あなたは、がんや心臓病の対策をしていますか?
- がんと心臓病のリスクを腸で予防
- 心臓病は、レクチンや動物性タンパク質が引き起こす?
- がん細胞を餓死させる方法とは?
がんや心臓病の原因を知っていれば対策ができます。いつか病気にならないかと怯えながら生活するのではなく、知識を得て毎日のちょっとした選択に活かしていきましょう。
わたしは、ファスティング(断食)や食事指導をしている栄養士です。本記事では、「死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事」という本を要約して紹介していきます。
興味深く重要な内容が多いので、数記事にわたってまとめています。ぜひ最後までお付き合いいただき、若々しく健康に生きる方法をマスターしていきましょう。
まずは①からご覧いただくと理解が深まります。
《参考》【本の要約①】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:老化と腸内細菌
がんと心臓病のリスクは腸しだい
体の各部位は、まったく同じ理由とメカニズムで老化し、再生します。心臓、脳、筋骨格系、皮膚に至るまで全てです。そして、腸につながっています。
著者は心臓外科医なので、心臓の健康が体のあらゆる部位の健康維持にいかに密接に関わっているかを目にする機会が多かったそうです。
心臓に何らかの問題を抱えている人は、体内の他の部位にも大きな問題を抱えていることは間違いないと考えているそうです。
この最も重要な臓器を修復し、再生するにはどうしたらいいのか解説していきます。
心臓病は「レクチン」によって引き起こされる
心臓病は、加齢に伴う避けられないものだと思われがちです。しかし、すべては免疫系、腸に帰結すると言えるのです。
何十年にもわたって向き合ってきた著者は、心臓について熟知しています。自身が見てきた事実により、心臓はおろか、体全体や健康に関して学んできたことは否定されました。
最新の健康への認識を解説していきます。
ゾウの事例
本来、野生のアフリカゾウは木の葉しか食べないため冠動脈疾患を起こしません。
ところが、生息地の破壊により、像の群れが草原で草を食べたり、干し草や穀物を食べたりするようになりました。その結果、ゾウにおける重度の冠動脈疾患の発症率は50%に達しました。
食生活の変化で、これほどまでに病気が増えるのです。
あなたの微生物叢や免疫系が、新たに牧草や穀物のような単葉植物に含まれるレクチンのような外来タンパク質に遭遇すると、微生物叢はレクチンを食べる能力もなく、免疫系にレクチンを許容するように教える力もありません。
もともとゾウが食べていた双子葉植物に含まれるレクチンと、単子葉植物に含まれるレクチンはまったく異なるものです。
チンパンジーはレクチンと結合する糖分子を持っていませんが、ゾウやヒトはそれを持っています。だからゾウや、わたしたち人間は、心臓病や自己免疫疾患の基礎ができてしまうのです。
「動物性タンパク質」も心臓病を招く
レクチンと結合する糖は、N-アセチルノイラミン酸(Ne u5Ac)と呼ばれ、血管の内膜や腸壁の腸管細胞に存在します。
「Ne u5Ac」が血管や腸の粘膜に存在することも、動物性タンパク質を大量に摂取すると老化につながる理由のひとつです。
筆者は、最新の血液検査を使い始めてから、多くの患者に免疫攻撃の証拠が出ているのを見てきたそうです。あなたが自己免疫疾患やレクチン感受性を抱えている場合、血管内の自己免疫発作が起きているかがこの検査で分かります。
心筋梗塞の危険性を示すマーカーを多く持つ患者に、食事から牛肉・豚肉・羊肉を取り除き、高濃度のレクチン食品を制限するように頼みました。
その後、再検査をしたら、自己免疫発作を引き起こす成分の値が劇的に改善したそうです。
つまり、特定の動物性タンパク質やレクチンの摂取量を減らしただけで、今後5年以内に心臓病を発症する可能性が低くなったのです。
様々な研究結果
パリ・サクレー大学とロマリンダ大学の研究者も、より多くのサンプルを経て同じ結果を得ています。
8万1000人以上の被験者に対して、5年間のタンパク質摂取量を観察し、その9年後の心臓病の発症率を追跡しました。
その結果、動物性タンパク質を多く摂取した人は、ナッツや種子類などの植物由来のタンパク質を摂取していた人に比べて、研究期間中に心臓病で死亡する率が1.5倍以上も高いことが分かりました。
ミルクシェイク
2018年に行った研究では、ミルクシェイクを1杯飲むと、重度の感染症が引き起こすのと同様の免疫反応が起こることが分かっています。
「炎症性腸疾患」との関係
さらに、2018年に炎症性腸疾患と心臓病との関連性を確認する研究が行われました。
炎症性腸疾患(IBD)とは、自己免疫疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病の総称です。
2200万人の患者を対象とした3年間の調査では、IBD患者はは、IBD患者でない被験者に比べて、心臓病にかかる確率が約2倍であることが分かりました。
年齢や人種、性別、さらには従来の心臓病の危険因子を調整しても、IBD患者は、そうでない被験者に比べて心臓発作を起こす確率が23%も高いことが分かりました。
すべての病気は腸から始まる
これらのデータは心臓病と自己免疫の関連性を証明するだけでなく、すべての病気は腸から始まるという事実を示しています。
心臓病学の世界では、「動脈が柔らかければ若さは保たれる」と言われています。
なお、腸内細菌が作る特定の化学物質が炎症を促すことで、動脈硬化を引き起こすという証拠も出ています。
ポリフェノールが阻止
ありがたいことに、赤ワインやオリーブオイルに含まれるポリフェノール化合物は、微生物叢を改造して再教育し、悪い化学物質の産生を阻止します。
「コレステロール」と心臓病は無関係
最近の研究では、コレステロールの摂取と心臓病との間には直接的な関係がないことが証明されています。
1990年代に中国の農村地域65か所の住民の健康と食生活を調査した有名な中国研究では、コレステロールの摂取量や血中コレステロール値の高さは、心血管疾患とは関係ないことが示されました。
それよりも、血中の中性脂肪値と心血管疾患に正の相関があることが分かっています。
1948年にマサチューセッツ州の小さな町の住民を対象に始まったフラミンガム研究のデータによると、オメガ3指数は血中コレステロール値よりもはるかに優れた心臓病の予測因子となります。
この研究ではオメガ3指数が高いヒトの死亡リスクは、オメガ3指数が低い人に比べて3分の1にまで減少しました。
しかし、このデータを分析した研究者がオメガ3指を総コレステロール値に置き換えて、同じ統計モデルで調べたところ、コレステロール値と心臓病の間には関連性がないことが分かりました。
実は、コレステロールが病気を引き起こすのではなく、コレステロールは巻き込まれただけだったのです。
たとえば、交通事故が起これば、その度にその近くで救急車を見かけます。これか「関連性」と呼ばれるもので「因果関係」を証明するものではありません。
救急車がいるから、事故が起きたのではないということはご理解いただけるでしょう。事故があったから救急車が来たのです。コレステロールも同じことです。
コレステロールの防御システム
多くの研究者は、免疫攻撃によって血管壁が損傷を受けると、コレステロールがパッチとして使われ、損傷した血管壁を修復すると考えています。
とくに、重度の感染症である敗血症の患者のコレステロール値が突然高くなるケースは興味深いです。
コレステロールには異物を吸収する防御システムが備わっているのかもしれません。
コレステロール値と「リーキーガット」の関係
コレステロール値が高い人は、実はリーキーガットを起こしているという説があります。
異物が腸壁バリアをすり抜けると、体はそれを吸収しようと、より多くのコレステロールを産生します。反対に、微生物叢にきちんと栄養を与え、リーキーガットを起こしていない体は、コレステロール値も低い傾向にあります。
これは、微生物叢や腸壁がコレステロール値を左右するということです。
《参考》【リーキーガット症候群とは】症状と原因、悪化させる食品、治療方法
糖の過剰摂取で中性脂肪が蓄積
糖や単糖類を摂取すると中性脂肪が増えますが、果物も例外ではありません。果物の主な糖分である果糖は、実は細胞を直接傷つけ、ミトコンドリアの機能を破壊する毒素です。
ただ、果物が新鮮な旬の時期、なおかつ人間が成長周期にある夏に食べれば健康になります。
夏の間だけ、果物を食べていたころは少量で済んでいました。そして、次の成長周期までの9か月間はデトックスを行うことができました。
だが、今のように1年を通して果物を食べていると、老化がひどく早まってしまいます。
「穀物」も中性脂肪を上昇させる
フォアグラとは、脂肪分がきわめて多いアヒルやガチョウの肝臓のことです。フォアグラは、不幸な動物たちに大量の全粒穀物をむりやり食べさせて作られます。
彼らは肝臓でたくさんの中性脂肪を作り、脂肪肝になります。
もし、あなたが脂肪肝や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と診断されていたら、全粒粉の食べ物を果糖たっぷりのジュースや果物で流し込んでいたせいでこの病気になった可能性があります。
「タンパク質」の摂りすぎも良くない
れならば、糖や炭水化物を避けて、高タンパクの食事にしようと思うかもしれません。
しかし、実はタンパク質を摂ると中性脂肪が上がります。人間には、タンパク質を貯蔵するシステムがありません。
体は、細胞膜や細胞内構造の維持、筋肉の増強などにタンパク質を必要とするが、余ったタンパク質はブドウ糖に変換されます。ブドウ糖を貯蔵するシステムがあるからです。
この、タンパク質からブドウ糖を合成するプロセスは「糖新生」と呼ばれます。そして、ブドウ糖が増えすぎたら、脂肪や中性脂肪になるだけです。
高タンパク食を実践する人の多くが、中性脂肪の増加やインスリン抵抗性に悩まされるのはこのためです。
つまり、動物性タンパク質と単糖類の過剰摂取を避ければ、中性脂肪の増加を防ぐことができます。
すべては「腸」に帰結
心臓病はコレステロールの高さが原因でないと解説してきました。
結局のところ、血管に対する免疫攻撃の結果、腸の問題によって心臓病は引き起こされます。その他の多くの病気もです。
「肝硬変」
多くの人は、アルコールが肝硬変を引き起こすと信じているが、実際には肝臓にアルコールを1日中浴びせても肝硬変にはなりません。
過剰なアルコールが引き起こすのは、腸壁を直接傷つけることによるリーキーガットです。その結果、悪玉菌やリポ多糖(LPS)が門脈に入り込み、肝臓に直接運ばれてしまいます。
《参考》【リーキーガット症候群とは】症状と原因、悪化させる食品、治療方法
「脂肪肝」
同様に、脂肪肝は腸壁が破壊され、侵入者が体内に入ってきた結果なのです。最近の研究では、脂肪肝と微生物叢の強い関連性が示されています。
特定の悪玉菌が炎症を促進すると脂肪肝になりやすくなり、肝硬変や肝臓がんを発症しやすくなります。
その一方で、良好な微生物叢は炎症から体を守り、肝機能障害の重症度を下げることができるのです。腸壁が破壊されると、異物はあらゆる血管の接触面で危険な炎症を引き起こします。
「難聴」
腸の健康に取り組むことで、難聴も防ぐことができます。普通の加齢に伴う症状とされていますが、対策ができるのです。
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究者が食事と難聴のリスクの関係を調べたところ、腸内環境を整えるオリーブオイルや野菜、ナッツ、魚をたくさん食べていた女性は、中度から重度の難聴になるリスクが30%低下することが分かりました。
エネルギー制限で細胞をリセット
現代を生きるわたしたちは365日が成長周期となり、がん細胞が成長する機会にあふれています。
微生物叢と細胞のエネルギーセンサーである「mTOR」が、食物が豊富で細胞の成長を優先すべきだという信号を送っている場合、異常や機能不全を起こしている細胞があるかどうかを人体が把握して、それを除去する機会がありません。
これは文字通り「致命的」な問題です。なぜなら、わたしたちの体には常に異常な細胞があるからです。
異常な細胞があること自体は正常なことですが、その異常な細胞に無限のエネルギーを与えて成長を促すことは正常ではありません。
そのためには、一時的にエネルギーの摂取を制限して、体が異常な細胞をリセットして、余分な細胞を取り除く機会を与えなければならないのです。
《参考》【事例】-5.4kgダイエット!3日ファスティングの効果(男性41歳)
《参考》【10日ファスティング体験談】-4.7kg!スケジュール・やり方
エネルギーを制限する
エネルギーを制限することで、ミトコンドリアがより効率的にエネルギーを産生できるようになります。
あなたのミトコンドリアは、今も微生物叢から送られてきた食物の分子からエネルギーをつくり出そうと働いています。
しかし、ミトコンドリアがそのスピードに追い付くのはかなり難しいのです。糖やタンパク質を摂取して処理しきれなかった場合、結局は脂肪として蓄えられることになります。
がん細胞は「糖」で成長する
糖やタンパク質などを食べ続けると、膵臓は糖を脂肪に変換するためにますます多くのインスリンを分泌しなければならなくなります。これが「インスリン抵抗性」の根本的な原因です。
それは、同時に余分なグルコース分子が自由に使える状態にもつながります。この糖を使って成長したがるのは「がん細胞」です。
そして、がん細胞の成長を促すのはインスリンです。インスリンもまた成長ホルモンであり、がん細胞にとっては大いに成長を促してくれるものです。
間違った「ケトジェニックダイエット」
インスリン値が慢性的に高いと、貯蔵庫から脂肪を取り出すのを妨げてしまいます。
つまり、インスリンに対する感受性が低下した状態で断食をしたり、炭水化物の摂取量を減らしたりすると、ミトコンドリアの働きが止まってしまうのです。
では、どんなときにインスリン値が低くなるのかというと、糖やタンパク質を摂っていないときです。このとき、ようやく体は蓄えていた脂肪に手をつけます。
糖やタンパク質はインスリン値をあげるので、高タンパク質の食事をすると妨げられてしまうのです。
これは「ケトジェニックダイエット」の大きな問題点です。
しかも、動物性タンパク質を中心としたタンパク質の過剰摂取を促すため、実際にはケトジェニックではないのです。残念ながら、これはがん細胞を増殖させるレシピです。
がん細胞を餓死させる
動物性タンパク質の摂取が、がん性腫瘍の発生に関係していることが明らかになっています。
リーズ大学で行われた最近の研究では、この関係をさらに証明しています。
17年にわたって3万2000人以上の女性を追跡した結果、赤身の肉を食べる女性は、食べない女性に比べて結腸がんのリスクが有意に増加していることが分かりました。
がん細胞はブドウ糖が必要
平均的ながん細胞は、成長と分裂のために、正常な細胞の18倍ものブドウ糖を必要とします。
なので、がん細胞を飢え死にさせるのは簡単です。がん細胞は大量のブドウ糖なしには成長も繁栄もできないのです。
免疫細胞の代謝
1920年代、ドイツ人医師のオットー・ワールブルグは、がん細胞がブドウ糖を必要とする独特のエネルギー代謝を行っていることを発見し、ノーベル賞を受賞しました。
ですが、今では免疫細胞が同じ代謝と脆弱性を持つことが初めて明らかになりました。がん細胞と同様に、免疫細胞も退行期のインスリン値が低いときには、エネルギーを産生できずに炎症を起こします。
「長寿パラドックスプログラム」で、糖分と動物性タンパク質の摂取を制限し、身体を退行期にあると錯覚させれば、がんと自己免疫疾患の両方のリスクを減らすことができます。
果糖と動物性脂肪
欧米の標準的な食事は、あらゆる面でがんの成長を促します。
デューク大学の研究者は、大腸がん細胞が、肝臓に多く見られる高濃度の果糖を利用して、肝臓への転移を促すことを置きらかにしました。
また、動物性脂肪の多い食事は、がん細胞に対する人間の自然な防御機構を阻害します。ある研究では、マウスに高脂肪食を与えて肥満にしたところ、この防御機構が抑制され、がんの発生率が上昇しました。
「がん対策」食品
空腹を感じずに、がん細胞を抑えるには何を食べれば良いのでしょうか。がんと闘う特異な性質を持つ食品を紹介します。
- 外因性ケトン体
- ナッツ類
①外因性ケトン体
インスリン値が低く、糖質・タンパク質の摂取量が少ないと、体内に蓄積された脂肪がケトン体に変換されます。
いくつかの植物性脂肪には、ケトン体を作ってエネルギー源とする脂肪が含まれています。
MCTオイル・ココナッツオイル
たとえば、MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、ほぼ完全にケトン体に変換することができ、ミトコンドリアの理想的な燃料源となります。
固形のココナッツオイルには中鎖脂肪酸が約65%も含まれます。
レッドパームオイル
また、レッドパームオイルもケトン体の生成に適したオイルです。ビタミンEのトコフェロールとトコロリエノールを豊富に含み、MCTオイルを約50%も含みます。
パームオイルは、レッドパームオイルとは異なる上、パームオイルの生産は森林破壊と関連しているので間違えないようにしてください。
ヤギや水牛のバター、ギー
腸内環境を整えると、腸内細菌の酪酸菌が作り出す短鎖脂肪酸を「酪酸」といいます。バターにも少量含まれており、ケトン体を作る材料になります。
しかし、市販の乳製品にはカゼインA1が多く含まれているため、通常の牛乳バターやグラスフェッドの生乳バターよりも、ヤギや水牛のバター、タンパク質を含まない澄ましバター「ギー」の方がケトン体前駆体の摂取に適しています。
だが、バターには酪酸があまり含まれていないことは覚えておきましょう。
②ナッツ類
ナッツ類、とくに木の実には驚くべき抗がん作用があります。
イェール大学の研究者がステージ3の結腸がん患者の死亡率とがん再発率を調べました。1人前の量のナッツを週に2回以上食べていた患者は、がんの再発率が42%減少、脂肪率が57%減少していました。
つまり、週に2回以上ナッツを食べていたがん患者は、死亡リスクが半減したのです。これは一般的な化学療法によるがん治療よりも効果的です。
ピーナッツ
注目すべきはピーナッツではその効果が得られなかったことです。なぜなら、ピーナッツはレクチンを含むマメ科の植物であり、ナッツではないからです。
ちなみに、動物実験ではピーナッツのレクチンは結腸がんを促進するという結果がでています。
クルミ
別の研究では、クルミを食べさせたマウスの結腸にできた腫瘍の数は、クルミを食べさせなかったマウスの半分以下でした。
研究者たちはマウスの糞便サンプルを調べて、消化管内に生息する細菌を調べました。クルミを食べたマウスの腸内微生物叢は互いに似ており、結腸がんを防ぐ細菌群衆を形成していることが分かりました。
つまり、クルミを食べたマウスの腸内細菌は増殖し、お返しに宿主を守っているのです。
がん予防
結腸がんだけでなく、肺がんも予防することが分かっています。
ナッツ類を大量に食べている人は、あまり食べない人に比べて肺がんになる確率が26%低くなるという結果が出ています。
驚くべきことに、その効果は喫煙者にも及びます。定期的に喫煙をする人で、ナッツを大量に食べている人は、ナッツをほとんど食べない喫煙者に比べて、肺がんの発症率が39%も減少しました。
がんだけでなく、あらゆる原因による死亡リスクを低下させることが示されています。
メチオニンが多いと成長周期に入っていることを意味します。ナッツ類はメチオニンが極めて少ないので、退行期にあるという信号が送られるのです。
さらに、酪酸を作り出す腸内細菌はナッツを好みます。そのうえ、ミトコンドリアが酪酸をケトン体濃度を上昇させる脂質源として利用できることも分かっています。
そのため、ナッツ類は微生物叢とミトコンドリアを強化しながら、がん細胞には栄養を与えないようにしてくれます。まさにがん対策に最適な食品です。
おすすめのナッツ
- クルミ
- マカダミアナッツ
- ピスタチオ
- 松の実
- ヘーゼルナッツ
- 栗
クルミに関しては「生クルミ」というものも販売されていますが、「アブシシン酸」という毒が含まれるためローストしたものがおすすめです。
アブシジン酸(ABA)とは、タネ類や豆類に含まれる発芽抑制因子のことです。クルミと同じく玄米もですが、アブシジン酸の毒性をオフするために既定の時間浸水したり、ローストしてから食べるようにしましょう。
《参考》【玄米の選び方】玄米の毒・発芽玄米にする方法・炊き方・栄養と効果
さいごに
心臓病は、加齢によって避けられないものだと思われがちですが、腸によって予防ができます。心臓病だけでなく、すべての病気は腸から始まると言っても過言ではありません。
動物性タンパク質やレクチンの摂取量を減らすことで心臓病が発症する可能性を低くすることができます。他にも、糖分や穀物、タンパク質の摂りすぎも良くないことが分かりました。
また、腸の健康に取り組むことで難聴も防ぎ、脂肪肝や肝硬変、肝臓がんなども予防することができます。
がんと自己免疫疾患の両方のリスクを減らすには、糖分と動物性タンパク質の摂取を制限することが有効です。がん細胞は「糖」で成長します。
食べたいものを食べるだけでなく「腸が喜ぶものを食べる」のも大切です。
《参考》【本の要約】腸がすべて:アダムスキー式の腸活法、食べ合わせ
本記事では、「要約④ がんと心臓病」について紹介しましたが、続き「要約⑤ 骨と筋肉」は以下の通りです。
《参考》【本の要約⑤】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:骨と筋肉
また、以下の記事では、要約①~⑨までの概要をまとめています。もくじ代わりにご覧いただき、気になる項目から読んでいただくのもおすすめです。