【サクラ印ハチミツ】週刊新潮の記事:発がん性疑惑農薬が基準値超え

ハチミツといえば「サクラ印ハチミツ」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

2021年10月7日の週刊新潮で「発がん性疑惑農薬が基準値を超えていて、それを隠蔽しようとしているのでは」といった記事が出ました。

  • サクラ印はちみつに発がん性物質が含まれたって本当?
  • しかも、それを隠蔽しようとしたの?
  • 回収対象になったハチミツはどれなの?

オーガニック製品が大好きで、農薬・無農薬・エシカル・サステナブルなことの興味を持ってきたわたしが色々と調べてみたので、お答えいたします。

2021/10/7:週刊新潮の記事

10月7日発売の週刊新潮の記事の内容について記事の内容が全て正しいのかどうか、サクラ印ハチミツを展開している加藤美蜂園本舗が全面的に悪いのか、そのようなことをお伝えしようと思っているのではありません。

今回の記事の内容と音声データ、その他の情報から、皆さんがご自身で考え、受け止めていただければと思います。

わたし自身もひとつの情報を鵜吞みにするのではなく、どの情報が真実なのか見極めたいという気持ちで、色々と調べてみました。

記事の概要

国内トップシェアを誇るサクラ印ハチミツに関する衝撃のニュースです。

「サクラ印ハチミツ」アルゼンチン産とカナダ・アルバータ産のものから、基準値を超える「発がん性疑惑 農薬グリホサート」が含まれていました。

問題の成分は、除草剤の主成分である「グリホサート」です。食品衛生法が定める残留基準値は、0.01ppmとなっていますが、週刊新潮が9月に行った調査では、最大で基準値5倍のグリホサートが、サクラ印ハチミツから検出されたそうです。

しかも、サクラ印ハチミツを展開する「加藤美蜂園本舗」は、その実態を把握していたというのです。

グリホサートの残留基準値

食品衛生法で定められたグリホサートの残留基準値は、0.01ppmです。これは06年に施行された「ポジティブリスト制度」によるもので、それまで基準が定められていなかった物質に対して一律に、0.01ppmの基準が適用されることになりました。(食品業界関係者)

検査では、アルゼンチン産で 0.02ppmや、0.03ppm、カナダ・アルバータ産で0.03ppmとなっています。基準値の2倍や3倍という分析結果が出ています。

《参考》デイリー新潮の記事はこちら

そこで、デイリー新潮にて東京都内の大手スーパー数店舗で購入した「加藤美蜂園本舗」製のハチミツを独自に調査したそうです。

すると、アルゼンチン産などの商品5本のうち、3本が基準値超えとの結果になりました。加藤美蜂園本舗が製造し、「Vマーク」という別ブランドで売られていた商品は、基準値の5倍との分析結果となったそうです。

また、全国はちみつ公正取引協議会の担当者によると、次のような見解です。

「アルゼンチン産のハチミツが高い確率で基準値超となるのは納得できます。グリホサートを主成分とする除草剤ラウンドアップを開発したモンサント社が製品を広めるため、ラウンドアップを大量に輸出したのがアルゼンチンやブラジルですから。」

カナダも国土が広く大規模農場に向いていたので最初からアメリカと同じくらいラウンドアップを使っています。スペインは、全体的に食への意識が高いEUの中でも、オーガニック耕作地の割合が高い。そのため基準値を超えるものがなかったのでしょう」

意外に基準値超が少なかった中国産に関しては、「確かにラウンドアップを積極的に使っている印象はありませんが、農薬全体の使用量は世界一なのでおすすめはできません」とのことです。

「グリホサート」とは

グリホサートとは、世界中で広く使用されている除草剤の主成分です。

2015年には国際がん研究機関(IARC)が「ヒトに対しておそらく発がん性がある」とし、危険度を示す5段階評価で2番目に高い「グループ2A」に分類されています。

そうしたことから世界各国でも規制強化の動きが広がっている成分となります。

グリホサートの問題を取り上げたノンフィクション作家の奥野修司氏は次のように語っています。

「グリホサートに関しては発がん性だけではなく、腸内細菌への影響を指摘する論文も最近増えてきています。そのようにさまざまな“毒性”が懸念されているグリホサートの残留基準値を超過したハチミツが全国のスーパーで買えるという状況は、異常としか言いようがありません。」

グリホサートの危険性を強く感じたので、さらに調べてみました。良ければ下記の記事もご覧ください。

《参考》【世界と逆行】除草剤グリホサートの危険性とは?基準値や人体の影響

公開された音声データ

現在話題になっている、「加藤美蜂園本舗」本社で行われた会議で録音された音声をテキストに起こしてみました。

《参考》週刊新潮:サクラ印ハチミツ社内の隠蔽会議の音声データ

今年2021年2月2日に行われた会議で、主な発言者は同社の取締役営業本部長だそうです。

  • 「これが本当に、うちの商品のやつが、本当に出されたかどうかは、色々ありますけれども、」
  • 「とは言ってもこのような形で出してきた以上、違法です、違反です。」
  • 「食品衛生法からいくと、あくまで一律基準、皆さん、分かりますよね?」
  • 「一律基準。社長、取締役営業本部長、グリホサート混入しながら、まだやってるの?」

→違法と認識している様子です。

  • 「検査結果を使い回しにしている、社内の人しか知らないことですね、」
  • 「これね、はっきり言って、外部の人が知ってますか?」
  • 「検査なんか使い回しにしているけど誰か知ってます?」
  • 「検査そんなの出してることも知ってますか?知りませんよね。」

→検査なんか使い回しにしているというワードが非常にショックです。わたしたちは何を信じればいいのでしょうか。

  • 「わたしは回収は、はっきり言ってしたくないというのが現状です。」
  • 「まあ今言われたようにXXXくんが言われたように、グリホサートというのに関しては」
  • 「言い訳になってしまうかも分かんないけども、食品衛生法から言ったらアウトです。」
  • 「基準値の部分があまりにも厳しいというのもあります。」
  • 「だけど、相手から撤去だと言われたらば、もうそのときはしょうがない。」

→言われたら仕方ないから撤去するけど、言われないならそのままでいいよねというような心が感じられて、誠実な対応とは思えないですね。

背景にお家騒動がある

サクラ印ハチミツに、発がん性疑惑グリホサートが混入していることの隠蔽が発覚しました。この背景には、加藤美蜂園本舗の創業者一族間の経営支配権を巡る争い(お家騒動)があるそうです。

争っているのは、元経営者側と現経営者側です。このお家騒動は元経営者側が現経営者側を訴える法廷闘争にまで発展しており、そこで飛び出したのがグリホサートに関する「証拠」だったそうです。

わたしたちに消費者からすると、このようなことが明るみになって良かったと思います。このお家騒動がなかったら、永遠に隠蔽されていたのかと思うと恐ろしいですね。



 

サクラ印ハチミツ加藤美蜂園本舗の対応

週刊新潮の記事だけで議論するには早いと思うので、週刊新潮の記事が出された後の加藤美蜂園本舗の対応を見ていきます。

2021/10/07:一部週刊誌の報道に関しまして見解

コーポレートサイトに「一部週刊誌の報道に関しまして見解」を発表しました。

《参考》加藤美蜂園本舗:一部週刊誌の報道に関しまして見解

加藤美蜂園本舗としては、どんなことを主張しているのか簡単にまとめてみます。

① 日本の基準が厳しすぎると厚生労働省に要請

厚生労働省が定めるポジティブリスト制度【食品に残留する農薬等に関する制度】では、原則すべての農薬等について残留基準(一律基準を含む)を設定し、基準を超えた食品中に残留する場合、その食品の販売等の禁止を行うこととしたものです。

この制度では、はちみつに残留するグリホサートの基準は個別設定されておらず、一律基準の 0.01ppm が適用されています。

この基準は諸外国と比較しても、極めて厳しい基準となっています。(グリホサートの残留基準値の例、カナダ:0.1ppm、EU:0.05ppm

よって、はちみつの残留基準については、はちみつ業界団体とともに残留基準の見直しを現在厚生労働省に要請し、残留基準を 0.05ppm とすることについて、パブリックコメントの募集を終了した段階ですということです。

つまり、ハチミツが危険なのではなく、日本の基準が厳しすぎるから改定するための動きをしたということですね。

② 健康の心配はない

厚生労働省が令和 3 年 1 月 8 日付に公表した「輸入食品に対する検査命令の実施」において、『グリホサートについて』と題して『現実的ではありませんが、体重 60kg の人が、グリホサートが 0.08ppm 残留したはちみつを毎日 750kg 摂取し続けたとしても、一生涯の平均的な摂取量が許容一日摂取量を超えることはなく、グリホサートが健康に及ぼす影響はありません』と記載されているので、安心だと主張しています。

つまり、無類のはちみつ好きで毎日たくさん食べていても摂取量が許容を超えることはないだろうから、安心と言っています。

③ 一部商品を自主回収

アルゼンチン産はちみつ、及びカナダ産はちみつのうち、基準値 0.01ppm を超えた農薬(グリホサート)が残留したと報道された製品の一部について、念のため自主回収することにしたそうです。

商品回収につきまして対象の商品を確認中だそうです。実際のどの商品が該当するかは、これから発表されるそうです。

2021/10/18:回収対象はちみつ

回収対象となるはちみつ23商品が発表されたので、ご紹介します。情報がPDFで公開されていて、スマホなどで確認しにくい方もいると思うので、こちらにも記載します。

回収対象商品の一覧

商品名 バーコード番号
1 サクラ印 アルゼンチン産純粋はちみつ150g 4507 2505
2 サクラ印 アルゼンチン産純粋はちみつ300g 4901390 180616
3 サクラ印 アルゼンチン産純粋はちみつ500g 4901390 180937
4 サクラ印 アルゼンチン産純粋はちみつ700g 4901390 181026
5 サクラ印 アルゼンチン産純粋はちみつ800g(ガラス瓶) 4901390 176442
6 サクラ印 アルゼンチン産純粋はちみつ1500g 4901390 181286
7 サクラ印 アルゼンチン産純粋はちみつ(スティックタイプ)12g×7 本 4901390 180562
8 サクラ印 アルゼンチン産純粋はちみつ(駿河湾) 200g 4901390 181309
9 美峰園 アルゼンチン産純粋はちみつ280g(ガラス瓶) 4580041 350013

商品名 バーコード番号
10 サクラ印 アルゼンチン産&カナダ産純粋はちみつ150g 4901390 180968
11 サクラ印 アルゼンチン産&カナダ産純粋はちみつ300g 4901390 181620
12 サクラ印 アルゼンチン産&カナダ産純粋はちみつ500g 4901390 180852
13 サクラ印 アルゼンチン産&カナダ産純粋はちみつ750g 4901390 181576
14 サクラ印 アルゼンチン産&カナダ産純粋はちみつ1000g 4901390 180869

商品名 バーコード番号
15 サクラ印 アルゼンチン産&ニュージーランド産純粋はちみつ 400g 4901390 181071
16 サクラ印 アルゼンチン産&ニュージーランド産純粋はちみつ 700g 4901390 181361
17 サクラ印 蜂蜜紀行 アメリカ大陸ブレンド純粋はちみつ 200g 4901390 181163

商品名 バーコード番号
18 サクラ印 カナダ・アルバータ州産純粋はちみつ 150g 4507 2598
19 サクラ印 カナダ産純粋はちみつ 200g 4901390 178767
20 サクラ印 カナダ産純粋はちみつ 300g 4901390 180425
21 サクラ印 カナダ産純粋はちみつ 400g 4901390 178774
22 サクラ印 カナダ産純粋はちみつ 500g 4901390 181217
23 サクラ印 カナダ産純粋はちみつ 800g (ガラス瓶 ) 901390 179542

今後、自主回収が必要な対象商品が判明した場合には、その都度ホームページ上に随時追加されるそうです。

回収方法

① インターネットにて受付 24 時間

専用サイトよりお申込みいただき、弊社指定の宅配会社が、お手元の回収対象商品の回収に伺います。 送料は弊社が負担します 1 ヶ月前後で、商品代金相当の QUO カードをご送付させて頂きます。

《受付先》https://www.sakura honey.co.jp/recall/

② フリーダイヤル 「 0120-112-821」での受付 (10 月 20 日(水) 9 00 以降より受付開始)

受付時間:9 時から 1 7 時まで

※10/23(土)、10/24(日)、10/30(土)、10/31(日)は受付いた します。

お問い合わせ先

株式会社加藤美蜂園本舗 お客様相談室

  • 〒111 0031 東京都台東区千束 1 1 5
  • 電話:03-3875-1182(土・日・祝日 除く)※10/23(土)、10/24(日)、10/30(土)、10/31(日)は受付いた します。
  • 受付時間:10 時から 16 時まで

《参考》加藤美蜂園本舗:アルゼンチン産及びカナダ産はちみつの自主回収に関するお詫びとお願い

2021/10/11:Vマークはちみつ各種:販売中止

下記コメントを発表しています。一部抜粋です。

  • この度、一部週刊誌において、Vマークアルゼンチン産純粋はちみつ(製造者:㈱加藤美蜂園本舗、賞味期限 2022.8.18)より、基準を超える農薬「グリホサート」が検出されたとの記事を確認致しました。
  • 健康に影響を及ぼす恐れはないとの事でございますが、事実関係の確認をしております為、念の為全てのVマークはちみつ商品の販売を休止させて頂いております。
  • お手元に当該商品を含む、Vマークはちみつ商品がございましたら、ご返金させて頂きます。
  • 誠にお手数ですが、弊社お客様相談室へご連絡の上、着払いでお送り頂きたく、お願い申し上げます。または、商品にレシートを添えて、お買い上げ店舗迄お申し出頂きます様、お願い申し上げます。

わざわざ郵送するのは少し面倒に感じますが、該当商品をお持ちの方は購入した店舗まで持参していただければと思います。ちなみに東急ストアでは、レシートがなくても現品持参でOKということです。

お問い合わせ先(発売元)

株式会社八社会:お客様相談室

  • 電話番号:0120-818-871
  • 受付時間:10: 00~16:00(土日祝日除く)
  • 住所:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿 1-19-15 ウノサワ東急ビル6 F

販売中止の対象商品

V マーク(VALUE PLUS)賞味期限 2021.10.11~2023.10.10 までの商品が対象です。

対象商品 内容量 参考価格(税込み) JAN CODE
アルゼンチン産純粋はちみつ 300g 819円 4949486167035
カナダ産純粋はちみつ 300g 862円 4949486167028
純粋アカシアはちみつ 500g 894円 4949486136031
純粋アカシアはちみつ 200g 430円 4949486129842
純粋はちみつ 1kg 1,199円 4949486152062
純粋はちみつ 500g 743円 4949486128111

東急ストアでの対応

東急ストアでも、Vマークはちみつが全て撤去されていました。そしてお詫びと返金対応のメッセージが貼られていました。

東急ストアではレシートがない方も、現品持参で返金をしてくれるそうです。わたしは、レシートは持っていなかったのですが、現品を持参したら返金対応に応じてもらえました。

スーパーによっても対応が違うと思いますので、皆さんも購入されたスーパーでご確認ください。

2021/10/18:スーパー「ライフ」の対応

スーパー「ライフ」でも残留基準値を超えた除草剤グリホサートが検出されたハチミツの対応をしていました。

安全性を確認するまでの期間、加藤美蜂園本舗製造のアルゼンチン産およびカナダ産のはちみつ販売を自粛するそうです。

「お心当たりのある方はサービスカウンターまたはお近くの従業員に問い合わせください。」ということで、返金してもらえるのか、どのような対応かは明示されていません。

実際のライフには、このような「お詫び」のメッセージが貼られていました。そして他の産地のはちみつは通常通りに販売されていました。

【まとめ】サクラ印ハチミツの発がん性疑惑農薬が基準値超え問題

最初は、サクラ印ハチミツもいただいたことがあったので「ひどい!隠蔽!」と衝撃ニュースでしたが、双方の主張を見てみると難しい問題だなとも感じます。

週刊新潮が主張する通り、ルールを無視して隠蔽しようとした加藤美蜂園本舗は、完全に良くないことです。ただ、ルールが厳しすぎるが故にそうせざるを得なかったという加藤美蜂園本舗側の言い分も無視できるものではないと思いグリホサートについても調べてみました。

《参考》【世界と逆行】除草剤グリホサートの危険性とは?基準値や人体の影響

加藤美蜂園本舗のしたことは許されることではないですし、個人的にはそのような法改正に向けて何か動いていたり、どこまで取り組んでいたのだろうかという対応の誠実さも気になるところです。

どちらにせよオーガニック好きなわたしとしては、農薬の基準を上げること自体にはあまり賛成できません。身体に悪いものは基準内であろうと摂取しないに越したことはないだろうと思うからです。

しかし、健康に害のない範囲なら安くて美味しいものを食べたいので許可してほしいと思う方もいるでしょう。

これは、大変考えさせられるニュースだと感じます。皆さんはどのように感じましたか?

わたしたち消費者は、きちんと商品を見極めて選択する必要がありますね。そのためにも、隠蔽は許されることではありません。

たとえばハチミツだと、オーストラリア政府登録認定機関で100%オーガニック認定されているハチミツなどもありますので、こういった商品を選ぶと安心かもしれませんね。

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オーガニック認証は、メーカー独自で宣言できるものではなく、専門にしている機関が認定を出すので信頼性が高いといえます。

なお、Twitterにて健康やオーガニックに関する情報を配信していますので、良ければご覧ください。

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