【本の要約:中編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)

あなたは「内臓脂肪」を落としたいと思いませんか?

  • どんなことが書いてあるの?
  • 読むのは大変だから簡単に要約してほしい。
  • どうすれば内臓脂肪が落とせるの?

痩せていたころと同じ食事と運動に戻せば、またあの頃のように痩せると思いますか?

残念ながら、すでに変わってしまった体は以前と違います。「以前と同じ運動と食事」にしただけでは痩せないのです。

わたしは、食事指導とファスティング指導をしている栄養士です。ファスティング指導の資格も保持しています。

そんなわたしが「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法」という本を要約していきます。

本記事は「中編」になります。まずは「前編」からご覧いただくと理解が深まると思います。

《参考》【本の要約:前編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)

「内臓脂肪が燃えない体質」になる理由

1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法

内臓脂肪を増やさないためには糖質オフする食事にすることになりますが、これだけでは、すでについている内臓脂肪を減らす効果は期待できません。

もともと内臓脂肪を増やす食生活をしていた方は、ほぼ「内臓脂肪が燃えない体質」になっているからです。

内臓脂肪を燃焼させようとしてもその燃焼機関が壊れているような状態です。そのような体質になってしまう理由は以下のような栄養失調が原因です。

  1. タンパク質不足
  2. 鉄不足
  3. ビタミン不足
  4. ミネラル不足
  5. カルニチン不足

それぞれ詳しく見ていきましょう。

① タンパク質不足

日本人は、すべての年代でタンパク質不足といっても過言ではありません。とにかくタンパク質は最重要です。

「脂肪の燃焼機関=ミトコンドリア」はタンパク質でできています。タンパク質不足の状態では「脂肪の燃焼機関」にガタがきても直すことができません。

人間の体は、絶えず「壊して、また作る」というサイクルを繰り返しています。「脂肪の燃焼機関」も同様です。

タンパク質不足のまま糖質オフするとエネルギー不足になってしまいます。タンパク質は基本的に、肉、卵、ホエイプロテインで補給します。

筋肉がムキムキの人たち以外は、ほぼタンパク質不足と思っていいでしょう。

アスリートやボディビルダーは、1日の体重(キログラム)の3倍程度のグラム数のタンパク質を摂取するのが通常です。

たとえば、体重60kgの人なら60×3倍で、180gのタンパク質を摂取することになります。

一方で一般的な日本人は、タンパク質を同じ数値の1倍のタンパク質でさえとれていないのが現状です。まずは、体重(kg)の2倍のタンパク質(g)摂取を目指しましょう。

② 鉄不足

タンパク質に次いで大切なのは「鉄」です。「脂肪の燃焼機関=ミトコンドリア」はタンパク質でできていますが、「鉄」は脂肪を燃やすために必須の栄養素です。

ミトコンドリアの大きさは0.5~10㎛で、1つのヒトの細胞の中に数百~数千もの数が存在しています。人間の小さな細胞1つ1つに無数のミトコンドリアが存在しているのです。

このミトコンドリアの中で糖質や脂肪酸、タンパク質などが代謝されてエネルギーに変換されています。タンパク質を糖質に変える糖新生もミトコンドリア内で行われます。

ヒトの前身の細胞の中でミトコンドリアが存在していないのは赤血球だけで、それ以外の全ての細胞に存在しています。重量でいえば、人間の体重の約10%もの重さを占めていると言われています。

鉄不足は、ほとんどの女性とメタボや生活習慣病やメンタルに問題のある男性の多くに当てはまります。

特に女性に関しては、鉄不足でない人を探す方が難しいほどの異常事態です。

「鉄不足」5つの理由

日本でこれほど多くの人が鉄不足なのは、日本固有の事情が関係しています。

  1. 食物に鉄を添加していない
  2. 医療機関でも「異常なし」と判断される
  3. 植物性信仰などの対策ミス
  4. 日本だけおかしい鉄サプリ
  5. 母親ゆずりの鉄不足

詳しい解説については、以下の記事で紹介しています。

《参考》【鉄不足になる理由】症状・おすすめのサプリメント(キレート鉄)

「鉄不足」の解消

鉄不足を解消するレベルの量を食べ物で補うのは難しく、現実的にはサプリメントしか選択肢がありません。ところが、ここでも日本の特殊性が発揮されています。

日本では「ヘム鉄」のサプリが流通しているのですが、全世界に流通している鉄のサプリメントは、ほとんどが「キレート鉄」というタイプです。

著者の先生は、高いヘム鉄のサプリを何年も飲み続けたのに、鉄不足がまったく改善しない症例を何例も見てきたそうです。

ヘム鉄は、その量の少なさから鉄不足の解消にはほぼ結びつかないと考えています。日本では、キレート鉄のサプリの販売が許可されていないため、海外製を選ぶと良いそうです。

わたしが飲んでいるキレート鉄のサプリメントはこちらです。

《楽天市場》SOLGAR キレート鉄 100粒(約3か月分)

③ ビタミン不足

内臓脂肪がたっぷりついている人ほど、タンパク質、鉄はもちろん、ビタミン不足が顕著です。

健全な代謝を支えるビタミンがないということは、当然ながら脂肪を燃やす力も非常に脆弱になります。

現代の日本で「普通の食事」は3食きっちりとるというもので、消費者庁の認可している「トクホ(特定保健用食品)」にも「食生活は主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを」という表示が義務付けれられているのが特徴です。

このような「糖質が盛りだくさん」の食事では、その他の各栄養素が必然的に不足してしまいます。

まず、ビタミンB群とビタミンCは水溶性のため、体内に蓄えることができません。栄養ドリンクなどを飲んだときに尿の色が黄色くなっているのはビタミンの色です。

この不足しがちなビタミンB群とビタミンCを積極的にとることが脂肪燃焼体質へ近づくためのスタートラインです。

ビタミンの摂取方法

残念ながら食事だけで必要なビタミンを摂取するのはほぼ不可能です。

たとえば、ビタミンCであれば、レモンで摂る場合に最低でも毎日150個が必要です。サプリメントが現実的でしょう。

ただし、国内で販売されているものの多くは、含有成分が少なすぎるので、おすすめしていません。鉄と同様に、海外製のものがよいでしょう。調べてみましたので、2つご紹介しておきます。

1つ目の商品は、栄養価が高く、オーガニックを原則とした残留農薬の僅少な原料を使用しています。また、遺伝子組み換え原料は不使用なサプリメントです。

《楽天市場》ドイツ・レホルム製品 アルシタン社 アルシビジョン粒 OMEGA PLUS 60粒

2つ目の商品は、非遺伝子組み換え、グルテンフリー、大豆フリーの原材料を使用したサプリメントです。

《楽天市場》Ultra Betic アルトラー ベティック コンプレックス 60粒

ちなみに、糖質の摂取を控えることで、ビタミンの消費量を減らすことができます。

また、注意が必要なのは、タンパク質不足が酷い場合には、ビタミン類を胃腸が受け付けないことがあります。「ビタミンのサプリでかえって体調が悪くなった!」というケースは、タンパク質不足が原因です。

この場合、まずはタンパク質不足を解消してビタミン摂取を進めることが大切です。

④ ミネラル不足(マグネシウム・亜鉛)

鉄もミネラルの一種ではありますが、その存在と働きは非常に重要かつ、多くの人が不足しているという実態があるため、他のミネラルとは別に先ほど紹介しました。

もちろん、鉄以外のミネラルも重要なので、この章でご紹介していきます。

ミネラルの中でも特に不足するのが「(マグネシウムMg)」と「亜鉛(Zn)」の2つです。

この2つのミネラルはタンパク質や鉄と同じくほとんどの日本人に不足していると言っていいでしょう。

そしてマグネシウムと亜鉛は、脂肪を燃焼してエネルギーを意味出す回路を動かす上で欠かせないものです。不足すると脂肪燃焼が停滞してしまいます。

マグネシウム(Mg)

マグネシウムは、他の多くの栄養素と違って、食事から十分摂取することのできる数少ない栄養素です。

豆腐を作る際に使われる「にがり」や、天然塩などに豊富に含まれています。ちなみに、わたしは液体の濃縮マグネシウムを毎日摂取しています。毎日のおトイレもスッキリします。

《参考》国産 濃縮マグネシウム 無添加 90日分

また、マグネシウムは皮膚からも吸収することができるため、入浴の際にミネラルを多く含む「エプソムソルト」を活用することもできます。

エプソムソルトの成分は「硫酸マグネシウム」です。ソルトという名前がついていますが、塩分は含まれていません。

《参考》【エプソムソルトとは】効果・効能、おすすめ商品「Sea Crystals」

亜鉛(Zn)

亜鉛は、貝類・肉類・豆類などに含まれてはいますが、いずれも微量なため、食事から十分量をとることは難しいです。

特に、現段階で不足している人はサプリメントで早急に解消する必要があります。

しかし、亜鉛不足のヒトのほとんどは、タンパク質不足も同時に抱えています。胃壁も消化液もタンパク質でできているため、タンパク質不足が重い場合には、亜鉛を胃が受け付けないことが少なくありません。

タンパク質不足の人は、亜鉛が負担になって胃もたれや吐き気を起こす場合があるので、ビタミン類と同様にミネラルをとる前にタンパク質不足の解消が必要です。

先ほど、ビタミンの摂取方法でご紹介したアルトラー ベティックのサプリは、亜鉛も含まれているので、一石二鳥かもしれません。

⑤ カルニチン不足

「カルニチン」は、アミノ酸が3つつながった比較的シンプルな構造をしており「長鎖脂肪酸を燃やすサポートをする」という重要な役割を持っています。

カルニチンは、よく似た名前の「オルニチン」と混同している人が多いのですが別物です。オルニチンは貝のシジミに含まれている成分です。

体脂肪は、脂肪細胞の大部分を占める「脂肪滴」という形で蓄えられています。

その成分は中性脂肪がほとんどで、さらにその多くは「長鎖脂肪酸」が占めています。その長鎖脂肪酸を燃やすときにビタミンCとともに、カルニチンが必須なのです。

内臓脂肪を燃やす仕組み

”脂肪の燃焼機関”ミトコンドリアに必要なモノ_1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法

脂肪細胞に蓄えられた長鎖脂肪酸は、脂肪細胞の中にあるリパーゼによって、「脂肪酸」と「グリセリン」というものに分解されて、血液中に出されて行きます。

そして血流に乗って各細胞の中に取り込まれて行きます。

ただし、細胞内に入っただけではまだ燃えることはできません。細胞内にある「脂肪の燃焼機関」であるミトコンドリアの中まで入りこまないと燃やせません。

長鎖脂肪酸がミトコンドリアの中に入るには、ビタミンCとカルニチンの両方が必要になります。

「長鎖」以外の脂肪酸である、「短鎖」と「中鎖」の脂肪酸の場合には、ビタミンCとカルニチンがなくてもミトコンドリアの中に入っていけます。



「内臓脂肪」を増やすNG食習慣

内臓脂肪を増やすNG習慣_1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法

対策の前に、まずは「フツー」のダイエット方法、一般的な日本人の食事に潜む罠について触れていきます。

基本的に、現代の日本人の食事には過剰な糖質があふれています。多くの人は1日3食とり、毎食、米、パン、麺などの主食をしっかりと摂っています。角砂糖1個(3g)に含まれる糖質量は3gです。

「1日の糖質量」

一般的な食事に含まれる糖質を紹介します。

朝食 合計:約70g
トースト6枚切り1枚 約30g
オレンジジュース1杯(200cc) 約20g
バナナは1本(100g) 約20g
昼食 合計:約150g
ハンバーガー(小さめ) 約30g
フライドポテト(Mサイズ) 約50g
シェイク(Mサイズ) 約70g
おやつ 合計:約50g
ショートケーキ 約50g
夕食 合計:約160g
ビール1缶(350ml) 約20g
カレーライス 約90g

このメニューを1日の食事を摂った場合の糖質量を合計すると380gです。

かなりの量ですね。「ゆる糖質オフ」であれば、1食あたりの糖質40g以下に抑えることになりますので、約10日分の糖質を1日でとったことになります。

1食あたりの糖質20g以下の「糖質オフ」で考えると約20日分の糖質、さらにレベルアップした 1食あたりの糖質5g以下の「断糖」だと約2.5か月分の糖質を1日で摂取したことになります。

詳しくは別記事で解説しています。

《参考》【1日の食事に含まれる糖質量】レベル別の糖質制限方法、ご飯の目安

「コンビニ」で食品を買うとき

あなたは今、コンビニの前にいるとします。「何か食べたいな~、何がいいかな~」とふんわりした目的で入店することも多いでしょう。

入店した瞬間、コンビニのいつもの短い音楽が鳴り、目の前にはジュースやポテチ、スイーツやパンなどがこれでもかとギッシリ並んでいるのが目に飛び込んできます。

「新発売!」「期間限定!」など目を引くための効果的な展示がされています。ヒトは、いつも同じものではなく「何か新しい」ものに注意をひかれる習性があります。

実は、入店直後にズラリと並ぶ食べ物を目にした時点で、あなたの脳内には快感をもたらす神経伝達物質「ドーパミン」がドバドバ出始めています

そうすると欲求にストップをかけるのが難しくなり、買い込んでしまうのです。

「どうにでもなれ効果」

そして、自宅に帰り食べ始めたとたんに発動してしまうのが「どうにでもなれ効果」です。

節制して我慢していた状態から、一歩踏み外した時に発動する現象です。あなたも経験があるのではないでしょうか。

「一口食べたのだから、いっぱい食べても同じ!もういいか!」というあれです。

「どうにでもなれ効果」が発動したなと気づいたときの対策としては、今やめれば傷は浅くて済むということを思い出しましょう。まだ間に合います!

「外食、テイクアウト、宅配」

パンデミック後に、テイクアウトや宅配の食事が新たに定着した食習慣のひとつといえるでしょう。

「お弁当」

テイクアウトすることが多い「お弁当」は、ごはんの量に注意が必要です。茶わんによそったご飯よりも、量が多いことがほとんどです。

提供する側からすると、ライス、パン、パスタはコストが安いため、できるだけこれら主食を多くしたいのです。結果、全体を占める糖質の量はかなり多くなります

対策としては「お弁当」ではなく「おかず」だけを購入したり、ライスを減らすなどの方法が良いでしょう。

コンビニで購入する際も、サラダチキンやゆで卵などタンパク質系のものを選ぶと良いでしょう。

ただし、コンビニ食は、基本的に食品添加物をたくさん使用している商品が多いので、注意が必要です。これは、わたしの意見です。

《参考》【本の要約】食品の裏側(食品添加物の神様、ミートボール事件の内容)

自宅での食事のコツ

外食ではコントロールできないことも多いと思いますが、自宅での食事のポイントをご紹介します。

  1. 加工食品の場合に、低糖質タイプがあれば選択する
  2. ご飯や麺類など高糖質な主食は置き換える
  3. できるだけ主食を抜いて、おかず単品を習慣づける

こうした工夫を重ねることが確実に内臓脂肪を減らすことにつながります。糖質オフしたい場合に、食事を抜くというのも対策のひとつです。

糖質オフが進むと、血糖値の大きな変動がなくなるため空腹感がなくなり、自然と1~2食程度になる方は多くいます。

わたしからのアドバイスとしては、いきなり食事を抜いて、また糖質を多く含む食事をとると、血糖値が乱高下するので「酵素ドリンク」で置き換えるのもおすすめです。

血糖値を保ちながら、ミネラル・ビタミンを補給して、代謝を促進してくれます。

《参考》【KALA酵素】ファスティングの口コミ・飲み方、価格・販売先ご紹介

「カロリー制限」では痩せない

ダイエットを始めるときに、多くの方が最初に頭に浮かぶのが「カロリー制限」でしょう。

ところが、カロリー制限している状態が長く続くと栄養不足による代謝低下が、ひどいレベルまで加速してしまいます。

さらに、ダイエットを思い立った人がまず最初にやりがちなジョギングなどの運動をした場合、よりひどいことになります。

ビタミン・ミネラル不足は危険

運動をするとまず糖が使われます。そして、糖が一通り使われた後に、ようやく体脂肪が燃えるという流れが通常です。

しかし、日常的に糖を過剰に摂取している場合、代謝のためにビタミンやミネラルを多量に消費しているため、ビタミン・ミネラル不足が起きています。

体脂肪を燃やすにはビタミンやミネラルが必須です。不足していて体脂肪が燃やせないとなると、身体は燃やせるエネルギーとして、タンパク質をターゲットにし始めます。

つまり、筋肉を削ってエネルギーを得ようとするわけです。この働きを「新糖生」といいます。

体脂肪を残したまま、筋肉だけが減り続けるという悪夢が起こります。

わたしからのアドバイスです。人間に必要な栄養バランス設計がされた酵素ドリンクでミネラル・ビタミンを補給して、空腹感を感じない程度の糖質をとり、血糖値が乱高下しないようにバランスを保つと良いです。

ファスティング中でなくても、食事の合間に摂取するのがおすすめです。

《参考》【KALA酵素】ファスティングの口コミ・飲み方、価格・販売先ご紹介

理想的な脂肪燃焼

糖質を控えて、タンパク質をたくさん摂ったときも、新糖生は起きます。

たとえば、主食などの糖質をとらずにステーキ500gだけを夜に食べたとき、翌朝に体重が減っていることが良くあります。これは、寝ている間に糖新生でエネルギーを使っているために起こる現象です。

ステーキ肉のタンパク質をターゲットに糖新生が起こり、結果的に体脂肪が減るということです。

ただし、タンパク質が不足していると、筋肉を削ってエネルギーにしようとするので要注意です。

食品中でタンパク質を最も多く含み、しかも消化吸収の効率が良いのは肉と卵です。タンパク質やアミノ酸の面から栄養価を算出する「プロテイン・スコア」や「アミノ酸スコア」でも肉や卵は高得点です。

「野菜」のみは注意が必要

「ダイエットをしよう」と思い立ったとき、カロリー制限と同じくらいに多くの方が思い浮かべるのが、「野菜をとろう!」です。

しかし、野菜を主とする食事では、健康的かつ効率的に脂肪を落とすことはできません。多少、体重は減るかもしれませんが、思ったほどの効果が上がらないことがほとんどです。

野菜には多くの食物繊維が含まれています。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」がありますが、基本的にどちらも人体では消化吸収されません。

つまり、腸の中で色々な効果を発揮しますが、体内に吸収される他の栄養素のように、代謝に直接的な影響は及びません

間接的には、食物繊維によって腸の炎症がおさまれば、インスリンの効き目が増し、体重が減りやすくなる効果があるかもしれません。

「タンパク質不足」の危険

「野菜を多くとろう」と突き詰めて「断糖+完全なベジタリアン(ヴィーガン)」にまで徹底すれば、当然痩せます。しかし、長期間続けると、タンパク質不足になるケースが多く存在します。

そのタンパク質を植物性のものでとる場合にも、植物性のタンパク質は消化吸収の効率が低いため、あまり身になりません。

長期間にわたってこのような食生活を続けると、タンパク質不足になり筋肉が減って不健康な状態になります。その後、きっちりとした高タンパク食に変更しても、栄養状態が改善するまでには3~5年ほどかかります。

《参考》【ヴィーガンとは不健康?】環境問題・飢餓・動物保護など社会問題

「魚や大豆」中心の食事

「肉は太るから、主に魚を食べる」というのも、野菜志向と同じくらいに多いダイエットの罠です。

魚は、良質なタンパク質ではありますが、1食で摂取できるタンパク質量が少ないというデメリットがあります。

アジ1尾でタンパク質が約18g、鮭一切れ(80g)で約13gです。対して、鶏もも肉1枚のタンパク質は約48g、牛ステーキ肉(200g)は約28gです。

このため、魚をメインにするとタンパク質不足になりやすいと言えます。肉に飽きたときや、外食のときに楽しむ分には問題ありません。

「大豆製品」

豆腐、納豆などの大豆製品は、植物性タンパク質です。動物性タンパク質に比べて、消化・吸収の効率が低いのが特徴です。

つまり、動物性タンパク質と同じ効果を得るためには、動物性タンパク質よりも多くの量をとる必要があります。

肉を毎日欠かさず500g食べているとか、プロテインやアミノ酸を欠かさず飲んでいるという人以外は、もれなくタンパク質が不足していると考えて良いでしょう。

そして、タンパク質不足の解消には、食生活を変えてから何年もかかります

大豆だけでタンパク質を十分量にとることは難しく、ミネラル不足になる恐れもあります。やはり、タンパク質は動物性で必要量をとることが必要です。

豆腐など発酵していない大豆製品には次のようなデメリットがある可能性も示唆されています。

  • イソフラボンにエストロゲンのような作用があるため、男性・女性の生殖機能へ影響する
  • 甲状腺機能低下症で甲状腺ホルモン剤を服用中の場合は、体内の甲状腺ホルモンが減少
  • ヨウ素欠乏状態で、甲状腺ぺルオキシダーゼの活性を抑えてしまう
  • 大豆に含まれるフィチン酸が、鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルの吸収を抑えてしまう

このような影響が心配な人は、発酵の過程でフィチン酸が失われている納豆や味噌などの大豆製品を選ぶと良いでしょう。

食べる「量や回数」を制限

全員が「1日3食」が体に合うとは限りません。1日1食でいい人もいれば、2食でいい人もいます。1日6回、小分けに食べるのが合うという人もいます。

色々と試してみて、どんな食事間隔や回数で体重が減少したかを検証しながら自分に合った方法を見つけることが大切です。続けやすいかどうかも大切ですね。

1日の食事の回数を減らすというのも、よく思い浮かべるダイエット方法ですが、失敗しやすくもあります。失敗の主な原因は2つあります。

  1. 空腹時は吸収しやすい
  2. 食べ過ぎる

① 空腹時は吸収しやすい

空腹のときは、栄養素を多く取り込もうと、紹介・吸収の効率化が上がります。

つまり、食事と食事の時間を空けたとき、いつもよりも食べたものが吸収されてしまいます。そのため、空腹時に糖質の多い食事をとると、糖質の吸収が良くなり、インスリンが大量に分泌されやすくなります。

結果として、痩せるどころか逆に太ってしまうこともあり得ます。

② 食べ過ぎる

特に、早食い・大食いタイプの人は、食事回数を制限すると、1回の量で食べ過ぎる傾向にあります。空腹感が強くなり、いつもより早く・多く食べてしまいがちです。

タンパク質が不足している場合は、多くとれば改善につながりますし、タンパク質が足りている場合には、おなかが膨らみやすいスープ類や食物繊維が豊富に含まれる食品が有効です。

「バランスのとれた食事」とは

厚生労働省が推奨している「1日のエネルギーは炭水化物6割、脂質2割、タンパク質2割のバランスでとりましょう」という食事指導は、実はまったくバランスがとれていません

これは単に「一般的な日本人の食習慣だから」ということに基づいているに過ぎません。驚くべきことに、人間の体に対しての科学的根拠はまったくないのです。

唯一、分かっていることは「炭水化物(糖質+タンパク質)」を口からとらなくても死なないということだけです。

「アルコール」で脂肪分解がストップ

糖質の少ないお酒なら飲んでOKと考えている人が非常に多いと思います。たしかに、焼酎やウイスキーは糖質が少ないので糖質がドバドバ出ることはありません。

しかし、実はお酒を飲むと脂肪の分解がストップしてしまいます。

お酒を飲んだ際、わたしたちの肝臓はアルコールの分解を優先的に行い、当然ながら脂肪の分解はお休み状態になります。

アルコールをとると、糖新生もストップするため、血糖値が下がりやすくなります。その状態に加えて理性を司る脳もお休み状態になるため「酔っておなかが空く」感覚が強くなるのです。

結果、お酒を飲んだ際に、ラーメンやスイーツなどの糖質をドカ食いしてしまう、なんてパターンに陥りがちです。



「カロリー」理論では痩せない

「カロリー制限」の科学的根拠はなく、むしろ内臓脂肪を増やしてしまいかねない誤ったダイエット法です。

ハーバード大学医学部も、2020年10月に「カロリー計算をやめるべきだ」と改めて主張しました。

「カロリー」に科学的根拠なし

カロリーの数値の決め方は、簡単に言うと「火をつけて燃やしたときに水をどのくらい温めるか?」です。

具体的には、ボンブ熱量計というものに乾燥させた食品を入れて酸素を入れて燃やし、容器の温度上昇からカロリー数を決めます。

わたしたちの体内では「酵素」によって消化や代謝が行われています。当然、同じものから取り出せるエネルギー量は、火をつけた場合とでは全く違います。

「摂取カロリー」を減らしても痩せない

摂取したものがどのくらいのエネルギー量になるのかは、口に入れた後に体内で起こるアレコレで、その食べ物から作り出されるエネルギー量は変動します。

つまり、同じものを食べても、太るときもあれば痩せることもある、変わらないこともあるということです。

エネルギー不足であれば、いつもよりも吸収されますし、少し前に食べたばかりでエネルギーが余っているときは、吸収は減ります。

また、マグネシウムなどのミネラルやビタミンが不足していれば、エネルギー代謝が上手くいかず、取り出せるエネルギー量は減ります。

固定数値の「摂取カロリー」が、実際とズレる理由3つ紹介します。

  1. 調理法
  2. 作られるエネルギー量の変動
  3. 腸内細菌による発酵

これら3つの理由によって現実とズレが起きてしまう詳しい解説は、以下の記事でご覧ください。

《参考》【カロリーとは?】その決め方・簡単に言うと何なのか・太る仕組み

「カロリー」と食品の質

「同じカロリー」なら、どんなものを食べても同じように痩せる・太るということはありません。

脂質たっぷりでカロリーが多い食事であろうと、インスリンが出なければ太りません。同じカロリーでも糖質メインであれば、インスリンが大量に分泌されて太ります。

カロリー理論の盛大な間違いについては「食物繊維」にも当てはまります。

それは、食物繊維にもカロリーを設定している点です。現代の栄養学では、食物繊維は1グラムで2kcalと設定されています。

ところが、食物繊維は人体のエネルギーにはなりません。腸から体内に吸収されることすらありません。口から入って、そのまま出ていく「エネルギーゼロ」の存在です。

それなのにカロリー理論では、「火をつけたら燃えるからカロリーがある」ということになっています。食品の栄養表示をするときにも義務付けられています。

「カロリー」とは「エネルギー」?

よくある話のひとつに「カロリー」を「エネルギー」の意味で使っているというものがあります。

「カロリー」とは、このような間違った考え方です。

  • 火をつけて燃やした数値
  • 食べる前の状態で、人間のがそこから取り出すエネルギー量が一定と考えている
  • PFCが交換可能と考えている
  • 食物繊維からもエネルギーをつくり出すと考えている

以下のように言葉を使い方を変えていくと本来の意味になるかもしれません。

旧)カロリー → 新)エネルギー

「PFC」バランス

食物中の栄養素を考える場合は、カロリーではなく3大栄養素「PFC」を見ると良いです。

  • 「P」Protain:タンパク質
  • 「F」Fat:脂質
  • 「C」Carbohydrate:炭水化物(糖質)

本来は、食物繊維は代謝に影響しないので、炭水化物(糖質+タンパク質)よりは「糖質」を使う方が良いのですが、英語圏では「糖質」という言葉がないため、いまだに炭水化物が使われています。

旧)カロリー表示 → 新)PFC量表示

カロリー表示ではなく、PFC表示をチェックしていきましょう。

《参考》【カロリーとは?】その決め方・簡単に言うと何なのか・太る仕組み

「内臓脂肪」を減らす運動

運動のみで体重を落とすのは至難の業といえます。

ウォーキングや水泳などの有酸素運動は健康面だけに限らず精神的にもメリットがあります。たった5分のウォーキングだけでも、心の健康が増すといった報告もあります。

一方で、デメリットもあります。それは、タンパク質不足のまま有酸素運動すると筋肉が減って、基礎代謝が下がり、さらに太りやすい体になります。

痩せやすい体質になるには「筋トレ」

脂肪燃焼しやすい体をつくるには、タンパク質を十分にとった上で、筋肉トレーニングをすることです。筋肉を増やせば、基礎代謝も増え、その他の運動時にもエネルギー消費量が増えて、痩せやすい身体になります。

脚やおしりなどエネルギー消費量が大きい筋肉を鍛えるのも代謝アップには有効です。

そういう点ではスクワットがおすすめですが、間違った方法で行うと体を痛めてしまうので十分に注意しましょう。

有酸素運動で「コルチゾール」減少

20~30分の有酸素運動で、ストレスがかかったときに分泌されるストレスホルモン「コルチゾール」の分泌量が少なくて済むようになることが分かっています。

ストレスは減り、脳の萎縮も抑えられ、過食が抑えられ、脂肪が燃えやすくなります。

コルチゾールは過食の引き金になったり、「中心性肥満」というものを引き起こすことも分かっています。

中心性肥満とは、おなか周りが出てくる肥満で、内臓脂肪の多いタイプのことです。

ただし、BMI30 以上の場合には、いきなり走ったりすると膝や腰などの関節が負荷に耐えられないかもしれないので、ウォーキングやサイクリング、水中ウォーキングなど負担が少ないものから始めましょう。

「筋トレ後の有酸素運動」で効果アップ

運動は筋肉を落とさない優先順位が重要_1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法

最も効果的に体脂肪を減らす方法は、筋トレの後に有酸素運動をすることです。

筋トレで事前に筋肉内に蓄えられている糖質(筋肉グリコーゲン)を使っておけば、すぐに脂質代謝や糖新生に代謝を切り替えることができます。

糖新生では、エネルギーを使ってタンパク質を糖質に変換するので、さらにエネルギー消費量が増えます。

ただし、筋肉が分解されないように運動前にタンパク質をとっておくことは必要です。

内臓脂肪を減らすためには、運動は必要不可欠ではありませんが、女性に多い皮下脂肪を減らすためには必須です。

体脂肪よりも筋肉の方が重いので、筋トレをする場合体重はあまり目安にならなくなります。ご家庭の体重計で「体脂肪率」などが表示されるものがありますが、簡易的なものなので実際の体脂肪の量とは異なる場合が多くあります。

筋トレをする場合は、体重だけをチェックするのをやめて全身鏡などで体型をチェックすると良いでしょう。

さいごに

これにて「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法」の中編は終了です。

《著書》1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法

必要最低限の情報をまとめたつもりですが、重要な内容が多く、長文になってしましました。ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございます。

続きは後編の記事にてご覧ください。

《参考》【本の要約:後編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)

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