一度は耳にしたことのある「マクロビ」という言葉ですが、料理好き・こだわり派の人がやっていること、というイメージがありませんか?
- そもそもマクロビって何?
- 健康にいいの?
- マクロビ派のクッキーっておいしいの?
オーガニック好きで健康志向な栄養士です。本記事では、マクロビ(マクロビオティック)について解説していきます。
「マクロビ」とは
マクロビとは、「マクロビオティック(macrobiotics)」の略称です。もともとはギリシャ語で「マクロ(macro)大きい、長い」「ビオ(bio)生命の」「ティック(tique)術、学」の3つの言葉からなっています。古代ギリシャ語を語源とした、「自然に即した命のあり方」という意味です。
他の呼ばれ方としては、玄米菜食、穀物菜食、自然食、マクロバイオティックなどと表現されることもあります。
マクロビオティックというと、強い健康志向な方のストイックな食生活をイメージされるかもしれませんが、そんなことはありません。
マクロビオティックとは「自然と調和をとりながら、健康な暮らしを実現する」という考え方です。
玄米、全粒粉を主食とし、主に豆類、野菜、海草類、塩から組み立てられた食事です。つまり、日本の伝統食をベースとした食事を摂ることが多いです。このような食事法は自然環境とのバランスにおいても関わりが深いことです。
たとえば、マクロビでは「暮らす土地の旬のものを食べる」という考え方がありますが、自分が暮らす土地でとれた野菜を積極的に食べることは、その野菜が新鮮で身体に良いだけでなく、野菜の物流に伴い排出されるCO2の削減にもつながります。
また、「食材を丸ごと食べる」という考えがありますが、今まで捨てていた皮や葉などもおいしく食べられることは、キッチンからでるごみの減少にもつながります。
基本的な概念はこのようなもので、禁止事項は特にありません。厳しいルールを設ける必要はなく、ご自身に合ったマクロビオティックライフを取り入れてみてはいかがでしょうか。
マクロビオティックの発祥
マクロビオティックは、1893~1966年に桜沢 如一氏(さくらざわ ゆきかず)が、石塚左玄の「食物養生法」の考え方と、東洋思想のベースとなる中国の「易」の陰陽を組み合わせた、「玄米菜食」という自然に則した食事法を提唱したことからはじまりました。
海外発祥ではなく日本発祥なんですよ。その後1950年以降、久司道夫氏によってマクロビオティックが体系化され、欧米を中心に広まりました。
「マクロビ」の禁止事項
マクロビでは、厳密に禁止されている食べ物や調理法はありません。下記についてはできるだけ避けたいとされています。
- 大型の魚
- 肉、卵、乳製品
- 精製された白砂糖、化学調味料
穀物を始めとした和食中心の食生活を送るなかで、適度に肉や魚を摂りいれることも認められています。人はもちろんのこと、動物・環境に配慮して、健康のためにバランスよく食べるという意識が根底にあれば問題ありません。
「マクロビ」3つの哲学
マクロビへの理解を深めるには避けて通れない「3つの思想」をご紹介していきます。
哲学① 身土不二
身土不二(しんどふじ)とは、暮らす土地の旬のものを食べることです。「身体と環境は深く結びついている」という考え方が元になっています。
たとえば、熱帯地域でとれるフルーツには体内の熱を下げる働き、寒い地域でとれる野菜には体内を温める働きがあるという考え方です。四季のある日本では、季節ごとの旬の食材をとることで、身体のバランスがとれると言われています。
哲学② 一物全体
一物全体(いちもつぜんたい)とは、自然の恵を残さず丸ごといただくことを指します。
ひとつの食材を丸ごと食べようという考え方は、食材そのものは、丸ごとひとつでバランスがとれているという考えがベースにあります。
穀物なら精白していない玄米、野菜なら皮や葉にも栄養があり、全てを摂ることでからだのバランスがとれるということです。
哲学③ 陰陽調和
陰陽調和(おんみょうちょうわ)とは、東洋思想の伝統的な考え方です。マクロビオティックでは、世界のあらゆるものは「陰」と「陽」に分けられる、という考え方があります。その陰陽のバランスが取れている状態(中庸)ことを大切にしています。
※中庸(ちゅうよう)とは、バランスの取れた状態であり、超過も不足もしていない状態のこと。
- 陰性:遠心力・静かなもの・冷たいもの・水分の多いものなど
- 陽性:求心力・動きのあるもの・熱いもの・水分の少ないものなど
【食材】陰陽バランス
陰と陽の基本的な定義としては次のようになります。
- 陰は、天からエネルギーを受けるもの
- 陽は、地からエネルギーを受けるもの
これを食材にあてはめると、地上に育つ食物は「陰」、地中に育つ食物は「陽」ということになります。
「陰性の食材」とは上に向かってのび、からだを冷やす作用があり、「陽性の食材」とは地中に向かってのび、からだを温める作用があると考えられています。
旬の食材を例にすると、夏のキュウリ(陰性)は、ほてったからだから熱をとり、冬のゴボウ(陽性)は、冷えたからだを温め、わたしたちのからだのバランスをとる手助けをしてくれます。
マクロビオティックでは陰陽どちらにも極端に傾きすぎないほうが良いとされているので、穀物や根菜、豆類などを食材の中心とします。
【調理法】の陰陽
調理法も陰と陽に分けて考えます。基本的にはこのように考えられています。
- 陰性:サラダなど冷たいもの/火をあまり通さないもの
- 陽性:シチューなど温かいもの/じっくり煮込むもの
その他にも調理法の陰陽はこのように考えられています。
《陰性》 |
《陽性》 |
火を少なく使用する
時間をかけない
圧力をかけない
油・水を多くする
酢・甘味料・ハーブ等の陰性の調味料を多くする
土鍋・木製の調理器具を用いる
野菜を小さめに切る(調理する場合) |
火を多く使用する
時間をかける
圧力をかける
油・水を少なくする
塩・醤油・味噌等の陽性の調味料を多くする
鉄鍋・金属の調理器具を用いる
野菜を大きめに切る(調理する場合) |
【マクロビ食】ポイント
健康的なマクロビ食を取り入れる方法について、簡単に取り入れられるポイントをご紹介していきます。
「玄米」を食べる
まず最初に取り入れやすいのが、「白米」を玄米に切り替えることです。完全に玄米食にしなくてもOKですが、玄米も取り入れることで、簡単にマクロビ食へ近づくことができます。
玄米は、食物繊維が豊富に含まれており、ダイエットに有効であると考えられています。 食物繊維が豊富ということは、消化に良いとは言えないので、よく噛んで消化に優しい状態にしつつ、満腹中枢を刺激するようにしましょう。
玄米は胚芽と、糠 (ぬか)という皮によって構成されており、色は茶色です。 一方、 「白米」は、玄米の糠と胚芽を取り除き、胚に栄養分を送る役割を持つ胚乳のみにしたものです。
つまり「玄米」の外側を取り除いたものが「白米」です。よって、白米より玄米の方が、食べたときに農薬を体内に取り込みやすいです。オーガニックの玄米を選ぶようにしましょう。
玄米や発芽玄米にについては、別の記事で詳細にご紹介しています。
「お肉」は控えめに
お肉は絶対に食べないなど、極端に振り切る必要はありません。頻度・回数を調整してはどうでしょうか。
たとえば、普段であれば週5日お肉料理を食べていたとしたら週3にしてみるなど回数を減らしたり、量を減らしてみるなど、ちょっとしたことから取り入れてみるといいかもしれません。
お肉を取らないとたんぱく質が足りないのではと心配される方は、安心してください。大豆製品(納豆・豆腐・味噌など)は、効率的にたんぱく質が摂取できる食材ですよ。
地元産で旬の「野菜」を食べる
旬の食材を取り入れた料理を中心にしてみることも、マクロビへの第一歩です。どれが旬の食材か分からないと思ったあなたも安心です。
スーパーにお買い物に行ったときに、目につく場所に、たくさん陳列してあって、安くなっているものが、恐らく旬の食材です。
旬の食材は栄養素も高く、パワーがあると考えられており、日々の食生活に取り入れることがおすすめです。それに旬だからこそ安くおいしく手に入るので一石二鳥です。
「白砂糖」を控えめに
甘さをつけたい場合は、白砂糖の代わりに、「はちみつ」「三温糖」などで置き換えてはいかがでしょうか。
わたしは、砂糖は使いません。すべて蜂蜜で置き換えていますが、何も不自由することはなく、むしろ液状なので料理にも扱いやすいです。
また、蜂蜜はビタミン類も多く含まれており、栄養価も高く、ぜひ摂取していきたい食材なので、ちょうど良いです。
たとえば、オーストラリア政府登録認定機関【ACO】が、100%オーガニック認定しているハチミツなども販売されています。
【マクロビ食】手軽に取り入れる
マクロビ食を取り入れるには、自分で料理をする以外にも方法があります。たとえば、次のような方法です。
では、わたしが実査に食べたことのあるものをご紹介していきます。
マクロビ派(森永製菓のクッキー)
森永製菓から販売されている「マクロビ派」というクッキーがあるのですが、すごくおいしいです。マクロビだからということはなく、好きでたまに食べています。味は2種類あります。
《アーモンドとクランベリー》
《ヘーゼルナッツとカカオ》
わたしのおすすめは、ヘーゼルナッツとカカオ味です。ザクっとした食感のチョコクッキーという感じで、とても美味しいです。コーヒーのお供に最適です。
4つのこだわり
- 香料・乳化剤不使用
- マーガリン・ショートニング不使用
- 動物性素材を不使用
- 白砂糖は使用せず、てんさい糖を使用
日頃よりマクロビ主義の方でも安心して食べられるお菓子になっていますね。
もともとショートニングは「ラードの代用品」、マーガリンは「バターの代用品」として作られました。どちらも原料は食用油脂です。
食用油の水素添加で作られるマーガリン・ショートニングは、トランス脂肪酸を多く含む食品として注意すべきといわれています。トランス脂肪酸の危険性については、世界中でさまざまな研究が行われおり、国によってはトランス脂肪酸の規制を行っているところもあります。
ドライフルーツは、シロップ漬けが多く、製造過程のどこかで白砂糖などが使われています。そんな中、途中の過程で白砂糖を使っていない、リンゴ果汁で漬け込んだ特別なドライフルーツを使用しているそうです。
原材料
【マクロビ派】アーモンドとクランベリー
食用なたね油、オーツ麦フレーク、砂糖(てんさい糖)、小麦粉、アーモンド、小麦全粒粉、果汁づけドライクランベリー(クランベリー、濃縮りんご果汁、食用ひまわり油)、玄米フレーク、ひまわり種子、かぼちゃ種子、食塩
【マクロビ派】ヘーゼルナッツとカカオ
砂糖(てんさい糖)、食用なたね油、オーツ麦フレーク、小麦粉、ヘーゼルナッツ、小麦全粒粉、アーモンド、くるみ、ココアパウダー、ひまわり種子、食塩
おいしさの秘密
ナッツや全粒粉など繊細な素材を使っているため、おいしさの鮮度を保つのに苦労したそうです。
できるだけ劣化しないように袋の中の酸素量を少なくする工夫をしています。また、密封性を保つために、丈夫でしなやかな袋を使っています。
大きさの異なる素材を贅沢に詰め込んだ生地を、乳化剤やショートニングを使わず形にするのは、とても難しいです。度重なる試作を経て、成型することに成功した商品です。
購入
お近くのスーパーやコンビニで販売されています。また、Amazonや楽天市場などのネットショッピングサイトでも購入が可能です。現時点でお買い得なものをピックアップしておきました。
Amazonで購入を検討される方は、こちらからどうぞ。
楽天市場で購入を検討される方は、こちらからどうぞ。
チャヤ ナチュラル&ワイルドテーブル
チャヤ ナチュラル&ワイルドテーブルとは、日比谷シャンテにあるマクロビレストランです。有楽町駅や銀座駅から歩いていける場所にあります。
お一人様も多く、入りやすいお店です。ちなみに、先日わたしも一人で伺いました。実際に、ランチをしてきた様子をまとめているので、もしよければこちらの記事をご覧ください。
レシピが参考になる
自炊をしている方であれば、悩みの一つとなるのが使う食材やレシピがマンネリ化してくることです。こんなときは、マクロビレストランで、マクロビレシピを食して、味や調理を参考にするのもおすすめです。
写真は、「おすすめランチコースA」1,980円(税込み)の「前菜3種盛り合わせ」です。
ひじきは、和風の煮物でなくサラダ風の味付けです。揚げ物は、お麩のカツレツです。衣はサクサクで、中はもっちりとして、とても美味しかったです。
家用マクロビ食も購入できる
お店の入り口付近に、家でも楽しめる商品が販売されています。こちらを活用するのもおすすめです。
たとえば、次のような商品が並んでいました。
- 「乳製品をつかわない濃厚とろーりホワイトシチュー」
- 「卵を使わず国産大豆でつくった豆乳マヨ」
- 「大豆ミートと野菜でボリュームたっぷりソイミートソース」
《参考記事》【口コミ】マクロビレストラン:チャヤ ナチュラル&ワイルドテーブル
【まとめ】マクロビオティック
「マクロビ」とは、ハードルが高そうに思えますが、健康的な食生活ということで、誰もが参考にすべき食生活です。なお、絶対的な禁止事項もなく、ゆるく始めることが可能です。
「今日食べたもので、未来に自分が作られる」そのように意識をして、たまにはマクロビ食を取り入れてみては、いかがでしょうか。
マクロビといえば、玄米が基本となります。しかし、玄米はアブシジン酸の毒を不活性化してから食べる必要がありますので、玄米の食べ方については、こちらの記事でご覧ください。
《参考記事》【生きた玄米】選び方・毒性の不活性化・保存方法・おすすめ玄米を紹介
本記事でご紹介した、森永製菓の「マクロビ派」のクッキーは、マクロビは関係なく考えても、お菓子としてとても美味しいので、おすすめです。
また、マクロビレストランのチャヤ ナチュラル&ワイルドテーブルも、マクロビ抜きにして本当においしく、ナチュラルで居心地の良い店内でおすすめです。
《参考記事》【口コミ】マクロビレストラン:チャヤ ナチュラル&ワイルドテーブル
また、健康志向な方であれば、限界まで無添加にこだわったお弁当・おかずを宅配してくれるサービスもおすすめです。冷凍で届いて、電子レンジで5分あたためれば、熱々の食事が楽しめます。ご興味があれば、こちらの記事のご覧ください。
《参考記事》【FIT FOOD HOME】無添加、化学調味料・遺伝子組み換え不使用