【国際フェアトレード認証ラベルとは】マーク・対象商品・SDGsとの関係

あなたは、「フェアトレード」商品を購入したことがありますか?
  • フェアトレードとは何か
  • 国際フェアトレード認証ラベルは、どんなマーク?
  • 認証の対象品はどんなもの?
わたしは、オーガニック食品やオーガニックコスメ、エシカルやフェアトレードに興味を持ってきた栄養士です。そんなわたしが「国際フェアトレード認証ラベル」について、ご紹介していきます。

【フェアトレード】とは

フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」ということです。
つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。
日本では、途上国で生産された日用品や食料品が、とても安価に販売されていることがあります。一方、生産国ではその安さ実現する為、正当な対価が生産者に支払われないことがあります。
また、生産性を上げるために必要以上の農薬を使用して環境が破壊されたり、生産者にも健康被害を及ぼすことがあります。
生産者が美味しくて品質の良いものを作り続けていくためには、労働環境や生活水準が保証され、また自然環境にもやさしい配慮がなされる持続可能な取引のサイクルを作っていくことが重要です。
自然環境や関わる人にとって無理がない持続可能な取引をするということで、最近ではSDGsとしても注目が集まっていますね。2030年までに達成すべきSDGs17の目標が掲げられた背景にはどのような状況があるのかについては、こちらの記事をご覧ください。
なお、実際にSDGsに取り組む企業の事例をご紹介した記事もありますので、よければご覧ください。

【国際フェアトレード認証ラベル】

国際フェアトレード認証ラベル (The FAIRTRADE Marks)は、国際的なフェアトレードスキームのシンボルであり、世界的に最も認知されている倫理的ラベルの一つです。

国際フェアトレード認証ラベルは、その原料が生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て「フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明しています。
国際フェアトレード認証ラベルが付いた製品は、社会的、環境的、経済的基準について定めた国際フェアトレード基準を満たしています。フェアトレード製品を購入することは、小規模生産者と労働者の生活とコミュニティを改善することにつながります。
※国際フェアトレード認証ラベルは、Fairtrade Internationalが所有およびライセンスをしている国際登録商標です。
そのような考え方で消費活動をすることをエシカル消費とも言われます。エシカルとは、「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」といったニュアンスで捉えられることが多い概念です。詳しくは下記の記事でご覧いただけます。

国際フェアトレード基準

国際フェアトレード基準は、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)によって設定されるフェアトレード全般に関する基準です。これらの基準は、基準委員会(Standards Committee)と全てのステークホルダー(フェアトレードに参加する生産者や貿易業者など)によって、定期的に見直されています
国際フェアトレード基準は、開発途上国の小規模生産者・労働者の持続可能な開発を促進することを目指して設計されています。
基準は、下記の4つで構成されています。
  1. 「生産者の対象地域」
  2. 「生産者基準」
  3. 「トレーダー(輸入・卸・製造組織)基準」
  4. 「産品基準」
生産者とトレーダーは「経済」「社会」「環境」の3つの原則を中心とした多岐にわたる基準を守り、生産や取引を行う必要があります。
国際フェアトレード基準の最大の特徴は、次の2つを生産者に保証している点です。
  • フェアトレード最低価格:生産コストをまかない、かつ経済的・社会的・環境的に持続可能な生産と生活を支える
  • フェアトレード・プレミアム(奨励金):生産地域の社会発展のための資金
フェアトレード最低価格と、フェアトレード・プレミアムは、生産地域の物価・経済状況等と、買い手側の意見を考慮し綿密な調査と総合的な判断により、産品ごと、生産地域ごとに明確に設定されています。

トレーダーが守る基準

トレーダー(輸入組織、製造組織、卸組織)が守るべき主な国際フェアトレード基準には以下があります。

認証 フェアトレード認証原料の売買に関わる組織は全て監査を受け認証を得ていること。
トレーサビリティの確保 フェアトレード認証原料は通常品と混ぜることなく区別して管理 していること。
契約 生産者と取引業者は国際フェアトレード基準に則り双方が合意して透明性のある契約を結ぶこと。
持続的な取引の促進 生産者が安定した生活を営み、品質向上や環境に配慮した生産に取り組めるようにすること。
前払いの保証 生産者が債務のわなに陥ることがないよう、生産者からのリクエスがあれば代金の前払いを保証すること。
価格の保証 不安定な市場価格に対して、フェアトレードでは持続可能な生産と生活に必要な価格を保証すること。

フェアトレードの基準がなくても、これらの内容に配慮した取引を行っている輸入業者や卸業者はいるでしょう。しかし、それでは「任意」「善意」によるもになります。

よって、第三者機関によって認証をすることで、わたしたち消費者も商品を購入するたびに細かく調べなくても「この商品は国際フェアトレード認証のものだ」と、すぐに理解して購入の判断材料にすることができます。



【国際フェアトレード認証ラベル】種類

フェアトレードの明確な基準を設定し、それを守った製品にラベルを貼付して分かりやすく伝え、フェアトレードを広めていこう、と誕生したのが「フェアトレードのラベル」です。
商品のパッケージを見るだけで、フェアトレード商品であることが簡単に分かります。
実際に製品に貼付されている国際フェアトレード認証ラベルの種類のついてご紹介します。

国際フェアトレード認証ラベル

国際フェアトレード認証ラベル_Fairtrade mark

このラベルは、農場から認証製品として出荷されるまで完全に追跡可能であり(物理的トレーサビリティの適用)、さらにコーヒーやバナナなど認証原料100%からなる製品に表示されます。

※「トレーサビリティ」とは、商品の生産から消費までの過程を追跡することを意味します。「traceability」は、trace(追跡)+ability(能力)、直訳すると「追跡可能性」です。

矢印付き国際フェアトレード認証ラベル

国際フェアトレード認証ラベル_Fairtrade mark_矢印付き

この認証ラベルには矢印が付いています。この矢印はパッケージ裏面にて認証原料と調達方法について確認して下さい、ということを意味しています。
この矢印の付いた認証ラベルは、製品の全原料中、フェアトレード認証原料は最低20%以上である必要があり、その割合はパッケージ裏面に記載されています。

【マスバランス】制度

この矢印のついた認証ラベルは、「マスバランス」を使用して調達された一種類の原料からなる製品にも使用されます。マスバランスは、カカオ、砂糖、フルーツジュース、お茶の4産品にのみ適用されています。
サプライチェーンのある時点で非フェアトレードの原料と混ざってもよいとされていますが、製品に使用されるフェアトレード対象原料は100%フェアトレード基準を遵守して生産者から調達されていなければいけません。フェアトレードとして販売される量と、購入した量とが一致しなければいけないということです。
なぜ「マスバランス」という仕組みが適用されるかというと、小規模の農家さんにも取り組むチャンスを増やすためです。
原産国での一次加工の過程などで、大きな加工所で非認証原料と混ぜて処理せざるを得ないことが多いため、物理的トレーサビリティを課すことは、結果として小規模農家のフェアトレードとしての販売を阻害し不利益をもたらすことになりえます。
よって、物理的トレーサビリティを免除する「マスバランス」の手法を取り入れることにより、小規模生産者は、フェアトレードとして販売する機会を増やすことができます。

国際フェアトレード認証コットンラベル

国際フェアトレード認証コットンラベル_The FAIRTRADE Cotton Mark

国際フェアトレード認証コットンラベルは、製品が国際フェアトレード基準を守って生産および取引されたコットンで作られていることを示しており、生産のすべての段階で物理的なトレースが可能であり、加工中に非フェアトレード認証コットンと混合されることはありません。
コットン以外の繊維を含む混合繊維製品の場合、製品重量の50%以上(ユニフォーム、ワークウェアに限り30%以上)がコットンからなり、かつ製品に使用されるすべてのコットンが認証コットンである場合、この認証ラベルを使用することができます。
オーガニックコットンのメリット・デメリットなど詳細情報は、こちらでご覧いただけます。

国際フェアトレード原料調達ラベル(FSIラベル)

国際フェアトレード原料調達ラベル(FSIラベル)_FAIRTRADE Sourced Ingredient Marks

国際フェアトレード原料調達ラベル(FSIラベル)は、主に複合材料製品に使用されますが、タブに記載されている原料が、フェアトレードとして調達されていることを示しています。
たとえばミックスナッツ製品に「カシューナッツ」タブのあるFSIラベルが表示されている場合、カシューナッツのみがフェアトレード認証原料であり、その他のナッツは認証原料ではありません。
なおタブの中に表示される矢印は、その原料が「マスバランス」で調達されたことを示し、パッケージ裏面に詳細情報が記載されています。

旧)国際フェアトレード認証調達プログラムラベル

国際フェアトレード認証調達プログラムラベル_The FAIRTRADE Sourcing Program Mark

2014年に始まった国際フェアトレード認証調達プログラムは、カカオ、砂糖、コットンのみに適用されていましたが、現在は上記FSIラベルに移行しています。
移行期間が続くしばらくの間は、2つの種類のラベルがスーパーマーケットの棚に並びます。最近ではもうこのマークは見かけなくなってきたように思いますが、あなたは見かけたことがありますか?

【国際フェアトレード認証】対象商品

《国際フェアトレード認証の対象食品》

コーヒー 焙煎豆
生鮮果物 バナナ、りんご、アボカド、ココナッツ、レモン、オレンジ、ワイングレープ
カカオ チョコレート
スパイス バニラ、クミン、コショウ、ショウガ、シナモンなど
ハーブ・ハーブティー ルイボス、ハイビスカス、カモミールなど
蜂蜜 蜂蜜
ナッツ カシューナッツ、胡桃、アーモンド、マカデミアンナッツ
オイルシード・油性果実 ごま、オリーブ、大豆など
加工果物・野菜 ドライフルーツ、フルーツジュース、ドライ野菜
サトウキビ糖 砂糖
紅茶、緑茶など(※ルイボスティーはハーブに分類)
野菜(豆類・じゃがいも等を含む) ピーマン、メロン、ジャガイモ、ひよこ豆、レンズ豆など
穀類 米、キヌアなど

 

《国際フェアトレード認証の対象品(食品以外)》

繊維 コットン
バラ、カーネーションなど
スポーツボール サッカーボール、フットサルボールなど

《参考》FAIRTRADE JAPAN



国際フェアトレード認証の成り立ち

1960年代からフェアトレードの考えや活動が活発になりました。その歴史についてご紹介します。

1960年代~

「もう一つの貿易の形」として始まったフェアトレード運動は、1960年代になると多くのオルタナティブトレード(フェアトレード)組織が欧米で誕生し、盛んになりました。
これらのオルタナティブトレード組織はネットワークを作り上げ、単に開発途上国の生産者の製品を売るというだけでなく、小規模生産者が生き残っていくことが極めて困難な既存の貿易システムの現状について人々に知らせることに大いに貢献しました。
フェアトレード製品は、主に教会組織やフェアトレード専門ショップ(ワールドショップ)、自然食品店などで販売され広まっていきました。
しかし、より多くの消費者にも購入してもらいフェアトレード運動を広げていくには、販路を一般のマーケットにも広げることが必要でした。そこで生まれたのが、フェアトレード・ラベルの仕組みです。

1980年代~

国際フェアトレード基準を設定し、基準を遵守した製品にわかりやすく共通のラベルを貼付することでそれを消費者に知らせるラベルのしくみは、1988年オランダでマックスハベラーという名前で始まりました。

1990年代~

1992年にはドイツでトランスフェアインターナショナルとして組織され、同様の運動が欧米各国に広がっていきました。
1997年、当時各国に展開されていた日本を含む14のラベル推進機関を束ねるアンブレラ組織として国際フェアトレードラベル機構が設立されました。

2000年代~

2002年には、それまで各国ばらばらだったラベルデザインを共通にするため、現在の国際フェアトレード認証ラベルに統一され、各国で順次新ラベルへ切り替えられてきました。
現在では、欧州ほぼ全域、北米、日本、オーストラリア、ニュージーランドなど世界30カ国以上に展開されているラベル推進組織が、国際フェアトレードラベル機構の構成メンバーとして認証ラベルの普及に努めています。
2007年5月には、中南米・アフリカ・アジアの各生産者ネットワーク組織も国際フェアトレードラベル機構の構成メンバーに加わりました。

2010年~

過去1年以内に美容サロンを利用した全国・女性2,000人(女性:20〜59歳、各年代500人)に対して、2021年10月に実施されたアンケート調査の結果をご紹介します。

この調査結果によると「フェアトレード」という言葉を知っている人は、30.4%しかいませんでした。思ったより「フェアトレード」という言葉の認知度が低いのだなと感じます。

知っている人が約3割で、実行している人はもっと少ないでしょうね。しかし、意識をしなくても偶然にフェアトレード商品を購入している場合もあるでしょう。

アンケート調査の詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。

《参考記事》【アンケート結果】美容サロンのサステナビリティに関する意識調査

独立した組織「FLOCERT」

国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)は、世界30カ国以上に展開されているラベル推進組織に加え、中南米、アフリカ、アジアの生産者ネットワーク組織3団体からなるマルチステークホルダー組織であり、以下の役割をはたしています。
  • 国際フェアトレード基準の設定
  • フェアトレード市場の開拓・促進
  • 生産者への支援
  • 現行の国際貿易の不均衡な仕組みを問い、より公平な貿易を促進するためのアドボカシー活動
もともと国際フェアトレードラベル機構は、国際フェアトレード基準の設定と生産者・トレーダー(加工、輸出入業者、製造業者など)の現場検査・登録を主な役割としていました。
しかし認証業務は独立した組織によって透明かつ専門的に行われるべきとの考えから、2004年にフェアトレード認証専門会社「FLOCERT」が設立されました。
FLOCERTは、他のいかなるフェアトレード関係機関からも独立して運営され、その役割はフェアトレード製品の原料生産から加工、輸出入・製造に携わるすべての組織を監査し国際フェアトレード認証を付与しています。
なお、製品認証機関として品質マネジメントを徹底させ、認証プロセスの透明性、客観性、公平性を高めることを目的とし、2007年10月、ISO17065(製品認証機関に対する一般的要求事項)の認定を取得しました。
FLOCERTから認証を受けた組織が国際フェアトレード基準を遵守した生産および売買を行ってはじめて、最終製品に国際フェアトレード認証ラベルを貼付することが許可されます。
日本の場合、一部の組織を除き、監査および認証はフェアトレード・ラベル・ジャパンが行っています。

【まとめ】国際フェアトレード認証ラベル

フェアトレードの意味と、「国際フェアトレード認証ラベル」についてご紹介いたしました。

様々な企業が、多くのフェアトレード商品を販売しています。あなたのおうちにある商品も良く見るとフェアトレード認証マークがついているものが、あるかもしれません。

たとえば、スターバックスでは、2010年から「フェアトレード コーヒーの日」としています。それが、2016年9月より、毎月20日は「Ethically Connecting Day(エシカルなコーヒーの日)」と設定しています。

《参考記事》【簡単にエシカルの意味とは】消費・ファッション・スタバの取り組み

エシカルな消費をすると、簡単にいいことをした気分になれますよ。

エシカル(人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動)というと少し重く感じてしまいますが、地球環境にも、働く人にも、自分にもいいものを購入することです。
商品購入の際、迷ったときは「フェアトレードマーク」があるものする、スタバに行くなど、簡単にエシカル消費ができますよ。
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