ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビの違いをご存知でしょうか。
- ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビの違いは?
- どんな種類があるの?
- いつ生まれた言葉なの?
わたしは、オーガニック食品やコスメは好きな栄養士です。ヴィーガンやマクロビにも興味を持ってきたわたしが、ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビの違いご紹介します。
野菜中心のヘルシーでストイック食生活の人という印象をお持ちではないでしょうか?区別がつかない方は必見です。色々な方がいるんですよ。
【ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビ】の違い
ヴィーガンやベジタリアン、マクロビについて、まとめました。様々な分類がありますが、まずはこれを基本として見ていきましょう。
表が細かくて見えにくい方は拡大してみてくださいね。
菜食主義という点では「ヴィーガン」はベジタリアンの中のひとつのいえます。しかし、違う思想・主義は別物です。ヴィーガンは、牛豚鶏などの肉類はもちろんのこと、たまご、乳製品、魚介類(ハチミツやゼラチン)といった動物性食品を全く食べない生活スタイルです。
なお、「セミ・ベジタリアン」とも呼ばれる「フレキシタリアン」と、「マクロビオティック」は、思想はそれぞれですが、肉類を控えるという意味では近しい食生活と言えます。
さらに、食事を摂らずに、光と水からエネルギーを吸収する「ブレッサリアン」という人たちもいます。そんなことが可能なのかと、わたしもとても驚きました。各種別について、ご紹介していきます。
《動物製品も避ける》ヴィーガン
ヴィーガン(Vegan)の特徴は、動物を搾取することなく生きることを目的としています。「健康目的だけ」と誤解されることもありますが、動物の権利保護や環境保護のためにヴィーガンを選んでいるのが本来の主旨です。
- ダイエタリー・ヴィーガン(健康主義)
- エシカル・ヴィーガン(動物保護)
- エンバイロメンタル・ヴィーガン(環境主義)
それぞれどれか1つまたは組み合わせた思想を持ち、ヴィーガンとなっています。
中でも注目すべきは、社会問題の取り組みです。地球に異常気象を発生させている温室効果ガス(CO2)の排出は、18%が畜産業からだと言われており、畜産業による環境破壊に強い問題意識を抱えています。
なぜ畜産業により、環境問題に発展するのかについては、こちらの記事で詳細をご覧ください。
《参考》【ヴィーガンとは不健康?】環境問題・飢餓・動物保護など社会問題
ヴィーガンの中でも「ロー・ヴィーガン」は、生(なま)かもしくは48°C以下で調理されたもののみ食します。
「ホールフード・ヴィーガン」は、「Whole(まるごと)」の「Food(たべもの)」という意味です。日本では仏教の言葉で「一物全体」とも言います。野菜の葉や皮やなども一緒に食べて「その食べ物の持つ栄養を丸ごと摂る」食事法です。具体的には、フルーツや野菜、穀物、豆類、ナッツを好んで食べる食事法です。
《植物も搾取しない》フルータリアン
「フルータリアン (Fruitarian)」 は、日本語では果実食主義者と訳されます。
動物・植物の生命にかかわるものを口にせず、果実・種子類を食べる食事法です。ヴィーガンと似ていますが、違いは植物に対しても生命を途絶えさせえない方針です。
たとえば、リンゴの実を収穫してもリンゴの木の本体は死なないが、ニンジンなどの野菜は収穫すると本体が死んでしまうので食べないという考え方です。
よって、フルーツやナッツ類を中心に食べます。にんじん、じゃないもなどの野菜は収穫してしまうと、本体が死んでしまうので食べません。レンコンなどの根菜も該当します。なお、レタスなどの葉物野菜は食べます。
果物中心の食生活をしていると、加齢臭や体臭がなくなり、いい香りになると言われています。食べているもので、自分が作られているんだなと感じますね。なお、フルーツに多く含まれるビタミン類や食物繊維などは腸内環境の改善や食生活改善につながり、アトピーやアレルギーの治癒とされることもあります。
《乳製品+卵を食べる》ラクト・ベジタリアン、ラクト・オボ・ベジタリアン
ベジタリアンは、次のようにどこまでの範囲を食べることにするか、段階が分かれています。
- ラクトベジタリアン:菜食+乳製品
- ラクト・オボ・ベジタリアン:菜食+乳製品+卵
- ペスコ・ベジタリアン:菜食+乳製品+卵+魚介類
- ポーヨー・ベジタリアン:菜食+乳製品+卵+魚介類+鶏肉
アメリカなど欧米で「ベジタリアン」というと、菜食+乳製品+卵を食べるラクト・オボ・ベジタリアンが主流です。
《魚介類+鶏肉も食べる》ペスコ・ベジタリアン、ポーヨー・ベジタリアン
魚介類を食べる「ペスコ・ベジタリアン」と、魚介類+鶏肉を食べる「ポーヨー・ベジタリアン」については、ベジタリアン協会ではベジタリアンと認められていません。
わたしとしては、乳製品と卵を食べる「ラクトベジタリアン」と「ラクト・オボ・ベジタリアン」も、ベジタリアンなのか疑問に感じました。ベジタリアン協会では「ベジタリアンである」と認定されています。わたしがイメージしていたベジタリアンは「ヴィーガン」と呼ぶことが後から分かりました。
人それぞれの感覚の違いがありそうですね。ベジタリアンと名乗る人も様々なカテゴリーで食べる・食べないを選択していて幅広く存在することが分かります。
《お肉は控えめ》マクロビ、フレキシタリアン(セミ・ベジタリアン)
「マクロビオティック(マクロビ)」や、「フレキシタリアン(セミ・ベジタリアン)」は野菜中心で、肉類を控える方針です。完全に禁止している訳ではないので、たまに摂取することもあります。
この「たまにお肉を食べる」という概念も、人によって様々です。お肉は一か月に1回程度という人もいえば、毎週2回程度という人もいるでしょう。お肉を食べる回数や食べる量ではなく、そのような志向で食生活を過ごしているという認識です。
特にマクロビオティックは、思想的な要素も強くあります。下記3つのがベースになっています。
- 身土不二(しんどふじ)
- 一物全体(いちもつぜんたい)
- 陰陽調和(おんみょうちょうわ)
「身土不二」とは、暮らす土地の旬のものを食べることです。「身体と環境は深く結びついている」という考え方が元になっています。
「一物全体」とは、自然の恵を残さず丸ごといただくことを指します。ひとつの食材を丸ごと食べようという考え方は、食材そのものは、丸ごとひとつでバランスがとれているという考えによるものです。これは「ホールフード・ヴィーガン」の思考に近いものがあります。
「陰陽調和」とは、東洋思想の伝統的な考え方です。マクロビオティックでは、世界のあらゆるものは「陰」と「陽」に分けられる、という考え方があります。その陰陽のバランスが取れている状態(中庸)を大切にしています。
たとえば、食材も地上に育つ食物は「陰」、地中に育つ食物は「陽」と考えます。他には調理法も陰陽で考えます。サラダなど冷たい料理を「陰」、シチューなど煮込み料理を「陽」としています。
さらに詳しくはこちらの記事でご覧ください。
《参考》【マクロビオティックとは】マクロビ飲食店・マクロビ派クッキー紹介
《飲食しない》ブレッサリアン
「ブレサリアン」とは、ブレス(呼吸)だけで生きる人という意味です。 断食やファスティングなどの期間限定ではなく年単位で固形物を一切とりません。そんなことが可能なのかと思い、色々と調査してみましたところ、少数ですがブレッサリアンは世界の各地に存在します。
《参考》【ファスティングとは】断食との違い・ダイエット&デトックス効果
たとえば、インドのブラウド・ジャニさんは70年間、飲食せずに生きているといいます。2003年、その真相を確かめるために、インドのスターリング病院でジャニさんを対象にした科学実験が行われました。
実験は30人もの医療チームがいる中行われ、ジャニさんは24時間体制で厳重にモニターによって監視されましたが、 驚いたことに飲食しないうえに、排泄行為もなかったのです。ジャニさんの健康状態は10日間安定していたそうです。
食べないし飲まないので、排出もせず、睡眠時間も少なくてすみます。「食べる」という固定概念から解放されているのです。環境に合わせて人間が進化してきたように、その人の過ごし方によって消化器官や能力が変わっていくのでしょうか。
【ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビ】発祥した時代・場所
《各言葉の発祥した年と場所》
ベジタリアン | 1847年(174年前) | 英国ベジタリアン協会 |
マクロビオティック | 1928年(93年前) | 日本(桜沢 如一氏) |
ヴィーガン | 1944年(77年前) | 英国ヴィーガン協会 |
※現在2021年から何前か記載しています。
こうしてみると、ベジタリアン・ヴィーガン・マクロビオティックは、わりと最近に生まれた言葉と分かります。本記事でも存在するすべての種別を紹介しきれていませんが、また新たなカテゴリーになるヴィーガンやベジタリアンが生まれて、さらに進化していくことでしょう。
「ベジタリアン」という言葉は1847年「英国ベジタリアン協会」が発足した際に初めて使われました。つまり発祥地はイギリスです。もともとは宗教的な背景があり、キリスト教の人たちが聖書にならって慎ましい生活をしていた所から始まります。
1944年に、乳製品や卵も食べないでおこうという人たちが「英国ヴィーガン協会」を立ち上げ、分派しました。
ベジタリアンという言葉が生まれ、ヴィーガンという言葉が生まれるまでの間に「マクロビオティック」という言葉は生まれました。なんと日本発祥です。桜沢 如一(さくらざわ ゆきかず)氏が、石塚左玄の「食物養生法」の考え方と、東洋思想のベースとなる中国の「易」の陰陽を組み合わせた、「玄米菜食」という自然に則した食事法を提唱したことからはじまりました。
その後1950年以降、久司道夫氏によってマクロビオティックが体系化され、欧米を中心に広まりました。
【まとめ】ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビ
- ヴィーガン:動物性食品を一切摂取しない
- ベジタリアン:肉や魚は摂取しないが、卵や乳製品はOK
- マクロビオティック:肉類を控えて、玄米や野菜を中心に食べる
この3つの種別についてご紹介してきました。健康意識や宗教によるベジタリアンやマクロビオティックというジャンルは、人それぞれで取り組みたい人が実践すればいいと思います。
しかし、ヴィーガンのように地球環境の問題のために取り組んでいたり、動物搾取ために取り組むという件については、わたしたちも当事者として何かできることはないかと考えてみる必要がありそうです。詳しくは、次の記事をご覧ください。
《参考》【ヴィーガンとは不健康?】環境問題・飢餓・動物保護など社会問題
何か少しでも共感できたら、マクロビオティックやフレキシタリアン(セミ・ベジタリアン)などのお肉を少し控えることに取り組んでみてもいいでしょう。何より、まず大切なのは、このような食生活を実践する人たちがいることを知ることだと思います。
なお、動物の育てられ方の現状などについても見過ごせない現状があります。アニマルウェルフェアという、動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態の定義については、次の記事をご覧ください。