【本の要約:後編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)

あなたは「内臓脂肪」を落としたいと思いませんか?

  • どんなことが書いてあるの?
  • 読むのは大変だから簡単に要約してほしい。
  • どうすれば内臓脂肪が落とせるの?

痩せていたころと同じ食事と運動に戻せば、またあの頃のように痩せると思いますか?

残念ながら、すでに変わってしまった体は以前と違います。「以前と同じ運動と食事」にしただけでは痩せないのです。

わたしは、食事指導とファスティング指導をしている栄養士です。ファスティング指導の資格も保持しています。

そんなわたしが「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法」という本を要約していきます。

本記事は「後編」になります。まずは「前編」からご覧いただくと理解が深まると思います。

《参考》【本の要約:前編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)

《参考》【本の要約:中編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)

「タンパク脂質食」で内臓脂肪を落とす

1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法

内臓脂肪をためるインスリン分泌を抑え、内臓脂肪を燃焼する働きを高める食事「タンパク脂質食」をおすすめします。

タンパク脂質食は、最強の2つの効果が期待できます。

  1. 内臓脂肪を増やさない
  2. 余っている内臓脂肪を使って減らす

この食事法は、著書の先生が糖尿病患者さんのために2014年11月に考案したもので、実践者第一号はご本人です。その結果、1年で14キロ痩せたそうです。

なかには100kgを超える高度肥満の患者さんもいて、「脂肪細胞がパンパンでその数も増えている」とても痩せにくいタイプでしたが、するする体重を落とし、半年で約15㎏の減量に成功したのです。

肥満ホルモンであるインスリンの分泌を抑える食事に変えるだけで、いかに速やかに脂肪が減るのが分かることと思います。

「食べる順番」

「タンパク脂質食」ではタンパク質がとにかく優先です。たとえば、タンパク質が不足したままビタミンをとると、かえって胃がむかむかしたり、吐き気がしたりします。

また、我慢することよりも積極的にとるべきものを言葉で表すことは食事改善の成功の可能性を高めることにもつながります。

というのも、「糖質オフ」という呼び方だと、どうしても脳は大好きな「糖質」という言葉に意識を引っ張られてしまい、かえって渇望感をあおってしまいます。

なので我慢を強いる雰囲気を避けて、積極的にとってほしい「タンパク質」と「脂質」をそのまま表す「タンパク脂質食」という風に呼びます。

「動物性タンパク質」

動物性タンパク質は、基本的には、肉、卵、ホエイプロテインの3つを組み合わせながら補給することを推奨しています。

3種のタンパク質の特徴をご紹介していきます。

  1. 「肉類・卵」
  2. 「魚類」
  3. 「大豆類」

① 「肉類・卵」

肉は、牛、豚、鶏、羊など、何の肉でも好みのもので大丈夫ですが、豚肉は脂質が多めなので、個々のケースに合わせて割合を調整しましょう。

脂質重視の場合はバラ肉、タンパク質重視の場合はひれ肉を選ぶと良いでしょう。

卵は「完全栄養食」とも言われ、非常に良質のタンパク質です。

人間は哺乳類なので、同じ哺乳類の牛、豚が最も効率の良いタンパク源です。次いで、鶏肉、その次が魚です。

② 「魚類」

魚はタンパク質の品質は肉や卵に次ぐものがありますが、吸収効率は哺乳類・鳥類よりも1段下がります。

魚は1食でとれるタンパク質の量が肉と比べると少ないので、メインのタンパク減とするとタンパク質不足を起こしがちです。

ただし、魚は良質な脂質のDHA・EPAは摂取できるメリットもあります。とはいえ、焼き魚や干物の場合は、DHA・EPAは激減しています。

③ 「大豆類」

繰り返しになりますが、動物性タンパク質に比べて、消化・吸収の効率が低いので、あまりおすすめしていません。多くの量をとる必要があります。

大豆だけでタンパク質を十分量にとることは難しく、ミネラル不足になる恐れもあります。やはり、タンパク質は動物性で必要量をとることが必要です。

豆腐など発酵していない大豆製品には次のようなデメリットについては、中編の「魚や大豆」中心の食事で紹介しています。

タンパク強化に「ホエイプロテイン」

ホエイプロテインは、その名の通り「乳清(ホエイ)」から作られるプロテインです。ホエイとは、ヨーグルトの上にある透明の液体です。

日本で主流のホエイプロテインは、主に2種類あります。

WPC(濃縮乳清タンパク質) WPI(単離乳清タンパク質)
・価格が安い
・乳糖が入っている
・タンパク質含有量が少なめ
・価格が比較的高め
・乳糖なし
・タンパク質含有量が高い(90%以上)

日本人は乳糖不耐症の方が多いので、WPCタイプだとおなかの調子が悪くなる方にはWPIが有効です。

ドラッグストアなど店頭で売られているホエイプロテインのほとんどは安価なWPCの方です。

また「ホエイ」とついているものにWPH(ハイドロホエイプロテイン、加水分解乳清タンパク質)というものもあります。これはホエイプロテインをさらに加水分解して小さくしたもので、タンパク質というよりは、それよりさらに小さいペプチドやアミノ酸の状態です。WPIよりもさらに分子が小さくしたある分、吸収が早いという特徴があります。

著書に記載されていた商品をご紹介します。

まずは「WPCタイプ」のプロテインです。どちらも数種類の味がセットになったお試し版なので、まずはお気に入りの味を見つけてみてみてはどうでしょう。

《楽天市場》ビーレジェンド お試しセット

《楽天市場》マイプロテイン お試しセット

続いて「WPIタイプ」のプロテインです。様々な味が販売されていますが、こちらのシリーズはお試しセットがないようなので、プレーン味をご紹介します。

《楽天市場》ファインラボ ピュアアイソレート プレーン風味

他にも、筋トレをしている人には「Gold Standaed」というホエイプロテインも人気です。

「原材料」をチェック

購入する際は、原材料名をチェックして添加物が含まれるホエイプロテイン避けた方が良いです。

店頭販売されているホエイプロテインの多くは、植物性油や乳化剤、増粘剤など各種の添加物が含まれています。特に、植物性油はトランス脂肪酸を含むため、かえった体にダメージが入ってしまいます。

《参考》【トランス脂肪酸とは】含む食品一覧・アメリカなど世界と日本の対応

毎日、定期的に摂取するものなので、添加物が山盛りものや、タンパク質濃度が低い商品は避けて、高品質なものを選ぶようにしてください。

《参考》【本の要約】食品の裏側(食品添加物の神様、ミートボール事件の内容)

「ソイプロテイン」

一方で、ソイプロテインは大豆(ソイ)から作られたプロテインです。

消化吸収がゆっくりなので腹持ちがいいのですが、延々とタンパク質によるインスリン分泌が続くとも言えます。つまり「痩せない時間が長くなってしまう」ということです。

そのため、内臓脂肪を減らすという目的からは離れてしまうので、おすすめしていません。

タンパク質が足りているのかの判断

一般的に検査される項目で、タンパク質不足があるかどうかの指標となるものがあるのでご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

次の数値が低い場合は、タンパク質不足の疑いがあります。

  • 尿素窒素(BUN):20.0~22.0mg/dL
  • アルブミン(Alb):4.0~5.2g/dL
  • GOT(AST):20~35IU/L
  • GPT(ALT):20~35IU/L
  • ALP:180~350U/L(できれば200以上)

ただし、これらの数値がクリアできていてもタンパク質不足のままということは非常によくあります。

さらにGOTがGPTより2倍以上多い場合にはビタミンB6が不足している場合があります。これはGOTとGPTという酵素が働くときにビタミンB6が補助する必要があるためです。

この場合、マルチビタミンなどを飲んでもビタミンB6を満たす量には足りないのでB6単独のサプリメントを摂取して補う必要があります。

検査結果の評価は総合的に判断する必要があるので、あくまで目安として活用してください。

必要なタンパク質量

必要なタンパク質は、人によって違います。栄養に関することは基本て位にすべて人それぞれ必要量が違います。

《タンパク質10gをとるために必要な各食品の量》

牛肉 65g
豚肉 83g
鶏肉 55g
羊肉 68g
鶏卵 79g(1.5個)
チーズ 50g
牛乳 470g
イワシ 63g
サケ 58g
サンマ 52g
アジ 56g
カジキ 48g
エビ 86g
たらこ 60g

プロテインスコアから換算されたタンパク質10gをとるために必要な食品量の一覧です。たとえば、タンパク質100gを牛肉だけでとりたい場合は、650g必要ということになります。

現代人に頻出している慢性疲労や頭痛、精神の不安定などの「謎の体調不良」の多くはタンパク質不足が大きな要因です。

タンパク質は蓄えが効かず、毎日の必要量の摂取が欠かせません

必要タンパク質量は人によって違いますが、大まかな4パターンについて参考に紹介します。

① タンパク質不足がある場合 1日に必要なタンパク質量目安(g)=体重(㎏)×2~3
② 運動量が多い場合 1日に必要なタンパク質量目安(g)=体重(㎏)×2~3
③ タンパク質不足がなく、運動しない場合 1日に必要なタンパク質量目安(g)=体重(㎏)×1
※生理のある女性の場合、体重(kg)×1.3を最低とする
④ 病気のある場合 1日に必要なタンパク質量目安(g)=体重(㎏)×2~3
※一般的な各種の病気の場合でも栄養に詳しい医師への相談が必須
※透析中、透析寸前の腎不全の場合は絶対に医師に相談すること

※体重は、BMI20~22推奨の「なりたい体重」で算出

① タンパク質不足がある場合

1日に必要なタンパク質量目安(g)=体重(㎏)×2~3

※体重は、BMI20~22推奨の「なりたい体重」で算出

日常的にホエイプロテインはを摂取しておらず、肉や卵も毎食十分に摂取していない場合は、全員タンパク質不足と考えて良いでしょう。

おなか周りの内臓脂肪は、これまで糖質過多でタンパク質不足な食事をしてきた証拠ですから、この目安を元に食事を改善する必要があります。

しかし、長期にタンパク質不足だった方は、消化吸収能力が落ちているため、無理にとっても吐き気が生じてしまいます。胃や腸だけでなく、消化酵素もタンパク質から作られているためです。

この場合、肉や卵で無理なくとれる分だけとって、足りない分をホエイプロテインで補うようにしましょう。ホエイプロテインは、タンパク質自体を取り出しているために、肉や卵よりも消化に必要な労力が少ないというメリットがあります。

中にはホエイプロテインでさえ受け付けないケースもあるので、その場合は5gなどの少ない量から始めて、無理なく摂取していきましょう。

② 運動量が多い場合

1日に必要なタンパク質量目安(g)=体重(㎏)×2~3

※体重は、BMI20~22推奨の「なりたい体重」で算出

筋トレや有酸素運動をよくするという場合もタンパク質の必要量は多くなります。筋肉を使うので、それを修理する分のタンパク質量が上乗せで必要のなるので、① タンパク質不足がある場合と同じ計算式になります。

③ タンパク質不足がなく、運動しない場合

1日に必要なタンパク質量目安(g)=体重(㎏)×1

※体重は、BMI20~22推奨の「なりたい体重」で算出
※生理のある女性の場合、体重(kg)×1.3を最低とする

この段階になれば、食事を高脂質にシフトするのもあります。タンパク質不足がなければ、高脂質の食事はとても安定します。

④ 病気のある場合

1日に必要なタンパク質量目安(g)=体重(㎏)×2~3

※一般的な各種の病気の場合でも栄養に詳しい医師への相談が必須
※透析中、透析寸前の腎不全の場合は絶対に医師に相談すること
※体重は、BMI20~22推奨の「なりたい体重」で算出

病気のある方が食事改善をする場合は、必ず栄養と病気に詳しい医師のもとで行ってください。



「脂質」の摂取方法

「タンパク脂質食」の「脂質」の摂取方法は、次のようなものを推奨しています。

動物性 肉、魚、ラード、牛脂、バター、生クリームなど
植物性 オリーブオイル、ココナッツオイル、MCTオイル、エゴマ油、シソ油、亜麻仁油など

脂質中でNGにしているのは、健康を損なうリスクの高いトランス脂肪酸が多いホイップクリームやマーガリン、ショートニング、菜種油、キャノーラ油などサラダ油です。

《参考》【トランス脂肪酸とは】含む食品一覧・アメリカなど世界と日本の対応

脂質は、一緒に何をとるかで内臓脂肪の付きにくさは大きく違いが出ます。

「組み合わせ」のおさらい

脂質+大量の糖質 大量のインスリンが追加分泌 →脂質が体脂肪となる
例)牛丼、カレーライス、とんこつラーメン、ショートケーキなど
脂質+適量のタンパク質 インスリン追加分泌あり →それほど体脂肪アップにならない
例)鶏ももステーキのバター焼き、脂身たっぷりチャーシューなど
大量の脂質+大量のタンパク質 大量のインスリンが追加分泌 →脂質は体脂肪へ
例)800g超の牛ステーキバターのせ、チーズのせ特大ハンバーグなど

大量のタンパク質を大量の脂質を同時にとると、痩せません。しっかり糖質オフしてタンパク質と脂質をとるとインスリンの分泌を減らすことができます。

とにかく糖質をできるだけ減らすことが大切です。

「高脂質」にするメリット

高脂質に体が慣れてくると、内臓脂肪が減るだけでなく、他にも様々なメリットが現れてきます。

  1. 脂肪細胞が太りにくくなる
  2. 優れたエネルギー源になる
  3. 糖質依存・甘味依存が軽減できる
  4. 筋肉を消耗しなくなる

4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

① 脂肪細胞が太りにくくなる

純粋な脂質を摂取する限りはインスリンが追加分泌をほぼ起こさないため、内臓脂肪が増える時間帯を減らすことができます。

また、インスリンが引き起こす様々なダメージを受けることもなくなるため、その修復に余計なエネルギーと材料を使わずに済むのも大きなメリットです。

② 優れたエネルギー源になる

脂質は優れたエネルギー源になるため、十分にとっておくと空腹感が減ります。ただし、脂質がエネルギーに変換されるまでに時間がかかります。

  • MCTオイル:摂取後3~4時間
  • 生クリームなど長鎖脂肪酸:摂取後5~6時間

糖質のようにすぐにはエネルギーにならず、多少の時間が必要になるため、あらかじめ時間の余裕を持っておく必要があります。少量ずつとり続けるというのも良いでしょう。

朝、コーヒーにココナッツオイルやMCTオイルを入れて飲むなどの方法があります。

なお、1度にとる糖質量が5gをこえるとインスリンが追加分泌されます。2時間で5g以内の糖質ならインスリンの追加分泌はほぼありません

③ 糖質依存・甘味依存が軽減できる

脂質を多くとると、糖質や甘いものが欲しくなくなり、糖質依存から抜け出しやすくなります。

これは、前述の通り優れたエネルギー源になることから、体に十分なエネルギーが満たされるため、糖質を欲する欲求が軽減されるからです。

また、脂質にも軽度の依存性があるため、欲求が上書きされることでも、糖質依存が軽減されます。

④ 筋肉を消耗しなくなる

エネルギー源としての脂質をとることで、筋肉が削られる糖新生を無駄に起こさなくなるので筋肉が減ることを防ぐことができます。

どんな脂質をとればいいのか

糖質は、以下の3つから摂取すると良いでしょう。

  1. 「オメガ3」血液サラサラ系
  2. 「MCTオイル」すぐエネルギーになる
  3. 「動物性脂質」ゆっくりエネルギーになる

順番に見ていきましょう。

① 「オメガ3」血液サラサラ系

オメガ3脂肪酸は、「おめがさん」「おめがすりー」と読みます。オメガ-3、n-3系とも呼ばれます。

オメガ3はを摂取すると最終的には体内でDHAまたはEPAに変換されます。DHA・EPAは、魚に多く含まれます。

オリーブオイル、亜麻仁油、荏胡麻油(エゴマ油)、紫蘇油(しそ油)なども、体内でDHAまたはEPAに変換されます。

ちなみに、荏胡麻油(エゴマ油)は、「ごま油」とは全く別物です。

亜麻仁油、荏胡麻油は加熱せずに使用、オリーブオイルは熱に強く加熱しても変質しないので炒め油として加熱調理に向いています。詳しくは以下の記事でご覧ください。

《参考》【オメガ3脂肪酸とは】多く含む食品・その効果・オメガ6との比較

毎日のように食べられないという場合には「Fish Oil」などのサプリメントで代替できます。なるべくDHAやEPAの濃度が高いものを選びましょう。

1カプセルで1000mgのFish Oilを含み、そのうち80%がDHAもしくはEPAというレベルがおすすめできるものです。

《楽天市場》高濃度スーパーフィッシュオイル 2500mg 2粒で EPA800mg DHA600mg 90日分

② 「MCTオイル」すぐエネルギーになる

MCTオイルの「MCT」は、中鎖脂肪酸のことです。EPAやオリーブオイルに含まれている「長鎖脂肪酸」よりも、少しサイズが小さいものが「中鎖脂肪酸」です。

長鎖脂肪酸を燃やすためにはビタミンCとカルニチンが必須です。一方、MCTオイル(中鎖脂肪酸)は、とても燃えやすい脂質と言われています。

長鎖脂肪酸は、エネルギーに変換されるまでに5~6時間かかりますが、中鎖脂肪酸は3~4時間です。このため、素早くエネルギーをとりたい場合は中鎖脂肪酸が適しています。

ココナッツオイルは60~70%が中鎖脂肪酸です。MCTオイルはココナッツオイルから中鎖脂肪酸だけを取り出した中鎖脂肪酸ほぼ100%のオイルです。

MCTオイル ココナッツオイル
・1年を通してほぼ無色透明な液体
・匂いは、ほぼなし
・蕁麻疹、胃部不快に多少なりにくい
・MCTオイルよりも蕁麻疹、胃部不快などが起きやすい
・気温が低いと固まる
・独特の香りがある

蕁麻疹や胃部不快、下痢などが起きる可能性があるので、1回量は小さじ1杯から始めて、徐々に摂取量を増やしていきましょう。

化学製法されたタイプのオイルは栄養が壊れたりしているので、避けた方が無難です。低品質のオイルに注意しましょう。特に安く売られているものは、このような製品である可能性が高いです。

有機、オーガニック、などの記載がある商品がより健康的です。

③ 「動物性脂質」ゆっくりエネルギーになる

動物性油脂は、前述の「長鎖脂肪酸」を多く含みます。このため、5~6時間かけてゆっくりとエネルギーになるため、とった脂質がエネルギーになるまでの間は空腹感が続きます。

このときに糖質や大量のタンパク質をとってしまうと太りやすくなるので注意が必要です。

水分をとる、軽く歩くなどの対策をとったり、すぐにエネルギーになるMCTオイルの摂取を併用するのも有効です。

バターは、ほぼ全部が脂質で、糖質はほとんど含みません。生クリームは、糖質を少し含みます。100ml中、糖質3g前後です。

また、見た目も味も、バターと生クリームの中間のクロテッドクリームというものもあります。

牛脂もほぼ100%が脂質です。牛脂のような塊状のラードではなく、マヨネーズのような容器に入っているタイプのラードは匂いなどほぼなく、保湿剤代わりに皮膚に塗ることも可能です。

たいていの方は驚きますが、鉱物から作られた油よりアレルギーが起きる可能性が低く、かつ、肌の中に浸透していきますので優秀です。赤ちゃんでもお年寄りでも安心して使える保湿剤です。

脂質の摂取量

タンパク質の適切な摂取量は、割と明確にわかっていますが、実は脂質の最適な摂取量に関する答えは現在のことろ存在していません。

そのため少量から初めて体調の良し悪しや体重の増減をチェックして自分なりの最適量を探っていく必要があります。

さらにタンパク質の摂取量との兼ね合いも考慮する必要があります。

体重(kg)×2~3のタンパク質(g)を1日に摂取する高タンパク食なら、高脂質を同時に行うのは控えた方がよいでしょう。糖質ゼロでも太る可能性があります。

体重(kg)×1のタンパク質(g)を摂取する通常のたんぱく質量の場合は、逆にエネルギー不足になるため、高脂質が良いでしょう。

いずれにしても、糖質はかなり控える必要があります。

「鉄」は脂肪を燃やす

鉄がなければ内臓脂肪を燃やすことができません。鉄は非常の重要なミネラルでありなかがら、日本人に不足しているケースが多くあります。

特に閉経前の女性は、ほぼ全員が鉄不足です。男性でも精神疾患やメタボの人は、鉄不足の場合が多くあります。

また、各種の精密検査をしても原因が分からない不妊症でも、高確率で鉄不足がみられます。妊娠中や出産後も、母親の鉄は極端に減っていくので、マタニティブルーや幼児虐待などは、鉄不足の現れであることが非常に多いと考えられています。

鉄をサプリメントで摂取する場合は、日本で許可されているヘム鉄では鉄不足の解消につながりにくいため、海外製の「キレート鉄」がおすすめです。わたしが飲んでいるキレート鉄のサプリメントはこちらです。

《楽天市場》SOLGAR キレート鉄 100粒(約3か月分)

詳しくは以下の記事でご覧いただけます。

《参考》【鉄不足になる理由】症状・おすすめのサプリメント(キレート鉄)

脂肪燃焼に必須の「ビタミン・ミネラル」

《とるべきビタミン・ミネラルの種類と摂取量の目安》

ビタミンB群 各種のビタミンB群 各100~200mg/日
葉酸 800~1600mg/日
ビタミンC 最低3000mg/日
高尿酸血症がある場合は、4000mg/日
ビタミンD ビタミンD3を5000IU/日
これ以上摂取する場合はビタミンKも必須
ビタミンE α-トコフェロールを400~800IU/日
出血に注意
マグネシウム(Mg) 250~500mg/日
亜鉛(Zn) 25~50mg/日
EPA/DHA 800~1000mg/日
低純度のものは避ける
動脈硬化対策のみならEPAのみで1800mg/日
出血に注意

タンパク脂質食を実践する場合、各種のビタミン、ミネラルをサプリメントでとることは欠かせません。食べ物だけで満たすことは難しいからです。

脂肪を燃やすための代謝やエネルギーを作る段階の至るところでビタミンやミネラルが必要です。

特に速やかな脂肪燃焼のために必要なのがビタミンB群、C、D、E、マグネシウム、亜鉛などです。

ビタミンEのは数種類ありますが、中でも効果の高い「D-α-トコフェロール」という種類のビタミンEサプリがおすすめです。

ビタミンB群に不足がない場合には、マルチビタミンB群で摂取すればOKです。

ただし、脂質をとると気持ちが悪くなる場合にはビタミンB2が不足している可能性が高いので、ビタミンB2単独のサプリで補いましょう。

また、オメガ3が豊富な魚を毎日食べる習慣がない人は、EPA・DHAサプリでとることもおすすめしています。

《参考》【オメガ3脂肪酸とは】多く含む食品・その効果・オメガ6との比較

内臓脂肪を減らすための優先順位

「糖質オフ」は引き算、「タンパク脂質食」は足し算に注目した食事法です。引き算による糖質オフでは体調不良を引き起こすことがあります。

タンパク質も脂質も足りず、長年の糖質過多によってビタミンもミネラルも足りていない状態から、さらに糖質を引き算してしまった、という失敗です。

「タンパク脂質食」は、こういった失敗への対策です。

「糖質オフ」の徹底は、タンパク質、脂質、鉄、ビタミン・ミネラルを満たしてからにしましょう。栄養不足のまま糖質を控えすぎるとエネルギー不足は避けられません。

糖質オフの開始時にある「食べても物足りない感じ」は、血糖値が上昇しないために起こる感覚です。これこそが本来の状態です。本来の満腹感に慣れましょう。

慣れるまでは「純粋な脂質」をとるか「糖質の少ないタンパク質」をとることです。糖質オフをしつつ、これを続けていけば、物足りない感じがなくなっていきます。

甘味依存・脂質依存には「純粋な脂質」の摂取が有効です。そして多くの日本人がタンパク質不足のため、十分なタンパク質をとるのは糖質オフの初期には非常に重要です。

【復習】取り組む順番

  1. タンパク質不足の解消
  2. 鉄不足の解消
  3. ビタミン・ミネラル不足の解消

まずは、栄養不足を解消し、きちんと代謝できるようになってから、糖質オフに進みましょう。

こういった各種の不足を解消することで糖質依存が徐々に軽くなっていきます。

「断食・ファスティング」

「最速で痩せる」というなら、水と塩だけの断食が最速です。しかも断食をしても筋肉量はあまり減らないことが知られています。

ただ、それは筋肉の量が減らないというだけで、時間とともに筋肉の劣化は起こります。

タンパク質を制限したままだと体内での劣化が進むことになるので、タンパク質不足があるうちは注意が必要です。

断食をするならば、タンパク質不足がない状態で、しかも断食と断食の間は1か月などの期間を空けるようにしましょう。

《参考》【ファスティングとは】断食との違い・ダイエット&デトックス効果

予防改善が期待できる病気一覧

タンパク脂質食で予防、改善の可能性がある病気_1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法

「小腹が減ったとき」の対策

ダイエットをしようという人の多くが経験するのは「夜に小腹が空く」という現象です。その原因と対策をざっと挙げておきます。

  1. 血糖値が下がっている
  2. 疲れて意志が低下している
  3. 誘因が視野に入ってドーパミン分泌
  4. がんばったご褒美と思ってしまう

① 血糖値が下がっている

低血糖のものを食べるか飲むかすると解消しやすくなります。プロテインを飲む、バターコーヒーを飲む、肉や魚、卵だけをとるなどです。

② 疲れて意志が低下している

意志力は筋肉のように疲労します。深呼吸、瞑想、軽い運動などで意志力を回復させることができます。

何でもよいので自分で意志力の回復効果が実感できる方法をひとつでも探しておきましょう。

③ 誘因が視野に入ってドーパミン分泌

わたしたちは欲望が刺激されると、脳からドーパミンが分泌されて「すごく欲しい!」という衝動が起きます。10分だけその誘因となるものを視界に入れすにおくことが有効です。

するとドーパミンは収まり、「あれ?さっきの感情はなんだったんだろう?」となります。

④ がんばったご褒美と思ってしまう

「がんばったから今日くらいはこれくらい、いいよね?」というのは典型的な「モラル・ライセンシング」です。「いいことをしたから、その分、悪いことを許可しちゃう」という心の癖です。

ご褒美は、食べ物ではないものにしましょう。

「予防食」を準備

「ちょっとおなかが空いた、、」という段階で、何かおなかにおさめてドカ食いを予防しましょう。とにかく我慢をすると、かならず大きな反動がきてしまいます。

肉や、卵、ホエイプロテインをとるのが、最もおすすめではありますが、糖質依存のある方は、糖質オフスイーツを選択肢に入れるもの良いでしょう。

我慢の反動で、後で糖質をドカ食いするよりよっぽどマシです。糖質オフのスイーツは色々なものが出ていますので活用してみましょう。

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欲は抑えてはいけません。糖質の少ないもの、できればタンパク質をおなかにいれて早めに解消しておきましょう。



「内臓脂肪」を落とすための考え方

正しい知識も必要ですが、基本的・基礎的な土台である「考え方」がしっかりしていないため、実践しても続かないということが起こります。

内臓脂肪を落としていくあたってのモチベーションの保ち方や考え方のコツをご紹介します。「分かっていてもできない」を卒業しましょう。

  1. 「我慢」しない
  2. 自分の感情を認める
  3. 意志力をケアする
  4. 誘惑に無関心になる
  5. することを考える
  6. 目標を立てる
  7. リアルに想像する
  8. 現実主義になる

では各項目について、詳しく見ていきましょう。

① 「我慢」しない

我慢をすると必ずいつか反動がきます。糖質オフで内臓脂肪を落とす方法を知っていても、我慢の反動でリバウンドしてしまうのです。

内臓脂肪を落とし、それを維持するためには我慢とは決別しましょう。

おなかが空く前に、食べたり飲んだりして糖質のドカ食いを予防したり、控えるもの(糖質)のことではなく積極的に食べるもの(タンパク脂質食)のことを考えたり、なりたい自分の姿を思い浮かべたりしましょう。

② 自分の感情を認める

「つい食べてしまう」「つい欲しくなる」これは人間として当然の本能的なものです。

ところが、倫理観が強いまじめな人ほど、こういった自分の気持ちを否定しがちです。「ダイエットしてるのに、そんなことを思うのはいけない」「そんなこと思うはずがない」という具合にです。

これも我慢と同じく、かならず反動がきます。自分を責めてしまい、自己肯定感が減り、誘惑に囚われやすくなったりします。

そしてさらに自己肯定感が減る負のループに陥りがちなので、自分の気持ちを否定したり、押さえつけるのではなく、認めてしまいましょう

「今、自分はこうしたいんだ」「自分はこれが食べたいんだ」とただその気持ちがあることを認識します。

ついでに「むしろ自分の気持ちに気づけた。さすが自分!」と自分を褒めてあげると自己肯定感が上がります。

そうすることで、無意識に食べちゃうと言う状況からは脱することができます。

③ 意志力をケアする

わたしたちは、1日に数百回もの意思決定をしています。そして、その度に筋肉のように意志力を消費します。

筋肉を使うと一時的に筋力が落ちるように、意思決定をするたびに、意志力は減っていきます。

そして、消費した意志力は適切なお休みをしないと回復しません。

根本的な解決法としては「そもそも意志力を使わない」ということです。あれが食べたいという誘惑と戦うから意志力が減ります。

減った意志力は、リラックスすることで回復することが分かっています。最も簡単なのは深呼吸です。1分間に12回以下の呼吸を3分ほどすれば意志力は回復します。

他にも瞑想したり、ぬるめのお湯にゆっくり浸かったりしてもいいです。ちなみに、お風呂にスマホを持ち込んだりしてはいけません。ただ、ぼーっとしてください。

また、ウォーキングなど運動すること、なにかに熱中することでも意志力は回復します。あなたも、時間を忘れるほど熱中していた後に気分がスッキリしていたという経験があるでしょう。

④ 誘惑に無関心になる

意志力を使わずに、誘惑に打ち勝つ最も良い方法は「誘惑を誘惑と思わなくなる」という方法です。

たとえば、砂糖たっぷりのスイーツを見たとしても「特にいらないな、それより肉だよね」という自己イメージを持つ人は、特に意志力を消費せず、スイーツを軽くスルーできます。

これは「自分はそういう人間ではない」という自分を頭の中に作っているからです。

「そんなバカな!」と思った方も、騙されれたと思って一度、自分が自分に抱いている自己イメージを変えてみてください。

脳内に描いている「憧れボディ」を手に入れたあなたは、どんな行動をしているでしょうか?砂糖たっぷりのスイーツを食べるでしょうか?

これは、わたしの意見ですが、憧れのプロポーション人をイメージするのもおすすめです。その人はこんなときにスイーツを食べるだろうか?ラーメンを食べるだろうか?と自分に問いかけて、憧れの人になりきって生活してみるのがおすすめです。

⑤ することを考える

一度考えが浮かんでしまうと、人はその考えから意識を話すことができなくなります。この現象には名前がついていて「皮肉過程理論」といいます。

考えないようにすればするほど、かえってそのことが頭から離れなくなるというものです。なので、スイーツが食べたいと思った際に「スイーツは我慢しなきゃ!」と考えるのは逆効果です。

「スイーツが食べたい。けれど、それよりも内臓脂肪の少ないスマートボディを実現・維持するために肉の方がもっと食べたい」と、さらに考えを進めることが大切です。

スイーツ欲ではなく、憧れの体型になるんだ!というもっと大きな欲で考えを上書きましょう。

⑥ 目標を立てる

「太らない」「とにかく痩せたい」というの目標は達成することが難しくなります。

まず先ほどもお伝えした通り「〇〇しない」という否定形の目標は、達成しにくいのです。

よい目標の立て方は、具体的な目標に期限も設けることです。たとえば「〇月〇日までに〇kgにする」などです。そして達成した自分を想像しましょう。

ちなみに「今の〇kgから〇kg痩せる」という目標も達成されません。頭の中で、最初の〇kgが残り、今の体重をキープしてしまいます。

目標を立てるコツ

  • 現実的な目標にする
  • 期限はやや短めにする
  • 計画の見直しはどんどんする

達成している場面が想像できないような目標は、達成できません。逆に想像ができる目標は、達成する可能性があります。

期限は長くすると無意識のうちにそれに合わせて、ダラダラしてしまいます。少し短いかな?と思うくらいの期限を設定しましょう。

計画が上手くいかなかったときに自分を責める必要はありません。計画通り上手くいくことの方が少ないものです。ありのままに認め、現状に合うように計画を修正しましょう。

⑦ リアルに想像する

目標達成の想像がリアルであればあるほど達成する可能性が高まります。

内臓脂肪を落とすなら、すでに落ち切った憧れボディの自分をなるべくリアルに想像しましょう。そのリアルな想像は、誘惑に打ち勝つときにも、助けになってくれます。

リアルに想像することの、もうひとつの効果があります。強い欲求やリアルな想像は、行動に結びつきやすいのです。

効果的な方法としては、目標を紙に書いて持ち歩き、常に見直すなどがおすすめです。毎日、計画や目標を見直し、それを達成した状態を想像しましょう。

⑧ 現実主義になる

「痩せるのは簡単だと思う」という人は実際には痩せず、「痩せるのは簡単ではないと思う」とい人は痩せられるという研究があります。

リバウンドする人は、変に自信をもってしまった人たちです。簡単だと思っているから誘惑を避けることをせず、意志力が弱っているタイミングでその誘惑に負けます。

不都合なことも、認めたくないことも、一切合切受け入れましょう。現実から目を背けるのではなく、しっかりと現実を見続けることが大切です。

「簡単ではないけれど、自分ならあの手この手で痩せられる」という方向性こそが、望む体を手に入れ、維持することができるようになります。

【まとめ】医学的に内臓脂肪を落とす方法

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。最後に、内臓脂肪を落とすための手順を簡単にまとめます。

とにかく「糖質オフ」して、「タンパク脂質食」に切り替えることが必勝法です。

そのためにはまず、タンパク質不足の解消(肉、卵、ホエイプロテイン)を解消しておくことが大切です。1日の体重(キログラム)の3倍程度のグラム数のタンパク質を摂取しましょう。

続いて、代謝に重要な、キレート鉄の摂取(サプリメント)や、マグネシウムの摂取(豆腐、エプソムソルトなど)の摂取をしていきます。

タンパク質不足が解消されたら、ビタミンや、亜鉛をサプリメントで摂取していくという流れです。

かなり詳しく要約してきましたが、さらに知りたい方は本でご確認ください。

《著書》1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法

ぜひあなたもチャレンジしてみてください。明日、急に痩せることはありませんし、反対にいきなり太ることはありません。毎日の積み重ねが未来の自分を作ります。

その他、栄養・食事に関する相談も受け付けていますので、気になる方はご相談ください。

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