【グリーン購入法】グリーン購入とは?環境のため?何なのか簡単に解説

オーガニック、エコ、サステナブル、SDGs、エシカルなど関連する言葉がたくさんありますが「グリーン購入」について、ご存知でしょうか?

  • グリーン購入って何?簡単に知りたい!
  • グリーン購入って環境にやさしいの?具体的に、どんな品目が該当するの?

もともとオーガニック食品・日用品の愛用者であるわたしがご紹介していきます。

「グリーン購入」とは

環境を考慮して、必要性をよく考え、環境への負荷ができるだけ少ない製品やサービスを選び、環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入することです。

グリーン購入は、購入者の消費行動を環境に配慮したものにすることで、供給者に環境負荷の少ない製品の開発を促し、経済活動全体を環境配慮型へ変えていく力を持っていると考えられています。

グリーン購入:メリット3つ

グリーン購入は、消費生活など購入者自身の活動を環境にやさしいものにするだけでなく、供給側の企業に環境負荷の少ない製品の開発を促すことで、経済活動全体を変えていく可能性を持っています。

① 環境面

省資源・省エネルギー/温室効果ガス削減/廃棄物削減/大気・土壌汚染の防止/生態系・生物多様性の保全

② 経済面

環境技術の発展/環境配慮型製品の市場の拡大/国際競争力の強化/長期的な節約

③ 社会面

有害化学物質の使用量削減による労働環境の改善/生活の質の向上/環境意識の向上

「グリーン購入法」とは

2001年(平成13年)4月から、グリーン購入法が施行されました。環境省による環境物品などの調達の推進に関する法律です。

この法律は、国等の機関にグリーン購入を義務づけるとともに、地方公共団体や事業者・国民にもグリーン購入に努めることを求めています。幅広い主体が、それぞれの立場から、グリーン購入を進めていくことが期待されています。

《参考》環境省:グリーン購入法

グリーン購入法:適合マーク

「グリーン購入法適合」と記載されている商品は対象商品となります。「グリーン購入法適合マーク」は特定のマークではなく、下記のように様々なデザインがあります。

グリーン購入:ポイント3つ

大きく分けて3つの観点がありますので、ご紹介していきます。

① 環境負荷の少ない物品や、環境負荷低減に努めている事業者の選択

物品やサービスを購入する際に、価格や品質などに加えできるだけ環境負荷の少ないものを選ぶようにしましょうということです。

また、物品そのものだけでなく、設計・製造・販売などにおいても環境マネジメントに取り組んでいる業者を選定しましょうということも言われています。

② ライフサイクル全体を考慮した調達

物品やサービスを購入する際に、資源採取から廃棄に至るライフサイクル全体の環境負荷の低減を考慮しようということです。

※製品のライフサイクルとは、製品が販売されてから終了するまでの期間のこと。

③ 環境負荷や廃棄物の発生を抑制

無駄・非効率的・必要以上な消費・生産を抑制しようということです。

購入したものが長期的かつ適正な使用や分別廃棄に留意し、環境負荷が着実に低減されることが重要です。

グリーン購入法ができた背景

気候変動や環境汚染、資源の枯渇、廃棄物処理など、わたしたちが直面している環境問題は、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済活動に起因しています。

限りある資源を持続的に活用し、将来世代に引き継ぐためには、経済社会のあり方そのものを見直し、持続可能な発展が可能なものに変革することが不可欠です。この考え方はまさにSDGsですね。

あらゆる分野において、環境負荷の低減に努めることが必要であり、組織の調達行動においても、環境物品等への需要の転換を促進していかなければなりません。

国際社会では、2015年の国連サミットにおいて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、持続可能な開発目標(SDGs)の一つに持続可能な消費と生産形態の確保が盛り込まれました。

《参考記事》【SDGsとは何か】17の目標一覧とその意味・課題を簡単に解説



「グリーン購入」分野と具体例

グリーン購入法の基本方針では、特に重点的に調達を推進すべき環境物品等を特定調達品目に定めています。特定調達品目とその判断基準などについて、毎年度、定期的に見直しが行われます。

2001年に14分野101品目だった特定調達品目数は、2017年2月には21分野274品目に増えて、2021年2月には22分野282品目まで増えています。

グリーン購入法は認証制度ではなく、事業者自らによる適合宣言が可能です。それを「消費者が購入の参考にしてほしい」ということです。

では、グリーン購入法の対象分野と具体例についてご紹介していきます。

グリーン購入:対象分野

対象分野は全部で、22分野に及びます。少し多いですが、見ていきましょう。

《参考》環境省:2021年度版 エコマークとグリーン購入法特定調達品目

① 紙類

具体例:コピー用紙/インクジェットプリンタ用紙/トイレットペーパー/ティッシュペーパーなど

② 文具類

具体例:シャープペンシル類/ボールペン類/蛍光ペン/マーカー類/ 筆ペン/万年筆/スタンプ台/朱肉/テープ類/修正液/ブックスタンド/テープカッター/OA・オフィスクリーナー/カッターナイフ/絵筆/絵の具/のり類/ファイル類/封筒/ノート/ラベル類/付箋など

③ オフィス家具類

具体例:椅子/机/棚/防災用パーテーション/傘立て/掲示板/ホワイトボードなど

④ 画像機器類

具体例:コピー機/プリンタ類/ファックス/スキャナー/プロジェクター/インクカートリッジなど

⑤ 電子計算機類

具体例:電子計算機/磁気ディスク装置/ディスプレイ/記録用メディアなど

⑥ オフィス機器類

具体例:シュレッダー/デジタル印刷機/掛け時計/電卓/電池など

⑦ 移動電話類

具体例:携帯電話/スマートフォン/PHSなど

⑧ 家電製品類

具体例:冷蔵庫/テレビ/電子レンジ/電気便座など

⑨ エアコンディショナー類

具体例:エアコンなど

⑩ 温水器類

具体例:給湯器など

⑪ 照明

具体例:蛍光ランプ/電気など

⑫ 自動車類

具体例:乗用車/小型バス/大型バス/トラック/タイヤ/エンジンなど

⑬ 消火器

具体例:消火器など

⑭ 制服・作業服類

具体例:制服/作業服/靴/帽子など

⑮ インテリア・寝装寝具

具体例:カーテン/ブラインド/カーペット/じゅうたん/毛布/ふとん/ベッドフレーム/マットレスなど

⑯ 作業手袋

具体例:作業手袋など

⑰ その他繊維製品

具体例:集会用テント/ブルーシート/ネット/のぼり/旗/幕/モップなど

⑱ 設備

具体例:太陽光発電システム/太陽熱利用システム/燃料電池/生ごみ処理機/節水機器/Web会議システムなど

⑲ 災害備蓄用品

具体例:災害備蓄用飲料水/アルファ化米/保存パン/乾パン/レトルト食品等/栄養調整食品/フリーズドライ食品/毛布/非常用携帯電源/非常用携帯燃料/携帯発電機など

⑳ 公共工事(資材)

具体例:盛土材/地盤改良材/コンクリート用スラグ骨材/アスファルト混合物/路盤材/間伐材/セメント/コンクリート/塗料/防水/塗装材/園芸資材/道路照明/中央分離帯ブロック/フローリング/タイル/再生木質ボード/木材・プラスチック再生複合材製品/ビニル系床材/断熱材/変圧器/大便器/など

㉑ 役務

具体例:食堂/清掃/機密文書処理/小売業務など

㉒ごみ袋類

具体例:プラスチック製ごみ袋



グリーン購入:具体的な考え方

この分野だからグリーン購入の商品あるのかな?と考えるに対象分野を頭に入れておく必要があり、現実的ではないように思います。なので、このような思考でお買い物をするとグリーン購入になりますよという考え方をご紹介していきます。

すぐに実践可能な具体的な考え方・マインドセットは下記の通りです。

  • 必要なものを必要な分だけ購入する。
  • 使い捨て商品でなく/長く使えるものを選ぶ。

購入するお店の選び方で意識することは次のようなことです。

  • 近くで生産・製造されたものを選ぶ。(地産地消
  • 作る人に公正な分配が保証されるものを選ぶ。(フェアトレード
  • 環境問題に取り組んでいるメーカーや店を選ぶ。

最後にリサイクルしているものや、リサイクルできるものを選ぶということです。

  • 包装のないもの、容器は再利用できるものを選ぶ。(リサイクル)
  • リサイクルされたもの/リサイクルシステムがあるものを選ぶ。

参考になる認証マーク

様々な機関が認証制度を設けていたり、認証マークを発行しています。自分で調べなくても、そのような認証・マークを購入する参考にするというのも選択肢のひとつとなります。

参考となる環境ラベルと示されたものを紹介していきます。普段あまり目にしないラベルもありますので、知るきっかけになればと思います。

エコマーク

エコマークは、様々な商品(製品およびサービス)の中で、生産から廃棄にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルです。

公益財団法人日本環境協会が実施するエコマーク事業は、国際標準化機構の規格ISO14020(環境ラベルおよび宣言・一般原則)およびISO14024(環境ラベルおよび宣言・タイプⅠ環境ラベル表示・原則および手続き)に則って運営されています。

《参考》【エコマークとは何か?】商品一覧と認定基準について簡単に解説

国際エネルギースタープログラム

国際エネルギースタープログラムは、オフィス機器の国際的省エネルギー制度です。製品の消費電力などについて米国EPA(環境保護庁)により基準が設定され、この基準を満たす製品に「国際エネルギースターロゴ」の使用が認められています。

再生型機・部品リユース型機(コピー機)は、旧基準の国際エネルギースタープログラム適合をもって、グリーン購入法の判断の基準(消費電力に関する基準)を満たすこととなります。

《参考》米国・環境保護庁(EPA)ENERGY STAR

E&Qマーク

E&Qマークは、一般社団法人日本カートリッジリサイクル工業会(AJCR)が制定した環境管理基準、品質管理基準に基づき、第三者審査機関の厳しい審査をクリアした企業に与えられる認定制度です。

第三者審査機関の審査では、環境管理基準29項目・品質管理基準10項目をクリアし認証されます。

《参考》一般社団法人:日本カートリッジリサイクル工業会

省エネラベル(緑)

省エネ法で定めた省エネ性能の向上を促すための目標基準(トップランナー基準)の達成度合いをラベルに表示するものです。

グリーンのマークが、トップランナー基準を達成した(省エネ基準達成率100%以上)製品の証となります。

《参考》経済産業省:資源エネルギー庁

統一省エネラベル(4つ星以上)

製品個々の省エネ性能を表す省エネラベル、市販されている製品の中で相対的に位置づけた多段階評価、年間の目安電気料金(または目安燃料使用量)などを製品本体またはその近傍に表示するものです。

この制度は、小売事業者が製品の省エネ情報を表示するために、2006年10月から開始されました。

《参考》経済産業省:資源エネルギー庁

低燃費タイヤマーク

2010年(平成22年)1月以降、日本自動車タイヤ協会が業界自主基準として定めました。

タイヤの転がりや抵抗を数値化したり、路面がぬれた状態でのタイヤのグリップ力も総合的に判断し、燃費と安全面を考えられたタイヤといえます。

《参考》一般社団法人 日本自動車タイヤ協会

モバイル・リサイクル・ネットワーク

モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)は、携帯電話事業者を中心とした回収・再資源化の取組みです。

使用済みの携帯電話等の端末には、金、銀、銅、パラジウムといった多くの希少金属が含まれ「都市鉱山」とも呼ばれています。これらの希少金属はもちろん、使われている有用資源をできるだけ有効利活用するために、これら端末の回収・再資源化が求められています。

《参考》一般社団法人 電気通信事業者協会

JISマーク

「JIS」とは、Japanese Industrial Standardsの頭文字からなる略称です。JISマーク表示制度とは、産業標準化法に基づく第三者製品認証制度です。

国に登録された認証機関が品質管理体制を審査し、製品試験において製品の品質等がJISに適合していることを確認し認証することにより、製造事業者が製品等にJISマークを表示することができます。

2019年7月1日、法改正により「工業標準化法」は「産業標準化法」に、「日本工業規格(JIS)」は「日本産業規格(JIS)」に変わりました。

《参考》経済産業省 JISマーク制度

エコ・ユニフォームマーク

2001年(平成13年)4月1日の「グリーン購入法」の施行を機に、日本被服工業組合連合会が制定したマーク制度です。このマークは、グリーン購入法の判断基準に適合したユニフォームウェアやスクールウェア等に添付するものです。

使用される天然繊維・化学繊維の原料や基準について設定しています。

《参考》日本被服工業組合連合会

フレーム環境マーク

ベッドフレーム製品の品質・衛生および安全面に配慮した「フレーム環境基準」を制定しています。「フレーム環境基準」は、安心してベッドフレームを使用していただくことを目的に、品質及び安全面 (強度を含む) に配慮していることを証明するものです。

木質材・接着材・塗料等に関する、遊離ホルムアルデヒドの放散量の規制や、木質材・木材にクロルピリオス含有物質を使用していないなどを設定しています。

《参考》全日本ベッド工業会

衛星マットレスマーク

「マットレスの環境基準」をクリアしたマットレスにのみ付けられている安心のマークです。

ホルマリン溶出量や、抗菌防臭加工、厳選された材料(フェルト類は未利用繊維使用、「ウレタンフォームの発泡剤」にはオゾン層破壊の物質を含まない)などの厳しい基準になります。

《参考》全日本ベッド工業会

PETボトルリサイクル推奨マーク(再生 PET 樹脂 25%以上)

1995年9月より「PETボトルリサイクル推奨マーク」の運用を開始しています。

推奨マークつきの商品がPETボトルリサイクルに寄与している側面の情報を広く社会に提供することで、消費者に環境負荷低減に寄与する商品の選択を促し、PETボトルのリサイクル推進に役立てる目的で作られました。

《参考》PETボトルリサイクル推進協議会

グリーン購入法適合ウィンドウフィルム

環境省の総合環境政策の一環であるグリーン購入法を遵守することを目的としています。工業会の基本方針に基づき、グリーン購入法に基づく判断の基準に適合した日射調整フィルムを提供していて、CO2削減運動に協力しています。

太陽光線の流入熱量を表す遮蔽係数(SC値)、人間の目に光として感知できる電磁波が透過する割合の可視光線透過率(VLT)、1時間にどれだけの熱が流れるかを示す熱貫流率(U-Value)などの基準を設けています。

《参考》日本ウインドウ・フィルム工業会

グリーンプリンティング認定制度

グリーンプリンティング認定制度(GP認定制度)とは、印刷産業の業界団体である「一般社団法人日本印刷産業連合会」の環境自主基準に基づき、印刷工場の環境負荷低減への取組みと環境に配慮した印刷製品を認定する制度です。

認定基準は法令や条例に対する遵法はもちろんのこと、地域住民への環境影響(悪臭、騒音、振動等)を未然に防ぐ対策を盛り込んでいるほか、VOC発生などの大気汚染防止、廃棄物削減、リサイクル推進、地球温暖化防止など、地球規模での環境対応を基準化しています。

《参考》一般社団法人日本印刷産業連合会

NLマーク

NL規制に基づいて製造された印刷インキは、ラベルに「NLマーク」または文章で「この製品は、印刷インキ工業連合会が制定した『印刷インキに関する自主規制(NL 規制)』に基づいて製造されたものであります。」と表示しています。

NL規制とは、「原則として全てを認可するが、禁止するものだけを一覧表とする」規制方法で、安全衛生上人体や環境に有害なおそれのあると考えられている物質をリストアップ(NL:ネガティブリスト)し、その使用を禁止する方法です。

《参考》印刷インキ工業連合会

植物油インキマーク

2008年(平成20年)に制定した植物油インキマーク制度は、それまでの大豆油インキ制度と違って、食料である大豆を原料とする大豆油に限らず、他の一般的な植物油や再生植物油等も使用できるよう対象範囲を広げました。

植物油は、石油系の溶剤に比べて生分解性があり、VOCの排出もほとんどなく環境負荷低減に寄与しています。

《参考》印刷インキ工業連合会

【まとめ】グリーン購入

環境を考慮して、必要性をよく考え、環境への負荷ができるだけ少ない製品やサービスを選び、環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入することです。

グリーン購入法ができた背景や、参考になる認証マークについて詳しく解説してきました。

これからお買い物をする際は、これらのマークがないか探してみてはいかがでしょうか。どちらを買おうか迷ったときのひとつの指標になればと思います。

 

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