あなたは「断食」に挑戦したことがありますか?
- 気まぐれ断食とは?
- 独学で断食をしてみたけど失敗した経験がある
- 断食に興味はあるけどツラそう
わたしは、食事指導や断食(ファスティング)指導をしている栄養士です。
「気まぐれ断食」という本を要約してご紹介します。この本に書かれている断食方法は、わたし自身も実践していて、ファスティング指導としても行っている方法に非常に近い内容です。ぜひ参考にしていいただければと思います。
本記事は前編になります。まずは気まぐれ断食についての概要をご紹介します。続いて後編で、詳しいやり方や取り組むコツをご紹介していきます。
はじめに
数年前まで、断食は宗教的な印象が強く身近な存在ではなかった「断食」ですが、健康効果が明らかになるにつれて認知度が上がってきました。
しかし、以下の2つの大きな課題があります。
- 断食のハードルを高く考えている人
- 断食に挑戦したが失敗した人
断食は、正しいやり方を理解していれば、つらいものではありません。体重が減ったり、頭がスッキリしたりして、むしろ楽しくなります。
これは書籍に書かれていたことではありませんが、現にわたしの生徒さんも、リピーターになる方がほとんどです。人によって2~3か月後や半年後など期間はそれぞれですが、定期的に身体をリセットしたいとおっしゃいます。
そして、定期にやらないと効果が全くないものでもないのです。
そこで「断食に失敗してしまった」「興味はあるけどストイックでつらそう」と思っている方にお伝えしたいのが「気まぐれ断食」です。
いつ始めてもいいし、いつやめてもいい、気軽に取り組めるのが「気まぐれ断食」の魅力です。「自分がやりたいときに無理せず行う」ことが、長期的にみて効果的な方法といえます。
日々にフィットネスやヨガのような習慣として取り入れて楽しみながらダイエット・健康維持できるようになれば幸いです。
たしか、「1年で14キロ痩せた医師が教える医学的に内臓脂肪を落とす方法」という本にも、良いダイエットは何かと聞かれたら「続けられるダイエット」と答えると書かれていました。
《参考》【本の要約:前編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)
ダイエットが失敗する理由は「続かない」からですよね。では、効果は小さくとも継続可能な方法をとり入れてみるというのが成功への近道かもしれません。
断食を始めたものの、続けるのがツライと思った場合には中断してもいいのです。
では早速、断食事例を2ケースご紹介していきます。
事例① ぽっちゃり体型のA子さん
食べることが大好きなせいか体重は標準よりもちょっと多めなA子さん。ぽっちゃり体型が気になっています。
色々なダイエット法を試してきましたがなかなか痩せられず、無理をしてはリバウンドの繰り返しです。そんな自分にもうんざりしていました。
断食に挑戦したときも「最後までやりきらないと!」「我慢しないと!」という精神的プレッシャーに押しつぶされてずっとイライラしていました。
気まぐれ断食にチャレンジした結果
- はじめは1日だけの断食に挑戦。酵素ドリンクのおかげでつらくなかった。
- 定期的に「続けるべき」ではなく、「やりたいときにやる」スタイルに。
- 1日断食に慣れてきたところで3日挑戦。目標体重を達成し、自信も付いた。
- 「中断してもいい」の精神でやるのでプレッシャー・イライラがない。
プレッシャーをかけずにハードルを低くしてスタートさせます。そして、自分が挑戦したい範囲でレベルアップしていくのがポイントです。
後編でも詳しく酵素ドリンクの選び方について解説しますが、別記事でおすすめ商品も含めて紹介していますので、参考にご覧ください。
砂糖や人工甘味料が含まれた酵素ドリンクは、断食のお供には適しません。
《参考》【酵素ドリンクとは】ファスティング・ダイエットの効果とおすすめ3選
事例② 興味はあるけど不安なB子さん
疲れやすいし、肌の調子も悪いB子さん。将来の健康ために、断食で腸内環境を整え、快眠になれると聞いたのでやってみたいけど、食べないなんで不安と思っていました。
ツラそうだし、ひとりで達成できるか分からないから、断食道場に行ってみようか迷っていました。
でも、仕事や家事もあるし、そんな時間はとれないしと悩んでいました。
気まぐれ断食にチャレンジした結果
- はじめはお試し感覚で16時間断食に挑戦。
- 自分の体や心と相談しながら少しづつ断食に日数を増やしていく。
- つらかったら食べてもいいと思うと不安感が消え無理せず達成できた。
- 胃腸を休めることができて腸内環境が整い肌荒れがなくなった。夜もぐっすり眠るように。
「食べない」というより「食べる時間を空ける」という感覚で取り組める16時間断食は、かなりハードルが低いですね。
《参考》【要約】空腹こそ最強のクスリ:16時間断食の正しいやり方・ナッツの食べ方
断食をすることで睡眠の質が良くなったと実感される方は多くいます。わたしの生徒さんにも、睡眠やむくみなどの悩みを抱えていたが断食で改善できたと報告して下さった女性がいます。その方の事例もご覧ください。
《参考》【初心者:3日間ファスティング事例】スケジュール・やり方・効果
「気まぐれ断食」なら成功する
断食は、かなりメジャーな健康法となってきています。ファスティングと呼ばれることもありますが同じ意味です。
「気まぐれ断食」とは、好きなタイミングで好きな時に行う断食法です。毎週・毎月など決まった日にやりません。細かいルールに囚われず、気ままにやってみることが大切です。
もちろん、定期的に続けた方が高い効果が得られますが、たまにやってもある程度の効果が期待できます。フィットネスやヨガなどの健康法も同じですね。
あえて厳しいルールをつくらず「気まぐれ」に行って、そこそこの効果を得るというのも選択肢のひとつです。
成功させるには
断食に失敗してしまう主な3パターンは以下の通りです。
- 間違った断食方法や独学で行い、体調を崩してしまう
- 空腹に耐えられなくなって断念し、自己嫌悪に陥てしまう
- 断食後の回復食が上手くいかず、リバウンドをしてしまう
成功させるには次のようにしましょう。
- 正しい知識で取り組む。
- 断食前後の準備食と回復食を正しく理解して行う
- 無理がない程度にしてポジティブマインドで取り組む
ネットで調べた情報をうのみにして独断に行うのはリスクがあります。本記事を参考に行ったり、わたしのような断食トレーナーのアドバイスのもとで行いましょう。
間違った方法や、無理なプランで断食に挑戦して、断食がつらい経験となると二度とやりたくなくなってしまうし、リバウンドしやすいので、頑張りすぎないことがコツです。
頑張りすぎない
我慢だけのツライ断食は失敗の原因となります。無理して定期的に行うのではなく、「やりたいときにやる」「嫌ならやめる」くらいの気持ちでOKです。
「定期的に!」「最後まで!」と張り切ってプレッシャーを与えないようにしましょう。まじめな方や頑張り屋さんは要注意ですよ。
断食しようと思っていた日に、大切な人との食事の予定が入ってしまったら無理して行わなくてもいいのです。
むしろ、特に他の予定がなくても、断食する気分じゃなくったのであれば、無理して行わずに中止してOKです。
断食を成功させている人は、つらいものではなく、気持ちよく行えて楽しめることだと知っています。自分のペースで取り組んでみましょう。
おすすめのタイミング
「体重が増えてきたな」「食べすぎが続いたな」と思ったときに断食を行うと胃腸を休めて、食生活をリセットできるのでおすすめです。
また「身体がだるい」「身体が重い」「疲れが抜けない」と感じているタイミングに断食を行うことで、スッキリしてリフレッシュすることができます。
他にも、季節の変わり目や、新しいことを始めるときに挑戦するのも良いでしょう。
断食の効果
断食の主な効果は次の通りです。
- 減量・ぽっこりおなか解消
- 睡眠の質が向上
- 代謝アップ・お肌の調子がよくなる
断食はダイエット法として紹介されることが多くありますが、脂肪燃焼はもちろん、腸内環境の改善、便秘解消など様々な健康効果があります。
また、睡眠の質も改善し、寝つきが良くなったり、寝起きが良くなる方が多くいます。
他にもアレルギーの改善や、免疫力アップの効果も期待できます。
断食は、昔から民間療法として活用されてきました。食べないことにより、もともと体に備わっている自然治癒力を高めるてより健康になるということです。
《参考》【ファスティングとは】断食との違い・ダイエット&デトックス効果
痩せる理由
断食によって痩せるのは、摂取カロリーを抑えて、体に溜まっている脂肪を燃焼しエネルギーとして活用することができるからです。
また、胃腸を休めることで消化吸収の機能が正常化されます。そして、食べたものをしっかり代謝できるようになります。
腸内環境も改善され、体のめぐりがよくなり、ため込まない体に導きます。
健康効果
断食をすると成長ホルモンの分泌が促進され、体の中で若返りが起こります。
脂肪燃焼と同時に体内のデトックスが促進されることも特徴です。添加物や農薬、有害金属など体に蓄積される有害物質を排出できます。
また、オートファジーが活性化して細胞のリノベーションが行われます。
オートファジーとは、古い細胞や壊れた細胞が生まれ変わることです。最後に食事をしてから16~18時間後に活性化すると言われています。
《参考》【オートファジーとは】ダイエット効果・16時間断食・ルビコンとは
「気まぐれ断食」のメリット
気まぐれに行うので、力まずに続けられます。無理をしないので成功しやすいのが大きなメリットです。
人間の体は、心と身体が影響しあっています。体だけでなく心にも配慮したのが気まぐれ断食です。気まぐれ断食では、心と身体の一致感が得られるのが大きな特徴です。
プレッシャーをかけずに、無理がない程度に少しづつ回数を重ねていくことで断食効果が高まっていきます。
従来の断食 | 気まぐれ断食 |
・定期的に決まった日数行う ・続けないと意味がないという縛りが強い ・最後までやりきらないと駄目 ・精神的なプレッシャーが多い |
・日程は不定期でもいい ・好きな時に行えばいい ・途中でやめても大丈夫 ・精神的なプレッシャーが少ない |
実際に、気まぐれ断食を行っている人には、半年に1回や、1年に1回など頻度も人それぞれ様々です。精神的にハードルが低い状態にしておくことでポジティブに続けることができます。
大切なのは、どんなに頻度が低くても一度で終わらせずに継続することです。
心もリセットされる
断食をすると「これだけの量でも大丈夫だった」「これだけでも生きていけるんだ」という経験をすることで考え方が変わってきます。
今までの食生活を振り返り、食べ過ぎていたことに気づきます。そして、食べ過ぎによって体の負担になっていたことを実感します。
おなかが空いていないのに「おいしいから」とついつい余分に食べていませんか?
マインドが変わる
断食を終えると、体はもちろんのこと、心も整い気持ちが前向きになります。断食の前後で驚くほどマインドががらりと変わったような人も現れます。
これは脳波に変化が起こることが理由だと言われています。そのメカニズムについては以下の記事でご覧いただけます。
《参考》【ファスティングとは】断食との違い・ダイエット&デトックス効果
朝起きて、体が軽かったり、肌の調子が良かったり、快眠できてスッキリしていると1日の気分も上がりますよね。
断食の成功体験で自信もつき、色々なことに挑戦したいと思えるようになる方が多くいます。
ライフスタイルの変化
気まぐれ断食のうれしい効果のひとつに睡眠の質の向上があります。目覚ましなしでもパッと起きられるようになる方もいます。
仕事や家事、趣味の時間などに朝から時間を有効活用できます。
また、自然治癒力が高まり、免疫力もアップします。花粉症やアレルギーなどの体質改善も多く報告されています。
他にも、部屋の整理整頓を始めたくなったりと、心身がスッキリして身の回りの物もスッキリさせたくなります。これは、食事の時間が不要になるので、いつもより使える時間が増えるというのも関係しています。
断食をキッカケに、自然体でシンプルな暮らしを選択するのもいいでしょう。
断食が注目される理由
食の欧米化が進み、多くの健康問題が起きています。生活習慣病の増加や、食べ過ぎによる肥満や糖尿病、原因不明のアレルギー、不妊で悩む人も増えてきています。
飽食の時代に生きるわたしたちは、糖質や脂質、添加物などを自分の身体で処理しきれなくなるほど摂りすぎていて、体の解毒機能や代謝機能が追いつかないほどになっています。
主に使われている食品 | |
人工甘味料 | ダイエット食品、清涼飲料水、お菓子など。砂糖の代替品として使用される。 |
着色料 | 食肉・水産加工品、健康食品など。食欲増進のために人工のものが使われることも。 |
保存料 | 食肉・水産加工品、チーズ、パン、漬物、佃煮、など。微生物の増殖を抑制し保存性を高める。 |
増粘剤、安定剤、ゲル化剤または糊料 | ゼリー、ジャム、プリン、アイスクリーム、ドレッシング、たれ類など。粘性を出すのが目的。 |
乳化剤 | マーガリン、乳製品、乳飲料、お菓子類、アイスクリームなど。 |
酸化防止剤 | 食肉・水産加工品、果実加工品、漬物、お惣菜、パンなど。酸化による品質低下を防止する。 |
化学調味料 | 合わせ調味料やドレッシング、お菓子類、お惣菜など様々なものに使用される。 |
こうした食べ過ぎによる不調は、食べないことで改善できます。断食は体の解毒機能を高め、代謝をスムーズにします。
《参考》【本の要約】食品の裏側(食品添加物の神様、ミートボール事件の内容)
《参考》【マーガリンとは】バターとの違い、トランス脂肪酸が体に悪い?その理由
食べない栄養学
飽食の時代だからこそ、かえって「何をどれくらい食べないか」という食べない栄養学も重要です。
断食の経験者は、自らの食生活を見直すことができ、自然と食への意識が変わることに驚きます。わたし自身も数年目にはじめて断食に挑戦したときは半信半疑でした。
ただ、ファスティングにハマっている友人が目をキラキラさせて夢中になっていたので「そんなにスッキリするのかな?実際に自分でも体感してみたい!」と思ったのがきっかけでした。
ブログ記事やSNSで見かけると、なんだか嘘っぽく感じてしまうかもしれませんが、断食中は、本当に肌ツヤが良くなって、痩せこけずに健康的にスッキリ痩せてむくみもとれます。
なので「痩せた?」と声をかけられることも増え、明らかに普段の自分よりいい状態になっているのを自覚します。語彙力がなく、言葉にすると怪しく聞こえるかもしれませんが、事実です。
食べたもので体がつくられる
わたしたちの体は37兆個の細胞の集まりで成り立っていると言われていますが、これら体の細胞は、食べたものを原材料にして作られているのです。
言われてみると当然のことなのですが、毎日の食事のことだと、うっかり忘れてしまいますよね。
断食を控えた方がいい人
断食は、あくまでも健康な人が、より健康になるための健康法です。断食を控えた方がいい人は以下の通りです。
- BMI(体格指数)18.5未満の人
- 妊娠中や授乳中の人
- 糖尿病や高血圧で薬を断薬することにリスクのある人
- 過去に心筋梗塞や脳卒中を起こしたことがある人
- がん、精神病、狭心症、不整脈など治療中の疾患がある人
- 成長期を迎えている子ども
やせすぎている人は栄養失調や低血糖になる可能性があるので、断食の前に、しっかりと食事をとって筋肉を付けて体重を増やすことが優先です。
妊娠中の方が断食を控えた方がいい理由は、母体から排出される毒素が胎児に流れ、胎児の発育に影響が出る可能性があるからです。
本書には記載されていませんが、他にも、母体の栄養が足りないことで、胎児も栄養不足になるなどの危険性があります。詳しくは別記事でご覧ください。
《参考》【ファスティング中・前後の疑問一覧】頭痛、筋トレ、酵素ドリンクなど
なお、妊娠前の断食に関してはOKです。妊活断食は密かなブームとなっています。
不妊の原因は様々ですが、添加物や環境ホルモン、有害ミネラルといった重金属類などが体内にたまることことが一因とも言われています。
断食によって老廃物を出し、代謝を高め、体の調子を整えることでホルモンバランスも安定しやすくなります。
また、断食中は薬の吸収率も高まってしまうので、副作用も出やすくなります。薬を飲んでいる方や健康に不安のある方は、医師に相談して行うようにしてください。
ここまで「気まぐれ断食」の概要をご紹介してきました。では、後編で実践方法をご覧ください。