あなたは、カロリー制限ダイエットの経験がありますか?
- 痩せたいけど、我慢は続かない
- カロリー制限ダイエットはなぜリバウンドするの?
- 続けられるダイエットが知りたい
わたしは、食事指導とファスティング指導をしている栄養士です。プラスの健康とマイナスの健康、それから普段の楽しい食生活のバランスが大切だと思っています。
そんなわたしが、「やせたい人はカロリー制限をやめなさい」という本のQ&Aをまとめました。本記事は「前編」「後編」をお読みいただいてからご覧いただくと理解が深まります。
《参考》【本の要約:前編】やせたい人はカロリー制限をやめなさい(実践方法)
《参考》【本の要約:後編】やせたい人はカロリー制限をやめなさい(実践方法)
ダイエットの新常識Q&A
Q&A方式で、ダイエットに関する疑問にお答えしていきます。今までお伝えしてきた情報の復習もあるので、ぜひご自身でも答えを想像してから読んでみてください。
Q1.野菜はダイエットのために、たくさん食べた方がいい?
ただ単にたくさん食べればいいのではなく「ベジファースト」が効果的です。
ただし、イモ類、レンコン、カボチャ、トウモロコシは糖質の多い野菜なので、後から食べた方が良いです。
ベジファーストの際、みりんや砂糖といった糖質の多い調味料を使った煮物や、カロリーオフや和風ドレッシングなど脂質が少なく糖質が多めになっているドレッシングには気を付けましょう。
「ベジファースト」をしよう
「野菜だけダイエット」を行う人がいるのは「カロリー制限」の考え方が根本にあり、野菜はローカロリーだから太らないという間違った認識によるものです。
一時的に痩せたとしてもリバウンドしやすくなります。また、野菜だけ単体でとってもダイエット効果はほとんど期待できません。
炭水化物と組み合わせて摂取することで、はじめて野菜の持つダイエット効果を最大限に引き出すことができます。
ビタミンやミネラル、抗酸化作用のあるポリフェノール、食物繊維などの栄養成分を豊富に含む野菜はたっぷり食べてほしいです。
しかし、ダイエットを目的とするなら、食事の最初に野菜たっぷりとる「ベジファースト」が効果的です。
また、糖質など主食を最後にとる「カーボラスト」を心がけることで、たくさんの野菜がとれないときでも、効果的に食後の血糖値の急上昇を抑えて、ダイエットを成功に導くことができます。
一部の野菜に注意
ただし、野菜の中でも「イモ類」は食べすぎに注意が必要です。イモ類は、でんぷんのかたまりで、多くの糖質が含まれています。
イモ類と同様に、レンコン、カボチャ、トウモロコシも糖質の多い野菜です。Kanboやレンコンの煮物は、材料に糖質が多い上に、みりんや砂糖といった糖質の多い調味料で味付けされているので、血糖値が上がりやすくなります。
つまり、野菜は種類によって、最初に食べるか、後から食べるか使い分ける必要があります。
一部の調味料に注意
なお、野菜サラダにドレッシングをかけるときは、栄養成分表示の「炭水化物」または「糖質」の量にも気を付けましょう。
カロリーオフや和風ドレッシングは脂質が少ない分、糖質が多めになっているので注意が必要です。せっかく「ベジファースト」をしてもドレッシングの糖質で血糖値が上がってしまいます。
Q2.ダイエットには、主食もおかずも減らした方がいい?
おかずは減らすべきではありません。おかずを減らすと肉や魚、卵や乳製品といった筋肉の材料となるタンパク質の摂取も減り、リバウンドしやすい体を作ってしまいます。
タンパク質を減らして一時的に体重が減ったとき、「脂肪」よりも「筋肉」が減っています。
「タンパク質」の摂取
主食もおかずも減らすと、一時的には体重が目に見えて減少することから「やっぱり食べないことが、ダイエットに効果的」と思う人がいるかもしれません。
しかし、これこそが「リバウンド」の原因になる考え方です。おかずを減らして一時的に体重が減ったときに、実際に減少しているのは「脂肪」よりもむしろ「筋肉」です。
おかずを減らすと肉や魚、卵や乳製品といった筋肉の材料となるタンパク質の摂取も減ります。
我慢のダイエットは続かないので、結局再び元の量以上を食べるようになってしまったとき、筋肉が減っていると、とった糖はエネルギーの行き場を失い、そのまま脂肪に置き換わってしまいます。
つまり、ダイエットする前よりも脂肪がたまりやすい体質に変わっているので、リバウンドしやすくなります。
「加齢」によるもの
どんな人でも40代を過ぎると筋肉量は10年ごとに約10%ずつ減少していきます。なのに、タンパク質が不足すようなダイエットをすると、筋肉の減少に加速がつきます。肌が荒れたり、しわが増えたり、髪が細くなるなど「老け込むやせ方」をしていまいます。
筋肉量を維持するための1日のタンパク質の合計目安量は、主にデスクワークをでときどき軽い運動を行う人の場合は体重1kgあたり約0.9kgです。
体重60kgの人なら1日にタンパク質54gが目安になります。これをもとに1食20gのタンパク質を摂取しようとすると、卵や納豆だけでは足りません。これに、牛乳や豆乳、ヨーグルトを加えることで目標量に到達しやすくなります。
ちなみに、「医学的に内臓脂肪を落とす方法」という本ではもっとタンパク質が必要という理論でした。
《参考》【本の要約:後編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)
Q3.「低GI食品」はダイエットに良いの?
血糖値の上がりにくい食品を選ぶ際には「GI値」よりも「GL値」の方を参考にしましょう。
「GI値」と「GL値」
「GI」はグリセミック指数と呼ばれるもので、食品に含まれる炭水化物50gをとったときの血糖値の上がりやすさを示す指数です。
一方「GL」は、グリセミックロード指数と呼ばれ、食品に含まれる炭水化物量とGIを掛け合わせたもので、1人前の食事量をとったときの血糖値の上がりやすさを示す指数です。
たとえば、スイカのGI値は72と高いですが、GL値は4と非常に低い値です。スイカは、炭水化物の含有率が低いため、炭水化物の摂取量を50gとするGI値はスイカを600g以上も食べたときの値となります。
スイカS玉1つ当たり1.8kg程度なので、スイカ3分の1程度の量ということで、そんなにたくさんを1回に食べるのは現実的ではありませんね。
スイカのように、GI値で見ると血糖値の上がりやすい食品でも、低GLのものがあります。
Q4.激しい運動をするほどやせる?
ハードな運動をするよりも、タイミングを考えて行うことで、運動といえない軽作業でも効率よくダイエットを行えます。
食後15分以内に運動を始めることで効果的に血糖値を下げることができます。
「運動」のダイエット効果は弱い
前編でも触れましたが、運動は意外とエネルギーを消費しません。一生懸命にがんばった割には効率が悪いです。
「消費カロリーをいかに増やすか」ではなく、血糖値の上昇を抑えることの発想を転換して考えると食後15分以内に運動を始めることで効果的に血糖値を下げることができます。
消費エネルギーを増やそうと、毎日ハードな運動をするよりも、タイミングを考えて実行することで運動といえない軽作業でも、効率よくダイエットを行えます。
食前に運動をしてしまうと、食後の血糖値を抑える効果はないどころか、むしろ運動によって食欲がまして食べ過ぎてしまう危険性すらあります。
「だらだら食べて、食後はすぐにちょこちょこ動く」のがおすすめです。
食事はゆっくり時間をかけて食べることで、満腹中枢に「食べた」という信号が伝わり、最後に取る主食も食べすぎずに済みます。ゆっくり食べることで血糖値の上昇も緩やかになります。
わざわざ走りにいかなくても、食器洗い、食卓拭き、掃除機をかけるなど日常でやっている家事を食後の時間に充てるだけで手軽にダイエットができます。
「帰宅したら、まずごはん」
帰宅後に、まず夕食を食べましょう。なぜなら、食後15分以内に38度程度のぬるめのお湯につかると副交感神経が刺激されて食後血糖値の上昇を抑えられます。
ただし、42度以上の熱いお風呂に入ると交感神経が活性化して逆効果になるので注意してください。
Q5.「インスリン」節約ダイエットで全ての脂肪が落ちる?
血糖値の上を抑えたダイエット法では、主に「内臓脂肪」が落ちます。
「皮下脂肪」を落としたい方は、筋トレや運動が有効です。
「内臓脂肪」と「皮下脂肪」
血糖値の上を抑えてダイエットした結果、落ちるのは主に「内臓脂肪」です。
内臓脂肪とは、腸のまわりや内臓の隙間を埋めるようについている脂肪のことです。蓄積すると、インスリンの働きを正常化したり、動脈硬化を予防する働きのある生理活性物質「アディポネクチン」の分泌が減り、血糖値のコントロールがさらに上手くいかなくなります。
しかし、内臓脂肪は食事療法によって落としやすいという特徴があります。
一方、皮下脂肪は皮膚のすぐ下の浅い部分、主に二の腕やお尻、太ももの裏側についている脂肪です。
クッションの役割をしたり、断熱・保温材としても働くために適度についていることが大切ですが、いったん定着するとなかなか落ちないという特徴があります。
ダイエットを始めると、内臓脂肪が先に落ち始めます。皮下脂肪を落としたいときには、運動の方が効果があります。
「医学的に内臓脂肪を落とす方法」という本には、内臓脂肪・皮下脂肪に加えて「異所性脂肪」とについても書かれています。
《参考》【本の要約:前編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)
Q6.睡眠不足が続くとやせる?
睡眠時間が短いと太ります。
また、満腹感をもたらすホルモンが減り、食欲を高めるホルモンの分泌量が多くなります。
「睡眠時間と肥満」
近年、睡眠時間が短いと肥満指数「BMI」が増えることが分かってきました。
また、睡眠時間が8時間の人に比べ、5時間睡眠の人は、満腹感をもたらすホルモン「レプチン」の量が少なく、食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌量が多かったという結果に鳴りました。そうすると、意識せずとも食欲が増して、わたしたちは食べ過ぎてしまいます。
肥満になると、喉の奥の方が脂肪によって狭くなり、空気の通り道である気道をつぶすことから、「睡眠時無呼吸症候群」の原因にもなります。
睡眠時無呼吸症候群を発症すると、眠りが浅くなり、目覚めが悪くなります。重症化すると、強い眠気による交通事故や生活習慣病の悪化につながっていきます。
Q7.甘い物が飲みたいとき「人工甘味料」ならOK?
人工甘味料の長期の有効性や安全性は、まだ確定していないので、大量に飲んだり、毎日飲み続けることは避ける方がいいでしょう。
天然甘味料であるエリスリトールは、「摂取する上限量を設定する必要がない極めて安全な食品」として分類されています。
「人工甘味料と天然甘味料」
低カロリー、カロリーゼロ、シュガーレスと表示された食品や飲料には、砂糖のかわりとなる甘みづけに、人間の体内では消化吸収されにく甘味料が使われています。
甘味料には、ブドウ糖が含まれず、少量でも砂糖の数百倍と甘みが強いので、血糖値の上昇を抑制する効果が期待されています。
人工甘味料 | 天然甘味料 |
人工的に化学合成された甘味料。 | 果物の発酵食品から抽出される天然由来の甘味料。 |
アスパルテーム、アセスルファムK(カリウム)、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウムなど | エリスリトール(羅漢果抽出物)、天草抽出物(グリチルリチン)、ステビア抽出物など |
人工甘味料の長期の有効性や安全性は、まだ確定していないのが現状です。動物実験レベルや、一部の人を対象にした研究は進んでいます。
血糖値が上がらないからといって大量に飲んだり、毎日飲み続けることは避ける方がいいでしょう。
一方で、天然甘味料であるエリスリトールは、アメリカの食品医療薬品局FDA、ヨーロッパの医薬品庁EMAともに、「摂取する上限量を設定する必要がない極めて安全な食品」として分類している甘味料です。
《参考》【人工甘味料とは】種類一覧と危険性、メリット・デメリットのご紹介
Q8.断食は、ダイエット効果がありますか?
断食は、短期的な減量効果は高いです。
「断食」
断食は短期的な減量効果は高いと思われます。ただし、プチ断食では肝腎の脂肪はほとんど減りません。
断食中もタンパク質だけは十分に補給する断糖を行う方が、空腹感も抑えられ、筋肉量の減少もなくおすすめです。
ファスティングトレーナーとして
わたしは、ファスティング(断食)トレーナーをしていますが、1点注意事項があります。
長期の断食を行う場合は、専門家の指導のもとで行ってください。
理由は、正しく行わないと、この本にも書かれている通り筋肉の減少や、その他にも身体が酸性に傾いたり、骨や歯が脆くなったりする可能性があるからです。
ミネラルファスティングでは、酵素ドリンクで最低限の糖質を摂取しながら食べずに過ごすので、空腹感はなく筋肉の減少も抑えて行うことができます。
《参考》【ファスティングとは】断食との違い・ダイエット&デトックス効果
《参考》【事例】-5.4kgダイエット!3日ファスティングの効果(男性41歳)
Q9.「1日1食」と「1日5食」どちらの方がいい?
肥満の人は、食事回数を減らす、半日程度のプチ断食がダイエットに有効です。
正常体重の人は、1日の食事量が同じであれば、回数が多い方が食後の血糖値の上昇は抑えられるので、ダイエット効果があります。
「肥満の人」
食事回数が減ることにより1日の糖質量を抑えることができるのであればダイエット効果があります。
特にインスリン抵抗性が生じている肥満がある人は1日あたりのインスリン量を抑える意味で食事の回数を減らす方法は有効です。
肥満の人は、週末だけの半日程度のプチ断食を行って、1週間あたりのインスリン分泌量を減らす方法もいいでしょう。
《参考》【要約】空腹こそ最強のクスリ:16時間断食の正しいやり方・ナッツの食べ方
「正常体重の人」
逆に、インスリン抵抗性がない正常体重の人であれば、1日の食事量が同じであれば、回数が多い方が食後の血糖値の上昇は抑えられるため、減量に一定の効果があると考えられています。
インスリン抵抗性がある肥満の方の場合は、食事の回数を増やすことで1日あたりのインスリンの分泌量が大幅に増加するため、かえって体重が増加する恐れがあります。
Q10.夕食が遅くなるくらいなら抜いた方がやせる?
可能であれば、「分食」をするのが良いです。
18時までに軽くおにぎりなど主食を食べて、帰宅後はおかずや野菜、スープなどをとりましょう。
「分食」
夕食を食べそびれてしまったら、もういっそ抜いた方がダイエットにいいのではと思いがちですが、空腹で眠れず結局、夜中にカップラーメンを食べてしまうなんていうこともあります。
今日は遅くなると分かっている日は、18時までに軽くおにぎりなどで主食を食べておき、帰宅後は糖質をあまり含まないおかずや野菜、スープなどをとる「分食」をするのが良いでしょう。
「研究結果」
健康な女性14人(平均22.6歳)に、8時に朝食、13時に昼食、夕食を3つのパターンでとってもらい、血糖値の変化を調べました。
- 21時に夕食をとる
- 分割して夕食をとる(18時にトマトとご飯、21時に野菜と主菜)
- 18時に夕食をとる
②の分食では①よりも血糖値が低く抑えられました。同じ人が同じ内容の食事をとっても、食べる時間帯、食べ方によって、血糖値が大きく影響を受けることが示されました。
【まとめ】Q&A
Q&Aで、疑問点は解決できましたか?糖質は後から食べる、冷まて食べる、タンパク質や脂質と一緒に食べるという基本を応用して考えると分かりやすいのかなと思いまます。
全てを実行する必要なないので、できることから始めてみましょう。さらに詳しく知りたい方は、以下より復習してみてください。
《参考》【本の要約:前編】やせたい人はカロリー制限をやめなさい(実践方法)
《参考》【本の要約:後編】やせたい人はカロリー制限をやめなさい(実践方法)
また、最後の確認テストもありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
《参考》【本の要約:確認クイズ】やせたい人はカロリー制限をやめなさい
詳細が気になる方は著書をお手に取っていただければと思います。