あなたはファスティングの際に、困った経験がありますか。
- 効果的になファスティングにするための、前後の対応
- ファスティング中に頭痛になったときの対処法
- ファスティング中に運動や筋トレは行っていいの?
わたしはファスティング歴7年以上になる栄養士です。ファスティングを指導する資格も保持しています。そんなわたしが、ファスティング中に気になる疑問について解説していきます。
気になる項目を急いで確認したい方は、「もくじ」からご興味のある個所に飛んでご覧ください。
【ファスティング前の疑問】
ファスティングプログラムを実施する前に知っておくべきことや、気になる疑問をまとめます。
「スケジュール」の立て方
基本的には、お仕事の日や休日に関わらず、スケジュールを組んでいただけます。食事会などが入らないタイミングでご自身の都合に合わせていただけます。
新月や満月にファスティングを行う方法もあります。人体の70%以上は水分でできており、月の引力は人体に影響を与えると言われています。
東洋医学では、特に新月や満月は血液の巡りがよくなり、栄養や酸素などが体を巡りやすくなると言われています。
「スッキリ大根」から逆算する
1日以上のファスティングでは、「準備期」「断食期」「回復期」という期間を設けることになります。
「回復期」1日目の朝は、「スッキリ大根」を食べます。その際に、ゆっくりとスッキリ大根をいただき、おトイレタイムもたっぷり確保しておく方が安心です。
もし可能なら、ゆとりある朝を回復期の1日目として、時間に余裕をもってデトックスできるうよう逆算してファスティングの開始日を決めていくのもおすすめです。
「スッキリ大根」とは
スッキリ大根は、別名「梅流し」とも呼ばれており、昆布で大根を軟らかく煮て、たたき梅と一緒に食べることです。
「スッキリ大根で宿便が出る」と言われますが、その宿便の正体は「胆汁」です。普段、胆汁は約9割が再吸収され、再利用されています。食事を摂らないことで溜め込んだ胆汁をスッキリ大根で一気に排出することができます。
胆汁は、農薬や食品添加物、大気汚染に混じった有害金属類などの悪いものが溶け込みやすいです。定期的に排出して、新しい胆汁の生成を促すためにすっき大根は有効です。
スッキリ大根のメカニズム・やり方について詳しくは下記の記事をご覧ください。
《参考》【スッキリ大根とは】レシピと食べ方、食べるタイミング、効果について
「生理周期」を味方にする
生理(月経)がはじまったタイミングで「準備期」に入り、出血が終わった頃に「断食期」に入ると心身に負担をかけず、快適に過ごしやすいです。
この時期は「エストロゲン」というホルモンの量が増えてくるので、代謝を良くする効果があります。
反対に、体重が落ちにくいと言われている、排卵日から生理が入るまでの期間(生理の直前の1週間あたり)はおすすめしていません。
理由は、月経前症候群(PMS)が生じる可能性がある時期だからです。ホルモンの影響で食欲増加、むくみ、気分の浮き沈みが激しくなる、イライラしやすい、おなかが痛くなるという方もいらっしゃいます。
普段から生理が重い方は、慎重にスケジュールをセットしていただければと思いますが、絶対に駄目ということはありませんのでご安心ください。
わたしは、この時期のファスティングも経験がありますが特に問題はありませんでした。経験として色々な体調や時期にチャレンジしてみても面白いかもしれません。
「ご体調」に心配のある方
血圧や血糖値、甲状腺機能などへの心配がある方への疑問をまとめます。
「降圧剤」を使用されている方
ファスティングによって血圧が低下する可能性がありますので、降圧剤をを服用しながらファスティングを行う場合、低血圧に注意してください。
南カルフォルニア大学のヴァルター・ロンゴ教授率いる研究チームの論文に「ファスティングにより免疫細胞が再生することで心血管の状態が改善され、血圧の低下がもたらされる」と書かれています。
ファスティング中に降圧剤を服用するかどうかは、かかりつけ医に相談のうえ、慎重に決めてください。
降圧剤を使用する・しないに関わらず、血圧を測りながらファスティングを行うようにしてください。
「血糖値が高め」「糖尿病予備軍」の方
血糖値が高めの方、糖尿病予備軍の方は、以下の理由で高血糖状態に陥りつつあることが想定されます。
- 血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの分泌が少ない
- 「インスリン抵抗性」により、インスリンが分泌されても働きづらい
インスリンの働きや、インスリン抵抗性について詳しくは下記の記事でご覧いただけます。
《参考》【要約】トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ:前編
その一方で、下がりきった血糖値を上げる仕組みにも異常をきたし、血糖コントロールがうまくいかなくなり、高血糖・低血糖どちらのリスクも生じます。
事前準備
血糖値が高めの方、糖尿病予備軍の方が、ファスティングを行う場合は、事前に食生活・生活習慣の改善を行い、血糖値コントロールができるような状態を作っておくことが大切です。
たとえば、血糖値の吸収を穏やかにする食物繊維が豊富な野菜やきのこ類、海藻類から食べるなどの「食べる順番」に気を付けることなどが大切です。
ファスティングを行う際
血糖値が高めの方、糖尿病予備軍の方がファスティングを行う際は、専用ドリンクの1日の摂取量はそのままで、1日8~10回を小分けにして摂取するようにしましょう。
一気に摂取せずに小分けにすることで血糖値が安定します。最初に飲み始めてから2時間おきなどルールを作っておくと分かりやすいかもしれません。
また、いきなり長期のファスティングをするのではなく、1日試してから2日、3日というように段階的に日数を増やしていきましょう。
もしファスティング中に、不安や震えといった低血糖が疑われる症状が起きたら、無理はせず中止して、改めて食生活・生活習慣の改善から取り組みましょう。
「甲状腺」の機能低下で服薬中の方
病的な甲状腺の機能低下により、甲状腺ホルモンを補充する治療薬を処方されている方がファスティングを行う場合は、薬を服用しながら行うのかどうかなど、原則として医師の判断が必要です。
ホルモンは微量で体内をコントロールするもので、治療薬を処方されている方は定期的な血液検査を要します。そのくらいデリケートな状態とも言えます。
甲状腺の機能が低下すると、代謝が低下して心身ともに元気がなくなり、エネルギーを消費しにくく、太りやすい傾向になります。反対に、甲状腺の機能が高すぎると、バセドウ病などになったり汗をかきやすいなどのことが起きます。
ファスティングを行える場合
医師の判断でファスティングが行える場合、代謝が低下する甲状腺の機能低下は血糖異常や脂質異常を合併しやすいため「食べる順番」の工夫に取り組むと良いでしょう。
たとえば、血糖の吸収を穏やかにし、脂質の吸収を妨げるとされる食物繊維が豊富な野菜やキノコ、海藻類から食べきるといったことです。
ただし「ヨード(ヨウ素)制限」を受けている場合、海藻類の摂取については担当医に確認する必要があります。
「水だけ断食」が推奨されない理由
水だけ断食のファスティングは、以下のリスクがあります。
- 「脱灰」のリスク
- 「有害物質」が排出しきれないリスク
- 「強い低血糖」になるリスク
それぞれ詳しく解説していきます。
①「脱灰」のリスク
「脱灰」とは、骨や歯からカルシウム(アルカリ性)を溶かし出し、血液が酸性にならないように中和することです。
ファスティング開始から2~3日頃から、体内でケトン体(酸性)がつくられます。血液はごく僅かでも酸性に傾くと生命の危機に陥ります。
水だけファスティングを行うと、「脱灰」が起こるリスクが否めません。
したがって、酸性のケトン体による影響を防ぐためにアルカリ性の性質を示すカルシウムなどのミネラルを含む専用ドリンクで「中和」することが大切です。
②「有害物質」が排出しきれないリスク
ファスティングを行い脂肪燃焼が進むと、体中の細胞から有害物質が放出され、血液を巡ります。有害物質は脂肪に潜みやすい性質があります。
肝腎とも言える肝臓や腎臓などの解毒・排泄器官の負担が大きく、せっかく放出された有害物質が排出しきれずに体中を循環してしまいます。
その際に、代謝に必要な必須ミネラル・ビタミンを含んだ専用ドリンクを摂取して有害物質を出し切るサポートをすることが求められます。
③「強い低血糖」になるリスク
普段から1日3食、さらにはプラスでおやつなどを食べている人が、いきなりエネルギー源を完全に断つ「水だけ断食」を行うと、低血糖になりすぎてしまうことがあります。眠気やだるさ、吐き気などを起こすリスクがあります。
ある体験者の方は、低血糖になったときに、震えがすごくなり、心臓がバクバクして本当にこのまま倒れるかもと身の危険を感じたそうです。そうならないように、専用ドリンクを摂取したファスティングに取り組みましょう。
「ファスティング指導」をしていない方
ファスティングは、予防医学として多くの方に取り組んでいただきたいのですが、一部でファスティング指導を行っていない方がいますのでご紹介します。
「15歳以下」の方
中学生(15歳)以下の方は、まだ成長期なのでファスティングをすることは好ましくないと考えます。
ファスティングの他にも健康のためにできることはあり、食事のタイミング・質の改善、食べる順番の工夫などの食事指導をしております。
「妊娠中・授乳中」の方
妊娠中およ授乳中の方は、ファスティングを推奨できません。
しかし、栄養補助の目的で専用ドリンクを摂取することは問題ありません。つわりがひどくて食べられない際に、ミネラルやビタミンが豊富で、身体に吸収されやすいように低分子化されたファスティング専用ドリンクは、強い味方になるでしょう。
ただし、産婦人科の医師から栄養制限などを受けている場合は、担当医に確認することが望ましいです。
「妊娠中」
妊娠中は母体と胎児が十分な栄養を必要とする時期です。「母体優先の法則」というものがあり、妊婦に危険が迫ると胎児よりも母体を優先的に守ろうとする働きが起こります。
したがって、人為的に飢餓状態を誘発するファスティングは、胎児にとって命取りとなる可能性があります。
また、胎盤を通じて有害物質が胎児に移行してしまうリスクがあります。つまり、ファスティングによって期待されるデトックスで生じた、排出の過程にある有害物質が胎児に移行する可能性も秘めています。
「授乳中」
上記の妊娠中の胎盤を通じて有配物質が胎児に影響してしまうのと同じく、授乳中は母乳を通じて、乳児に有害物質の影響がおよぶリスクがあります。
ファスティングを行う場合は、授乳期間が過ぎてから行いましょう。
【ファスティング中の疑問】
ファスティングプログラムを実施中に知っておくべきことや、気になる疑問をまとめます。
「準備期」「断食期」「回復期」をすべて含めて「ファスティング中」としています。
「準備期」の食事について
ファスティングの「準備期」は、安全で効果的な「断食期」を迎えるためのウォームアップ期間です。
「準備期」の日数
断食期が何日間かにもよりますが、準備期は2~5日ほど設けると良いでしょう。
断食期が1日の場合は準備期も1日、断食期が3日の場合は準備期は2~3日という目安です。その方の食生活や生活習慣によりますので、ファスティングトレーナーの指示に従うようにしてください。
「準備期」避けた方がいい食べ物
- 高脂質、高タンパク質の食事(揚げ物や肉など)
- アルコールやカフェイン
- 精製食品(白砂糖、小麦粉など)
- トランス脂肪酸(マーガリンなどに含まれる)
- 人工甘味料
《参考》【マーガリンとは】バターとの違い、トランス脂肪酸が体に悪い?その理由
《参考》【人工甘味料とは】種類一覧と危険性、メリット・デメリットのご紹介
便秘がちな方は、食物繊維の多い食事(海藻類、きのこ類、野菜類など)を日常生活から取り入れることが望ましいです。
なお、就寝前に亜麻仁油を大さじ1杯程度、摂取するのもおすすめです。比較的に臭みが少ない、オーガニック亜麻仁油もあるので参考にしてください。
「準備期」好ましい食材
玄米および「マゴハヤサシイワ」などの穀菜食をおすすめします。
「マゴハヤサシイワ」は、健康維持に必要なビタミンやミネラルを豊富に含み、バランスの良い食材を語呂合わせしたものです。
【マ】まめ(豆製品) | 大豆、味噌、豆腐、高野豆腐、おから、油あげ、きな粉、小豆、黒豆、そら豆、インゲンマメ、ひよこ豆、レンズ豆など |
【ゴ】ごま(ごまなどの種子類) | ごま、ナッツ、くるみ、栗、ぎんなん、松の実、落花生、ピスタチオ、アーモンドなど |
【ハ】発酵食品 | 納豆、味噌、醤油、ぬか漬けなど |
【ヤ】やさい(野菜類) | 緑黄色野菜、淡色野菜、葉野菜、根菜などできれば赤・緑・白の野菜 |
【サ】さかな(魚類) | 切り身、小魚や貝類など丸ごと食べられる魚介類など |
【シ】しいたけ(きのこ類) | しいたけ、えのき、まいたけ、なめこ、まつたけ、エリンギ、きくらげ、マッシュルームなど |
【イ】いも(いも類) | じゃがいも、さつまいも、里芋、長芋、かぼちゃ、こんにゃく、春雨、くずきりなど |
【ワ】わかめ(海藻類) | わかめ、ひじき、のり、もずく、昆布、あおさ、ところてんなど |
「さ」魚類の中でも大きい魚は、海洋汚染により有害な重金属などのリスクがあることを考慮しますと、サバよりも小さいサイズの魚を摂取する方が安心です。
「マゴハヤサシイワ」の食材を上手に食事に取り入れるには和食との相性が良いです。
《参考》【マゴハヤサシイワとは】その意味と、献立の立て方・栄養
肝機能をサポートする食材
デトックスする際に活躍する「肝臓」の状態を整えるべく、積極的に摂取したい食材をご紹介します。
ネギ類 | ニンニク、ニラ、ねぎ、玉ねぎなど |
アブラナ科 | キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、大根など |
緑黄色野菜 | にんじん、かぼちゃ、トマト、ほうれん草、しそなど |
柑橘類 | みかん・オレンジ・グレープフルーツなど |
その他 | りんご、アスパラガス、セロリなど |
「たんぱく質」の摂り方
タンパク質というと、肉類を浮かべる方が多いかもしれません。しかし、動物性タンパク質ではなく、植物性タンパク質である「大豆」を中心に摂取するのが理想的です。
たとえば、豆腐、納豆、湯葉、おから、高野豆腐、きなこ、豆乳、枝豆、味噌などです。大豆が原料の食品は多岐に渡りますね。
植物性タンパク質は脂肪量が少なく、代謝を上げるナトリウムやカリウムが豊富です。さらに、強い抗酸化作用を持つ「サポニン」や、ホルモンのバランスを保つ「イソフラボン」といった成分も含まれています。
「動物性タンパク質」
動物性タンパク質は、老化を速める原因ともなりえます。大量に摂り過ぎると、胃腸での分解・吸収がしきれずに、腸内で腐敗して大量の毒素を作り出します。
お肉類も食べてはいけないということではありませんが、ほどほどにしておきましょう。食べる場合は、低脂肪・高タンパクである鶏のむね肉などを選択すると良いでしょう。
「水分」の摂取
人の体重の60~70%は水分でできています。栄養素の吸収や利用、老廃物の排出、細胞膜や関節の潤滑油としての役割、赤血球や白血球の移動手段など、ありとあらゆる生命活動に、水がなくては始まりません。
体内の水分が1%減少するだけで、記憶力の低下や情緒不安定、疲労などにつながります。血液の粘性が高まり、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが上がります。
体質や体格にもよりますが、1日2リットルを目標に水分を摂りましょう。
「水分」の摂り方
一度に体が吸収できる水分量は、200~250mlと言われています。一気飲みせずに、こまめに飲むことが大切です。水は、ミネラルウォーターや、ろ過した水などが望ましいです。
また、ファスティング中は、代謝を良くするために、ホットまたは常温で飲むことをおすすめしています。
お水ではなく、ノンカフェインのお茶、ハーブティーなどでも構いませんが、ルイボスティーをおすすめしています。ルイボスティーはノンカフェインで美容・健康にうれしい栄養素が多く含まれています。
たとえば、便秘の方にはうれしいマグネシウムと食物繊維が豊富に含まれています。マグネシウムが水分を集めて便を軟らかくし排便を促し、食物繊維が腸内環境を改善し、便通を良くすることが期待できます。
他にも、利尿作用を促すカリウムが含まれており、アレルギーによる症状の緩和が期待できるフラボノイドも含まれています。その他、ルイボスティーについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
《参考》【口コミ】エルバランシアのルイボスティー定期購入~休止・解約まで
「カフェイン」の摂取
カフェインには覚醒作用・利尿作用などがあり、短期的には眠気覚ましや疲労感の回復になるものの、実際に疲労は回復していません。
長期的あるいは過剰に摂取すると、不眠・頭痛・めまい・吐き気・不安などがあらわれることがあります。カフェインは依存性があり、脳神経に影響を及ぼす危険性もあります。
1回服用あたり500mg以上のカフェインを含むものは劇薬として指定されているほどの問題のある成分です。ドリップの仕方などにもよりますがコーヒー1杯(150ml)のカフェイン量は、60~90mg程度と言われています。
ファスティング中(準備期、断食期、回復期)は、カフェインの摂取を控えてください。普通食の期間は完全に避ける必要はありませんが、極力摂らない方が賢明です。
普段、カフェインを多く摂っていた方がファスティングを行う際にカフェインを断った場合、カフェインを欲する症状がファスティング2日目頃に強くあらわれる傾向があります。依存症や離脱症状に苦しまないよう、カフェインをの摂取量を段階を追って徐々に減らしておくことをおすすめします。
《参考》【カフェイン】摂取量と効果、中毒症状・離脱症状・頭痛が起きる理由
「炭酸水」の摂取
ファスティング中に炭酸水を飲むことは推奨していません。
炭酸とは二酸化炭素です。二酸化炭素は呼吸の際に排出されるいわば排ガスの一種です。
息を吐くという動作に限らず、体内の不要なものを排出させるために活躍しているのが「副交感神経」という自律神経の一種で、副交感神経は消化器官の働きを活発にする作用があります。
つまり、ファスティング中に炭酸水を摂取すると副交感神経が刺激され、胃酸が出やすくなる可能性があります。食べていない時は不要なので、出すぎると良くないです。
炭酸(二酸化炭素)が副交感神経を刺激するため、糖分が入っていない炭酸水でも問題になりえます。
また、炭酸の過剰摂取は、自律神経のバランスを乱してしまう可能性もあるので、ファスティング中だけでなく、普段から摂りすぎには気を付けると良いでしょう。
「体調不良」を感じる場合
ファスティング中に感じる可能性がある体調不良や、免疫の仕組みについてご紹介します。
「免疫」について
ファスティング後は、ガンやウイルスなどに対抗する免疫系が強化される可能性があるものの、ファスティング中は免疫細胞が一時的に減ってしまう可能性があり、風邪をひくリスクも否めません。
ファスティングは、病気から身を守る力「免疫」を司る白血球の数を減らし、その結果として免疫系はガンやウイルスなどに対抗するリンパ球の産生を加速さるといった研究結果を、南カルフォルニア大学のヴァルター・ロンゴ教授率いる研究チームが発表しています。
一方で、ファスティングを3日間行うと古い免疫細胞が一掃され、新たな細胞が産生され始めるという研究結果も発表しています。
しっかり睡眠をとり、免疫や細胞の生まれ変わりをサポートしましょう。
「風邪のような症状」を感じる方・「古傷」が痛む方
ファスティング中は、寿命が来て不要となった細胞を壊す「アポトーシス」など、健全な破壊が活性化されると言われています。
それによって、風邪を引いたときのような喉の痛みを感じたり、過去に手術した箇所が痛くなったり、熱を持ったりすることがあります。
古い細胞を一掃し、新たな細胞を産生するために起こっている反応である可能性があります。
免疫や細胞の生まれ変わりを助けるためには睡眠が大切なので、普段からできるだけ十分な睡眠時間を確保しましょう。
「下半身の傷み」を感じる方
腰より下の筋肉には、エネルギー源として分解、消費される筋グリコーゲンが多く存在していると言われています。そのため、ファスティング中に下半身の重だるさが生じやすいようです。
したがって、ファスティング中は、筋グリコーゲンを消費するような筋肉を激しく使う運動を控えめにしましょう。
「手足の痺れ」を感じる方
ファスティング中に起こる手足の痺れは、ミネラルによる「電解質バランスの乱れ」または「低血糖」によるものだと考えられます。
手足の運動や感覚を司っているのは、筋肉および神経系です。筋肉および神経を養っているのは、主にタンパク質、糖質、ビタミン、ミネラルです。
これらの栄養素が不足してしまうと、筋肉および神経系が栄養不足に陥ってしまう分、手足の運動や感覚に異常をきたすことがあります。
神経系の機能を維持するため必要なミネラルのひとつはナトリウムであるため、「塩分不足」が原因の可能性としてあげられます。天然塩や、梅干しを摂取することで、予防・対処することができます。
一方で、低血糖による痺れが考えられる場合、専用ドリンクこまめに少量ずつ飲むようにすることで血糖値のコントロールを図ると良いでしょう。
「頭痛」「吐き気」「腹痛」などの症状
ファスティング中によく起こる症状として「頭痛」があげられます。これは健康被害というよりも「塩分不足」と推測されます。塩分不足の場合、天然塩や梅干しなどを摂取することで予防および対処することが可能です。
もしくは「低血糖」の可能性も考えられるので、ファスティング専用のドリンクを小分けに飲んで、血糖値を安定させると良いでしょう。
ケトン体の酸性を「中和」する
一方でファスティング中は体内で、酸性の性質を示すケトン体がつくられるため、その影響による頭痛や吐き気、腹痛など体調不良をきたす可能性があります。
血液はごくわずかでも酸性に傾くと生命の危機に陥ります。よって、アルカリ性の性質を示すカルシウムなどのミネラルを含むファスティング専用ドリンクを使うことにより中和することが大切です。
ファスティング専用ドリンクを使用しないでファスティングを行うと、骨や歯からアルカリ性の性質を示すカルシウムを溶かし出し、血液が酸性にならないように中和する「脱灰」が起こるリスクが否めません。
「手足の冷え」を感じる方
普段の生活習慣により、手足の冷えを感じるきっかけになっている可能性があります。
体温の源はエネルギーであり、血流に乗って全身に運ばれます。手足の冷えを感じる原因として、エネルギーを生産する代謝の問題や、血行不良が考えられます。
ファスティング期間以外の日常生活から、食生活や運動、睡眠などの生活習慣の改善を行うことが大切です。まずは、毎日お風呂にしっかり浸かることからはじめてみてはいかがでしょうか。
エプソムソルト入浴は、汗をかきやすくなり、身体の中からぽかぽかになるので、ぜひ試してみてください。わたしは、エプソムソルト入浴すると、サウナか岩盤浴にきたかのようなレベルで汗が出て、スッキリします。
《参考》【エプソムソルトとは】効果・効能、おすすめ商品「Sea Crystals」
「血流」と「代謝」
ファスティングにより、心血管の状態が改善されるということが、南カルフォルニア大学のヴァルター・ロンゴ教授率いる研究チームの論文に書かれています。
また、ファスティング中は通常の食事を摂取しない分、エネルギー源となる栄養素の摂取も減ってしまうので、冷えを感じることは珍しくないと言えます。
したがって、エプソムソルト入浴や、水分摂取はホットを基本として行うなどの工夫をしてみましょう。
ファスティング期間は関係なく冷え性だと感じる方は、日ごろの生活習慣を見直してみましょう。ファスティングトレーナーとして、カウンセリングも行っているので、よければご相談ください。
「運動・筋トレ」ついて
普段から、ヨガやジョギングなどの運動、筋トレなどをしている習慣がある人への、ファスティング中の疑問をまとめます。
「筋肉」が落ちたように見える
水分不足および筋グリコーゲン不足によって、ファスティング中は筋肉が落ちたように感じることがあります。
ファスティング中は、筋グリコーゲンをはじめとする「グリコーゲン」をエネルギー源として使い切ります。
筋グリコーゲンは、エネルギー源の一種なので、ファスティングによって枯渇すると、エネルギー源が不足する分、筋肉が落ちていなくても筋力不足を感じるというメカニズムです。
また、飢餓状態の際にエネルギー源を確保するために筋肉のタンパク質が分解される糖新生によって筋肉が減少するという懸念がありますが、KALA酵素などの専用ドリンクを用いたファスティングでは、必要最低限の糖質を摂取するので筋肉のタンパク質が分解しづらいと考えられています。
「エステ」や「整体」
ファスティング1~2日目の初期の段階では、エネルギー摂取量を制限している分、体内が「通常モード」から「省エネモード」へと変化している可能性があるので、エステや整体などの施術を受ける場合は、ファスティング3日目以降が良いとされています。
そのため、体外からのアプローチであるエステや整体などの施術がいつものように作用しないことがあります。
施術の方法によっては筋肉に触れ、筋肉を動かすことがあるため、筋肉を使う運動と同様の作用をきたし、負担となる場合が否めません。なので、ファスティング中の施術については、ファスティング指導者に相談の上、体調をみて判断されてください。
「体重・体脂肪」の変化と計測
ファスティング中に、気になる体重や体脂肪の測定について注意点があります。
「体重」が減らない方
ファスティングをしても体重が減らない方の原因としては、以下の3つが影響している可能性があります。
- 腎臓の機能低下
- 新陳代謝が悪い
- 服用している薬
① 腎臓の機能低下
体重が思ったように落ちない理由として、腎臓の機能低下による水分の排泄障害が疑われます。心配であれば、血液検査や尿検査をされると良いでしょう。
腎臓の機能低下している方は、普段の食生活から、納豆・豆腐など植物性のタンパク質を摂取することを推奨しています。
植物性のタンパク質の摂取が、腎臓の保護に役立つという研究結果が国内外であります。
② 新陳代謝が悪い
ファスティング中は水分が排出されやすいため、1日2リットルを目安に水分を摂ることが推奨されています。減量目的のファスティングで体重が落ちない方の場合、水分がうまく排出されず、体内に溜まったままになっていることが推測されます。
つまり新陳代謝が良くないことによる「水太り」の状態になっている可能性があります。
普段から、食生活や運動などの生活習慣の改善を行うことが大切です。
③ 服用している薬
3つ目の可能性としては、普段服用している薬の副作用に「むくみ」作用があるのかもしれません。
その場合、②新陳代謝が悪い場合と似たような水太りの状態になることがあります。
「体重」を落としたくない方
ファスティングが生体に及ぼす影響を考えると、体重の減少を完全に避けることは難しいでしょう。
ファスティング中は、エネルギー源としてグリコーゲンが使われ、その際に水分も排出され、さらには脂肪も燃焼されます。これ以上痩せたくない方、痩せすぎの方にはファスティングをおすすめできません。
「アミノ酸サプリメント」を摂取して予防
一方で、アミノ酸サプリメントを摂取しながらのファスティングは筋肉や体重が落ちにくいという報告があります。
ただ、食べることで、それを処理するための消化および代謝の酵素反応が起きるため、ファスティングによって得られるデトックスや若返り、解毒の成果が低下する可能性があります。
なお、サプリメントを選定する際、以下のことをポイントにすると良いでしょう。
- 消化負担の少ない粉末か液体状のもの
- 味付けがされていないもの
- 添加物があまり使われていないもの
サプリメントの摂取は、できるだけ少量にとどめて行うようにしてください。
「体脂肪」測定について
ファスティング中は、変化する体の水分量が、ヘルスメーターの測定値に影響を与えることがありますので、体脂肪の測定は、普通食に戻してから3~4日後以降が良いでしょう。
体脂肪測定の原理
体脂肪が測定できる体重計や体組成計などのヘルスメーターは「電気抵抗値」から筋肉の量や脂肪の量を推定しています。
性別や年齢を入力しますよね。それをもとに「電気抵抗値」の値をプラスして推定していると言う訳です。
脂肪は電気を通しづらく、筋肉は発達しているほ電気を通します。
一方で、純粋な水は電気を通しません。ファスティングによって筋グリコーゲンの分解・消費が進むほどに、筋グリコーゲン内の水分も減ってしまうため、体水分量が減ります。
また、脂肪や電解質なども変化しうるので、ファスティング中は電気抵抗値に影響を与え、体脂肪値に推測不能な影響を与える可能性があります。
「睡眠時間」の確保
細胞の生まれ変わりを助けるためには、睡眠が大切です。充分な睡眠時間を確保しましょう。
睡眠時間が短いと食欲が上がってしまうとも言われていますので、ファスティング期間だけでなく、普段の生活でも睡眠時間の確保をしていくように心がけましょう。
「女性」のお悩み
女性特有の生理に関することについてです。
生理が止まってしまう方へ
生理(月経)のバランスを崩してしまうのは、普段の生活習慣が影響している可能性があります。
ピルなどを服用されている方もファスティング後に生理周期が乱れることがあります。生活習慣に問題のない方であれば、恐らく2~3か月で元に戻るようになるでしょう。
ファスティング中は飢餓状態に近い特別な時間であり、エネルギー源としてケトン体を使ったり、不要な細胞が処理されたり、身体の働き方が普段と異なります。
それゆえに、ホルモンのバランスも普段とは異なることでしょう。そのため、生理が止まってしまう方もいますが、ホルモンのバランスの決め手となるのは普段の生活習慣です。
生理のバランスを崩さないためにも、普段から食生活や睡眠などの生活習慣の改善を行うことが大切でしょう。
【ファスティング後の疑問】
ファスティングプログラムを実施した後に、役立つ情報・気になる疑問をまとめます。
「健康診断」のタイミング
健康診断を受ける場合は、ファスティング直前か、またはファスティング後1か月以上あけた方が良いです。
ファスティングは人為的に飢餓状態を誘発し、エネルギー源をブドウ糖からケトン体に変えることで生命を維持しようとする特殊な変化をもたらします。
そのため、生体は飢餓状態を乗り越えるために様々な変化を起こし、その影響は血液にも及びます。
ファスティング時に変化した生体内の特殊な状態から、食事を摂取するという通常の状態へ戻り、一般的な血液検査の指標が当てはまるようになるのにある程度の時間がかかると言われています。
ファスティング中に検査をすると
ファスティング中の血液検査の結果は、一般的に白血球数、総蛋白、コレステロール、中性脂肪、尿素窒素の値が低下する傾向があります。
一方で、専用ドリンクを使用しないでファスティングを行うと腎機能の指標となるクレアチニンと尿酸の値は上昇する可能性があります。
その理由は、クレアチニンと尿酸は、共に筋肉からのタンパク質分解によって生じるとされており、専用ドリンクを使わないと、糖新生により筋肉の分解が進む可能性が高いからです。
また、果糖(フルクトース)を含むドリンクを使用したファスティングの場合、果糖が代謝される過程で尿酸が生成されるため、尿酸の値は上昇する可能性があります。ですので、尿酸値が高めの方や痛風の既往がある方は要注意です。
痛風に関しては、ファスティングで治った人もいますし、悪くなった人もいますし、人それぞれです。
「硬い便」にお悩みの方
ファスティング後に硬い便となるのは、減少した水分の影響が考えられます。便を構成している成分のひとつは「水分」です。
ファスティングによって筋グリコーゲンの分解、消費が進めば進むほど、筋グリコーゲン内の水分も減ってしまいます。
その枯渇した筋グリコーゲン量を回復させるために水分を必要とするため、便を構成するための水分量が不足し、硬い便になってしまうことがあるようです。
したがって、ファスティング中だけでなく、ファスティング後も十分に水分を摂取することが大切です。
また、水分を吸収して便を柔らかくするのに食物繊維が役に立つため、食物繊維が豊富な野菜やキノコ、海藻類を積極的に摂ると良いでしょう。
他には、ルイボスティーは便秘の方にはうれしい成分であるマグネシウムと食物繊維が豊富に含まれていますので、おすすめです。
《参考》【口コミ】エルバランシアのルイボスティー定期購入~休止・解約まで
【まとめ】ファスティング
ファスティング中は、普段と違う代謝が行われ、人それぞれに身体に反応が起きます。危険な変化なのか、ちょっとした対処で問題ない変化なのか、そのあたりの判断に使えるような情報を盛り込みました。
基本的に、ファスティングをする際は、ファスティング指導者の助言をもとに実施するようにしてください。
わたしは栄養士とファスティング指導の資格を持っていますので、何か気になることがあればご相談ください。
何より、ファスティングの相棒である「ファスティング専用ドリンク」が、きんちんとしたものでないと、健康のために行っているファスティングが危険にもなりえるので、ご注意ください。
「酵素ドリンクの選定基準」についての記事があるので参考にご覧ください。