若々しく健康で生きるために、避けた方がいい「食材」をご存知ですか?
- 「糖質」は体に悪い?
- 避けた方がいい「フルーツ」もある?
- 「乳製品」や「脂質」はどう?
わたしは、ファスティング(断食)や食事指導をしている栄養士です。本記事では、「死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事」という本を要約して紹介していきます。
興味深く重要な内容が多いので、数記事にわたってまとめていきます。ぜひ最後までお付き合いいただき、若々しく健康に生きる方法をマスターしていきましょう。
まずは①からご覧いただくと理解が深まります。
《参考》【本の要約①】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:老化と腸内細菌
健康情報は、正しいものからそうでないもの、真偽が分からないものもあります。
あなたが普段よく食べているものが「避けた方がいい食材」に分類されていないか、チェックしていきましょう。
腸をダメにする食材
腸内の悪玉菌の主な栄養源となる、できるだけ摂取を避けた方がいい食品をリストアップしていきます。
時には、こうした食品を食べてしまっても大丈夫です。その分、悪玉菌を追い出して、善玉菌を増やせるような食事を心がければ良いのです。
その際には、以下の記事で紹介している「老けない食材」を積極的に食べていきましょう。
《参考》【本の要約】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:食材の例
そのためにも、どの食品が悪玉菌の好物なのか、知っておくことが大切です。正しい知識があれば「自分自身で選択」ができますし「対策」もできます。
健康で若々しくいるためにも、寿命を縮めることを防止するのためにも、必要な情報です。
では、具体的に紹介していきます。
単純糖質とデンプン
ブドウ糖、果糖、ショ糖など、単純糖質はどれも、腸や皮膚などあらゆる場所にいる悪い細菌の一番のエサとなります。果物に含まれる糖(果糖)もここに含まれます。
わたしたちは、もともと1年中いつでも果物を食べる生活はしていませんでした。
グローバル化する以前は、甘い物を手軽に楽しむのは夏から秋で、冬の退行期に備えて体重を増やし、脂肪を蓄えていました。
しかし、今のわたしたちは常夏のような生活をしており、果物をはじめとして甘いお菓子や砂糖、人工甘味料などがいつでも手に入ります。これこそが肥満を蔓延させる要因です。
悪玉菌は糖が大好きで、がん細胞も糖を好みます。最初はつらくても、砂糖を減らすことは、悪玉菌を追い出し、腸内環境を整えるのに最善の方法です。
食卓に置く砂糖やお菓子、以下にあげる高糖質の果物は旬の時期を除いては避けましょう。
ブドウ
ブドウは「小さな砂糖爆弾」です。
新鮮なブドウ1カップには、およそ23gの糖が含まれています。砂糖でいうと小さじ6杯分にもなります。
実は、健康的なおやつというより「デザート」です。
ところが、発酵させてワインやビネガーにすると体に良いものとなります。ポリフェノールが多く含まれている上、発酵させることで糖質が取り除かれます。
なので、バルサミコ酢はたっぷり、赤ワインは適度な量なら摂っても良いでしょう。
マンゴー
マンゴーの大きさはさまざまですが、米国農務省によると平均的な大きさのマンゴーはには、なんと46g(小さじ12杯分)もの糖が含まれています。
マンゴーにはブドウ糖、果糖、そしてショ糖という3種類の糖がたっぷり含まれています。
そして、マンゴーが熟すにつれて3種類の糖は増えていきます。新鮮なマンゴーがとてもおいしく、悪玉菌に好まれる理由です。
だが、未熟なマンゴーにはオリゴ糖が含まれているため、善玉菌の餌となります。
完熟バナナ
熟す前のグリーンバナナの80%近くは「レジスタントスターチ」でできています。
レジスタントスターチとは、食物繊維と似ている機能を持つデンプンのことです。善玉菌のエサとなったり、血糖値の上昇を防いだりしてくれます。
《参考》【レジスタントスターチとは】効果と温度(バナナ・さつまいもなど)
しかし、バナナが熟すとこの「レジスタントスターチ」は「糖質」に変換されます。
糖質の量が多すぎるために「1食分」に適した量は、バナナ1本の半分となります。バナナを半分だけ食べて終わりにする人は、あまりいませんよね。
熟したバナナにはショ糖、果糖、ブドウ糖が含まれます。なので、バナナを食べるならば、善玉菌のためにグリーンバナナを選びましょう。
ライチ
ライチは、甘い花のような香りと酸味が特徴で、アジア料理に添えられることも多いです。
あまり甘くなさそうに思うかもしれませんが、1カップあたり約29g(小さじ7杯分)の糖が含まれています。
リンゴ
「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」と言われていますが、実は善玉菌を遠ざけます。中くらいの大きさのリンゴ1個には19g(小さじ5杯分)の糖が含まれています。
ただ、リンゴには水溶性食物繊維も多く含まれているため、全く駄目ではありません。
11月~2月くらいの旬の時期だけ、特別なご褒美として食べると良いでしょう。
パイナップル
パイナップルはおいしいのですが、甘すぎます。
1カップ分につき16g(小さじ4杯分)の糖が含まれています。残念ながら、避けた方が賢明です。
洋梨
洋梨は、熟したものだと約17gの糖が含まれています。
しかし、うれしいことに「ダンジュー」という品種や、熟していない「バートレット」などのシャキシャキした洋梨には、レジスタントスターチが豊富に含まれているため、ぜひ食べましょう。
洋梨をもらったら、熟す直前に食べて、善玉菌へのプレゼントにしましょう。
砂糖の代用品
スクラロース、サッカリン、アスパルテームなどの甘味料は、本物の砂糖と同じく腸内環境に悪影響を及ぼします。腸内微生物叢を変化させ、悪玉菌を優位にさせてしまいます。
最近の研究では「スプレンダ」として売られているスクラロースを摂取すると、糖負荷試験で血糖値とインスリン値が水を飲んだときと比べて高くなることが明らかになりました。
さらに、スクラロースは不活性ではなく、数週間にわたって体内に残留する可能性のある毒性化合物に変換されます。
また、人工甘味料は体重増加を促します。
その理由は、甘い物質が舌に付着すると受容体が甘みを感じ、舌の神経が動き出します。そして、脳の報酬中枢にある快楽受容器に、この甘い物をもっと食べろと命令するからです。
人工甘味料は本来の砂糖と同じ快楽信号を脳に送るように設計されています。
しかし、本物の砂糖のカロリーが血流に乗らないと、脳は騙されたと感じて、腹を立てます。すると、脳はもっと糖分をとるように伝えます。
人工甘味料を摂って、脳や善玉菌をイライラさせるのはやめましょう。
《参考》【人工甘味料とは】種類一覧と危険性、メリット・デメリットのご紹介
人工甘味料の消費量とがんリスクの関連性(相関)を研究したデータもあります。ただし、関連性を示したものであり、原因(因果関係)を証明しているものではありません。
研究によると、太っている人ほど人工甘味料の摂取が多いということが分かっています。
さらに、人工甘味料の摂取量が多い人は、人工甘味料を摂取していない人と比べて、がんと診断されるリスクが高いと言うことも明らかになっています。
《参考》【人工甘味料】摂取量が多い人は、がんと診断されるリスクが13%高い
一般的な乳製品
牛の乳で作ったミルクやチーズ、アイスクリームなどを摂取するほど、自己免疫疾患を引き起こしうる「β-カゼインA1」の影響を受けやすくなります。
痛みや不快感を伴う「乳糖不耐性」を訴える多くの人は、実は「β-カゼインA1不耐性」に苦しんでいるのです。
けれど、ヤギ、ヒツジ、水牛と同じく、牛にも「β-カゼインA2」という別のタンパク質を作っているものがあり、これは体に良いです。
乳製品に関しては、正しい種類の動物から正しい種類のタンパク質を選ぶことが重要です。健康を損なわずに乳製品を選んで楽しんでいきましょう。
「β-カゼインA2」はヤギやヒツジ、水牛の乳に含まれており、フランスやイタリア、スイスなどの輸入チーズに含まれています。
また、これらのバターは透き通るような白色をしていますが、これはヤギやヒツジ、水牛が食べたものに含まれる銅色のβカロチンを無色のビタミンAの変換するのに対し、牛はそれをしないためです。
水牛のモッツァレラ、通称「モッツァレラ・ディ・ブッファラ」を食べたことがあるでしょうか。水牛のモッツァレラは、他では味わえないほどクリーミーです。
悪い脂質
脂質自体は悪いものではありませんが、長生きするためには避けた方がいい脂質があります。
それらを紹介していきます。
飽和脂肪酸
パレオダイエットやケトジェニックダイエットを支持する人たちのほとんどは、飽和脂肪酸の健康効果を称賛しています。しかし、大きな問題を見落としています。
腸内で細菌が分裂したり、死んだりすることで常に生成される細菌の断片である「LPS」は、飽和脂肪酸に乗ったり隠れたりして、腸壁を通り抜けて体内に入ります。
そして、脳の飢餓中枢である視床下部に直接運ばれます。その結果、炎症が起きて空腹感が増します。
パレオダイエットをしている人が空腹感に悩まされることが多いのは、このためです。
ピーナッツオイル
米国心臓協会の研究者が、さまざまな種類の脂質が動脈の健康に及ぼす影響を調べました。
すると、ピーナッツオイルが最も広範囲で進行した動脈硬化と、最も深刻な冠動脈狭窄を引き起こすことが分かりました。
ピーナッツオイルには「レクチン」がたっぷり含まれており、動脈への自己免疫攻撃につながります。
「レクチン」を食べれば食べるほど、腸内環境は悪化します。詳しくは以下の記事でご覧いただけます。
《参考》「レクチン」が腸内細菌を傷つける
有害なオイル
炎症を引き起こし、悪玉菌を優位にさせる最も有害な脂質を紹介します。
- グレープシードオイル
- コーン油
- 綿実油
- サンフラワー油(ベニバナ油)
- ヒマワリ油
- 部分水素添加油脂
- キャノーラ油
善玉菌のためには、これらの摂取は控えましょう。
毎日の習慣を少し変えるだけで、あなたの腸内に住む細菌たちは、新しく改装された豪華スイートルームでくつろぐかのように生き生きとするでしょう。
【まとめ】避けたい食材
最後に、本記事で紹介された食べるのを避けたい食材を一覧にしてご紹介します。
単純糖質とデンプン | ブドウ、マンゴー、完熟バナナ、ライチ、リンゴ、パイナップル、洋梨 |
砂糖の代用品 | スクラロース、サッカリン、アスパルテームなどの甘味料 |
一般的な乳製品 | 牛の乳で作ったミルクやチーズ、アイスクリームなど |
悪い脂質 | ピーナッツオイル、グレープシードオイル、コーン油、綿実油、サンフラワー油(ベニバナ油)、ヒマワリ油、部分水素添加油脂、キャノーラ油 |
フルーツは、健康に良いイメージもありますが、本書では「老ける食材」とされています。
ただし、別の著書では、フルーツほど生の酵素を摂れる食材はないと主張しているものもあります。
地球上に存在する全ての生物は、酵素とDNAから成り立っていて、酵素は人間の生命活動に欠かせない物質と言われています。その酵素を摂れるフルーツは積極的に食べようという理論です。
《参考》【本の要約②】朝だけ断食で9割の不調が消える!やり方・酵素の働き
「からだの何に良いか」「からだの何に悪いか」の見方によって、その食材の良し悪しは変わるというのが結論かと思います。
腸活やダイエットとして考えるとフルーツは血糖値を上げやすく悪玉菌のエサになってしまいます。一方で、酵素栄養学的に考えると、生野菜やフルーツは積極的に摂っていきたい食材に該当します。
わたしが普段から感じているのは「何かに良い食材」であっても、食べ過ぎは良くないということです。
たとえば、ナッツが体にいいからと、毎日クルミばかり大量に食べた場合どうでしょう。
腸内細菌の多様性を考えるとクルミばかりでなく、マカダミアナッツやピスタチオなんかも食べた方がいいのになと思います。
さらには、特定の食材を大量に食べ続けることはアレルギーを誘発することにもつながります。現に、最近はナッツアレルギーの人が増加しているそうです。
何事もバランスですね。やりすぎず、適度に取り組んでいきましょう。