あなたは、加工食品にどんな「食品添加物」が使われているかご存知ですか。
- 添加物で、増量・置き換えされているの?
- 加工食品には、もどき調味料が使われているの?
- 文字通り水増しされた食品があるの?
わたしは、ファスティング(断食)指導や、食事アドバイスをしている栄養士です。
本記事では「食品の裏側」の続編である「食品の裏側2実態編」という著書の内容を要約しています。
まずは以下の記事で、激安ハンバーグ弁当に使われている添加物を解説しました。
《参考》【本の要約①】食品の裏側2 実態編:ハンバーグ弁当に使われる食品添加物
続いては、ハンバーグ弁当以外の添加物なしには作れない食品を紹介していきます。
「ハンバーグ弁当」以外の食品
ハンバーグ弁当以外にも添加物を使った食品はたくさんあります。代表的なものを3つご紹介していきます。
- 「おにぎりの具」
- 「からあげ」
- 「お惣菜」
①「おにぎりの具」
筆者は食品添加物の専門商社に勤めていて、食品添加物の神様と呼ばれた人物です。
その筆者は、だしがらのおかか、昆布の製品化に携わったことがあるそうです。
大手だしメーカーが出汁を取った後に、だしがらのかつおぶし、昆布が大量に出るため、これを活用したいということでした。
だしがらであろうとも、形さえあれば、調味料や添加物でどうにでもなります。
おかかは、化学調味料、たんぱく加水分解物からかつおエキスで味をつけ、カラメル色素で茶色に着色し、アミノ酸混合しょうゆで味を作り上げました。
いわば、「再生おかか」です。リサイクルおかか、ゾンビおかかと呼んでもいいかもしれません。
昆布も同様の手法で種々の調味料と昆布エキスを使い、カラメル色素で黒く着色し、ツヤだしにソルビットを使いました。再生品ですから、かなり安く上がりますが、かつお、昆布とも素材の風味は劣ります。
市販のすべてのおにぎりが「再生おかか」「再生昆布の佃煮」だとは言えませんが、裏ラベルに今述べたような添加物が表示してあれば、「再生品」を疑っていいでしょう。
②「からあげ」
《業務用鶏のから揚げ(加工後包装)》
からあげは、安くて誰にも好まれる不動の人気惣菜です。
原材料表示にある「発酵調味料」とは純米みりん、純米料理酒に似せ、安い材料で置き換えてつくった調味液です。
「酵母エキス」は酵母から抽出される強いうまみの天然調味料です。
《からあげの衣の材料》
「通常の家庭」 | 小麦粉、片栗粉 |
「業務用」 | コーンフラワー、加工デンプン、卵白粉末、増粘剤(キサンタンガム)等 |
衣(ころも)の剥がれ防止、サクサク感を出す、長期の冷凍変性防止などの目的で使われています。
「粉末状大豆たんぱく」と「乳化剤」は、油のにじみ防止や口当たりを軽くする目的で加えられています。
「着色料」で衣を色付け、キレイな揚げ色にします。揚げ油は、酸化しにくい「パームやし油」が使われています。
「ベーキングパウダー」は、ふくらし粉とも呼ばれる膨張剤です。主成分は重曹で、発生する炭酸ガスによって生地を膨らませます。
③「お惣菜」
お惣菜の多くは中国で作られ、冷凍で輸入されます。大袋入りのものは業務用弁当や外食、ブッフェスタイルのレストランなどで利用されています。
小さなアルミ皿に詰められた冷凍タイプは、スーパーで売られ、お弁当の作っている家庭でよく使われます。凍ったまま入れれば保冷材の代わりにもなる便利なおかずです。
数々あるお惣菜のなかでも「かぼちゃの煮つけ」と「ひじき煮」を例に見ていきましょう。
「かぼちゃの煮つけ」
「トレハロース」は、自然界に多く存在する糖類で、カビ、酵母、植物、昆虫に含まれます。食品が干からびたり、パサパサするのを防いでしっとりさせ、風味を保ちます。
メーカーの言葉を借りれば「食品のつくりたてをそのまま保存する」添加物です。
「酸味料」はこの場合、酸味を出す目的よりも、日持ちや後味をよくするために使用していると思われます。
加工食品には、色々なうまみ、エキス類を多種多様に添加するため、後味が悪くなる場合があります。酸味が出るギリギリの量の酸味料を加えることで、後味がスッキリし、味のキレが良くなります。
「ひじき煮」
ひじき煮には、日持ちをよくするための「グリシン」「酢酸Na」「pH調整剤」が使われています。お惣菜になくてはならない添加物です。
甘味料の「アスパルテーム」は、代表的な合成甘味料(人工甘味料)です。
アスパルテームを日常的に摂ると、腸内細菌叢が破壊されて肥満になるという研究結果があります。
他にも、がんの発生に関係している・関係していないなど様々なことが言われています。詳しくは以下の記事でご覧ください。
《参考》【人工甘味料とは】種類一覧と危険性、メリット・デメリットのご紹介
「添加物なし」に作れない食品
以下の分類別に、添加物がなければ作れない加工食品を6つのジャンル別にご紹介します。
- 「置き換え」
- 「増量・置き換え」
- 「ダイレクト増量」
- 「フェイク」
- 「簡単・便利」
- 「輸入・大量生産」
①「置き換え」
まずは、添加物で本物そっくりに置き換えた食品を紹介していきます。
- 「コーヒーフレッシュ」
- 「ホイップクリーム」
- 「マーガリン」
- 「マヨネーズもどき」
「コーヒーフレッシュ」
フェイク食品の代表選手といえるのがコーヒーについてくる「コーヒーフレッシュ」です。
前著「食品の裏側」でも書かれていますが、コーヒーフレッシュにミルクは一滴も入っていません。
《参考》【本の要約】食品の裏側(食品添加物の神様、ミートボール事件の内容)
生クリームは高くて腐りやすいので、添加物を使い、色もテクスチャーも本物のクリームのように作りあげるメーカーの努力はすさまじいものです。
つくり方は、植物油を「乳化剤」で白く乳化させ、とろみは「増粘多糖類」、クリーム色は「カラメル色素」、香りは「合成香料」で出し、無菌充てんの後、常温保存のために「pH調整剤」を加えます。
ポーションカップには原材料表示は書いてありません。それは、容器が小さいから表示義務がないためです。
添加物で作りあげるので激安です。なので、わたしたちはコーヒーフレッシュを取り放題でいいのです。
クリーミーパウダーなどと呼ばれる、粉末タイプもあります。こちらもコーヒーフレッシュと同様に牛乳は使用されず、植物性油脂を粉末化して作られています。
「ホイップクリーム」
《植物性ホイップクリーム(例)》
ケーキに使うクリーム類は色々なものが販売されていますが、純正の生クリームと呼べるものは、牛乳から分離した純脂肪だけのものです。
ところが、クリームの一部、あるいは全部を植物性油脂と乳化剤等の添加物で置き換えたものがあります。「ホイップクリーム」「○○ホイップ」などと呼ばれるものです。
いわゆる「生クリームもどき」は人工的な香りで、べったりした重さが舌に残ります。
《参考》【生クリーム・ホイップクリームとは】その違いと、カロリー・味・用途
いま人気の、牛乳を混ぜるだけで簡単にホイップクリームがつくれる粉末タイプも、麻酔で用いる笑気ガス(亜酸化窒素)を使用したスプレー式ホイップクリームも、添加物なしにはできない食品です。
「ラクトアイス」
《植物性脂肪&添加物入りラクトアイス(例)》
このホイップクリームをアイスクリームのように凍らせたのが「ラクトアイス」です。
多くの人がアイスクリームと思いこんでいますが、ラクトアイスはアイスクリームのクリーム部分を植物性油脂に置き換えたものです。
「マーガリン」
マーガリンとは、乳脂肪をを含まない食用油脂に水等を加え、乳化させた可塑性のある油脂で、油脂分が80%以上含まれているものです。
※可塑性(かそせい)とは、変形させても元に戻らない性質、自由に形を変えられるものです。
マーガリンは、ラードのように常温で固体の油「硬化油」に、水、乳化剤、バター香料、着色料を練り合わせてつくられます。
やわらかさ、くちどけの良さ、バターに近い食感など、硬化油の種類、添加物の種類によって様々なタイプのマーガリンをつくることができます。
油の原料に植物油を使用すれば、水素ガス反応でも「純植物性」とアピールできます。
《参考》【マーガリンとは】バターとの違い、トランス脂肪酸が体に悪い?その理由
「ファットスプレッド」
《カロリー1/2 ファットスプレッド》
マーガリンの油は80%と定義されていますが、「ファットスプレッド」は油が80%未満とされています。
油の量をマーガリンの半分以下にすると、カロリーが半分になるので、カロリーハーフとアピールすることができます。
油が少ないと水っぽく柔らかくなってしまいますが、ゼラチンや加工デンプンなどを使うことで、固さをだすことができます。
ファットスプレッドをフライパンで加熱すると、乳化剤が焦げたり、油分が分離することがあります。
「バター」
バターはマーガリンより値段は張りますが、冷蔵庫から出したては固いですし、香りも強いので使うのも少量ですみますので、長い目で見れば経済的です。
動物性脂肪のとりすぎは気になりますが、摂りすぎが問題なのであって、悪者扱いするのはおかしいです。
伝統食品であるバターと、化学的加工油脂+添加物を駆使したマーガリン、そこから油を減らしてゼラチンや添加物で作ったカロリーハーフのファットスプレッド、体にやさしいのはどれでしょうか。
「マヨネーズもどき」
ハンバーグ弁当のポテトサラダで述べたように、コンビニ、ファストフードのサンドイッチやサラダのマヨネーズは、「マヨネーズもどき」です。
原材料名を見てみると「半固体状ドレッシング」という表示があります。卵を安い乳化剤で置き換えたものです。
《JASの規定》
「マヨネーズ」 | ①植物油、②卵黄または全卵、③醸造酢または柑橘類の果汁、の3つを必ず使うこと。油の割合は65%以上。 |
「半固体状ドレッシング」 | 卵は使用しなくて良い。油の割合は10%でもいい。 |
マヨネーズには、化学調味料と香辛料抽出物の添加物以外は使用できません。
一方で、半固体状ドレッシングは、乳化剤やマヨネーズ風の口当たりや色、酸味料、香料などの添加物を使用できます。
コンビニやスーパーのお惣菜のゴボウサラダやポテトサラダ、マカロニサラダ、タルタルソース、たこ焼き、お好み焼きなどのマヨネーズがおいしくないと思ったら表示を確認してみてください。多くは「半固体状ドレッシング」と書いてあるはずです。
カロリーハーフのマヨネーズ
マヨネーズもどきには「サラダクリーミードレッシング」という種類があります。「半固体状ドレッシング」との違いは、卵と糊料を使うという部分です。
卵白、でん粉、たんぱく加水分解物、食塩、砂糖類、香辛料、乳化剤、糊料、調味料(アミノ酸等)、酸味料、着色料等の原料、添加物を自由に使っていいのです。
JAS規定では、水分が85%までで油脂が10~50%未満とされています。つまり、水で85%まで増量していいということです。
原料の油をマヨネーズの半分にすれば「カロリーハーフ」のマヨネーズ風ドレッシングになります。「加工デンプン」や「キサンタンガム」などの添加物を駆使して限りなくマヨネーズに似せた商品が完成します。
②「増量・置き換え」
添加物によって、増量・置き換えされた食品を紹介していきます。
- 「激安ジャム」
- 「プリン」
- 「しょうゆ」
- 「お好み焼きソース」
「激安ジャム」
イチゴジャムを家庭で作る場合、イチゴと砂糖を煮て作ります。砂糖はイチゴの40%くらいの重量を加えます。
砂糖は大量に加えることで保存効果があります。伝統的な日本の保存食である煮豆、ようかんなども砂糖の性質を利用して作られたものです。
煮上がった後、レモン汁を加えます。これはイチゴのペクチン質にとろみと、ジャムにほのかな酸味を与え、変色を防ぎ、保存効果を高めるためです。
増量・置き換えの「激安ジャム」は、イチゴ、砂糖、レモン汁、それぞれがもたらす性質を添加物で置き換えるのです。
《いちごジャム比較》
実際に販売されている伝統的な製法でつくられたイチゴジャム(A)と、増量・置き換えでつくられたイチゴジャム(B)の原材料表示です。
イチゴの酸味は、「クエン酸」を主成分とした酸味料で代用します。イチゴが少ないので「ゲル化剤」を使って固いとろみを出します。
原材料表示は「量の多い順」に表示するように法律で定められています。Aは最初にイチゴがきていますが、Bは糖類(水あめ、砂糖、ブドウ糖〈液状〉)の方がイチゴよりも先にきています。
イチゴよりも砂糖を多くして増量しているので、イチゴの香料や酸味料などが必要になります。
「消泡剤」はイチゴを煮詰めるときに出る泡を消すための添加物です。機械であっという間に完成させることができます。
Aの伝統的な作り方では、イチゴをとろ火で煮詰めて自然なとろみを出し、出た泡はすくって、と時間をかけてつくります。
「プリン」
《プリンのコスト・材料対比表》
プリンもジャムと同様に置き換えで作られているものがあります。Aの手作りプリンと、Bの増量・置き換えプリンを例に見ていきましょう。
見比べていくと、何が何に置き換えられているのか分かってきます。
Bではプリンを固めるために「コーンスターチ」(でんぷん)と「ゲル化剤(増粘多糖類)」が使われています。
本来プリンは卵の白身に熱を加えることによって固まりますが、Bでは乾燥粉末の卵しか使っていないので固まりにくいからです。
値段は、手作りAのプリンは約100g×3個で105円、Bのプリンが75g×3個で160円です。
プリンに限らず、他人に食べ物を作ってもらうというのは、費用がかさみます。外食産業、調理済み加工食品などは手間賃産業、炊事代行業なのです。
「しょうゆ」
しょうゆにも「ホンモノ」と、置き換えでつくられている「もどき」があります。
伝統的なしょうゆの作り方は、蒸した大豆と炒った小麦を混ぜた種麴を加え、麹菌を繁殖させて麹をつくります。麹が持つ酵素の力で大豆のタンパク質をアミノ酸に、デンプンを糖分に変えます。これがしょうゆのうまみになります。
つくるのはしょうゆ職人で、長いもので3年かかります。長年の経験と勘が必要とされる仕事です。
一方、置き換えしょうゆの作り方はこうです。しょうゆのうまみとなる主成分のアミノ酸液を速く大量につくります。タンパク質は色々なアミノ酸が連なってできているので、塩酸で大豆のタンパク質をアミノ酸液に分解します。
塩酸というと毒劇物ですが、添加物としても認められています。コストダウンのための省人化、大量生産の典型です。昔は「化学しょうゆ」とも呼ばれていました。
その後、塩酸はカセイソーダで中和されることで水と塩となります。塩酸とカセイソーダは最終食品には残らないということで表示の必要はありません。
ここで使われる大豆は油をしぼった後の脱脂加工大豆です。小麦タンパクのグルテンも一部、原料として利用されることがあります。
このアミノ酸液に丸大豆しょうゆと比べて足りないものを添加物で補います。うまみは「化学調味料」、色は「カラメル色素」、甘みは「サッカリン」、塩辛みをやわらげる天然甘味料の「カンゾウ」、とろみは「増粘多糖類」などと組み立てていくのです。
麹の中の酵素が油を一部分解し、独特の風味を醸しだします。丸大豆原料と脱脂大豆では比べてみるとハッキリした差が出ます。
しょうゆのもろみにアミノ酸液を添加して醸造したしょうゆが「新式醸造」、アミノ酸を単純に混ぜたしょうゆが「混合しょうゆ」と表示されます。
「お好み焼きソース」
「ウスターソース」は、JASでは野菜、果実を使うこと、指定された添加物を使うことが定められています。
しかし、「お好み焼き用ソース」や「焼きそば用ソース」は、規格がありません。ですから、野菜や果実を使わなくてもいいし、高い米酢の代わりにアルコールを加えた原料の醸造酢を使えばよく、規格外の増量目的のアミノ酸液を使ってもいいことになります。
色はカラメルで黒く着色すればよいのです。とろみは、「加工デンプン」や「増粘多糖類」を使います。
お込み焼きソース、焼きそばソースは、家でも作れます。添加物を使っていないおいしいウスターソース50ml(大さじ3杯強)に、砂糖をお好みで小さじ2~3杯、水溶き片栗粉を小さじ2~3杯を加えて加熱すてとろみがでれば、できあがりです。
③「ダイレクト増量」
あらゆる材料の中で、なんといっても安いのは水です。水をうまく食品に混ぜ込めば文字通り「水増し」になります。このいい例がハムです。
「ハム」に卵、大豆、牛乳のアレルギー表示がある場合があります。豚肉のかたまりから作られるはずなのになぜでしょうか。
まず、卵は、白身の部分に火を入れると固まる性質があります。卵白から固まる成分「アルブミン」というタンパク質だけを抽出して使用されます。
次に大豆は、大豆から抽出された「大豆たんぱく」のことで、油と水を乳化し、固める性質があります。
最後に牛乳は、牛乳に含まれる「カゼイン」というタンパク質を化学処理した「カゼインNa」という添加物です。
これらを「調味液」に溶かし込み、さらに「発色剤」「コチニール色素」肉と肉の結着剤の「ポリリン酸塩」「水あめ」「ゼラチン」等を溶かし込み、生肉に注射し、よく揉んだ後、成型のチューブに入れ加熱すると肉に注射した水分が固まります。
なので、アレルギー表示に「卵、大豆、牛乳」と書いてあっても、その食品がそのまま使われているのではなく、そこから抽出した成分が水を固めるために使われているのです。
この注入による増量・味付け方法は、ベーコン、焼豚、鮭、牛タンにも応用されています。
いずれにも裏ラベルに「乳化剤」という表示、あるいは「乳・大豆」のアレルゲン表示があれば、この方法が用いられることになります。
また、同様の考え方で輸入の牛肉に直接牛脂を注入する方法があります。輸入の赤肉はパサパサしているので乳化させた牛脂を注射器で注入します。
1日置くと水は肉に入り、脂は肉のすき間に残り、霜降り肉になるのです。焼肉チェーン店では、「やわらか仕上げ」などと書いてある場合があります。
また、生の小肉を添加物で決着し、大きな形にするのも増量といえます。現在では、食用瞬間接着剤とも呼ばれる酵素「トランスグルタミナーゼ」がよく使われます。
たとえば、サイコロステーキ、ステーキ、ローストビーフ、トンカツなどがそうです。有名ホテルの偽装メニューでも有名になりました。
《参考》【成型肉とは】まずい?表示義務やサイコロステーキの食べ方を解説
④「フェイク」
続いて、添加物を駆使して作られているフェイク食品をご紹介していきます。
- 「ビール風飲料」
- 「無果汁飲料」
- 「ビタミンCたっぷり飲料」
- 「レタス3個分の繊維入り飲料」
- 「粉末青汁」
- 「トクホコーラ」
「ビール風飲料」
本場ドイツでは、ビールの原料は「麦芽」と「ホップ」のみと厳しく定められています。日本では「麦芽100%」「モルツ」と表示されるビールです。
ところが、日本では、ビールのアルコール発酵のために副原料として「米、コーン、スターチ」と原材料が表示されています。
ビールと発泡酒の違いは、含まれている麦芽の割合です。原料となる麦芽が少ないほど税率が低いのです。
第3のビールというのは、まったく麦芽を使わないもので、「その他の醸造酒(発泡性)」という表示になります。
①「ビール」、②「発泡酒」麦芽4分の1、③「第3のビール」麦芽を使わないの順に価格も安くなるわけです。
さらに安い「新ジャンル」は、発泡酒を原料に、飲用アルコールを加え、炭酸ガスを吹き込み、風味エキスや添加物などで第3のビール同様、ビールの性質に似せたアルコール飲料です。
「リキュール類」の部類になるため、税金が半減するという酒税法のすきまをついた商品です。
自分で作れる「新ジャンルビール」
以下の配合で混ぜ合わせれば、発泡酒から新ジャンルビール風飲料がつくれます。
《1リットルの新ジャンルビール風飲料》
発泡酒 | 350ml |
炭酸水 | 500ml |
焼酎甲類(25%) | 150ml(糖蜜原料) |
できあがりのアルコール度数は5.5%です。
少し色が薄くて水っぽいけれど、3本が3リットルに増えたのでビールがないのに飲みたいときには十分です。お酒をブレンドするので、カクテルを作るのと同じです。
「無果汁飲料」
無果汁飲料は、シロップと添加物で味を作りあげます。
果汁の糖度は10~12%なので、多くの場合、この甘味は砂糖ではなく、「ブドウ糖果糖液糖」でだします。理由は、砂糖より安く使い勝手がいいからです。
ブドウ糖果糖液糖は、とうもろこしからとれるデンプンを酵素反応によってブドウ糖に分解し、一部のブドウ糖を別の酵素で果糖に変え、この両方を混ぜ合わせたものです。
異性化糖とも呼ばれ、果糖の方が多いと「果糖ブドウ糖液糖」となります。
「ブドウ糖果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」は、糖尿病や脂肪肝を引き起こす原因にもなりかねません。詳しくは以下の記事でご覧ください。「トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ」という本を要約した一部です。
《参考》5.6 果糖ブドウ糖液糖(55%フルクトース・45%グルコース)
酸味をつけるためには「クエン酸」が使用され、りんご酢、アスコルビン酸などをブレンドします。この甘酸っぱい水に炭酸ガスを溶かし込んだものがサイダーです。
ここに果汁の合成香料と着色料を加えれば、無果汁のオレンジ味やグレープ味の飲料になります。
「ビタミンCたっぷり飲料」
不思議なのは、レモン飲料500mlにレモン70個分のビタミンC入りと書いてあります。しかし、よく見ると「果汁1%」ともあります。1%というとレモン果汁は小さじ1杯5mlということになります。
実は、レモンは思ったほどビタミンCは多くなく、あの酸っぱさはクエン酸によるものです。飲料のビタミンCは、天然のレモンのビタミンCではなく、合成のビタミンC「アスコルビン酸」を加えています。
レモン70個分に相当する合成のビタミンC「アスコルビン酸」を添加しているという単純計算です。
「レタス3個分の繊維入り飲料」
「レタス3個分の繊維入り!」というのも、レモン70個入りと似たような表現ですね。
添加物の中に「ポリデキストロース」というものがあります。水にとけやすく透明ですが、食物繊維の一種です。
体に吸収されない炭水化物を「繊維質」と呼びます。ポリデキストロースは、体に吸収されないので繊維質といっていいのです。
レタスに含まれる繊維質は思ったより少なく、1玉(約100g)あたり0.5g程度です。
つまり、合成繊維のポリデキストロースを1.5g飲料に加えるだけで「レタス3個分の繊維入り」といえるのです。
「粉末青汁」
粉末青汁の「ほうれん草〇倍のビタミンC!」などという宣伝を見ると、一見すごい栄養価だなと思ってしまいますが、これは数字のトリックです。
よくみると「同重量比」と小さく表示されています。つまり、同じ重さで比べた場合という意味です。
野菜はほとんど90%以上が水分です。この水分を飛ばして乾燥すれば10分の1以下の重さになります。
生のほうれん草100gと粉末青汁の同量100gと単純に比べると、1袋3g入りの青汁とすれば33袋分と比べることになります。
これは不公平です。水分のない粉末青汁の方が数字が上で栄養価が高くなるのは当然です。
「トクホコーラ」
トクホのコーラから発がん物質が検出という報道がありました。コーラの色であるカラメル色素の中に含まれる不純物「4-MI」(4メチルイミダゾール)が2011年に米国で発がん物質にリストアップされたのです。
工業的に化学処理をして行く過程で4-MIが発生します。
特に酸性の飲料に使う場合、色の安定のため化学処理が必要なのです。メーカーは「1日に16リットル以上飲まなければ問題ない」と言っていますが、そんな言い方で片づけていいのでしょうか。
コーラがトクホに認定された理由は、含まれている「難消化性デキストリン」という食物繊維が脂肪の吸収を抑えるからです。
この「難消化性デキストリン」とは、デンプンに酸を微量加えて200度の温度で焙煎して、人間が吸収できないデンプンにわざわざ作りあげたものです。
しかし、トクホのコーラやお茶で脂肪の吸収を抑えるよりも、油を控える努力をした方がはるかに良いでしょう。後からお話しますが、知らず知らずにとっている油は想像以上の量になります。
⑤「簡単・便利」
「だしの素」は、なぜ小さじ1杯で2~3人分のだしがとれるのでしょうか。だしメーカーがかつおや昆布のの煮出し汁を濃縮して、特別な方法で顆粒状にしているのでしょうか。
答えは違います。ここでも添加物が活躍しています。前著「食品の裏側」でも出てきましたがインスタント食品の黄金トリオ「食塩+化学調味料+たんぱく加水分解物」で作りだす濃い味です。
《参考》【本の要約】食品の裏側(食品添加物の神様、ミートボール事件の内容)
これに、かつおエキスなどで風味(香り)をつけると「だしの素」になります。
「〇〇の素」の仕組み
《かつおだし配合表(例)》
「かつお風味のだしの素」の配合はこのようになっています。
この配合で、かつおエキス、かつおパウダーの代わりに昆布エキスで昆布の風味にすると「昆布だしの素」になります。かつおエキスと昆布エキスを両方配合すると「和風だしの素」、かつおの代わりに、いりこ粉末を配合すると「いりこだしの素」になります。
だしの素の場合、風味があれば、素材の持つうまみは必要ありません。うまみは「黄金トリオ」が受け持ってくれます。
この「和風だしの素」に粉末しょうゆを加え、乾燥ネギを配合したものが「お吸い物の素」、さらにまつたけ香料を加えたのが「まつたけ風味のお吸い物の素」です。
「和風だしの素」に粉末しょうゆ、乾燥の鮭フレークを配合したものが「鮭茶漬けの素」、あるいは「鮭ぞうすいの素」になります。
「黄金トリオ」にポークエキスとチキンエキスを混ぜたものが「中華風だしの素」です。「黄金トリオ」にチキンエキスと野菜エキス、しょうゆ、香辛料を加えると「チキンコンソメ」や「チキンブイヨン」「ガラスープ」になります。
《コンソメスープの配合(例)》
こちらは、チキンコンソメスープの配合の一例です。食塩と化学調味料と塩酸分解の調味料「たんぱく加水分解物」でしっかりと味をつけます。
洋風の固形スープの場合は、同じように風味にビーフエキス、うまみにチキンエキス、野菜エキス等を配合し、牛脂で固めます。
便利な調味料の配合例をご紹介します。
《便利な調味料の中身 配合例》
「だしパック」の誇張表示
天然素材を使った「だしパック」が「保存料、化学調味料無添加」とアピールとして売られています。
かつおやいりこを粉末状にしてパックにしただけのタイプもありますが、中には限りなく「黄金トリオ」に近いものを入れているタイプもあります。
まず「合成保存料不使用」という表現ですが、なにを使用していないと言いたいのか理解に苦しみます。
そもそも乾燥品のだしの素に保存料なんて不要ですし、ソルビン酸、安息香酸、ナイシンなどの合成保存料は、だしパックには法的に使用できません。
だしに限らずこのような誇張した表現は、サッカーで「俺たちは手を使わずに勝った!」と威張っているのと同じようなものです。
《だしの成分(例)》
次に「化学調味料無添加」という表示ですが、化学調味料は使っていなくても「酵母エキス」「たんぱく加水分解物」が配合されいる場合があります。
酵母エキスは、うまみ専用の「トルラ酵母」を培養して抽出します。化学調味料に比べてパンチは弱いものの、量を多く使えば劣りません。さらに、「たんぱく加水分解物」と併用するとさらに強いうまみが出ます。
「塩、酵母エキス、たんぱく加水分解物」はいわば「新・黄金トリオ」です。
酵母エキスは、化学調味よりコスト高になるものの、「天然」「化学調味料不使用」「化学調味料無添加」とアピールすることができるので、高く売れます。
昆布やかつおの素材にうまみがなくても、風味さえ付ければ酵母エキスがうまみを出しますから安い材料を使えますし、昆布やかつおの量も少なくて済みます。
また、メーカーによっては、粉末しょうゆやもろみ粉末を配合して味を強化した商品もあります。
だしパックを使うなら、内容物の原材料表示をよく見てだしの素材のみが配合されたものがいいですね。
⑥「輸入・大量生産」
「野菜ジュース」は、手軽に野菜がとれ、ヘルシーなイメージで、外食が多い人や野菜嫌いの人にも人気の商品です。
「1日分の野菜」とうたわれていますが、これも数字のトリックがあります。1日分の野菜の摂取量の目安は、350gです。
なので、ジュース1本分をつくるために、しぼった原料の野菜の重さが計算上350gであるということです。
つまり、1日の野菜からとれるはずの栄養素がすべてこの野菜ジュースで1本に含まれているということではありません。
この野菜ジュースの原料は、ほとんどが輸入です。体積を濃縮されてトマトケチャップのようなどろどろの状態を冷凍して持ってきて、国内で水を加えて元のように戻す「濃縮還元」という方法をとっています。
この方法だと、香りやビタミンC、ミネラルが失われてしまうので、栄養成分表示にビタミンCがないものもあります。
メーカーによっては、濃縮のときに失われてしまった成分を香料、ビタミンC、カルシウムなどの添加物で補っています。繊維質は最初からほとんど取り除かれています。
この野菜ジュースは国内で、水で戻すので「国内製造」と書いていいのです。このとき、戻す水を少なめにして「濃縮タイプ」とうたってうるものもあります。
これを「100%ジュース」と販売するのもどうかと思いますし、それ以上に「輸入」が問題です。
《野菜ジュースの原材料産地(例)》
野菜ジュースの「濃縮ペースト」は世界各国さまざまな国の原料が使用されています。果汁は90%以上が輸入です。
簡単にいうと、値段が安ければ世界中どこからでも集めてきます。そこには残留農薬などのリスクも発生します。
もし、この野菜ジュースで残留農薬など、なんらかの事故が起きたとき、この数十か国のトレーサビリティは可能でしょうか。
トレーサビリティとは、生産段階から消費するまでを追跡することです。
どこ国のどんな野菜に問題があったかのか、すぐには分からないはずです。もちろん、輸入の際には原料1つ1つに一応の残存農薬の検査は法律で決まっていて、今のところ違反はないようです。
さいごに
「食品の裏側2実態編」の要約記事として、添加物なしには作れない食品をまとめました。
おにぎりの具に使われている再生昆布や再生おかか、からあげ、かぼちゃの煮つけ、ひじき煮は家庭で作るものとは材料が全然違うことがご理解いただけたと思います。
また、コーヒーフレッシュやホイップクリーム、マーガリンのように、添加物で置き換えて作られている食品もあります。他にも、激安ジャム、プリン、しょうゆは、家庭で作る場合との比較をご紹介しました。
さらに飲み物関係では、ビール風飲料、無果汁飲料、粉末青汁、野菜ジュースなどに使われる添加物を明かしました。
こんなにも添加物に囲まれて生活していたのかと驚きます。
続いて、添加物の危険性・安全性への考え方や、添加物の認定方法については以下の記事でご覧ください。