あなたは食事をするとき「カロリー」を参考にしていますか?
- カロリーとは?どうやって決めているの?
- 何なのか簡単に知りたい
- カロリーをとると太るの?
わたしは、食事アドバイスとファスティング指導をしている栄養士です。ファスティング指導の資格も持っています。
そんなわたしが「カロリー」について解説していきます。「太らないために」や「健康のために」とカロリーを参考にしている方も多いと思いますが、その概念が変わると思います。
「カロリー」とは
いまだに根強く信じられている「カロリー制限ダイエット」には、科学的根拠がありません。
わたしと同じ栄養士や、ダイエット指導をする職業の方、医療の現場さえも、まだカロリーにこだわっています。
人間の代謝にとって、カロリーというものは科学的根拠がゼロです。ハーバード大学医学部も、2020年10月に「カロリー計算をやめるべきだ」と改めて主張しています。
「カロリー」の決め方
カロリーの数値の決め方は、簡単に言うと「火をつけて燃やしたときに水をどのくらい温めるか?」です。
具体的には、ボンブ熱量計というものに乾燥させた食品を入れて酸素を入れて燃やし、容器の温度上昇からカロリー数を決めます。
この考え方は1883年にルブネル(Rubner)という化学者が考案したものです。その後、色々と修正はされていますが、基本的な部分はそのまま使用されて、実に300年以上も経っています。
皆さんも疑問に思いませんでしたか?わたしたちの体の中で、食べたものに火をつけているでしょうか?答えは「NO」です。
わたしたちの体内では「酵素」によって消化や代謝が行われています。当然、同じものから取り出せるエネルギー量は、火をつけた場合とでは全く違います。
「摂取カロリー」を減らしても痩せない
カロリーを基軸にしたダイエット法で良く言われる「摂取カロリーよりも消費カロリーが多ければ痩せる!」という理論は、大間違いです。
なぜなら、摂取カロリーは食べる前の食物に火をつけて燃やしたものから決める数値です。カロリー理論は「同じものを食べれば、同じエネルギー量になる」という考え方です。
食べる本人の体調や体質などを完全に無視しています。
摂取したものがどのくらいのエネルギー量になるのかは、口に入れた後に体内で起こるアレコレで、その食べ物から作り出されるエネルギー量は変動するからです。
つまり、同じものを食べても、太るときもあれば、痩せるともある、変わらないこともあるということです。
エネルギー不足であれば、いつもよりも吸収されますし、少し前に食べたばかりでエネルギーが余っているときは、吸収は減ります。
また、マグネシウムなどのミネラルやビタミンが不足していれば、エネルギー代謝が上手くいかず、取り出せるエネルギー量は減ります。
《参考》【鉄不足になる理由】症状・おすすめのサプリメント(キレート鉄)
《参考》【エプソムソルトとは】効果・効能、おすすめ商品「Sea Crystals」
固定数値の「摂取カロリー」が、実際とズレる理由3つ紹介します。
- 調理法
- 作られるエネルギー量の変動
- 腸内細菌による発酵
それぞれ詳しく解説していきます。
① 調理法
実は、調理法によって食べ物の吸収率が変わります。生のままよりも、煮たり焼いたりした方が体内での吸収率はアップします。
つまり、同じ「カロリー」なら、いつでも同じエネルギーになるというのは間違いです。
② 作られるエネルギー量の変動
摂取した食べ物から作り出されるエネルギー量は、「消費されるエネルギー」によっても変動します。
何もせずに1日ゴロゴロして過ごしたなど、エネルギー消費が少ない状態では、栄養の吸収も減ります。
逆に、激しい運動をしてエネルギーをたくさん消費したときや、長時間食事をとっていないときには、吸収がアップすることが分かっています。
つまり、同じカロリーをとったとしても、吸収される割合は、わたしたちの状態によって変わるということです。
③ 腸内細菌による発酵
腸内細菌は、わたしたちの腸の中で「発酵」を行っています。
非常に重要な役割を果たす腸内細菌は、腸の中で100兆個ほど住んでいます。人間の体の細胞数は約60兆個なので、それ以上の数です。
カロリー理論では、腸内細菌のことも完全に無視しています。というのも、カロリーの考え方が生まれた当時は、代謝と共に腸内細菌のことも分かっていなかったからです。
同じカロリーでも何を食べたかによって、腸で起こる発行の結果は大きく異なり、得られるエネルギー量も大きく変わります。
また、自分のおなかに住んでいる腸内細菌の種類や数によっても得られるエネルギー量には差が生まれます。
この「発酵」の結果を度外視して、発酵前にどれだけ燃えるかを数値化しているカロリーはエネルギーを計る指標になりません。
「食べた食べ物のカロリー」と「腸から吸収するエネルギー量」が一致するわけありませんね。
「消費カロリー」も変わる
カロリー理論では、基本的に同じ運動量なら「消費カロリー」の数値は固定という考え方です。本当は、状況によって変わります。
食べる物を減らせば、体は省エネモードになります。同じ運動をしたときのエネルギー消費量も変わり、基礎代謝も変わります。
同じ人で、筋肉量や体脂肪率が一定でも、消費エネルギーは変わります。
カロリーと食品の質
同じ100カロリーだとしても、糖質たっぷりの食品をとれば、肥満ホルモンのインスリンがドバドバ出て、体脂肪が増えます。その間、体脂肪は燃えません。
逆に、100カロリーでタンパク質たっぷりで低糖質な食品をとった場合には、インスリンがそこそこ出て体脂肪の燃焼は一時的にとまります。
そして、100カロリーの脂質のみをとった場合、インスリンはほとんど出ずに、食後も脂肪は燃え続けます。
このように「同じカロリー」なら、どんなものを食べても同じように痩せる・太るということはありません。
脂質たっぷりでカロリーが多い食事であろうと、インスリンが出なければ太りません。同じカロリーでも糖質メインであれば、インスリンが大量に分泌されて太ります。
「食物繊維」はカロリーゼロ?
カロリー理論の盛大な間違いについては「食物繊維」にも当てはまります。
それは、食物繊維にもカロリーを設定している点です。現代の栄養学では、食物繊維は1グラムで2kcalと設定されています。
ところが、食物繊維は人体のエネルギーにはなりません。腸から体内に吸収されることすらありません。口から入って、そのまま出ていく「エネルギーゼロ」の存在です。
それなのにカロリー理論では、「火をつけたら燃えるからカロリーがある」ということになっています。食品の栄養表示をするときにも義務付けられています。
【まとめ】カロリーとは
よくある話のひとつに「カロリー」を「エネルギー」の意味で使っているというものがあります。
カロリーとは、このような間違った考え方です。
- 火をつけて燃やした数値
- 食べる前の状態で、人間のがそこから取り出すエネルギー量が一定と考えている
- PFCが交換可能と考えている
- 食物繊維からもエネルギーをつくり出すと考えている
栄養は「PFC」でチェック
食物中の栄養素を考える場合は、カロリーではなく3大栄養素「PFC」を見ると良いです。
- 「P」Protain:タンパク質
- 「F」Fat:脂質
- 「C」Carbohydrate:炭水化物(糖質)
本来は、食物繊維は代謝に影響しないので、炭水化物(糖質+タンパク質)よりは「糖質」を使う方が良いのですが、英語圏では「糖質」という言葉がないため、いまだに炭水化物が使われています。
- 旧)カロリー → 新)エネルギー
- 旧)カロリー表示 → 新)PFC量表示
皆さんがカロリーという言葉で語っているのは、主にエネルギーのことです。
カロリー表示ではなく、PFC表示をチェックしていきましょう。
「太る」本当の理由
内臓脂肪を増やすのは「脂質」ではなく「糖質」です。
糖質が摂取されると、肥満ホルモンとも呼ばれる「インスリン」を大量に分泌し始めます。このインスリンの作用によって「内臓脂肪が増える身体の反応」が起きます。
糖質を摂りすぎなければ、高カロリーのものを食べても太りません。
糖質を大量に摂らなければ、インスリンも大量に分泌されません。糖質を控えることで内臓脂肪を増やす最大の要因である「大量のインスリン」を避けることができます。
内臓脂肪を増やさない方法は、インスリンの分泌を抑える、つまり糖質摂取をなくせばいいのです。
また、「アルコール」で脂肪分解がストップすることも分かっています。糖質オフのお酒だからと言って、ダイエット中の方にはおすすめできません。
《参考》【1日の食事に含まれる糖質量】レベル別の糖質制限方法、ご飯の目安
さいごに
「カロリーがどうの」という専門家がいたら、その時点でその専門家のいうことは信用できなと思ったほうが良いでしょう。栄養の基礎の基礎から分かっていないことを公言しているも同じです。
今回の記事は、主に「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法」という本を参考にしています。
《参考》【本の要約:前編】医学的に内臓脂肪を落とす方法(1年で14キロ痩せた医師が教える)
他の本にも「カロリー理論」を否定する本がいくつかありました栄養学や健康に関する知識は日々アップデートされています。
現段階での最新情報によって、わたしはカロリー理論は信じていません。
「トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ」でも、以下のように同じ理論を唱えています。
- 総エネルギー消費量は、摂取カロリーやその他の要因で人によっては50%も前後する
- 同じカロリー分を食べても、異なる代謝やホルモン反応が起きる