【カフェイン】摂取量と効果、中毒症状・離脱症状・頭痛が起きる理由

あなたは普段から「カフェイン」を摂取していますか?

  • カフェインの1日の摂取量の目安は?
  • カフェインのメリットとデメリット
  • 中毒症状・離脱症状が起きるのはなぜ?

わたしは、オーガニック食品やコスメが好きな栄養士です。ノンカフェインやカフェインレスを選択する方も増えていますが、カフェインがもたらす効果や、そのメカニズムをご紹介していきます。

【カフェイン】とは

「カフェイン」とはコーヒー豆、茶葉、カカオ豆などの植物に含まれる苦みを持った天然成分のことです。

カフェイン(英語: caffeine)は、アルカロイドの1種であり、プリン環を持ったキサンチンと類似した構造を持った有機化合物の1つとしても知られる。ヒトなどに対して興奮作用を持ち、世界で最も広く使われている精神刺激薬である。カフェインは、アデノシン受容体に拮抗することによって覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用を示す。

《参照》Wikipedia:カフェイン

ヒトがカフェインを経口摂取した場合、最大血中濃度に達するのは30〜45分後と言われています。ヒトの成体において、体内でのカフェインの半減期は通常、約4.9時間程度とされています。

※「経口摂取」(けいこうせっしゅ)とは、口から食事を摂取することです。

ヒトの体内でカフェインは代謝されて、主に尿酸に変換された状態で、尿中へと排泄されます。ヒトは、妊娠するとカフェインの代謝は遅くなります。なので妊娠中はカフェインを控えることになります。

中枢神経系の興奮作用

カフェインはキサンチンの1番と3番と7番の「窒素」に「メチル基」が結合した物質です。キサンチンには、中枢神経系の興奮作用が存在します。

また、カフェインは「キサンチンの誘導体」となります。キサンチンが分子中に有する窒素に「メチル基」を結合させると、この中枢神経系の興奮作用が増強します。

つまり、元々カフェインが興奮作用のある「メチル基」を持つ物質です。さらにキサンチン誘導体としての効果を発揮して、窒素と「メチル基」を結合させ、興奮作用を増強させることになります。

興奮作用で得られる効果

ヒトに対するカフェインの主な作用は、中枢神経系を興奮させることにより主に下記の効果が得られます。

  • 覚醒作用および弱い強心作用
  • 脂肪酸増加作用による呼吸量と熱発生作用による皮下脂肪燃焼効果
  • 脳細動脈収縮作用
  • 利尿作用

「カフェインは、ダイエットに効果がある」「運動前にブラックコーヒーを飲むと良い」という話も耳にします。カフェインによる体重減少作用を確認した研究も存在するものの、カフェインの脂肪細胞での中性脂肪の分解促進作用は、血中のインスリンの濃度が高いと阻害されてしまいます。

「インスリン」は、すい臓から分泌されるホルモンで、血糖が一定値以上に上昇しないように保っています。「基礎分泌」といい、血糖値が低い時にも、微量ながら分泌され続けています。また、食事をすると血糖値の上昇とともに、追加でインスリンが分泌されます。

健康な人であれば、血糖値に応じてインスリンが分泌され、血液中の糖の流れをコントロールしています。

インスリンの血中濃度を増加させる刺激に当たる、血糖値を上昇させる物を同時に摂取すると、カフェインの脂肪細胞からの脂肪酸の動員を止めてしまい、この効果を狙ったカフェインの作用は打ち消されます。

  • 「カフェイン」中性脂肪の分解を促進する作用
  • 「インスリン」中性脂肪の分解を抑制する作用

カフェインによる「皮下脂肪の燃焼効果」よりも、インスリンによる「打ち消し効果」の方が高いと言われています。つまり、カフェインによるダイエット効果は期待できません。

カフェインの摂取量

健康な一般成人の場合、1日当たり400mg以上を摂取しないようカナダ保健省は勧告しています。これは、コーヒー約4杯または、紅茶が約10杯ほどの量になります。

カフェインの半数致死量 (LD50) は約200mg/kgで、一般的な成人の場合、10~12 g以上が危険と言われています。

「半数致死量 」(LD50)とは、半数が死亡すると推定される、投与した薬物の量のことです。

エスプレッソやエナジードリンクなどカフェインを含む飲食物を併用で摂取することもあると思いますので、考慮した方が良さそうです。

ちなみに、レッドブル(185ml・250ml)のカフェイン含有量は、1缶あたり80mg、モンスターは、種類にもよりますが約142mgです。缶コーヒー(190ml程度)であれば、カフェイン含有量は90~170㎎程度です。

コーヒー1杯に100mgのカフェインが含まれていた場合、危険な量と言われる10gのカフェインはが含まれるのはコーヒー100杯ということです。1つの缶コーヒーに170mgのカフェインが含まれていた場合、カフェイン10gは約59缶ということになります。

カフェインを摂取して時間が経てば消化されていきます。こんな量の飲み物を一気に飲むことは現実的ではないので「半数致死量」に達する心配はいらないでしょう。

子どもの摂取量

健康な児童のカフェイン摂取による効果は無害とされています。現段階で、カフェインが児童の成長を妨げるという根拠はありません。

12歳以下の児童では、体重1kg当たり2.5mg以上を摂取しないようカナダ保健省は勧告しており、これを子供の平均体重を加味して換算すると次のようになります。

《表推奨される1日当たり摂取上限》

4~6歳(幼稚園・保育園くらい) 45mg(標準的なカフェイン含有350ml 飲料に含まれる量よりもわずかに上)
7~9歳(小学校低学年くらい) 62.5mg
10~12歳(小学校高学年くらい) 85mg(コーヒーではカップ半分ほど)

青年期

一般的に青年を指す15~20代くらいの人であれば、1日のカフェイン摂取量が体重1kg当たり2.5mgを超えないようにした方が良いと提案しています。
体重30kgで75mgのカフェイン、40kgで100mg、50㎏で125㎎のカフェインです。
これは安全面に考慮した案であり、成長期が終わり体重が充分にある青年であれば、成人と同量(1日当たり400 mg以下)のカフェインを摂取しても問題ないとされています。

妊娠期と母乳育児

過剰にカフェインを摂取する妊婦からは、低体重児が出生したり、あるいは、流産の割合が増加するとの報告が存在します。各国で様々な指標が出ているのでご紹介します。

英国食品基準庁 妊婦のカフェイン摂取量については、安全側にとって、1日200mg未満に制限すべきであると勧告しており、これはインスタントコーヒーではカップ2杯、ドリップコーヒーではカップ1.5~2杯に相当します。
アメリカ産婦人科委員会(ACOG) 妊娠中の女性のカフェインの摂取は1日当たり200mgまでは安全であると2010年に示しています。
カナダ保健省 授乳中の女性、妊娠している女性、または妊娠する可能性がある女性については、カフェイン摂取は1日当たり300mg以下にするよう勧告しています。これはコーヒーカップ(237ml)2杯分に相当します。

カフェインが含まれる食べ物・飲み物

主に、コーヒー飲料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ココア、コーラ、エナジードリンクや栄養ドリンクなどの飲料、チョコレートなどにカフェインが含まれます。代表的なものを一覧表にしました。

品名 数量 カフェイン含有量
ミルクチョコレートバー(カカオ45%)
1本(43 g) 31mg
ミルクチョコレートバー(カカオ11%)  1本(43 g) 10mg
ドリップコーヒー 207ml(コーヒーカップ程度) 115–175mg
デカフェコーヒー 207ml(コーヒーカップ程度) 5–15mg
エスプレッソコーヒー 44–60ml 100mg
コーヒー(インスタント) 235ml(マグカップ程度) 62mg
緑茶 235ml(マグカップ程度) 30~50mg
紅茶 235ml(マグカップ程度) 47mg
コカ・コーラ 350ml(1缶) 35mg
ペプシ Max 355ml(1缶) 69mg
レッドブル 250ml(1缶) 80mg
モンスターエナジー 355ml(1缶) 142mg

カフェインレス・デカフェ・ノンカフェイン

ノンカフェイン、カフェインレス、デカフェ、3つ言葉の違いは下記の通りです。
ノンカフェイン もともとカフェインが含まれていないもの。
カフェインレス カフェイン含有量が少ないもの。
デカフェ もともとあったカフェインを取り除いたもの。(100%ではない)
ちなみに、東洋人とは異なり、西欧人にはエタノールやアセトアルデヒドの代謝活性の高い者が多く、酒を飲んでも表情に出ず酔い潰れにくいということがあります。
その反面で、カフェインへの耐性が無い、または低い人が多く、このような人はしばしばコーヒー酔いを起こすといわれています。
つまり、お酒に強い人ほどカフェインに弱い、お酒に弱い人はカフェインに強い可能性が考えられます。


メリット

カフェインを摂取するメリットになる効果を3つご紹介します。

  1. パフォーマンスが上がる
  2. 記憶力アップ
  3. 脂肪分解と運動

① パフォーマンスが上がる

カフェインは中枢神経を覚醒させ、下記のパフォーマンスを向上させる効果があります。
  • 疲労や眠気を軽減
  • 学習と記憶に影響(反応時間、覚醒、集中、運動コントロール)
これらの効果を得るために必要な量は、体格やカフェイン耐性など、人によって異なります。これら効果は経口摂取後に約1時間で発生し、3時間から4時間後には半分程度に低下します。
また、The Journal of Nutritionに掲載された2014年の研究では、カフェインの摂取量が多い参加者は、精神機能のテストでより良いスコアを獲得しました。

② 記憶力アップ

カフェインは新しい記憶を固めるのにも役立つとことが分かっています。ジョンズホプキンス大学の研究者は、参加者に一連の画像を見せた後に、カフェインを摂取させ、翌日に画像を正しく識別することができるかの実験を行った。
「200ミリグラムのカフェイン錠」を服用した多くのメンバーは、「プラセボ」を摂取したメンバーよりも、翌日に画像を正しく識別することができました。。
※「プラセボ」(placebo)とは、見た目や味は薬と同じなのに、薬効成分を含まないものです。偽薬とも呼ばれています。
つまり、コーヒーやお茶に含まれるカフェインは、短期間の集中力を高めるだけではなく、記憶力を改善することにも役立ちます。

③ 脂肪分解と運動

カフェインは、中性脂肪の分解を促進し、血中へ脂肪酸やグリセロールを遊離させやすくする作用もあります。運動をする際などには、脂肪細胞から動員された脂肪酸などもエネルギーとして使用します。
ただし、先ほどもご説明した通り、カフェインの脂肪細胞での中性脂肪の分解促進作用は、血中のインスリンの濃度が高いと阻害されてしまいます。
カフェインの脂肪細胞での中性脂肪の分解促進作用よりも、インスリンが中性脂肪の分解を抑制する作用の方が勝っていると言われています。したがって、インスリンの血中濃度を増加させる刺激に当たる、血糖値を上昇させる物を同時に摂取すると、カフェインの脂肪細胞からの脂肪酸の動員を止めてしまい、この効果を狙ったカフェインの作用は打ち消されます。

デメリット

カフェインを多量に摂取した際のデメリットになる点を6つご紹介します。
  1. 副作用(薬物相互作用)
  2. 常用による頭痛
  3. 膀胱がんのリスク
  4. カフェイン中毒
  5. カフェイン依存症
  6. カフェインの離脱症状

① 副作用

医薬品では総合感冒薬や鎮痛薬などに用いられます。その際の副作用として不眠、めまいなどが含まれます。
「総合感冒薬」(そうごうかんぼうやく)とは、いわゆるかぜの諸症状に対する合剤の医薬品です。 「感冒」とは鼻やのど、気管支の粘膜部分に炎症が生じている状態の総称です。
またカフェインの減量あるいは中止による禁断症状として、頭痛、集中欠如、疲労感、気分の落ち込み、吐き気、筋肉痛などが、およそ2日後をピークとして生じる場合があります。
頭痛は1日平均235mgの摂取で、2日目には52%が経験します。
なお、動物にも類似の効果が期待されるため、競馬界においてカフェインは競走馬に投与してはならない禁止薬物の1つとして規定されています。ドーピング扱いということですね。

薬物相互作用

カフェインは肝臓で発現している代謝酵素の1つである「CYP1A2」で代謝されるため、この阻害作用のある薬と併用すると、血中濃度が高まり作用が強く出る薬物相互作用を引き起こす可能性がありまし。
「薬物相互作用」(やくぶつそうごさよう、英:Drug Interaction)は、血中に複数種類の薬物が存在することにより、薬物の作用に対して影響を与えることです。
一方、ニコチンには「CYP1A2」の誘導作用があるため、習慣的な喫煙によってカフェインの作用は減弱します。なお、カフェインは肝臓で「CYP2E1」でも代謝されています。
つまり、喫煙者はカフェインで眠け覚ましをしようコーヒーを飲んでも、タバコを吸わない人よりその効果は低いということです。

シトクロムP450 1A2は、略称CYP1A2と呼ばれ、シトクロムP450混合機能オキシダーゼのメンバーのひとつであり、人体において生体異物の代謝に関与している。

《参照》Wikipedia:CYP1A2
「生体異物」とは、生体内に存在する化学物質のうち、自然には産生されないもの、または存在するはずのないものを指します。また、通常よりもはるかに高い濃度で存在する物質を指すこともあります。
ニコチンといえばタバコを浮かべる方も多いでしょう。「ニコチン」(nicotine)とは、植物塩基(アルカロイド)の1つで、主にタバコ(Nicotiana tabacum)の葉に含まれます。
最近は喫煙者も減りましたが、以前は、喫煙所に吸い殻やコーヒーの空き缶が置き去りになっている光景をよく見かけました。タバコ好きはコーヒー好きが多い印象がありますが、ニコチンとカフェインの関係が深いことが理由かもしれません。
コーヒー好きの方がカフェインの作用を減弱させるために、タバコを吸ってニコチンを取り入れているのでしょうか。それとも、カフェインとニコチンは、興奮剤となりますので、その一時的な感覚を求めている方に、どちらも好まれるのが理由なのでしょうか。

② 常用による頭痛

カフェインの常用によって、血圧が4〜13 mmHgほど上昇する可能性も報告されています。高用量のカフェインは一時的に心拍数と血圧を上昇させる可能性があり、心臓病のある人にとっては危険をもたらす可能性があります。
心臓発作を起こしたことがない、または高血圧症がない人でも、1日あたり400mgを超えないようにする必要があります。これは、コーヒー約4杯または、紅茶が約10杯に含まれる量です。
この量は安全であると考えられ、血圧や心臓発作、脳卒中のリスクに対する長期的な影響はないでしょう。

③ 膀胱がんのリスク

男性の場合と女性の場合で、順番にご説明していきます。特に男性は必読ですよ。

【男性】膀胱がんのリスク

男性で、「コーヒーを1日1杯以上飲むグループの膀胱がんのリスク」が「ほとんど飲まないグループに比べ約1.5倍」と高い傾向にありました。しかし、統計学的に有意な情報ではありませんでした。なお緑茶、カフェイン摂取量とは関連が見られませんでした。
コーヒー摂取量は、膀胱がんの確実なリスク要因である喫煙習慣とも関連しています。そこで、喫煙者と非喫煙者にわけた解析も行いました。
コーヒー・緑茶・カフェインの3種をほとんど飲まない人を1として、摂取量が増えるにつれて「膀胱がんのリスク」がどう変化するのか?そして、喫煙者と非喫煙者で差が出るのか?を実験しています。
数値が大きいとリスクが高く、数値が低いとリスクが低いということを示しています。
コーヒーの摂取量と膀胱がん罹患との関係》
ほとんど飲まない 1-4回/週 1杯以上/日
喫煙者 1 1.11 1.13
非喫煙者 1 1.14 2.24
※「罹患」(りかん)とは、病気にかかること、疾病することです。
喫煙者よりもタバコを吸わない人の方が、コーヒーの飲む量が増えるにつれて膀胱がんのリスクが高まることがわかります。コーヒーを好きにタバコ好きが多いのは、膀胱がんのリスクを下げている意味では理にかなっているのかもしれません。
緑茶の摂取量と膀胱がん罹患との関係》
ほとんど飲まない 1-4回/週 1杯以上/日
喫煙者 1 0.44 1.62
非喫煙者 1 0.98 1.14
緑茶については、週に数回程度であれば、膀胱がんのリスクが下がることが分かります。緑茶とコーヒーを比較した場合は、コーヒーの方が膀胱がんのリスクが高いということが分かります。
ただ、1日に数杯ほど飲む方だと、緑茶を飲まない方よりも膀胱がんのリスクが高くなります。なお、非喫煙者よりも喫煙者の方がリスクが高いです。これはコーヒーとは逆の結果ですね。
カフェインの摂取量と膀胱がん罹患との関係》
ほとんど飲まない 1-4回/週 1杯以上/日
喫煙者 1 0.89 0.72
非喫煙者 1 1.09 2.05

膀胱がんのリスクという観点では、カフェインと喫煙は相性が良いようです。喫煙者は、たくさんカフェインを摂るほど膀胱がんのリスクが下がります

非喫煙者は、カフェインを摂取すればするほど、膀胱がんのリスクが高くなります

少し情報をまとめると、喫煙者はコーヒーの摂取によって大幅に膀胱がんへの影響がみられませんでしたが、非喫煙者は、下記のようにリスクが高まっています。
《非喫煙者のコーヒー摂取量と膀胱がんのリスク》
  • 「1日1杯以上飲むグループ」→ほとんど飲まないグループの約2.2倍
  • 「1日1杯以上飲むグループ」→1日1杯以上飲む飲むグループの約2倍
カフェインは、同じ量のコーヒーでも喫煙者の方がカフェインの消失が早いことや、非喫煙者の方が尿中のカフェイン量が多いことなどが報告されています。このことが、非喫煙者でコーヒー・カフェインの影響がはっきりとみられた原因と考えられます。

【女性】膀胱がんのリスク

女性では、コーヒーとの関連は見られませんでしたが、1日5杯以上の緑茶を摂取する人で、膀胱がんのリスクが2.3倍になりました。
女性の症例数が少なかったために、結果が偶然に得られた可能性も考えられますが、女性のカフェインは、コーヒーよりも緑茶からの摂取量が多かったからかもしれません(コーヒー43%、緑茶46%)。

④ カフェイン中毒

「カフェイン中毒」とは、カフェインを過剰摂取した結果として引き起こされた薬物中毒です。過剰に摂取すると、深刻な急性中毒が生じる場合があり、中にはカフェイン中毒による死亡例も、稀に報告されています。

中毒症状

不眠や、知覚過敏、不安、ふるえなどを引き起こす可能性があります。
もっとカフェインの濃度が増加すると、局所での痙攣、さらには全身での痙攣が発生する場合もありえます。
尿細管でのナトリウムイオンの再吸収を抑制し、水の再吸収も妨げられるため、利尿作用が現れることがあります。加えて、膀胱括約筋に取り付いてその作用を抑制しているアデノシンの働きを、カフェインが妨害するために頻尿になるという説もあります。つまり、身体から水分を失わせる方向に作用します。
さらには、危機的な量のカフェインを摂取している場合、全身痙攣や致死性不整脈を起こしている場合もあります。

⑤ カフェイン依存症

「カフェイン依存」(caffeine addiction)になった人は、離脱につながる様々な生理的効果を引き起こす可能性があります。
精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)においては、カフェインに関連する4つの障害が記載されています。
  • カフェイン中毒(intoxication)
  • カフェイン離脱症状(withdrawal)
  • カフェイン誘発性不安神経症
  • カフェイン誘発性睡眠障害
※「精神障害の診断と統計マニュアル」( Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DSM)は、精神障害の分類(英語版)のための共通言語と標準的な基準を提示するものです。アメリカ精神医学会によって出版された書籍です。

耐性がつく

特に自律神経への働きを含むカフェインの作用は、使用していくごとに効果が減少し、これが「薬物耐性」です。いくつかの作用への耐性はすぐに形成されます。特にコーヒーや栄養ドリンクの常用者には顕著です。
カフェインの効果を感じられなくなり、摂取量が増える可能性があるので常用的に摂取するのは注意が必要です。

⑥ カフェインの離脱症状

日常的にカフェインを摂取していた人が、カフェイン摂取をやめると「カフェイン離脱症状」が出現する場合があります。典型的なカフェインの離脱症状としては頭痛が挙げられ「カフェイン禁断性頭痛」と呼ばれます。
離脱症状は、軽度のものから重度のものまであり、1日に摂取するカフェインの量・耐性によって異なります。

離脱症状の例

《カフェインの離脱症状(禁断症状)》

摂取者の離脱症状 頭痛、短気、集中欠如、疲労感、過眠、胃・上半身・関節の痛みなど
長期摂取者の離脱症状 抑うつ、不安、胃腸不快感、筋肉痛、カフェイン摂取の欲求など
カフェインの離脱症状は、カフェインに依存の状態にある者がカフェインの摂取を中断してから12時間から24時間後に発生し、ピークはおよそ48時間後で、通常は2日から9日間で収まるといわれています。

おすすめのカフェインレス飲料

オーガニックかつカフェインレスの飲料で、おすすめ商品をご紹介します。

【ノンカフェイン】ルイボスティー

エルバランシア_ルイボスティー_アイス

有機JASマークを取得したオーガニック(有機栽培)のルイボスティーです。
ルイボスティー抗酸化力は、緑茶の約50倍もあります。抗酸化力は、SODという酵素によるものですが、このSOD酵素には病気の90%の原因とされる「活性酸素」を防ぐ働きがあります。
排卵時に起こる障害などは「活性酸素」が原因とされており、妊活中の方にもおすすめです。カフェインが含まれていない「ノンカフェイン」なので妊娠中でも安心です。

【カフェインレス】ドリップコーヒー

プレミアム カフェインレス ドリップコーヒー_透明グラス

天然水を使用してカフェインをカットした安心・安全なカフェインレスコーヒーです。

標高5,500mを誇るメキシコ最高峰ピコ・デ・オリサバの天然水を使用した「水抽出法」を採用しています。

コロンビア産コーヒーの最高級品種のひとつを使用していて、酸味と苦みのバランスがいいコーヒーです。

《参考》【カフェインレス ドリップコーヒー】おいしい作り方・カフェイン量

【ノンカフェイン】インスタント有機穀物コーヒー

ノンカフェインコーヒー風飲料BottegaBaci有機穀物コーヒーミックス

もともとカフェインが含まれない、ノンカフェインコーヒーです。インスタントで気軽に飲めるのでおすすめです。
なお、有機JASマークとエコサート認証を取得したオーガニック(有機栽培)商品です。
コーヒーなのになぜカフェインが全く含まれないのかという秘密についてはこちらの記事でご覧ください。

【カフェインレス】インスタントコーヒー

カフェインレスOgaコーヒー_表

有機JASマークを取得した、オーガニックインスタントコーヒーです。フリーズドライ製法で作られています。

カフェインレス(カフェイン含有量が少ない)なので、カフェイン摂取を気にする方もお飲みいただけます。酸味と苦みのバランスが良いコーヒーです。

《参考記事》【有機JAS:オーガニック】カフェインレスなインスタントコーヒー

【まとめ】カフェイン

今までご説明してきた内容を簡単に表にしてみました。詳しくは各章でご確認ください。

カフェインの効果 興奮作用、覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用、疲労や眠気を軽減、学習と記憶に影響(反応時間、覚醒、集中、運動コントロール)、中性脂肪の分解促進作用(血中のインスリンの濃度が高いと阻害される)など
副作用・中毒症状 不眠、めまい、頭痛、集中欠如、疲労感、気分の落ち込み、吐き気、筋肉痛、血圧の上昇、膀胱がんのリスクが上がる、不眠や、知覚過敏、不安、ふるえ、頻尿、全身痙攣、致死性不整脈など
離脱症状 頭痛、短気、集中欠如、疲労感、過眠、胃・上半身・関節の痛み、抑うつ、不安、胃腸不快感、筋肉痛、カフェイン摂取の欲求など
飲んでから最大血中濃度に達するまでの時間 30〜45分後
体内で半減するまでの時間 約4.9時間程度
妊娠中 ヒトは、妊娠するとカフェインの代謝が遅くなるので、カフェイン摂取を避ける方が良い。
中性脂肪の分解を促進する作用 「インスリン」中性脂肪の分解を抑制する作用に打ち消される。
摂取量(健康な成人) 1日当たり400mg程度まで。(コーヒーで約4杯、紅茶が約10杯ほど)
摂取量(妊娠中の人) 1日200mg未満(英国食品基準庁・アメリカ産婦人科委員会(ACOG))
1日300mg以下(カナダ保健省)
カフェインの半数致死量 (LD50)  約200mg/kgで、一般的な成人の場合、10~12g以上が危険。(1つの缶コーヒーに170mgのカフェインが含まれていた場合、カフェイン10gは約59缶)

※「半数致死量 」(LD50))とは、半数が死亡すると推定される、投与した薬物の量のことです。

何事も極端なことは身体に良くないです。良い効果があるものでも過剰摂取すれば、副作用が出てきます。その人の体質や生活習慣によっても「積極的に食べた方がいいもの・悪いもの」は違います。カ

「カフェイン」は、苦手な人は無理に摂取すべき成分ではありません。なぜなら、身体に必須の栄養素ではないからです。お好きな方は、カフェインと上手に付き合っていきましょう。

《参考》ノンカフェイン・カフェインレス飲み物一覧

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