あなたは、「内分泌かく乱物質」を回避できていますか?
- 内分泌かく乱物質とは?
- どんなデメリットがあるのか知りたい
- 避けるにはどうしたらいいの?
わたしは、ファスティング(断食)指導や、食事アドバイスをしている栄養士です。オーガニックなものが好きでできるだけ、添加物を避けるように心がけています。
そんなわたしが、「死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事」という本に書かれていた「内分泌かく乱物質」のデメリットと回避方法を解説していきます。
「内分泌かく乱物質」で太る
内分泌かく乱物質とは、成長期や思春期を早めるだけでなく、年をとってからも体重を増やし続ける原因となります。肥満の原因のひとつです。
こうした化学物質が乱す主なホルモンは「エストロゲン」です。分泌量の差はありますが、男女ともに分泌しています。
しかし、環境中の有害物質が、男女問わず体内にあるエストロゲンを模倣すると、生物学的に妊娠できるかどうかに関わらず、細胞は脂肪を蓄えるようにメッセージを受け取ります。
わたしたちが日常的に環境から吸収している微量のエストロゲン様物質の累積的な影響は、ホルモンそのものよりも強力です。
エストロゲン様物質は、脂肪細胞のエストロゲン受容体に付着して離れず、脂肪細胞が脂肪を蓄えつづけるよう永久にスイッチを入れ続けます。
加齢に伴う体重の増加や、それに伴う健康問題を避けるためには、こうしたホルモンかく乱物質を避けることが不可欠です。
では、前置きが長くなってしまいましたが、最も一般的で有害なものを紹介していきます。
- 「ビスフェノールA」
- 「フタル酸エステル類」
- 「ヒ素」
- 「アゾジカルボンアミド」
①「ビスフェノールA」
ビスフェノールA(BPA)は、1957年から商業用途でプラスチックの合成に使われています。ラインパイプや食品や飲料の缶詰の内側のコーティングにも使われています。
過去10年ほどの間、科学者たちはこの化学物質のエストロゲン模倣作用に注目しています。
米国食品医薬品局(FDA)は、哺乳瓶や粉ミルクを入れる缶に「BPA」を使用する許可を終了しました。
「BPA」は、カナダや欧州では全面的に禁止されています。しかし、2015年にアメリカではFDAにBPAを禁止させようとする訴訟が敗訴しました。
米国化学工業協会が法案に反対する議会運動に多額の寄付をしたのです。
それから2年後の2017年には、欧州化学品庁が、内分泌かく乱物質としての特性もあるとして、BPAを「高懸念物質リスト」に載せるべきだと発表しました。
こうしたことが社会的に知られ、多くの企業がBPAの使用を取りやめましたが、使い続けている企業もあります。
また、安全な代用品とされてきたビスフェノールS(BPS)ぬも同様の内分泌かく乱物質があることが、最近判明しました。
回避方法
以下の方法で、可能な限り「BPA」に晒される危険を抑えましょう。
- 「BPAフリー」と書かれていない缶詰は避ける
- 食品の保存には、プラスチック製ではなくガラス製の食器を使う
- プラスチック製の容器を電子レンジで加熱しない
- プラスチック製ではなく、ガラス製やステンレス製の水筒を使う
- プラスチック製のおもちゃは、BPAフリーであるか確認する
- レジでもらうレシートカゴに入れてもらうか、捨ててもらう
缶詰を避けて、冷凍食品などを活用するのも良いでしょう。
プラスチック製を避けることが、BPAを避けることに繋がります。とくに、熱によりBPAが食品に溶け出すので、加熱にも注意です。
②「フタル酸エステル類」
フタル酸エステル類とは、プラスチックを柔らかくするために使われる化合物です。20世紀初頭に登場し、今ではあちこちで使用されています。
壁装材やビニール製の床材、食器を洗うときに使う手袋、肉や魚を包装するトレイ、残り物にかぶせるラップ、そして子どもが遊ぶおもちゃなどです。
ラップやプラスチック容器に含まれいてるため、フタル酸エステル類は、わたしたちが食べるものの周辺に偏在します。
また、香料の溶剤としても使われるため、ヘアスプレーや潤滑油、防虫剤など、たくさんの家庭用品やパーソナルケア製品にも含まれています。
研究結果
様々な研究により、フタル酸エステル類は、内分泌かく乱作用との関連性が示されています。
ある研究では、通常より小さい睾丸を持つラットとフタル酸エステル類に関連があるとされています。
ヒトを対象とした臨床試験では、高濃度のフタル酸エステル代謝物が含まれる男性の尿と、精子のDNAの損傷に関連があるとされました。
幼少期にこうした化学物質にさらされると女児の乳房形成が早まる可能性があります。また、臍帯(さいたい)へのフタル酸エステル類の曝露量が通常よりも多い赤ちゃんは、早産になる可能性が高いことも分かっています。
臍帯(さいたい)とは、胎児と胎盤をつなぐひも状の器官です。
甲状腺ホルモンへの影響
この化合物は、脳内のエストロゲン受容体に結合したり、細胞上の甲状腺ホルモン受容体に永久に結合したりします。
後者の場合、本物の甲状腺ホルモンがメッセージを伝えるのを妨害します。
甲状腺ホルモンホルモンが十分に分泌されているにも関わらず、甲状腺機能低下症の症状が出ている患者さんはこの現象が起きています。
食品に含まれている
ヨーロッパ諸国やカナダ、中国の研究者たちは、この化学物質がどれだけ食品に含まれるかの調査を行ってきました。アメリカで最初の調査が行われたのは、2013年のことでした。
比較的、自然に恵まれたニューヨーク州北部の住民を対象としたこの研究で、人々が主に穀物や牛肉、豚肉、鶏肉、乳製品からフタル酸エステル類を摂取していることが分かりました。
著者のもとを訪れる患者の多くは、健康のために全粒粉食品と皮なしの鶏むね肉を習慣的に食べています。しかも、多くの場合、鶏むね肉はフタル酸塩を含むラップに包まれています。
彼らは医師から甲状腺ホルモンの数値は正常だと言われているのに、なぜかいつも疲れた様子で、太っており、髪も薄くなっています。
この場合、確かに甲状腺ホルモンはしっかり生成されているのですが、フタル酸エステルが細胞との情報伝達を妨げているのでしょう。
患者さんの食生活からフタル塩酸を取り除いたところ、体重が減り、活力がみなぎり、何十歳も若返ったと実感できるようになったそうです。
回避方法
フタル酸エステル類を避けるためには以下のことに気を付けてください。
- 水筒はプラスチック製ではなく、ガラス製やステンレス製を使う
- プラスチック製の容器に入った食品は絶対レンジで加熱しない
- 「フタル酸エステルフリー」と記載されたケア用品を使用する
プラスチック製品を避けることが、フタル酸エステル類を避けることにもつながります。BPAと同じですね。
「日焼け止め」にも注意
従来の日焼け止めの多くは、フタル酸エステルなどの内分泌かく乱物質を含んでいます。
パラベンなどの添加物が入っていない酸化チタンや酸化亜鉛をベースにしたものを選びましょう。ビタミンCをたっぷり摂って、体の内側から日焼けを予防するとなお良いです。
人間は「ビタミンC」をつくれない
体内にたくさんのビタミンCを摂取しておけば、太陽による肌へのダメージを防げます。
実は、人間はビタミンCを自分で作ることができません。ビタミンCを自分で作れず、食品やサプリメントに頼らなければならない動物は、新世界ザルとモルモット以外では、人間だけです。
しかし、わたしたちはビタミンCを生成する酵素以外は必要な酵素をすべて持っています。
進化生物学者は、ビタミンCを製造するプロセスは遺伝子から削除されたのだと考えています。その理由は、わたしたちが進化するときに食べ物からビタミンCを大量に摂取していたためです。
ビタミンCの生産能力をなくしたところで、当時はエネルギーの浪費を防ぎ、余剰エネルギーは脂肪として蓄積することができましたが、今ではビタミンCの摂取量が不足すると困ったことになります。
1966年、ノーベル賞を受賞したライナス・ポーリングは、以下の2つを明らかにしました。
- ビタミンCが体内でコラーゲンの亀裂を修復するために使われている
- 人間の体内ではビタミンCが作れないこと
コラーゲンは、体内に最も多く存在するタンパク質で、結合組織や皮膚、血管などを作るのに使われています。
コラーゲンが壊れ、ビタミンC不足で修復されないとシワになります。紫外線によるダメージも同様です。
紫外線はコラーゲンを破壊して肌に悪影響を与えますが、十分な量のビタミンCがあれば、それを元通りにすることができます。
「ビタミンC」を摂取しよう
ビタミンCは水溶性なので、尿中にどんどん排泄されてしまいます。
また、人間が吸収できるビタミンCの量には上限があります。それ以上摂取すると、吸収できないだけでなく、吸収できなかった分を排泄するため下痢になりやすいのです。
動物実験では、健康な皮膚や血管を維持するためには多くのビタミンCが必要とされていると示されています。
《参考》ビタミンC サプリメント
③「ヒ素」
この有名な毒は、腸内細菌を殺す抗生物質でもあり、内分泌かく乱物質でもあります。まさに3拍子そろった物質です。
ところが、なぜか色の悪い鶏肉を赤みがかったきれいなピンク色にするために使われるづけています。
ヒ素は、少量では効果がない毒物のいい例です。100mgで死に至りますが、それ以下の量でも単純に寿命を縮め、不健康にします。
回避方法
ヒ素を摂取しないには以下の通りです。
- オーガニックでない鶏肉は避ける
SL Creationsでは、「疑わしきは使用せず」をモットーに、食の安全に徹底してこだわっています。鶏肉をはじめとして、牛肉・豚肉の安全性も守っています。
化学的な合成添加物を使用しない飼料を使っており、飼育環境の配慮など厳格な品質体制を保っています。詳しくは以下の記事でご覧ください。
《参考》【SL Creations】オーガニック食材・料理へのこだわり
④「アゾジカルボンアミド」
「アゾジカルボンアミド」も内分泌かく乱物質です。合成皮革製品やカーペットの下敷き、ヨガマットの製造に発泡剤として使用されています。
さらに、小麦粉の漂白剤、パンやドーナツの生地改良剤としても使われています。
ファストフード店では、パン製造の一部または全部に使用されていますが、EUやオーストラリアではパンに「アゾジカルボンアミド」を使うことは禁止されています。
アメリカでは、サブウェイが自主的にアゾジカルボンアミドの使用を禁止しました。
アゾジカルボンアミドは喘息やアレルギーを誘発し、免疫機能を抑制することが明らかになっています。とくに免疫機能の抑制は、熱を加えられたり、焼かれたりした際に顕著になります。
さらに、この化学物質はグルテンをグリアジンとグルテニンという2つのタンパク質に分解することが分かっています。つまり、これらの物質が体内で吸収されやすくなり、腸内環境が悪化しやすくなるということです。
回避方法
アゾジカルボンアミドを避けるには以下のことに気をつけてください。
- ファストフードは避ける
- パンを食べるならオーガニック発酵パンなどを選ぶ
【まとめ】内分泌かく乱物質
内分泌かく乱物質は、体重を増やし続ける原因となります。まさか食べたものでない、身の回りあるプラスチック製品などが、肥満の原因となっているとは驚きですね。
加齢に伴う体重の増加には、内分泌かく乱物質の影響もあるのかもしれません。
あた、それに伴う健康問題も発生します。それらを避けるためには、こうしたホルモンかく乱物質を避けることが不可欠です。
オーガニックや無添加の商品をまとめていますので、もしよければショッピングの参考にご覧ください。
《参考》オーガニックや無添加な商品一覧