【本の要約⑨】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:生活習慣

あなたは「健康長寿」になるための生活習慣を知りたくないですか?

  • ある程度のストレスは体に良い?
  • 高温や低温で細胞が鍛えられる?
  • ブルーライトで体内時計が狂うって本当?

わたしは、ファスティング(断食)や食事指導をしている栄養士です。

本記事では、「死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事」という本を要約して紹介していきます。

興味深く重要な内容が多いので、数記事にわたってまとめています。若々しく健康に生きる方法をマスターしていきましょう。

今まで、老ける食材・老けない食材、「長寿パラドックスプログラム」をご紹介してきましたが、食事以外の生活習慣についても紹介します。

老けないライフスタイル

死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事_本の表紙

ある程度のストレスは体に良い影響をもたらします。カロリー制限が効果的であるのも、これが理由のひとつです。

ストレスを受けると、あなたと細胞たちが生き延びられられるよう、差し迫った脅威に対して備えろと細胞にシグナルが送られます。これによって、細胞は強化され、生き残れない細胞は死んでいきます。

これは、健康寿命を延ばすためにできる最も有益な行動のひとつです。

こういった理由により、長寿パラドックスプログラムでは、食事だけでなく生活習慣でも細胞にストレスを与えます。

ただし、体に負荷をかける場合、回復のために同じ時間が必要になります。その時間をとらないと、負荷がかかりすぎて、かえって体に悪影響を及ぼす危険性もあります。

そのため、十分な睡眠をとることと、リラックスしたり瞑想したりする時間を確保することも欠かせません。

ストレスを与える時期と回復する時期を交互に繰り返すことで、腸内環境が整います。

そこで、ライフスタイルプログラムは2つのパートになっています。

  • 「パート1」細胞にストレスを与えて強化するための習慣
  • 「パート2」細胞を回復させるための習慣

【パート1】運動

運動をすると筋肉に小さな亀裂ができ、それが修復されると、より強く・大きくなります。また、あなたが運動すると腸内微生物叢が整い、体を良い状態にしてくれます。

とりわけ重力に逆らって運動すると、より多くの筋肉に負荷がかかり、強化され、筋肉量が増えます。

ウエイトトレーニングができるか不安に思っている方も心配しないてでください。

モダンフィットネス界のゴッドファーザーと呼ばれるジャック・ラランヌは、筋力を鍛えて維持するには「スクワット」と「プランク」という2つのシンプルなエクササイズを行うだけで良いと言っています。

では、以下の3つの方法をご紹介していきます。

  1. 5分エクササイズ
  2. 熱で細胞を刺激
  3. 冷水で活力を与える

①「5分エクササイズ」

筋肉を強く保ち、加齢による筋肉量の減少を防ぐために必要な負荷を与える「完璧な5分エクササイズ」を考案しています。

これをやらない理由はありません。まずは1日2回、あるいは思い立ったときに行ってみましょう。

全身の筋肉や細胞に負荷をかけながら、エネルギーをすぐに燃やすことができます。

1分目:その場でジョギング

著者はこれを「スタンディング・トロット」と呼んでいます。本格的なジョギングではなく、立ったままの小走りです。

暑いと感じたらそれはもはや小走りではないので、やりすぎないようにしましょう。自分を目覚めさせたいのであって、疲れさせたい訳ではありません。

1分間、楽な姿勢で小走りするだけです。これが難しい場合は、座った状態で行いましょう。

背を伸ばしてイスに座ったまま、走るように足と腕を動かします。ばかばかしいと感じる人も、とにかくやってみましょう。

著者はいつも笑いながらやっているそうです。ヨガの最中に大声で笑う「笑いヨガ」も行うのだが、そのおかげで運動中に笑うと効果的だと気づいたそうです。

2分目:クラシッククランチ

腹筋が強くなれば、若さを保てます。運動能力を維持し、腰痛を解消するためには、体幹を鍛えることが必要不可欠です。

正しいフォームでクランチを行うには、仰向けに寝て背筋を伸ばし、足は床につけず、膝を曲げて腕を足の方に向け、首や腕ではなく腹筋を使って頭と肩を持ち上げるように意識しましょう。

下腹部の筋肉に力を入れ、背骨をゆっくりと床から離していきます。スピードは気にしなくていいし、角度にもこだわらなくて良いです。

腹筋に力が入っていることを確認しながら持ち上げていきましょう。

きれいなフォームを保ったまま、無理のない範囲で回数を繰り返しましょう。

腰に負担がかかる場合は、イスやベンチにふくらはぎを乗せ、膝を90度に曲げます。この状態でクランチを行うと、背骨への負担が軽減されます。

それでも首に負担がかかる場合には、昔ながらの方法でクランチを行いましょう。手で頭を支えるやり方です。

3分目:プランク

プランクは、すべての筋肉を一度に鍛えることができ、しかも体を動かす必要がないという優れたトレーニングです。

プランクを行うには腕立て伏せのような姿勢をとり、それを1分間キープするだけです。背筋を伸ばし、お尻を少し上げて、腹筋を引き締め、両手を肩の真下に置き、腕をまっすぐに伸ばします。

簡単すぎるなら、そのまま1分間腕立て伏せをしても構いません。

そのまま1分間プランクの姿勢に耐えられなかったとしても当然のことです。必要に応じて休憩を取り、再び姿勢を整えましょう。

体重が重くてできない場合は、膝を地面につけてやってみましょう。それでもキツイようなら、上半身と体幹を鍛えることを意識しながら、肘をついて前腕をまっすぐにしたままプランクしましょう。

4分目:スクワット

スクワットを正しく行うには、足を平行にして腰幅より少し広めに立ちます。息を吸いながら腹筋に力を入れて、胸を張って頭を持ち上げたまま、ゆっくりと膝を曲げていきます。

可動域が許す限り深く曲げ、臀部の筋肉を使って立った状態に戻します。脚を平行に保ち、腹筋に力を入れることを意識しながら、1分間にできるだけ多くの回数を繰り返します

バランスを崩しそうであれば、カウンターやイスの背もたれなどに片足でつかまりましょう。

著者は毎朝・毎晩、ハミガキのときにスクワットをしているそうです。毎日の中に取り入れて習慣化できると良いですね。

5分目:瞑想

もう運動は終わりです。心拍数を下げ、リラックスして、混乱した心を落ち着ける時間です。

腸内微生物叢は瞑想が好きです。1分、できればそれ以上、完全にリラックスした状態にしてあげましょう

背筋を伸ばして座るか、仰向けに寝て、鼻から深く息を吸い、口から息を吐ききることに集中しましょう。息を吐くたびに、全身の筋肉をリラックスさせることを意識しましょう。

まず、足の力を抜き、次に膝や太ももの力を抜き、背中の力を抜き、腕や手の力を抜き、最後に首の力を抜くといった具合です。

わずか1分後にはリフレッシュが完了し、注意力を高め、エネルギーを取り戻し、腸内微生物叢も元気になっていることでしょう。

頭を空っぽにしようとする必要はありません。そうしようとすると、大半の人が緊張してしまうからです。

②「熱で細胞を刺激」

細胞は厳しい時代がやってくるというメッセージを受け取ると、強くならなければと考えます。

そこで、細胞は防御手段として「ヒートショックプロテイン」を作り出します。

「ヒートショックプロテイン」とはその名の通り高温のストレスを与えたときに増えるタンパク質で、血流不足だけでなく、あらゆる脅威から体を守ってくれます

このタンパク質は死滅していく弱い細胞はそのまま死なせ、厳しい時期が去ったときに、健康で新鮮な細胞だけが残っているように指示します。

具体的には、週に1度くらいサウナやスチームルームに入ったり、ホットヨガのレッスンを受けたりするのがおすすめです。これらがすべて無理だというなら、熱いお風呂に入りましょう。

細胞に負担をかけすぎなよう、ちょうどいい熱さの湯船に入り、ぬるくなったら熱い湯を足しましょう。汗をかいている限り、ホルミシス効果が得られます

「ホルミシス」とは、大量に晒されると有害になるものを低量だけ晒すことで、そのストレスに対して生物が好反応を示すことです。

《参考》適度なストレスは必要(ホルミシス)

最近の研究では、軽度の抑うつ状態であれば、抗うつ剤を使うよりもお風呂に入る方が効果的だといいます。

③「冷水で活力を与える」

体を低温に晒すことは、高温に晒してヒートショックプロテインを増やすのと同様の効果があります。

寒さに晒されると、腸内細菌がGABAとセロトニンという2つの有益な神経伝達物質をより多く作り出します。これらはどちらも寿命を延ばすのに役立ちます

こうした効果を得るには、毎日冷水シャワーを浴びると良いです。いつものように温かい湯でシャワーを浴び始め、徐々に冷たくしていき、最後の数分間は、冷たい水だけを浴びます

熱い湯は、肌や髪の毛に栄養を与える油分を奪ってしまいます。一方、冷たい水はこうした大事な油分をそのまま残してくれます。

その結果、活力に満ちた状態と、長く健康に生きられる毎日に加えて、なめらかで明るい肌と豊かで艶やかな髪を手に入れることができます。

高温も、低温も、体に適度なストレスを与え、健康効果を発揮するということで「サウナ」は一石二鳥ということが分かります。最近はサウナがブームになっているのも納得ですね。

わたし自身もサウナが好きです。理由は、スマホもPCも触らない時間を作れることと、頭も体もスッキリするからです。

皆さんも体調には気をつけながら、サウナにチャレンジしてみてください。



【パート2】回復の時間をとる

【パート1】で、体に負荷をかける作業が済んだら、回復の時間を取りましょう。

効果が得られないだけでなく、ストレスを受けた細胞を正常に戻して微細なダメージを修復する作業もできなくなるため、体に害を及ぼしかねません。

このステップはあまり意味を感じないかもしれませんが、省略しないでください。健康に長生きするためには欠かせない要素です。

  1. 良質な睡眠をとる
  2. 良い人間関係を築く

では、各項目について少し詳しく解説していきます。

①「良質な睡眠をとる」

健康で長生きするためには睡眠が重要であることは、周知の事実でしょう。

アルツハイマー病の原因になりうる

アルツハイマー病などの神経変性疾患の原因となるアミロイド斑(プラーク)が蓄積しないよう、深い睡眠の間「脳の老廃物除去システム」が脳の汚れを洗い流してくれます

あなたは、週に1度は夕食を抜いて、寝る前に脳に十分な血液を送り込み、その重要な洗浄作業を済ませましょう。

しかし、週に1回というのはスタート地点にすぎません。脳は、本当は毎晩、十分な睡眠を必要としています。

たった一晩寝なかっただけで、脳の視床と海馬という部分で、アミロイド斑が約5%増加することが分かっています。

これはアルツハイマー型認知症の初期段階において、とくにダメージが見られる部分です。つまり、慢性的な睡眠不足がアルツハイマー病の主要な原因かもしれないということです。

肥満の原因になりうる

睡眠不足は、加齢に伴う肥満の原因にもなります。空腹感と満腹感をコントロールするホルモンの「グレリン」と「レプチン」は、それぞれ睡眠時間に大きく影響されます。

大学生を睡眠実験室で8時間眠らせたところ、翌朝、満腹だと伝える「レプチン」の値が高く、もっと食べろと指令を出す「グレリン」の値が低くなっていました。

次の夜は、6時間だけ寝て目を覚ますと、「レプチン」の値が低く、「グレリン」の値が高かったのです。

これは、1年の周期にも対応しています。日中が長く、夜が短い夏は、体を刺激して食事をさせ、冬に備えて脂肪を蓄えます。

つまり、睡眠時間が長いと体は冬だと思い込み、体に蓄えられた脂肪を燃やそうとします。しかし、睡眠不足になると、体は夏だと思い込み、冬に備えて脂肪を蓄えようとします。

冬眠する動物が長生きする理由のひとつです。蓄積された脂肪をケトン体としてクリーンに燃やして生きられます。

ブルーライト

太陽光も、体に時間や季節を知らせるもののひとつです。

体が日光を浴びると、網膜の重要な受容体が活性化され、腸内微生物叢を刺激して、眠気や覚醒を促すホルモンや化学物質を分泌させます。

たとえば、外が暗くなると、網膜は夜だというメッセージを受け取り、神経伝達物質であるメラトニンの分泌を促し、睡眠を促します。これはサーカディアンリズム(概日リズム)と呼ばれます。

人間の目には、青色光を処理する特別な受容体があり、これが体に「目覚めろ」「注意しろ」という指令を出しています。

スクリーンや蛍光灯が普及する前は、青い光の源は太陽だけでした。そのため、人類の大半は、昼間に太陽が出ていきるときだけ青色光を浴びていました。

人間の体は、この昼間のブルーライトを利用して、概日リズムを刻むように進化してきました。

だが、今やスクリーンや電球から、昼夜問わず大量のブルーライトが放出されるようになり、腸内微生物叢や概日リズムに悪影響を及ぼし、ひいては老化を早めてしまいます。

体が必要とするだけの十分な睡眠を得るには、サーカディアンリズム(概日リズム)を整え、自然に起こる「日の出」「日の入り」の変化に合わせることが重要です。

ブルーライトは、体に夏だと思いこませ、冬に備えさせようとします。夕方以降はできるだけブルーライトをカットしましょう。

《対策方法》

  • 太陽が沈んだらスクリーンをオフにする
  • 画面から出るブルーライトの量を減らす設定をする
  • 夕方以降はブルーライトカットのメガネを着用する
  • 睡眠と覚醒のリズムを一定に保つ(毎晩できるだけ同じ時間に寝る)
  • 睡眠時間を一定に保つ(週末にたくさん寝ても補えない)
  • 8時間睡眠を目指す

体内時計が狂ってしまったときはタイムリリース型のメラトニンサプリメントを飲んでリセットするのも良いでしょう。一般的な3~5mgのサプリメントを1錠飲めば十分です。

タイムリリース型のサプリであれば、時差ボケの調整や、仕事のスケジュールが不規則な場合の睡眠・覚醒サイクルのリセットに役立ちます。

②「良い人間関係を築く」

長寿者たちには、これまで取り上げてこなかった共通点があります。それは、結びつきが強いコミュニティで生活しているということです。

調査によると、文化や国にかかわらず、百寿者のほとんどは社会的・精神的に強いサポートシステムの中で生きています

とある106歳の女性は、バスルームで転んで腰の骨を折ってしまいました。物忘れが激しくなり、年齢を感じさせるようになり、半年ほど前から明らかな衰えを感じていました。

しかし、彼女は強力な付き合いの輪を持っていました。いつも愛らしいポメラニアンと一緒に出かけていたし、その犬のおかげでバスルームの転倒からも回復でき、すぐに友人とランチの約束をするようになりました。

転倒後に精神的に落ち込んでいましたが、すっかり回復し、その後5年間を楽しく過ごしました。社会的、精神的に強いつながりを持っていたことが大きな影響をもたらしたのでしょう。

動物の世界でも、コミュニティの重要性は知られています。

コミュニケーションで起こること

男性患者の多くは、定年を迎えるとすぐに健康状態が悪化し始めます。社会的つながりである職場がなくなると、孤立してしまい、老化が早まるのです。

多くの人と接触するほど、多くの細菌を共有することになります。単に生活習慣が似ている友人を選んでいるだけでなく、友人とマイクロバイオーム(微生物叢)を共有しており、腸内細菌が体重に大きな影響を与えています。

ある期間に肥満になった友人がいると、自分も肥満になる確率は57%増加します。

成人の兄弟姉妹のペアでは、片方の兄弟姉妹が肥満になると、もう片方が肥満になる確率は40%増加します。

また、配偶者の一方が肥満になると、もう一方が肥満になる可能性は37%増加します。

わたしたちがキスをするのは、相手が持つ細菌の組み合わせをが自分のものと合うかどうかを確かめるためなのです。相性がよければ、マイクロバイオーム(微生物叢)がそれを伝えてくれ、もう一度キスしたくなる快楽ホルモンの分泌を促してくれます。

なにかのグループの会に参加するのも良いでしょう。地元の組織でボランティアをするのもいいですし、犬を飼うのも良いでしょう。

人間は社会的な生き物だと言いたいところだが、社会的なつながりを求めて、新しい友人や知人と触れ合いたがっているのは腸内細菌叢です。

優れた高齢者は、人との関りを大切にし、若い世代の知識の源となり、文字通り家族やコミュニティの柱になっています。

人と人とのつながりが幸福な加齢の原動力となり、力強く生きていたいというモチベーションにもつながります。さらに犬を飼っていれば1日に2回は確実に散歩することになるでしょう。

【まとめ】老けない生活習慣

健康で若々しく年を重ねていくには、食事はもちろんこと、それ以外の生活習慣も大切です。

まずは、適度な運動をすることで、腸内細菌叢へ良い影響を与えることです。

また、適度なストレスは「ホルミシス」と言って体に良い影響を与える点も注目です。サウナのように熱くなったり冷たい水に入ったりすることは、適度なストレスとなり、体に良いのです。

そして、ついつい見逃しがちなのが「回復の時間」をとることです。

ストレスを受けた細胞を正常に戻して、ダメージを修復する時間が必要です。

筋トレをしているマッチョの人も、今日はこの筋肉で、明日はこれで、と順番に行うことで、筋肉を休ませていますよね。あれは、効率的な方法なのかもしれません。

他にも、睡眠の質を高めたり、ブルーライトに気をつけたりとできることは色々とあります。

全てを実行する必要はありません。できそうなものがあれば、あなたの生活習慣に、ぜひ取り入れてみてください。

本記事では、「要約⑨ 生活習慣」について紹介しました。本の要約については以上になります。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

また、以下の記事では、要約①~⑨までの概要をまとめています。もくじ代わりにご覧いただき、気になる項目を復習していただければと思います。

《参考》【本の要約】死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事:まとめ(目次)

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