒーの日」という、倫理的な調達について理解を深めてもらう日の名称を行っていた経緯もあります。

WEBサイトでエシカルコーヒークイズにも参加でき、たのしくエシカルコーヒーへの理解とスタバの取り組みを知ることができます。

《公式サイト》エシカルコーヒーについて(エシカルコーヒークイズも)

実際にエシカルに取り組んでいる様子

とある店舗のスタバで見かけた「エシカルなコーヒーの日」の取り組みをご紹介します。

以下の画像5つは、「エシカルなコーヒーの日」に撮影したもので、それぞれ別店舗の写真です。こうしてみてみると、各店舗によってボードに表現されていて、おもしろいですね。

スターバックス_エシカルなコーヒーの日_画像2

スターバックス_エシカルなコーヒーの日_画像3

スターバックス_エシカルなコーヒーの日_画像4

スターバックス_エシカルなコーヒーの日_画像5

店内で見つけた環境配慮

スタバに行った際に見かけた環境配慮について、いくつかご紹介します。

ペーパーナプキン

スタバ_ペーパーナプキン_ミルクパックリサイクル+FSC🄬認証パルプ

スターバックス国内店舗で、サステナブルな未来につながる「FSC ® 認証紙ストロー」での提供を開始したことが話題になったので、ご存知の方も多いと思いますが、今回は「ペーパーナプキン」に注目してみます。

スタバの「ペーパーナプキン」の原料は次の通りです。

  • 70%:店舗で使用した「ミルクパックをリサイクルした再生パルプ」
  • 30%:FSC🄬認証パルプ

「スターバックスのロゴ」がプリントされた表面は見たことがある方も多いと思いますが、裏面も見てみてくださいね。

コーヒー豆かすリサイクル脱臭剤

スタバ_コーヒー豆かすリサイクル脱臭剤

スタバのおトイレには、コーヒーの豆かすをリサイクルとして使用した脱臭剤が置かれています。脱臭剤を購入する費用もコストカットできて、使い終わったコーヒーの豆かすの再活用となり、メリットしかないですね。

また、コーヒーの豆かすの脱臭効果も確かなものです。コーヒー豆の残りカスは酸性物質であるため、アルカリ性の独特なアンモニア臭をより効率的に消臭してくれます。

コーヒーの豆かすに脱臭・消臭効果があるもうひとつの理由は、焙煎後のコーヒー豆の表面にたくさんの小さな穴が空くためです。 消臭剤として一般的な「活性炭」と同じ、多孔質構造になっています。

【まとめ】エシカル

エシカルの語源、ethicalとは「倫理的な」という意味で、特に「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」ということです。

これらの考えを元に、「エシカル消費」「エシカルファッション」と各分野に広がってきています。最近では、スーパーやコンビニのレジ袋が有料化そて、エコバックやマイバックを持ち歩く人も当たり前になってきました。これも、みなさんが自然と取り入れている「エシカル」ですね。

日々のお買い物で、どちらを買おうかなと悩んだ時には、「どちらが安いか?」「いいものなのか?」など自身の評価に加えて、ほんの少しエシカルを意識して「環境にやさしいのは?」などの評価基準も持てると素敵ですね。

わたしたち自身も持続可能(サステナブル)であることが大切なので、無理はせずにほんの少し頭の片隅に置くことからスタートできればと思います。

また、SDGsに取り組む企業を紹介した記事もあるので、よければ参考にご覧ください。

《参考記事》【SDGsとは何か】ロゴ・バッジの使用、企業の取り組みを紹介

 

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