あなたは普段から「カフェイン」を摂取していますか?
- カフェインの1日の摂取量の目安は?
- カフェインのメリットとデメリット
- 中毒症状・離脱症状が起きるのはなぜ?
わたしは、オーガニック食品やコスメが好きな栄養士です。ノンカフェインやカフェインレスを選択する方も増えていますが、カフェインがもたらす効果や、そのメカニズムをご紹介していきます。
【カフェイン】とは
「カフェイン」とはコーヒー豆、茶葉、カカオ豆などの植物に含まれる苦みを持った天然成分のことです。
カフェイン(英語: caffeine)は、アルカロイドの1種であり、プリン環を持ったキサンチンと類似した構造を持った有機化合物の1つとしても知られる。ヒトなどに対して興奮作用を持ち、世界で最も広く使われている精神刺激薬である。カフェインは、アデノシン受容体に拮抗することによって覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用を示す。
《参照》Wikipedia:カフェイン
ヒトがカフェインを経口摂取した場合、最大血中濃度に達するのは30〜45分後と言われています。ヒトの成体において、体内でのカフェインの半減期は通常、約4.9時間程度とされています。
※「経口摂取」(けいこうせっしゅ)とは、口から食事を摂取することです。
ヒトの体内でカフェインは代謝されて、主に尿酸に変換された状態で、尿中へと排泄されます。ヒトは、妊娠するとカフェインの代謝は遅くなります。なので妊娠中はカフェインを控えることになります。
中枢神経系の興奮作用
カフェインはキサンチンの1番と3番と7番の「窒素」に「メチル基」が結合した物質です。キサンチンには、中枢神経系の興奮作用が存在します。
また、カフェインは「キサンチンの誘導体」となります。キサンチンが分子中に有する窒素に「メチル基」を結合させると、この中枢神経系の興奮作用が増強します。
つまり、元々カフェインが興奮作用のある「メチル基」を持つ物質です。さらにキサンチン誘導体としての効果を発揮して、窒素と「メチル基」を結合させ、興奮作用を増強させることになります。
興奮作用で得られる効果
ヒトに対するカフェインの主な作用は、中枢神経系を興奮させることにより主に下記の効果が得られます。
- 覚醒作用および弱い強心作用
- 脂肪酸増加作用による呼吸量と熱発生作用による皮下脂肪燃焼効果
- 脳細動脈収縮作用
- 利尿作用
「カフェインは、ダイエットに効果がある」「運動前にブラックコーヒーを飲むと良い」という話も耳にします。カフェインによる体重減少作用を確認した研究も存在するものの、カフェインの脂肪細胞での中性脂肪の分解促進作用は、血中のインスリンの濃度が高いと阻害されてしまいます。
「インスリン」は、すい臓から分泌されるホルモンで、血糖が一定値以上に上昇しないように保っています。「基礎分泌」といい、血糖値が低い時にも、微量ながら分泌され続けています。また、食事をすると血糖値の上昇とともに、追加でインスリンが分泌されます。
健康な人であれば、血糖値に応じてインスリンが分泌され、血液中の糖の流れをコントロールしています。
インスリンの血中濃度を増加させる刺激に当たる、血糖値を上昇させる物を同時に摂取すると、カフェインの脂肪細胞からの脂肪酸の動員を止めてしまい、この効果を狙ったカフェインの作用は打ち消されます。
- 「カフェイン」中性脂肪の分解を促進する作用
- 「インスリン」中性脂肪の分解を抑制する作用
カフェインによる「皮下脂肪の燃焼効果」よりも、インスリンによる「打ち消し効果」の方が高いと言われています。つまり、カフェインによるダイエット効果は期待できません。
カフェインの摂取量
健康な一般成人の場合、1日当たり400mg以上を摂取しないようカナダ保健省は勧告しています。これは、コーヒー約4杯または、紅茶が約10杯ほどの量になります。
カフェインの半数致死量 (LD50) は約200mg/kgで、一般的な成人の場合、10~12 g以上が危険と言われています。
※「半数致死量 」(LD50)とは、半数が死亡すると推定される、投与した薬物の量のことです。
エスプレッソやエナジードリンクなどカフェインを含む飲食物を併用で摂取することもあると思いますので、考慮した方が良さそうです。
ちなみに、レッドブル(185ml・250ml)のカフェイン含有量は、1缶あたり80mg、モンスターは、種類にもよりますが約142mgです。缶コーヒー(190ml程度)であれば、カフェイン含有量は90~170㎎程度です。
コーヒー1杯に100mgのカフェインが含まれていた場合、危険な量と言われる10gのカフェインはが含まれるのはコーヒー100杯ということです。1つの缶コーヒーに170mgのカフェインが含まれていた場合、カフェイン10gは約59缶ということになります。
カフェインを摂取して時間が経てば消化されていきます。こんな量の飲み物を一気に飲むことは現実的ではないので「半数致死量」に達する心配はいらないでしょう。
子どもの摂取量
健康な児童のカフェイン摂取による効果は無害とされています。現段階で、カフェインが児童の成長を妨げるという根拠はありません。
12歳以下の児童では、体重1kg当たり2.5mg以上を摂取しないようカナダ保健省は勧告しており、これを子供の平均体重を加味して換算すると次のようになります。
《表推奨される1日当たり摂取上限》
4~6歳(幼稚園・保育園くらい) | 45mg(標準的なカフェイン含有350ml 飲料に含まれる量よりもわずかに上) |
7~9歳(小学校低学年くらい) | 62.5mg |
10~12歳(小学校高学年くらい) | 85mg(コーヒーではカップ半分ほど) |
青年期
妊娠期と母乳育児
過剰にカフェインを摂取する妊婦からは、低体重児が出生したり、あるいは、流産の割合が増加するとの報告が存在します。各国で様々な指標が出ているのでご紹介します。
英国食品基準庁 | 妊婦のカフェイン摂取量については、安全側にとって、1日200mg未満に制限すべきであると勧告しており、これはインスタントコーヒーではカップ2杯、ドリップコーヒーではカップ1.5~2杯に相当します。 |
アメリカ産婦人科委員会(ACOG) | 妊娠中の女性のカフェインの摂取は1日当たり200mgまでは安全であると2010年に示しています。 |
カナダ保健省 | 授乳中の女性、妊娠している女性、または妊娠する可能性がある女性については、カフェイン摂取は1日当たり300mg以下にするよう勧告しています。これはコーヒーカップ(237ml)2杯分に相当します。 |
カフェインが含まれる食べ物・飲み物
主に、コーヒー飲料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ココア、コーラ、エナジードリンクや栄養ドリンクなどの飲料、チョコレートなどにカフェインが含まれます。代表的なものを一覧表にしました。
品名 | 数量 | カフェイン含有量 |
ミルクチョコレートバー(カカオ45%) |
1本(43 g) | 31mg |
ミルクチョコレートバー(カカオ11%) | 1本(43 g) | 10mg |
ドリップコーヒー | 207ml(コーヒーカップ程度) | 115–175mg |
デカフェコーヒー | 207ml(コーヒーカップ程度) | 5–15mg |
エスプレッソコーヒー | 44–60ml | 100mg |
コーヒー(インスタント) | 235ml(マグカップ程度) | 62mg |
緑茶 | 235ml(マグカップ程度) | 30~50mg |
紅茶 | 235ml(マグカップ程度) | 47mg |
コカ・コーラ | 350ml(1缶) | 35mg |
ペプシ Max | 355ml(1缶) | 69mg |
レッドブル | 250ml(1缶) | 80mg |
モンスターエナジー | 355ml(1缶) | 142mg |
カフェインレス・デカフェ・ノンカフェイン
ノンカフェイン | もともとカフェインが含まれていないもの。 |
カフェインレス | カフェイン含有量が少ないもの。 |
デカフェ | もともとあったカフェインを取り除いたもの。(100%ではない) |
メリット
カフェインを摂取するメリットになる効果を3つご紹介します。
- パフォーマンスが上がる
- 記憶力アップ
- 脂肪分解と運動
① パフォーマンスが上がる
- 疲労や眠気を軽減
- 学習と記憶に影響(反応時間、覚醒、集中、運動コントロール)
② 記憶力アップ
③ 脂肪分解と運動
デメリット
- 副作用(薬物相互作用)
- 常用による頭痛
- 膀胱がんのリスク
- カフェイン中毒
- カフェイン依存症
- カフェインの離脱症状
① 副作用
薬物相互作用
シトクロムP450 1A2は、略称CYP1A2と呼ばれ、シトクロムP450混合機能オキシダーゼのメンバーのひとつであり、人体において生体異物の代謝に関与している。
② 常用による頭痛
③ 膀胱がんのリスク
男性の場合と女性の場合で、順番にご説明していきます。特に男性は必読ですよ。
【男性】膀胱がんのリスク
ほとんど飲まない | 1-4回/週 | 1杯以上/日 | |
喫煙者 | 1 | 1.11 | 1.13 |
非喫煙者 | 1 | 1.14 | 2.24 |
ほとんど飲まない | 1-4回/週 | 1杯以上/日 | |
喫煙者 | 1 | 0.44 | 1.62 |
非喫煙者 | 1 | 0.98 | 1.14 |
ほとんど飲まない | 1-4回/週 | 1杯以上/日 | |
喫煙者 | 1 | 0.89 | 0.72 |
非喫煙者 | 1 | 1.09 | 2.05 |
膀胱がんのリスクという観点では、カフェインと喫煙は相性が良いようです。喫煙者は、たくさんカフェインを摂るほど膀胱がんのリスクが下がります。
非喫煙者は、カフェインを摂取すればするほど、膀胱がんのリスクが高くなります。
- 「1日1杯以上飲むグループ」→ほとんど飲まないグループの約2.2倍
- 「1日1杯以上飲むグループ」→1日1杯以上飲む飲むグループの約2倍
【女性】膀胱がんのリスク
④ カフェイン中毒
中毒症状
⑤ カフェイン依存症
- カフェイン中毒(intoxication)
- カフェイン離脱症状(withdrawal)
- カフェイン誘発性不安神経症
- カフェイン誘発性睡眠障害
耐性がつく
⑥ カフェインの離脱症状
離脱症状の例
《カフェインの離脱症状(禁断症状)》
摂取者の離脱症状 | 頭痛、短気、集中欠如、疲労感、過眠、胃・上半身・関節の痛みなど |
長期摂取者の離脱症状 | 抑うつ、不安、胃腸不快感、筋肉痛、カフェイン摂取の欲求など |
おすすめのカフェインレス飲料
オーガニックかつカフェインレスの飲料で、おすすめ商品をご紹介します。
【ノンカフェイン】ルイボスティー
【カフェインレス】ドリップコーヒー
天然水を使用してカフェインをカットした安心・安全なカフェインレスコーヒーです。
標高5,500mを誇るメキシコ最高峰ピコ・デ・オリサバの天然水を使用した「水抽出法」を採用しています。
コロンビア産コーヒーの最高級品種のひとつを使用していて、酸味と苦みのバランスがいいコーヒーです。
《参考》【カフェインレス ドリップコーヒー】おいしい作り方・カフェイン量
【ノンカフェイン】インスタント有機穀物コーヒー
【カフェインレス】インスタントコーヒー
有機JASマークを取得した、オーガニックインスタントコーヒーです。フリーズドライ製法で作られています。
カフェインレス(カフェイン含有量が少ない)なので、カフェイン摂取を気にする方もお飲みいただけます。酸味と苦みのバランスが良いコーヒーです。
《参考記事》【有機JAS:オーガニック】カフェインレスなインスタントコーヒー
【まとめ】カフェイン
今までご説明してきた内容を簡単に表にしてみました。詳しくは各章でご確認ください。
カフェインの効果 | 興奮作用、覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用、疲労や眠気を軽減、学習と記憶に影響(反応時間、覚醒、集中、運動コントロール)、中性脂肪の分解促進作用(血中のインスリンの濃度が高いと阻害される)など |
副作用・中毒症状 | 不眠、めまい、頭痛、集中欠如、疲労感、気分の落ち込み、吐き気、筋肉痛、血圧の上昇、膀胱がんのリスクが上がる、不眠や、知覚過敏、不安、ふるえ、頻尿、全身痙攣、致死性不整脈など |
離脱症状 | 頭痛、短気、集中欠如、疲労感、過眠、胃・上半身・関節の痛み、抑うつ、不安、胃腸不快感、筋肉痛、カフェイン摂取の欲求など |
飲んでから最大血中濃度に達するまでの時間 | 30〜45分後 |
体内で半減するまでの時間 | 約4.9時間程度 |
妊娠中 | ヒトは、妊娠するとカフェインの代謝が遅くなるので、カフェイン摂取を避ける方が良い。 |
中性脂肪の分解を促進する作用 | 「インスリン」中性脂肪の分解を抑制する作用に打ち消される。 |
摂取量(健康な成人) | 1日当たり400mg程度まで。(コーヒーで約4杯、紅茶が約10杯ほど) |
摂取量(妊娠中の人) | 1日200mg未満(英国食品基準庁・アメリカ産婦人科委員会(ACOG)) 1日300mg以下(カナダ保健省) |
カフェインの半数致死量 (LD50) | 約200mg/kgで、一般的な成人の場合、10~12g以上が危険。(1つの缶コーヒーに170mgのカフェインが含まれていた場合、カフェイン10gは約59缶) |
※「半数致死量 」(LD50))とは、半数が死亡すると推定される、投与した薬物の量のことです。
何事も極端なことは身体に良くないです。良い効果があるものでも過剰摂取すれば、副作用が出てきます。その人の体質や生活習慣によっても「積極的に食べた方がいいもの・悪いもの」は違います。カ
「カフェイン」は、苦手な人は無理に摂取すべき成分ではありません。なぜなら、身体に必須の栄養素ではないからです。お好きな方は、カフェインと上手に付き合っていきましょう。