【要約】空腹こそ最強のクスリ:16時間断食の正しいやり方・ナッツの食べ方

あなたは、16時間断食に興味がありますか?または、実践したことがあります?

  • 16時間断食のやり方とは?
  • どんな効果が期待できるの?注意点はある?
  • ナッツを食べるタイミングと量は?

わたしは、オーガニック食品やコスメが好きな栄養士です。定期的に、酵素ドリンクを使用した5日ファスティング(断食)を行っている実践者で、ファスティングを指導する資格も持って活動しています。

今回「空腹」こそ最強のクスリのという本を読みましたので、内容を要約してご紹介します。この本は、16時間断食の火付け役になった本です。

また、オリエンタルラジオのあっちゃん「中田敦彦のYoutube大学」でも大反響だった回です。わたしも拝見しましたが、多くの人が興味を持てるように分かりやすく楽しく、よくまとまっていました。

また、本記事は要約しても長めの内容になっているので、目次からご興味のあるところから読み進めていただても問題ありません。

簡単に「16時間断食」とは

空腹こそ最強のクスリ

空腹の時間をつくることで、体のリセット効果が期待できます。

  • 内臓機能が高まり、免疫力アップ
  • 血糖値が下がり、インスリンの適切な分泌により血管障害が改善
  • 脂肪が分解され肥満対策
  • 細胞が生まれ変わり、体の不調や老化を食い止める

トータルで12~24時間ものを食べない時間を作ると血液中の糖質も20%程度低下するとも言われています。

16時間断食の正しいやり方

カロリー計算など難しいことは一切なしです。ルールは1つだけです。

  • 食べない時間を16時間つくる

※16時間の中で、どうしてもおなかがすいたらナッツはOK
※食事は、好きなものを食べてOK

できれば、毎日続けるのが理想ですが、週末だけなどでもリセット効果が得られます。ご自身で始められるところからで問題ありません。

16時間の食べない時間を作ると言いつつもナッツ類は食べても良いということで、かなりハードルが下がったのではないでしょうか。本には、最初はナッツ類を上限なく食べても良く、徐々に空腹感に慣れてきたら量を減らしていけば良いと書かれていました。

スケジュール例

2パターンご紹介します。常にどちらかのパターンを選ばないといけない訳ではないので、「今日はスケジュール的にパターン2でいこう」など臨機応変で構いません。

また1~2時間は誤差の範囲と考えて良いですし、土日だけ実行するなど、できることから初めて、無理がないよう持続可能に取り組んでいきましょう。

① 夜間に空腹の時間をつくる

夕方18時~翌朝10時までを食べない時間にするタイムスケジュールのシュミレーションです。

6:00頃 起床
空腹を覚えたら素焼きナッツ
10:00頃 朝食(好きなモノを食べてOK)
好きなモノを食べてOK
18:00頃 夕食(好きなモノを食べてOK)
22:00頃 就寝

《パターン① 特徴》

  • 空腹を感じる時間を短くしたい人におすすめ
  • 夕食を比較的早めに食べられる人が合わせやすい
  • サーカディアンリズムに即していて、体への負担が少ない
  • アンチエイジングや病気の予防効果がより高まる
  • 睡眠時間を空腹の時間に入れるので無理なく実行可能

② 昼間に空腹の時間をつくる

朝6時~夜22時までを食べない時間にするタイムスケジュールのシュミレーションです。

6:00頃 起床、朝食(好きなモノを食べてOK、タンパク質中心だとベスト)
空腹を覚えたら素焼きナッツ
22:00頃 夕食(好きなモノを食べてOK)
24:00頃 就寝

《パターン② 特徴》

  • 朝ごはんを食べないと午前中の仕事に支障をきたす人も取り組める
  • 夕食をとるのが遅くなりがちな人に当てはめやすい
  • 昼食代の節約になる
  • ランチをとらないので眠気を感じづらく仕事効率が上がる
  • 昼間の空腹感を感じにくくするよう、朝はサラダや卵、肉、魚などタンパク質中心がおすすめ

もう少し頑張れる人は

16時間断食も難なくこなせるようになった方は、週に1回「何も食べない日」を作ることで、さらに効果が高まります。
そんな方は、1日ファスティングもおすすめです。わたしは定期的に5日断食(ファスティング)をしています。詳しくは下記の記事をご覧ください。
ただ、意外と楽だからといって24時間をこえる空腹の時間をつくらないください。身体への負担が大きく個人の判断でおこなうのは危険です。チャレンジしてみたい人には、専門家の指導の下で行ってください。

筋肉の減少対策

16時間断食の唯一のデメリットは、筋力が落ちてしまうことです。
空腹の時間を作ると1日の総摂取カロリーが減り、体重も減少します。その際、もちろん内臓脂肪が分解されるのですが、同時に人体にとって必要な筋肉も落ちてしまいます。
筋肉量が減少すると基礎代謝が下がり、かえって太りやすい体質になります。特に高齢者は体を支えるのが難しくなる可能性があり、注意が必要です。
この食事法を実践する際は、簡単な筋トレを並行して行ってください。筋トレと言っても特別なことする必要はありません。
たとえば「階段を上り下りする」「腕立て伏せや腹筋、スクワットなどをできる回数だけやる」という程度で十分です。無理のない範囲で問題ありません。

「空腹」の時間をつくる

必死に空腹に耐えろということではなく、睡眠時間と上手く組み合わせて16時間の「食べない時間」を作ろうということです。
睡眠時間が8時間の方であれば、寝る前4時間前に夕食を済ませ、朝起きてから4時間後に最初の食事を摂るということです。そこまで無理がないと思いませんか。

「食べない」時間の作り方

食べすぎや糖質の摂りすぎによる様々な害から身体を守るには「食事のカロリーを減らす」「糖質を減らす」などの方法がありますが、今回おすすめするのは「空腹の時間をつくる」ことです。
空腹の時間を作ると、内臓が休息することができ、血糖値も徐々に下がります。最後にものを食べてから、次のようなことが起こります。
  1. 10時間ほど経つと肝臓に蓄えられた糖がなくなり、脂肪が分解されエネルギーとして使用されます。
  2. 16時間をこえると「オートファジー」が働く

※オートファジーについて後ほど詳しくご紹介します。

《参考》【1日の食事に含まれる糖質量】レベル別の糖質制限方法、ご飯の目安

サーカディアンリズムに合わせる

サーカディアンリズムとは、いわゆる「体内時計」のことで、生物が生まれながらにもっている生活リズムです。
基本的には、昼間に活動して、夜間に休むという地球の自転周期に合ったリズムに沿って生活しています。ですから、活動エネルギー消費の多い昼間に食事をとり、休息モードに入る夜間は食べるのも控えるのが、本来の生体リズムに合っています。
ただ、あまりにもおなかが空いた状態では、眠りにつくのが難しいでしょうし、逆に食べ過ぎてすぐに眠ると消化不良が起こったりします。
なので、睡眠時間の2~4時間前には夕食をとると良いです。ご自身の生活習慣に合わせてスケジュールを調整してみましょう。

素焼きナッツの力を借りる

最初のうちは、長年の習慣から少しでもおなかが空くと何か食べたくなってしまうこともあるでしょう。そのようなときはナッツ食べましょう。できれば味付けなしの素焼きナッツが良いです。
ナッツ類は、古代人が主食にしていました。素焼きナッツは、低糖質で塩分も少なく、良質な脂肪が含まれています。血糖値の急上昇を抑えつつ、少量で満腹感を得やすいという特徴があります。
たとえば、アーモンドには食物繊維や鉄分、抗酸化作用があるビタミンEなどがたくさん含まれています。他のナッツ類も、体の慢性的な炎症を抑えてくれ、生活習慣病の予防にも効果的な不飽和脂肪酸、脂肪の燃焼を促すビタミンB2、鉛やカリウムマグネシウムといったミネラルなどが含まれています。
さらに、ナッツに含まれる不飽和脂肪酸がオートファジーを活性化させることも分かってきました。

ナッツは高カロリー

よく「高カロリー高脂肪のナッツ類は食べすぎに注意」と言われますが、この食事法で取り入れる場合はあまり気になくて大丈夫です。
あくまでも「空腹力」が身につくまでの間、一時的に食べるものであり、長期的に食べ過ぎることにはならないからです。素焼きミックスナッツの力を借りて空腹感を解消し、慣れていくと、やがて我慢できないほどの空腹感は感じなくなります

ナッツが苦手な方

ナッツ類に対してアレルギーがある方や苦手な方は、下記でも代用可能です。
  • 生野菜サラダ
  • チーズやヨーグルト
空腹力がつくまでの短期間であれば、缶コーヒーやコーラで補っても構いませんが、ゼロカロリーのものをおすすめします。ケット位置が上がりにくいからです。
しかし長期間にわたる人工甘味料の摂取は、腸内環境の悪化やインスリンの働きを妨げたり、慢性炎症を引き起こして肥満を助長したりましす。
オーガニック食品が好きなわたしとしては、人工甘味料などは、体で処理するのにも余分なエネルギーを使いますし反対です。著者の先生は、だいぶ譲歩して誰でも取り組みやすいように書いているなと感じます。


【1日3食】は食べすぎ

朝食、昼食、夕食と1日3食を食べるのが当たり前になっていませんか?むしろ健康のために1日3食食べないといけないと思っている方もいるでしょう。
実は、「1日3食が理想的である」という確固たる裏付けはありません。1日3食の食事を摂ることは食べすぎになりやすいです。特に糖質を摂りすぎている可能性が高いです。
ちなみに日本で1日3食が広まったのは、江戸時代からです。比較的に最近のことです。「江戸時代後期に、明かりが普及して1日の活動時間が伸びたから」「明治維新後、政府が軍隊に1日3食提供したから」など諸説あります。
カロリー消費の激しい1日を過ごしている人はいいかもしれませんが、運動不足だったり、高カロリーな食事で溢れている現代で、1日3食はカロリーオーバーになりやすいです。
たとえば、ハンバーガーとポテトとドリンクのセットで軽く1,000キロカロリーを超えます。成人が1日に必要とするカロリーは、1,800~2,200キロカロリー前後と言われています。
また、いつも決まった時間に食事をするのは健康そうに感じますが「食べすぎに気づきづらい」というデメリットもあるので注意が必要です。

「食べすぎ」による不調

食べすぎていると起こりうる不調は次のことがあげられます。
  1. 「内臓の疲れ」内臓の働きが低下して栄養素がきちんと吸収できない、老廃物を排出できない、免疫力の低下などの問題が生じます。
  2. 「肥満」余った糖質や脂質は、中性脂肪として蓄えられる。つきすぎた脂肪、特に内臓脂肪からは悪玉ホルモンが分泌され、血糖値の上昇、高血圧、血栓形成などを招く。また、悪玉ホルモンは慢性炎症症状を引き起こし、がんを発症する場合もあります。
  3. 「活性酸素を増やす」身体を錆びさせてしまう。活性酸素は、ものを酸化させる力でウイルスや異物などを殺菌・排除しますが、体内のDNAや細胞も傷つけます。活性酸素が必要以上に増えると細胞の老化が進行し、お肌のシミやしわの原因になったり様々な病気を引き起こす原因にもなりえます。
  4. 「病気の原因になる」糖尿病や高脂血症などの動脈硬化性疾患、脳出血や脳梗塞、狭心症や心筋梗塞などの虚血性疾患、がんなどの原因になりうる。

胃腸の疲弊

食べ物が、胃の中で消化されるまでの時間は約2~3時間、脂肪分の多いものだと約4~5時間といわれています。また、小腸は胃から送られてきた消化物を5~8時間かけて分解して水分と栄養分の8割を吸収します。大腸は、小腸で吸収されなかった水分を15~20時間かけて吸収します。
たとえば、このような状態になります。脂肪分の多くない食事を想定して時間は短めに書いています。なお、胃から小腸、小腸から大腸へ食べ物が運ばれるのは1時間後からスタートするとしたら、という前提で表にしてみました。
  小腸 大腸
7:00 朝食 ↓11h
8:00 ↓2h 朝食 ↓12h
9:00 ↓2h 朝食 ↓13h
10:00 ↓3h ↓2h ↓14h
11:00 ↓4h ↓3h ↓15h
12:00 昼食 ↓5h ↓4h
13:00 ↓2h 昼食 ↓5h
14:00 ↓2h ↓6h 昼食
15:00 ↓3h ↓7h ↓2h
16:00 ↓4h ↓8h ↓3h
17:00 ↓5h ↓9h ↓4h
18:00 ↓10h ↓5h
19:00 夕食 ↓11h ↓6h
20:00 ↓2h 夕食 ↓12h ↓7h
21:00 ↓2h ↓13h ↓8h 夕食
22:00 ↓3h ↓14h ↓9h ↓2h
23:00 ↓4h ↓15h ↓10h ↓3h
0:00 ↓5h ↓11h ↓4h
1:00 ↓12h ↓5h
2:00 ↓13h ↓6h
3:00 ↓14h ↓7h
4:00 ↓15h ↓8h
5:00 ↓9h
6:00 ↓10h
この表をご覧いただくと分かる通り、大腸は24時間休む暇がありませんし、小腸も寝ている時間以外ほぼ活動している状態です。
胃腸が疲れ、消化器官が衰えると、食べ物からきちんと栄養分摂ることができなくなり、体に必要なビタミンやミネラル、微量元素不足に陥ります。すると、疲れやすくなったり、肌や髪のコンディションが悪くなったりします。また、胸やけ、胃もたれ、食欲不振なども起こりやすくなります。

肝臓の疲弊

肝臓は、腎臓と共に「沈黙の臓器」と呼ばれ、意識されないことが多いです。
しかし肝臓は働き者で、体に入ってきた栄養をエネルギーに変えたり、余分なエネルギーを蓄えたり、食べ物に含まれていたアルコールやアンモニアなどの毒素を処理したり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁を作ったり大忙しです。
肝臓の機能が衰えると、解毒されるはずの毒素や老廃物が体内に残ったり、作られるエネルギーの量が減って、体が疲れやすくなります。
お酒がおいしく感じられなかったり、食欲が低下したり、肝炎や肝脂肪、肝硬変さらには肝臓がんなどを引き起こす恐れがあります。
現在、日本人の4人に1人は脂肪肝だと言われています。脂肪肝には肝炎を引き起こしやすいという特徴もあります。また、インスリンが効きにくくなり、血糖値が下がりづらく糖尿病の発祥リスクが高くなることも分かっています。

血管や血液

食べ過ぎて血液中の栄養分が過剰になると、血液や血管の状態も悪くなります。
糖質や脂質を摂りすぎると血液中の中性脂肪や「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロールが増え、それらは血管壁に付着します。そして血管が狭くなり、血液の流れが悪くなります。すると下記のような症状が出ることがあります。
  • 栄養が体のすみずみまで行き渡らず老廃物が排出されない
  • 疲労や冷え、肌荒れが起きる
  • 血管や心臓に負担がかかり、血圧が高くなる
  • 動脈硬化が生じて脳梗塞、心筋梗塞、脳出血、心不全のリスクが高まる

腸内環境の悪化

健康な時の腸は、善玉菌が優勢なのですが、腸内環境が悪化すると悪玉菌が優勢になります。ますます腸の働きが鈍って、便秘や下痢などを起こしやすくなります。
食べ過ぎて消化しきれなかった食べ物が腸内に残ると、腐敗しアンモニアなどの有害物質が発生します。腸内で発生した有害物質は、血液に乗って全身を巡ります。肌荒れが起きたり、体臭がきつくなるなど恐れがあります。
また免疫機能も備わっているので、腸内環境が悪くなることで、風邪や肺炎にかかりやすくなる、アレルギーが起きやすくなる、がんが発症するなどのことも考えられます。

脂肪細胞

食べ物によって得られた糖質や脂質は、脳や筋肉、内臓が働くエネルギー源、細胞の材料などとして使われます。余ったエネルギーは、筋肉や肝臓に蓄えられます。
筋肉や肝臓に貯蔵しきれなくなると、エネルギーを中性脂肪に変えて、脂肪細胞に蓄えてしまいます。
脂肪細胞は柔軟性が高く、中性脂肪を取り込んで数倍の大きさにまで膨れ上がることがあります。人体の中で、無限に容量を増やすことができるのは、脂肪細胞だけです。
なお、肥大化した脂肪細胞は悪玉ホルモンが分泌されるようになり、糖尿病や高血圧、慢性炎症状態を導いてがんになるリスクも高くなります。
脂肪は大きく分けて、内臓脂肪と皮下脂肪の2種類があります。
  • 「内臓脂肪」内臓周辺に蓄積している脂肪。
  • 「皮下脂肪」皮膚の下にある脂肪で表面を覆っている。
脂肪は、エネルギーの貯蔵、体温の維持、内臓の位置を保つ、各種ビタミンの吸収を助けるなど重要な役割があります。
しかし、必要以上に脂肪がつきすぎると、足腰に負担がかかり痛めやすくなったり、血液やリンパの流れも悪くなります。また、首周りの脂肪が増えれば、軌道が圧迫され、睡眠時無呼吸症候群に陥る可能性が高くなり、眠りも浅くなるでしょう。
他にも、心臓に負担がかかり、高血圧や心不全、むくみの原因になります。結果として、心臓病のリスクが高くなる、各器官の働きが悪くなるなどの不調が現れます。

悪玉ホルモン

内臓脂肪は、皮下脂肪に比べ悪玉ホルモンを分泌しやすいことが分かっています。悪玉ホルモンの影響で次のようなことが起こりやすくなります。
  • 血管の傷が修復されない
  • 血栓が溶けない
  • 腫瘍が増殖する
  • 血糖値が高くなる

「糖質の摂りすぎ」による不調

成人が1日に必要な糖質は、170gと言われています。お茶碗一杯のごはん(白米)に含まれる糖質は50g程度で、3gのスティックシュガー約17本分に相当する糖質量です。
1日3回お茶碗一杯のごはんを食べると本来必要な糖質は摂取できてしまいます。それに加えてデザートや、他の食品に含まれる糖質を摂取することで、糖質過多になります。
なお、丼ものや、ラーメン・うどんといった麺類、カレーなどは多くの糖質が含まれています。
糖質は、ドーパミンとβ-エンドルフィンを増やすことが分かっています。甘いものを食べたときの多幸感はそのためです。どんどん糖質がほしくなり、売れやすい商品なので、糖質が含まれる食品がたくさん販売されています。
糖質の摂りすぎで次のような不調が起きます。
  • 「肥満の原因になる」糖質は中性脂肪になりやすい。
  • 「脂肪肝の原因になる」肝臓に異常な脂肪がたまる。放置すると、肝硬変や肝臓がんを引き起こす恐れがある。
  • 「血糖値を急上昇させる」血糖値が上がると、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌され、血糖値を下げる。血糖値が急上昇すると、インスリンが大量に分泌され、血糖値を急激に下げるので、血糖値が乱高下する。

《参考》【1日の食事に含まれる糖質量】レベル別の糖質制限方法、ご飯の目安

血糖値の乱高下

糖質の摂りすぎにより、血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度が急上昇します。すると、すい臓から「インスリン」が分泌され、急激に血糖値を下げ、血糖値の乱高下することで次のようなことが起きます。
  • 食後すぐに眠くなる
  • だるくなる、イライラする

血糖値が高いと

糖質の摂りすぎによって、血糖値が高い状態が続くと次のことが起こります。
  1. 細胞が徐々にインスリンを受け付けなくなる。
  2. すい臓が頑張って、もっとインスリンを出そうとする。
  3. すい臓が疲弊する。
すい臓でのインスリン分泌量が低下する「2型糖尿病」発症につながる恐れがあります。
糖尿病になると、血糖値が下がらず全身の血管がダメージを受けます。網膜症、腎症、心筋梗塞や脳梗塞、認知症、がんなどの病気にかかるリスクが高まります。

糖尿病は国民病

日本の糖尿病患者は増え続けています。推計をはじめた1997年から比べても右肩上がりで推移しています。2016年時点での糖尿病患者と予備軍は2,000万人です。つまり、6人に1人です。
糖尿病とは、結影木中のぶどう糖の濃度(血糖値)が高くなる病気です。
1型糖尿病 すい臓のランゲルハンス島という部位にあるβ細胞が破壊され、インスリンが分泌されなくなる。
2型糖尿病 糖質の摂りすぎ、運動不足などで血糖値が高い状態が続き疲れ果ててインスリンが分泌できなくなる。
糖尿病は、様々な合併症を引き起こします。血糖値が高い状態が続くため、血管が障害を受けて出血したり狭くなったりして、多臓器に障害が生じます。

糖質制限はどうか

糖質制限により、筋肉量が減ってしまうこともいわれています。また、糖質以外なら何を食べても良いと油っぽいもんばかり食べてしまう人がいます。すると、今度は悪玉コレステロールなどの資質がたまり悪影響を及ぼします。
ちなみに、糖質制限はアメリカの糖尿病学会では治療法として認められていますが、日本の糖尿病学会では認められていません。
それに比べて16時間断食であれば、これは糖質がどのくらい含まれているだとか、脂質がどうかなど気にする必要がありません。知識がなくても取り組めることろが大きなメリットです。
しかも、食べない我慢やスケジュール調整は必要ですが、基本的になにを食べてもOKです。サステナブルに取り組めます。
最近の研究では、オートファジーにより、インスリンの分泌を促し、2型糖尿病を改善させる可能性があることが分かってきました。


【空腹】で体に起きること

アメリカの医学界では、空腹(断食)と健康に関する研究が盛んに進められ、多くの論文が発表されています。「空腹」が長寿と健康のカギです。
糖尿病、がん、心血管疾患(心筋梗塞や狭心症など)、神経変性疾患(アルツハイマー型認知症やパーキンソン病など)の予防に効果的と述べられています。
16時間断食によって、空腹の時間を作ることで身体に起きる奇跡のような効果をご紹介していきます。
  1. 内臓の疲れがリセットされ、働きが良くなる
  2. 活性酸素の量が減る
  3. 空腹の時間が長いほど脂肪が分解される
① 内臓の疲れがリセットされ、働きが良くなることで、下痢や便秘、アレルギー症状の改善が期待できます。
② 活性酸素の量が減ることで、細胞の老化や病気を予防することできます。
③ 空腹の時間が長いほど、余計な脂肪が分解され、減っていきます。特に内臓脂肪は皮下脂肪に比べて落ちやすいです。脂肪が分解されれば、血液中の脂質が減り、圧迫されていた血管が解放されます。
そのため、血流が良くなり高血圧や血行不良にともなう体調不良が軽減されるでしょう。内臓脂肪や血管障害は、がんや糖尿病、動脈硬化、心疾患や脳血管疾患といった生活習慣病の大きな原因のひとつです。空腹の時間を作ることで、これらのリスクを減らすことができます。

【オートファジー】とは

オートファジーとは、細胞内の古くなったタンパク質が新しく作り替えられることです。細胞が飢餓状態や、低酸素状態に陥ると活発化すると言われています。
体の不調や老化は、細胞が古くなったり壊れたりすることによって生じます。特に細胞内のミトコンドリアが古くなると細胞にとって必要なエネルギーが減り、活性酸素が増えると言われています。
つまり、空腹の時間をつくり、オートファジーによって、古くなったり壊れた細胞新しく生まれ変われば病気を遠ざけ、老化の進行を食い止めることができます。

ケトン体の増加

なお、空腹によって得られるメリットのひとつに「ケトン体」があります。
空腹の時間を作ると、ケトン体という代謝産物が増加すると言われています。ケトン体とは、体内の中性脂肪や筋肉が分解されて生み出されるエネルギー源です。ケトン体は、活性酸素や炎症から神経細胞を保護してくれる作用があります。

【がん】の予防

1981年以降、がんは長年に渡って日本人の死因1位を占めています。また、日本人の2人に1人は一生のうちに一度はがんになり、3人に1人はがんで亡くなっているとも言われています。
「〇〇を毎日食べましょう」というのはストレスがたまりそうですが「何を食べてもいいので空腹の時間を作ろう」だと取り組みやすそうです。持続可能ですよね。
がんは、糖尿病や脂肪と密接な関係があります。糖尿病や肥満になると、がんになるリスクが上がってしまいます。そのポイントは内臓脂肪にあります。
内臓脂肪には、インスリンに対する体の反応を低下させる働きがあるので、内臓脂肪が多いと血糖値が下がりにくいのです。
すると体は血糖値を下げようとより多くのインスリンを分泌しようと頑張り、結果として体内のインスリン濃度が高くなります。そしてインスリン濃度が高い状態が続くと、がん細胞が生き残ったり、増殖しやすくなってしまいます。
日本癌学会によると、22種類のがんのうち17種類のがんは肥満するほど増えるとされています。またがんが発生する主な原因はたばこ(30%)、肥満(30%)です。
肥満にならないということは、がん対策として、タバコを吸わないことと同等レベルに重要です。

すでにがんの方

ひとつ注意が必要なのは、すでにがん(悪性腫瘍)が発生している方は、空腹が逆効果になる可能性があります。
オートファジーが働くと、自分で栄養を作り出すため、がん細胞が生き残りやすくなります。空腹の時間をつくる16時間断食は、あくまで予防です。すでにがんを発症している方は医師の指示に従うようにしてください。

【高血圧症】を改善

厚生労働省が2014年に実施した調査によると、治療を受けていない人も含めて、高血圧性疾患の人は約4,300万人にもなるそうです。つまり、日本人の3人に1人が高血圧症を患っていると推定されています。
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈を通るときにかかる圧力、血液が動脈の壁を押す力、のことです。
余分なものや老廃物が血管の壁にこびりついて血管が狭くなったり、血液がドロドロになったりすると、心臓は強い力で血液を送り出す必要があり、血管にかかる圧力が大きくなり、血圧が高くなります。
血圧が高いと、血管にさらに圧力がかかり、血管の壁がさらに厚くなり、動脈のの血管の壁が硬くなり、柔軟性や弾力性を失っていきます。これが動脈硬化です。
動脈硬化が進むと、脳出血、認知症、狭心症のリスクも高まります。また、血管が血栓によって遮られると、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします
内臓脂肪型の肥満や食べすぎが原因で血圧が高くなっている人は、空腹の時間をつくるのは効果的です。内臓脂肪が分解され、血液中の糖質や脂質、悪玉コレステロールが減れば高血圧の改善につながります。
なお、オートファジーは、動脈硬化などの血管障害の予防や治療に効果があるとも考えられています。

【認知症】のリスクを減らす

内閣府が2017年に発表したデータによると、高齢化社会の進展に伴い、2025年の認知症高齢者数は800万人前後になると推計が出ています。
残念ながら、認知症に対する決定的な予防方法や治療方法は現在まだ見つかっていません。その中で「生活習慣病を予防する」ことが、認知症の予防において非常に重要だとされています。
つまり、高血圧症や糖尿病、肥満といった生活習慣病を予防することが認知症予防にもつながります。

すでに認知症の方

がんと同じく、すでに認知症の方は、オートファジーが逆効果になる可能性があります。
オートファジーは、あくまで予防のために有効ですので、すでに発症しているという方は医師の指示に従うようにしてください。

【アレルギー・感染症】を遠ざける

現在は日本人の2人に1人がなんらかのアレルギーをもっていると言われています。春先になると、くしゃみや鼻水、目のかゆみが出たり、食べ物や動物のアレルギーがあったり症状は様々です。
アレルギーは、病気や有害な物質から守ってくれるはずの免疫力が暴走することで起こります。
免疫力の過剰反応が起きてしまう理由のひとつが「腸内環境の悪化」です。腸内環境が悪化する原因は、ストレスによる自律神経の乱れや運動不足、便秘、食べすぎなどです。
常に大量の食べ物が運ばれたり、働きすぎによる疲弊や老化などにより、腸の機能が衰えます。すると、有害物質や発がん性物質が増えて腸内環境が悪化します。
腸内環境の悪化は免疫細胞の働きにも大きなダメージを与えます。実は、免疫細胞の6割は腸に集まっているといわれています。
食べ過ぎないことは、腸をいたわることで、アレルギー改善するために非常に重要です。

感染症対策

オートファジーは、細胞内に逃れた溶血性A群レンサ球菌や、サルモネラ、結核菌、黄色ブドウ球菌などの細菌をとらえ、分解する働きがあります。
また、性感染症を起こすクラミジア、食中毒を引き起こす腸炎ビブリオ、肺炎を引き起こすレジオネラ、歯周病菌など、オートファジーで増殖する細菌もあります
こうした細菌に感染している方は、医師の指示に従ってください。

究極のアンチエイジング

いつの時代にも老化は人々の大きな悩みです。しわやシミ、白髪が増えてきた、物忘れがひどくなった、体力が落ちて疲れやすくなったなど、症状は様々です。
空腹の時間を作る16時間断食は「古くなった細胞を新しく生まれ変わらせる究極のアンチエイジング法」です。
細胞が老化する大きな原因は、活性酸素です。老化は40代から加速するといわれています。活性酸素を除去する「抗酸化酵素」の能力が急激に弱まるからです。
そして活性酸素の発生や、抗酸化酵素の衰えに深くかかわっているのがミトコンドリアです。ミトコンドリアは、細胞の中にある小さな器官で、1個の細胞に数百から数千個も存在しています。
ミトコンドリアは、糖や脂肪酸から、細胞の活動に不可欠なエネルギーを作り出す役割を担っており、このとき活性酸素も発生させます。体内の活性酸素の9割はミトコンドリアが作り出していると言われています。
新しく質の良いミトコンドリアは、抗酸化酵素が活発に働き、たくさんのエネルギーを作るわりに、活性酸素をあまり発生させません。
全身の細胞内のミトコンドリアを新しくして、質も高め、数を増やせば、細胞内の老化を食い止めることができます。
トータル16時間の食べない時間をつくれば、オートファジーによって細胞内の古いミトコンドリアが一掃され新しく生まれ変わります。

成長ホルモン

空腹の時間を作ることは、成長ホルモンの分泌を促す効果もあります。「代謝を高める」「筋肉量を増やす」「コラーゲンを作る」「脂肪の分解を促進する」などの働きがあります。
一般的に40歳前後の人の成長ホルモンの分泌量は、20歳前後の人の半分程度です。これを補うには、空腹の時間を作ることが有効だとご理解いただけたでしょう。

【まとめ】16時間断食

食べるものを制限したり、何かをたくさん食べたりすることより、空腹の時間をつくることが大切だと、まとめられた本でした。

《著書》空腹こそ最強のクスリ

「オートファジー」によって、全身の細胞が若返り、体の老化を食い止めたり、病気のリスクも抑えることが分かりました。

わたしは酵素ドリンクを飲むファスティング5日間を定期的に行っています。準備食2日+回復食3日を組み合わせた計10日です。本格的ファスティングでは、医者でも簡単に直せない毛細血管まで修復されると言われており、その効果は絶大だなと感じます。

また脂肪燃焼効果も段違いで、体の変化をぐっと感じることができるので人生で1度は経験してほしいものです。

わたしの経験上、ファスティングの1日目は、多少は空腹感を感じますので、16時間ファスティングを毎日続けるより、定期的に3日ファスティングを行う方が短期集中でラクかもしれません。

ただ、長期のファスティングは、専門家のアドバイスのもと実践するようにしてください。また、水だけ断食などは危険性もあるので注意が必要です。

わたしは、16時間ファスティングや1~7日間ファスティングの実践者で、ファスティング指導も行っています。あなたの生活習慣や食生活に寄り添った方法がありますので、ご興味のある方はお気軽にご質問・お問い合わせいただければと思います。

わたしの生徒さんがファスティングに取り組んだ事例もあるので良ければご覧ください。

《参考》【事例】-5.4kgダイエット!3日ファスティングの効果(男性41歳)

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